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FCYCLEコミュの北海道Tour26

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#1 8/6(木) 羽田空港→中標津空港→開陽
#2 8/7(金) 開陽→開陽 民宿地平線の根釧台地ベスト202km
#3 8/8(土) 開陽→津別
#4 8/9(日) 津別→滝上
#5 8/10(月) 滝上→仁宇布
#6 8/11(火) 仁宇布→天塩
#7 8/12(水) 天塩→浜鬼志別
#8 8/13(木) 浜鬼志別→仁宇布
#9 8/14(金) 仁宇布→新栄
#10 8/15(土) 新栄→幾寅→新栄
#11 8/16(日) 新栄→旭川空港→羽田空港

コメント(11)

北海道Tour26#0 7/18(土)〜20(月)

 2026年の海の日3連休は、2025年の段階で中標津と決めていた。結論から言えば、その訪問は雨の3日間となった。
 7/18(土)9時40頃羽田空港第2ビル到着段階で、荷物預かりはスムーズに済んだ。羽田空港が思いの外混んでないのだ。しかし中標津便は1時間遅れ。
 空港到着後、待っていてくださった石川さんにお世話になり、保養所温泉に直行。15時50分過ぎから風呂、16時25分には富貴庵で夕食へ。
 この段階で、天気予報は明日も明後日も絶望的なのだった。明日は終日降水確率80%、最高気温20℃。明後日も9時まで降水確率80%12時までは50%だが、お昼に中標津空港に着いている必要がある。一体どうしろという天気予報ではあるものの、まあ雨なら雨で民宿地平線でごろごろしてればいい。普段仕事中に「ああ、民宿地平線でまたごろごろしたい」とすら思っている。その通りに、19時過ぎに横になりそのまま何となく流れでうとうとと意識を失った。何だかんだで疲れているのだ。
 中日の2日目には、根釧台地マスターの石川さんが、直々にお奨めコースをドライブしてくれた。最終日の20日も4時起床、5時半から朝食。ごろごろしている間に空は少しづつ明るくなったり、また暗くなったり。10時半頃には一度画期的に明るくなり始め…と思ったらまた暗くなった。しかしその頃から窓の外にキタテハが飛び始めてもいた。お昼に向け、雨っぽくはない方向に向かっていたようではあった。
 11時半過ぎに中標津空港へ送って頂いたものの、空港では予定便が最終的に1時間遅れた。遅れるのは毎度の事で驚きもしないし、飛ぶだけで有難いことだと心から思っている。

 翌週は非自転車の尾瀬ハイキング。昨年熱中症で断念した轍を踏まないよう、今年は着々粛々と条件を整えた。尾瀬沼ヒュッテも満を持して予約していたものの、2日目は雷雨の尾瀬ヶ原横断になってしまい、雨で手がふやけて真っ白になったほどだった。無事に鳩待峠に辿りつくことができたのは感謝すべきだろう。
 思えば朝4時半、何となく今日は晴れないだろうなと思った段階で、潔く撤退していれば良かった。と思ったのは、出発後2時間以上、尾瀬沼から尾瀬ヶ原に下りきる見晴らしの手前で突如大雨が降り始めてからだった。山小屋の軒先で雨宿りさせてもらっている間に、雷まで鳴り始めて肝を潰した。
 しかしこのことは、8月の北海道に向け、また今後5年〜10年ぐらいのいい教訓になったと思う。早めに判断、少しでも不安要素があればとにかく回避、自然を舐めるな!ましてや自分は高齢者。
 さていよいよ8月。今年も第1週の木曜から北海道、というスケジュールだ。初日は例年のように中標津空港スタート、中標津便はお昼の12時半出発だから、空港には10時半に着いても全然間に合う。だから空港到着時間だけで言えば、釧路便や旭川便に乗るときやっていたみたいに、4時に都内某所をタクシーで出発する必要は無い。
 しかし今回は朝東村山を出発して電車で羽田空港に向かう、ということは止め、都内某所から出発することにした。直前の7月での訪問は土曜日出発だったが、土曜日であっても上り電車は普通に混雑していて何とか電車で輪行できたという感じだったし、ましてや木曜日の朝。去年で懲りている。
 という理由から、まず自転車を前の週に回送しておく必要があった。回送日は、諸般の事情で(というより準備を怠けて)いつもの土曜日じゃなくて日曜日になってしまった。しかし天気予報の最高気温は、過去最高の35℃。天気も曇りというか、曇り寄りの晴れだった。かなり厳しい東京横断となってしまったが、例年熱中症気味になってしまっているお陰で、極力ペースダウンに努めるとか水を飲むとかの対策が功を奏し、熱中症の度合いは過去で一番軽かったように思う。

