架空図書室　それいゆ文庫コミュの第１６回　課題本はなし。各自の旅の本について語りました。

世の中には旅関係の本が多く出版されています。旅の専門書店もあるくらいです。

旅は人生そのもの。すれちがい、出会い、別れ。その繰り返しを人は旅にみいだし、書いて、読んで
人生の味わいを感じるのでしょうか。

今回は梅雨の合間、女性３名、男性４名のご参加でした。各自、持参の旅関係の本について、
熱く語りました。

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・　「ALL　MY TOMORROWS　Ⅳ」　　開高　健
開高健はうつ病にかかり、癒しの目的もあり旅行をしていた、
記者として、出版社の企画の一環としての旅もあった。マスコミにつぶされないように、バランスをとりながら旅をしていたあとがうかがえる。
所詮は口語体でしかかけない書き手、と吉本隆明に批判されたこともある著者だが、繊細で美しい文章は今読んでも胸を打つ。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

・「もの食う人々」　辺見　庸
食をキーワードに新聞記者である著者が旅をする。
パキスタンでは市場でカレーを食べて、「残飯だよ」とささやかれ放り出した皿に人が群がる光景を
目にする。チエルノブィリでは立ち退かないおばあさんのキノコスープを食べる・・・・。
心地のよい「食」ではない、厳しい「食」の世界を描いた旅の本。

・「インパラの朝」　中村　安希
４７か国を独り旅をした著者の若くて美しい近影が載っている。パキスタンは偽装結婚して入国。
最後はアフリカでインパルを見た。都会がいやで、行きたいところに行ってあるがままを書いた
旅行記。

・「月世界旅行」　ジュール・ヴェルヌ　矢野　徹訳
荒唐無稽なSF小説の名作。１８６１年の南北戦争のころ、大砲倶楽部のメンバーが犬と一緒に人間をこめた大砲を月にむかって放つ物語。犬にはサテライトという名前をつけている。
海底２万里の著者。1800年代の作品だが、科学考証が見事。

・「神に頼って走れ」　高野　秀行
早稲田大学探検部出身の著者。
自転車を走らせて神社をめぐるエッセイ。タイトルそのままの内容。
　　

・「ひとり歩きの東北」　松尾　裕美
JTBから発行された、ガイドブック。すでに絶版。
無駄な知識が豊富に載っていて、読み物として面白い。
東北の民話や知らない店の名物などが脚注に載っている。
　
・「眉かくしの霊」　泉　鏡花
泉鏡花は文学界のサザンオールスターズといわれ、別格の扱い。
本作は木曽路を旅して、ひどいめに遭いその後ものすごく良いめに遭う。
理想の宿が描かれていて、幻想的で美しい。幽霊にあうところが面白い。

・「ユルスナールの靴」　須賀　敦子
旅好きのユルスナールに自分を重ねてヨーロッパを旅して書いた著者生前最後の作品。
エッセイというジャンルでくくれない。堀江敏幸をとぎすませて重くした感じ。
きっちりとした足にあう靴さえあれば、どこまでも歩いていける」という冒頭が秀逸。

・「愚か者、中国へ行く」　星野　博美
カメラマンの著者が１９８４年、２０代のころにアメリカ人の友人と中国に行ったときのことを記している。途中喧嘩別れをしたり、失敗の旅について描いているが、誠実な取り組みが魅力。
感動はお金と時間をかけて味わうもので、苦労しつづけると感動できないというくだりに
共感する。

・「東京面白倶楽部　散歩者のための」　矢吹　申彦
イラストレーターの著者が、東京の散歩コースについてイラストいりで書いた本。

・「中央線の呪い」　三善　理沙子
中央線の各駅の特徴、名店、不思議な住民について語った本。
中央線はやはり面白い。

・「４７都道府県　女ひとりで行ってみよう」　益田ミリ　
４年間をかけて毎月、国内旅行にでかけて日本を一周した。
すーちゃんシリーズも面白い。
人生が一回きりで、人との出会いも一度きりと達観を得たことについて書かれている。

・「世界の最新ランキング　ホテル好感度　‘９３」
シンガポールのラッフルズホテルについて、記事を書いた。
コロニアルスタイルが美しいホテル。

・「南太平洋ひとり旅」　北　杜夫
ハワイ、タヒチ、フィジーを旅したエッセイ。
井上ひさしのあとがきが素敵。「この本にはどうでもいいことばかりが書いてある」

・「私のスイス案内」　笹本　駿二　
スイスが好きな著者のスイス案内。

・「日本辺境　ふらり紀行」　鈴木　善一
去年亡くなった絵の師匠が書いた紀行文。
津軽、小笠原、会津、常滑などを旅行した思い出が懐かしい。

・「パリ、サンタマンド、ノアラック、スケッチの旅」
皆でスケッチ旅行したときの冊子、パリのカフェを担当して描いた。
スケッチと文を組み合わせるのは、難しい。

・「定年欧州自転車旅行」　上林　三郎
定年を機に自転車旅行をした記録、けっこう失敗つづきだが、それがいい。

・「瀬戸内ゴーランド」　
島をめぐるあれこれについて書かれている。無料で配布されていた。
さりげなく面白い。

・「旅の極意、人生の極意」　大前　研一
国際コンサルタントの著者は、世界のセレブご用達のホテルを良く知っている。
実際行けるかどうかは別として、著書の人生の切り開き方、豊かさをつくりあげる方法などを
旅を通じて描いた一冊。

　

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旅は疲れますし、お金もかかります。

楽しいばかりではなく、つらい思い、失敗したことなどもたくさん体験します。

それでも、人は旅に出ていきます。

帰るところがあることを確認するため旅にでるのかもしれません。

旅の本、あれこれ。これからも読んでいきたいと思います。