 出発の週。東京の気温は月曜から急に下がって、月曜など最高気温27℃。前日の暑さが中に残っているような気がする身体としては、また数日後に暑くなるぞなどとは一切思わず、ずっとこれじゃないと生きていけないとしか思わない。震災と暑さと戦い続ける夏になってしまった熊本には、募金でしかお力になれないが、耐え抜いて頂けることを心から願った。

 出発前日の天気予報で、突如18/19/20号のトリプル台風が沖縄方面にうろついているらしいという話があった。その辺は風速60mの暴風域とのこと。心からお見舞い申し上げたい。一方、中標津町の天気予報は晴れ・曇り、気温は最低20℃最高31℃。根釧台地の31℃は完全に危険区域だ。今日は29℃止まりなので、なんとか改善を願うしか無い。気象神社の桐箱入晴れお守りを、箱無しの直で持っていくことにした。
 今年は1月からいい感じで乗れている 条件は悪くない、と思う。ことにしよう。

 空港には9:40前到着、20分ほど待って手荷物手続きが無事完了。中標津便の羽田出発と中標津到着はほぼ時間通りと、全体的に順調な出発だった。そして機内では、機長アナウンスによる現地の天気は晴れ時々曇り、気温は24℃とのこと。昨日の天気予報と全然違う。
 という具合に、全体的に快調な出発となった。

■■■2026/9/22
■■■http://takachi.no-ip.com/
■■■高地 大輔
北海道Tour26#1 2026/8/6(木) 羽田空港→中標津→開陽

中標津→開陽 20km
https://ridewithgps.com/trips/403629945

 手荷物を受け取って外へ出て自転車組立開始。交換してまだ2年の、前の泥除けがぐにゃっとひしゃげていて、泣きながら手で治した以外の問題は無い。とりあえず大きな忘れ物は無さそうだ。
 滞りなくちゃんと荷物を積み、民宿地平線に17時過ぎ位に着く旨電話して、結局中標津空港発は15:25。民宿地平線に17時過ぎに着くとすると、1時間半しか無い。これからの身の振り方を考える大前提として、明日の天気予報は朝のうち曇り以外は夕方まで晴れ、気温も最高26℃とか27℃。有り難すぎる。7月なんて、満を持して海の日3連休を投入したのに、折角の3日間ずっと雨続きだったのだ。とにかく、2年振りの根釧台地ベスト202kmが、トラベルチャンスで数時間後にやってくる。民宿地平線には早めに着き、風呂に入って飯を食って最終的に早めに眠りに入る必要がある。

 ということは行動時間1時間半厳守。開陽台に寄って民宿地平線に向かうと、それだけでちょうどそれぐらいの時間になるだろう。
 しかし今日はこういう時間感覚にぴったりの、行ってみたい道がある。以前から気になっていた、空港北側の細道だ。
 空港取付道路から反時計回りで東から北側へ。道はひとまず空港を大回りして続いていった。この道が空港の東側を北上し、そのまま空港から離れて北へ向かってゆくことは知っているし、空港の北側フェンス沿いに道が存在することは空港ビルからの眺めでわかっているので、この道を通っていれば間もなくどこかで空港沿いに向かう道が分岐するのだと思っていた。
 その道を捜して狭い農道、というか消失しかけているような細道を2、3度、入っては空港フェンスで行き止まり、というのを繰り返した後、意外に普通の幅でその道はちゃんと道として分岐していたのであった。
 道の周囲に続く風景は、空港ビルから眺めて想像していた印象通り、広々とした拡がりが感じられるのが良い。まさにこの道だよこの道と思いながら、空港北側沿いに西へ進んでゆく。これなら交通量は少なくても熊の心配は少ないだろうとは思うものの、中標津ではこの辺ならどこで熊が出ても全然不思議じゃないことも確かではある。
 最後に既知の、木材工場の前に出た。空港の南から反時計回りで西側まで来たことになる。位置としては空港至近であるにも拘わらず、何だか一仕事終えたような気がするのは、中標津に来ても雨で走れなかったのが続いているからだ。とはいえ空港を出発してから未だ30分。未だこの時間なら、民宿地平線に直行せず、もう少しあがいてとりあえず西側を回り道してみよう。
 途中工事の徐行区間があったものの、自分で走っていると時間が経つのが早い。意外なほど呆気なく西開陽到着。俣落だと思っていたこの交差点は、ピンポイント的に西開陽というらしい。
 この段階でまだ16時25分。曇りだったらもう民宿地平線に直行してもいい時間だ。しかし今、結構晴れているではないか。全く問題が無いというか、無さ過ぎる。もちろん開陽台訪問に対してだ。それに熊対策で犬を放し飼いにしている農家のお陰で、ここから民宿地平線に直接向かうのにも、開陽台入口の前を通る町道北19を経由する必要がある。更に以前の4サイドと比べて、荷物総重量がけっこう減っている。
 これだけ条件が揃って開陽台に行っとかないと、罰が当たりそうだ。そうでなくても、去年秋の訪問では、根釧台地の神様から大目玉を喰らっている。

 という訳で開陽台へ行くことにした。途中急にたかってきたゴマフアブにハッカスプレーをお見舞いするのに脚を着く必要があったが、それも有り難い言い訳ネタになったかもしれない。
 16:45、開陽台着。空に雲は浮かんでいるものの、それは根釧台地へ続いてゆく空気の中、眺めとして適切なぐらいに思い思いに漂っていて、彼方まで涼しい風が吹く空気とともに実体として自分と続いている。自分は今根釧台地の中にいることが感覚として感じられ、根釧台地にまた来れたという気になれた。やっぱり開陽台に来て良かった。
 こうなったら滞在時間はケチりすぎてはいけない、例え長居はしなくても。最低限見ておくものは見ておかねば。そうなるとちょっと民宿地平線17時過ぎは無理だ。17時半頃にしとこう。と電話しておく。
 展望台に登っていつもの東西南北定点での根釧台地鑑賞とパノラマ撮影だけしておく。赤く弱くなり始めた陽差しに照らされ、根釧台地に拡がってゆく空間。涼しい風が吹いている。去年の秋、激晴れの開陽台を観ているとは言え、これが開陽台だよと1年振りに思い出させてくれる。CanonA-1登場直後のTVCMで浅井愼平さんが「雲が芸をしてくれれば最高だね」と仰っていたのを思い出す。そういうことを勝手に思えればいい。やっぱり開陽台に来て良かった。

 17:15、民宿地平線着。
 明日の天気予報は15時頃と変わらず、朝の内曇りで10時以降晴れ。気温はやや上がって、中標津で最高30℃なのがちょっと気になる。いや、気にしている場合じゃない。今日の天気も昨日までの最高気温は32℃だったが、蓋を開けてみればそんなに暑かったとはとても思えない。機内の機長案内など、お昼の段階で24℃と言ってたし。そういう推移を見ていると、明日も何とかなるかもしれないという気がする。
 細かいことはいい。7月の海の日3連休を生け贄にして(?)実現した晴天と言えなくもない。とにかく出発だ。

■■■2026/10/8
■■■http://takachi.no-ip.com/
■■■高地 大輔
北海道Tour26#2 2026/8/7(金)民宿地平線の根釧台地202km

開陽→開陽 206km
https://ridewithgps.com/trips/403629956

 何だか久しぶりみたいな気がする、2年振りの根釧台地202km。前から、一度逆回りにチャレンジしてみたかった。
 今のところは低い雲が空を覆って薄暗い。天気予報は終日晴れだから今曇りでも何とも思わないのだが、問題なのは昨日の夕方より最高気温が更に上がっていて、別海町も14〜15時に30℃。陽差しが特に厳しい根釧台地、しかも牧草地まっただ中の別海町で30℃。直射日光がとても厳しく、照り返しで路上の気温が上がってしまう根釧台地では気温24℃でもかなり暑く、10年ぐらい前によく意識朦朧のふらふらになっていたことを思い出す。という記憶を踏まえると、別海町30℃は不安だ。水は多めに飲むことにしよう。幸い途中の自販機ポイントも、近年増えてきている。辛かったら戻って来ればいい。そしてどんな判断も早めに。

 もう出発前にあまり無理に食べず、代わりに走りながら腹が減ったら食べることにしているので、出発準備は4時半過ぎに完了。荷物を積んで4:50、民宿地平線発。早い出発で冒頭から気分がいい。
 まずは町道北19へ。丘の頭から開陽台はすっかり雲の中だ。逆回りコースで開陽台に寄るのを、最初にするか帰ってきてからにするかが些細な問題だった。この曇り状況だと、どうせ脚を向けても霧しか見えない開陽台を、今のところは省略して全く問題無さそうだ。今日は西春別辺りで多少大回り気味にコースを組んであるし、開陽台は帰りに行けばいい。もし余裕があれば。

 俣落の道道150分岐から一旦正規の202kmコースを外れ、いつも使う町道へ。昨年秋にものすごい暴風の中、青空を映した水たまりが妙に絶景だった牧草地を眺め、今のところの穏やかな天気に感謝しておく。
 西竹から道道150、すなわち202kmコースに復帰し、北進から若竹、旭新養老牛へ。この間、天気は曇りから空気中に次第に湿気が増え、というより霧になっていた。天気予報から言えば、これから本格的に雨が降り始めるのは考えにくい。しかし本格的な雨は考えにくくても、深刻じゃない雨なら降り始めても全然不思議じゃないぐらいの薄暗さではある。でもむしろこの辺り、晴れだとつい脚を停めてしまう山裾の牧草地が今日は霧の中。近くの防風林から向こうは何も見えない。そのため、202kmコースの序盤をとっとと通過できるのは好都合だ。今のうちに脚を進めておかねば。
 途中旭新養老石で、石川さんが車で追いかけてきてくれた。しかし何となく気が急いていて、走りながらのご挨拶しかできず、申し訳ありません。

 6:05、養老牛ながかわ商店着。
 気分としてはまだまだ出発したばかりだが、202kmコースの数少ない飲料ポイントであるこの場所。折角なので缶コーヒーを仕入れて少し休憩することにした。
 出発からここまで1時間ちょっと。近年、毎回ここまで何かと脚を停め停め、1時間半以上ぐらい掛かっている印象がある。今日はあまりのんびりしすぎてないだけで、特に急いでない。おれもやればできるのだ。まあほぼ平地に近いが。
 缶コーヒーを呑みつつ一息付き、いつもの休憩場所で思うのはかつての訪問だ。今日は泉川で最近見つけた自販機を通ることにしているし、その後も西春別から中西別に差し掛かるあたりにも自販機がある。いざとなったら西円の取扱所だってある。202kmコースも随分ホスピタリティが増えてきたものだ。もちろんまだ水はボトルにたっぷり残っている。というか空気がひんやりしているから出発以来まだ水は飲んですらいない。当然、今のところは小さい缶コーヒーを飲んだだけで先に進むとする。ここではまだそれで大丈夫なはずだった。しかし、この後、水で痛い目に合う原因の一つになる。

 養老牛から道道889に替わった道を引き続き順調に、次第に山裾側の霧が濃くなってくのを眺めつつ、標茶・中標津町界、西別岳登山口へ。
 6:40虹別着。国道243をクランク経由して次は萩野の町道へ。向こう側からだと背の高い防風林と牧草地の間を、ピークの丘へ一登り、そこから国道243へ勢いよく下るという理解をしているこの区間。こちらからだと登りは驚く程呆気無い。そして道道13まで、けっこうしばらく下りが続く。登りが長く感じられること、そして根釧台地北側山裾から東側標茶の谷間際へと移り変わってゆくコースを風景で納得できた。
 この辺りから、腕に付いた水滴が次第に大きくなり始めた。どうせこの後晴れるんだろ、大人しく早く晴れろよと、まだこの時は思っていた。
 道道13に移ってから、意外な程すぐに泉川牧草地グリッド地帯(と勝手にそう呼んでいる)へ。この道道13区間も、いつもは下りでもう少し長い印象がある。登り効果で実際の時間は長くても下りより時間は短く感じられるからなのか、それとも快調の証しか。理由はどうあれ、緩くはあっても平地であるように見える開けた牧草地の直登を、短く感じられているのはありがたい。
 いつもはもう少し奥でこのエリアから道道13に移る。今回はこの辺で距離を稼ぐ方向で、手前で曲がってグリッド地帯の自販機前を通り、未済っぽい道を経由してGPSトラックを描いたかもしれないなあ、と思い出した。中西別から西春別南側を概略時計回りでこの辺りまで、私は石川さんの202kmコースを基本として毎回カスタマイズしている。今回も自分で描いたGPSトラックであることは間違い無いから、きっと辻褄は合っているんだろう。そしてカスタマイズしたお陰で、もうすぐ近年発見した自販機が登場するはずだ。
 等と思っている間に腕に付いた霧粒が段々大きくなり、水滴になり始めていたので観念し、牧草地まっただ中で雨具を着込むことにした。

 コースは交差点で直行する道へ曲がり、泉川牧草地グリッド地帯を中程で横断してゆく。ここでこの辺唯一の自販機を仕込んでおいたのだ。
 ところがそのはずだったのに、判りきっていたつもりがGPSトラックを1本間違って描いたようで、グリッド地帯を横断し終えても結局自販機は現れなかった。「あーれー」とか呟きつつ、我ながら思い込みでコースを描いてはいけないと思った。確実に立ち寄る気があれば、空撮写真とストリートビューを確認しながらコースが描けるんだから。
 まあ、さっきながかわ商店で缶コーヒーを飲んでから1時間経っていない。もう1箇所、あと1時間かからないぐらいで自販機があるはずだ。コース全体のバランスとしても、むしろ次が本命の自販機なのだ。

 いつの間にか霧っぽかった辺りの遠景が澄み始めた。と思ったら一気に霧粒が無くなった。まだまだ雲は低く、空全体が重く薄暗くはあるものの、こうなるともう単なる曇りである。
 牧草地グリッド地帯が終わる南端から、道は谷間の茂みへ降りてゆく。泉川の低地区間だ。泉川泉川と私は言っているが、泉川という地名が結構広いエリアに付いているというのがその実態である。同じ泉川でもこの谷間、さっきの牧草地グリッド地帯から雰囲気が変わり、根釧台地202kmの中で一番茂みっぽい。熊が出そうな雰囲気がぷんぷん漂っている。行動範囲が広かったOSO18も、この辺まで来ていたかもしれない。などと妄想が止めどなく拡がってゆき、毎回早く通り過ぎてしまいたい区間なのだ。まあでも、近年は牧草地まっただ中でOSO18みたいなヒグマに遭遇しても、全然不思議なことじゃないとも思う。
 びびっていると、意外に今回の谷底区間はすぐ終わってくれた。この辺でもうちょっとうろうろする気がしたんだが、うろちょろしたのはもう少し先だったかもしれない。
 谷を登ってもうひとつ谷を横切り再び台地に乗り上げ、コースは120°ぐらいの角度で折り返すように南東へ向かう。この辺で、泉川から西春別に地名が変わると思っている。西春別も、基本的には町の名前がけっこう広い範囲に地名として付いている。この辺り、基本的に牧草地なので、そういうことになってしまうのかもしれない。そして実際の地名がどうであっても、私にとってここが場面転換の印象深い場所であることは間違い無い。

 西春別の西側から南側へ、202kmコースは概略反時計回りで回り込んでゆく。そのはずなのだが、途中からトラックが北へ向かい始めた。そうか、自分で描いたトラックがうろうろしているのはこの辺だったかもしれない。
 記憶に無い直線距離の後、記憶に無い角度で向きを変えながら知らない道へコースは進み続ける。次々と現れる景色にも、いつもに比べて逆回りだからという以上に全く記憶が無い。自分で適当に描いたトラックは、書いた時には想像できる範囲である程度適切に描いているはずなので、トラックから外れさえしなければ辻褄は合うはずだ。西春別に入ってから距離がやや長く感じられるのも、この辺りで距離を稼いだつもりでトラックを描いたからだろう。
 とは言えまだ8時台、焦らず落ちついて進めば、そのうち西春別から中西別に入るだろう。中西別ではあまり変な道は選んでいなかったはず。
 次第に空は明るくなり始めていて、雲と路上が明るくなり始めていたた。その雲が切れて青空が出始め、一気に雲が動き始めた。曇りから晴れに変わるときの、よくあるパターンだ。風はあるものの、こういうのは悪くない。
 と思ったのも束の間、日なたが現れた途端、これまで全く感じなかった暑さが一気に襲いかかってきた。この時間にして、かなり暑いのである。肌がじりじりとした焼けるように、陽差しが感じられる。北海道特有の暑さだ。これでまだ9時前。10時からお昼に向かうとどういうことになるのか。今のところはあまり想像しないでおこう。だって走れなくなるときは走れなくなるのだ。もうここまで来ているんだし、撤退する必要があるほど暑い場合はどうせお昼前に撤退することになるだろう。それならどこにいても何とかなる。だから、今のところはまだ流れに身を任せておくことにしよう。
 と思っていたら、突然パン!と音がしてタイヤがずるずるし始めた。すぐに停まれて良かった。後ろのタイヤがパンクしたようだ。9:05、西春別から中西別に差し掛かる辺りでのことだ。
 適切に自転車を停められそうな日陰があって良かった。一体何が起こったのかまだ頭があまり働いていない。まずはフロントバッグを外して自転車をひっくり返し、後輪を外してみる。見たところタイヤやチューブがフレームとかに絡まったりフレームが曲がったりはしていない。不幸中の幸いだったとひと安心、次はタイヤを外してチューブ確認だ。チューブは見事に裂けている。しかしタイヤが裂けたり、またどこか裏側に釘とかガラスが頭を出している場所も無さそうだ。リムも通常通り、何か破損していたりおかしそうな箇所は無い。
 ということは、チューブそのものが原因で破裂したのだ。一体どういうことだ、というより心当たりがある。自宅から都内某所に自転車を回送する前に出発前にタイヤとチューブを交換したとき、新品同士のタイヤとチューブを押し込んでしまったかもしれない、と思っていた。手を抜かずに気を付けたつもりではあっても、つもりだけで満足してしまったかもしれない。押し込んだ感覚が無いと言えば嘘になる、ような気がしてはいた。高齢者の人生には、いろいろなところに油断がある。
 だとすると、今このまま普通にチューブを交換しても問題は無いのかもしれない。最初にチューブを交換したときにあまり問題を感じていなかった私が、今再びチューブを交換するということ自体が、一番大きな問題かもしれない。このためけっこう念入りに、交換するチューブに少し空気を入れ、タイヤを填めてからまた少し空気を入れ、全体的に指もみもみで均してまた少し空気を入れ、という具合に作業しておく。
 これで15分。意外に時間は掛からなかったものの、フロントバッグ積みやついでに日焼け止めを塗ったり虫除けハッカスプレーを拭き直していると、やはり20分かかった。9:25、おそるおそる再び出発。少し走って、問題無さそうだ。とりあえず用心しながら。

 いつの間にか道は正規の202kmコースに戻りつつ、西春別の平らな台地上、牧草地と防風林まっただ中を南東へ進んでゆく。
 牧草地も防風林も真っ直ぐに直行して区画を形成する道も、基本的に人工物そのものなのだが、営みとして牧場以外のものは無く牧場にも人影が見える訳じゃない。今日後半に向かう別海町東側では、大きな谷間と地形の起伏が果てしなく続き、その中に一直線の道がどこまでも続いてゆく状況が頻出する。まさにこれが根釧台地、という風景なのだが、こちらの風景もやはり根釧台地そのものだ。共通しているのは、とにかくひたすら牧草地と森が延々と続くことである。
 国道272を越えると、もうすぐきぼうファームだ。ここに根釧台地で大変貴重な自販機がある。冷たい水が飲めるのを、近年の訪問では毎回頼りにしていた。しかしやがて現れた見覚えのある牧場に、今回は何と自販機が無いのであった。
 え、自販機も無いのに似た牧場があるね。他人の空似でしょ、ね、ねと思ってはみた。しかし、入口近くの建物や牧舎には明らかに見覚えがあり、「きぼうファーム」の看板で名前も確認できてしまった。まさしくここが、以前は自販機があったきぼうファームであり、今回何かの事情で自販機がなくなってしまってるのである。こうなるとお手上げのじじいツーリストにできるのは、勝手な想像しかない。或いは盗難対策かもしれないとも思う。
 とにかく、うーん、次はまだまだ先の西円取扱所まで我慢するしか無くなってしまった。いや、まだ水は十分ある。我慢が必要、という程の話じゃない。
 しかし思えばこの辺から、水に関して何となく焦り始めたような気がする。何たって暑い。
 矢臼別演習場北側を西春別から中西別へ進んでゆく区間は、この202kmコースを個性的で魅力的にしている区間の一つだと思う。
 南側には森、北側には牧草地が拡がる区間が、演習場の入口を挟んで2カ所。いつもはこの辺から泉川の谷間で地形が安定し始める。今日は広々と拡がる牧草地の背景に、西別岳・武佐岳を始め知床山脈へ続く山々がずらっと並んでいるのがよく見える。本来見えるはずのこの景色、根釧台地の天気が安定しなくていつも霞んでなかなか見えない。前回見たのは何時だったか、この風景は何回目なのか忘れてしまっている位だ。
 空にはもうすっかり雲が無い。広々伸びやかな景色を眺めておこうと、木陰がある場所で少し脚を停めて補給食を腹に入れておく。ただ、まだまだ残っているとは言えあまり思い切り水は飲まず、口を湿らせるぐらいにしておく。こんなに暑いというのに。
 演習場北側区間の終盤、コースはそれまでの安定した台地上から、深めの谷と丘を幾つも続けて豪快に横断し始める。根釧台地を印象付ける、別海東部特有の地形だ。地名もこの辺で中西別から上風連に変わる。上風連という地名は、商店と自販機がある集落として今日は後半に登場する。つまり202kmコースのオアシスだ。202kmコースとしては、上風連という名前が付いちゃあいるもののオアシス集落ではない場所から一度南西に折り返し、厚岸町まで脚を踏み入れて戻って来る区間が待ち構えている。とは言え、地名が上風連に変わったことは、コース中盤まで来たという気になれてウレシイ。出発前は途中で帰ってくる事態も想定していたというのに、今日も上風連まで来れたのだ、とも思う。
 一方、雲が全く無い凄い青さの空から陽差しに照りつけられ、熱風に煽られながら谷間を横断して登る丘は、例え標高差30mぐらいでも暑くてやってられない。写真を撮る口実で脚を停めてはみるものの、再び走り始めないといけない。などと日なたの路上で暑い陽差しと照り返しの中決意する必要がある。気が遠くなりそうになるところで、やっとたまに雲が陽差しを隠してくれていた。

 10:55、開進の道道813合流点到着。ここから道道813で一旦西へ戻り、別寒辺牛までの折り返し区間となる。まあ2時間もかからない、とは思う。
 11時。陽差しはほぼ真上から照りつけ、多少森があっても木陰などは路上まで伸びてこない。そのためさっきの雲が去ってからは、路上に日なたしかない状態が続いている。
 道道813は台地から谷へ降り、202kmコース中核の茶内原野の1直線区間へ突入した。一直線の行く手に見える登り下り、更にその向こうにも登り下りが見える。根釧台地でも5本の指に入る印象的な道であり、これからあの登り下りが延々と続くのかと視覚的にうんざりする光景でもある。何度も通って見え方ほどしんどい道じゃないことも分かっているものの、今日はとにかく暑い。
 排水処理場の谷を越えると、そろそろ西円取扱所だ。ボトルに水はまだ残っちゃあいても、ここまで水の消費に用心し、我慢できる水は我慢する状態が続いていた。やっと冷たい飲みものを身体に入れ、身体を冷やすことができる場所に辿り着くことができたのだ。
 11:20、西円取扱所着。ところがしかし。
 西円取扱所は、前回から2年の間に建物からして完全に消え失せて跡形も無くなってしまっていた。いや、電話ボックスみたいな無人取扱所は建っている。あそこで牛乳の量を手続きするんだろう、詳細はよく知らない。しかし、私が今必要な自販機は無い。愕然としたものの、自販機が無いのが事実なのである。仕方無い、立ち止まることすら無く気休めに少しだけぬるい水を口に含み、そのまま通過しておく。
 ツーリングは我慢大会に変わっていた。乗りこえても乗りこえても次々ショッカーのように現れる登り下り。淡々と脚を進め、緩めの丘を乗りこえてゆく。ゆっくり、ゆっくりと。正午に向け、太陽はほぼ空のど真ん中にやってきた。道端の森の影はかなり小さく、道に掛かってくれないので、路面が焼けて路上の空気がとにかく焼けて熱い。昔根釧台地の気温24℃の日に、日なたでとても熱かったのを思い出した。ましてや今日は、今何度だろう。少なくとも28℃は下らなさそうな気がする。
 水はまだ残っている。しかし、明らかにペースが少しずつ落ちている。明るく鮮やか過ぎるほどの景色を、あまり眺めたいとも思わなくなっていた。身体が暑さにやられ始めているかもしれない。

 それでもいつか茶内原野の一直線が終わり、道道813は浜中町から厚岸町へ。谷間の向かい風がやや涼しくなっているのが助かる。恐らく太平洋の涼しい海風だ。海岸部では一気に霧が出て、もっと涼しいんだろうな。
 折り返し地点の別寒辺牛まで一続きのに台地に乗り上げる途中、もう大分昔から廃校になっている高知小学校で脚を停めてみた。校舎出入口脇の水道は、水が出ないことは知っている。しかしその元水飲み場の水栓に、蛇口が付いているのと付いていないのがあるのが見えたのだ。蛇口が付いている水道っていうのはどういうことだ、一体。水が出るから蛇口がついているんじゃあないのか。今のおれとしてはちょっと試してみる価値はあるね。
 と思ってそこまで行って、自転車から降りたところで、
「そこは水出ないよー」
と声が聞こえた。お爺さんが上半身裸で、学校脇の公営住宅っぽい家屋の軒下日陰で休んでいた。
 助かった、というわけで私はお爺さんに水をいただき、ボトルを満タンにする事ができたのだった。まあ、いざとなったらどこかの牧場で水を貰おうと思っちゃあいたのだ。

 12:10、別寒辺牛着。やっと辿り着けた。
 いつも早いときにはここに10時半頃着いている。単純に考えて今日はそれより到着時刻が遅いように見える。今日は逆回りであり、ここまで距離は113km。いつもは95kmぐらいだから、20km距離が長い。いや、20km1時間と考えると、それでも40分ぐらい遅れているとも言える。暑かったからな。干上がりそうなやっと着いた感満載の現状と、この先まだ上風連まで自販機が無いことを考えると、あまり好調というわけでもないかもしれない。ただ、これだけの暑さで何か目立って体調や気分に支障が出てきている訳でもない。まだ、このまま焦らずだらけずに脚を進めよう。
 とか思いつつ補給食だけ腹に詰め込み、折り返し区間の復路に出発することにした。明らかに水を頂いてから、体調が良くなっている気がする。でも向かい風だった風向きが、追い風に変わっただけかもしれない。

 厚岸町から浜中町、今度は逆方向から茶内原野1直線区間へ。茶内原野、西円朱別、西円取扱所を過ぎ、浄水場で浜中町から別海町へ。開進で一直線区間が終了。やっとここから帰りの区間だ。そして明らかに、今日は20km多いという以上に時間が掛かっている。
 少し先で、道道813起点が現れた。分岐では、道道813と同じく東円朱別方面からやってきて上風連に向かってゆく道道123と、ここで終点となる道道813の代わりに少し細くなって厚床方面へ向かってゆく農道が交差している。周囲は平和な牧草地なのだが、何となくマカロニウエスタンでならず者に襲撃されそうな、やや取り付く島の無い雰囲気が漂っている。おれはこの道全部通ったことあるんだもんね、などと一人で思っていると、通過してゆく牛乳用タンクローリーのステンレス缶がぎらっと金属らしく光り、妄想を現実に戻してくれる。
 この分岐、というよりこの雰囲気をこちら方向から眺めるのは久しぶりだと思う。そして道道123に合流したらすぐ上風連の集落だと思っていると、集落が見えてくるまで意外に時間が掛かるのであった。さすがに久しぶりの訪問だ。
 いくら何でもここなら何か自販機があるだろう、いやまさかまたもや無かったりしてと思いながら交差点を曲がって集落へ。13:15、上風連着。
 集会場を通り過ぎ、すぐ先の森重商店に、自販機はちゃんと建っていてくれた。しかし道の反対に立つA-COOPには人気が無く、自販機も軒下に無い。もしかしたら、ここも営業をやめちゃったのかもしれない。ちゃんと営業を続けてくれている森重商店に感謝しつつ、自販機で念願の水を飲み、高知からここまでで3/2ぐらいには減っているボトルに水を入れておく。
 この間森重商店のガラス戸が開き、格好良い若者が登場。何ともう10年近く前に202kmコースの往路で挨拶した、かつての野球少年なのであった。そのことを若者も憶えてくれていたのは、とても嬉しいことだった。またいつの日か。

 13:20、上風連発。道道930で新酪へ。
 小中学校を過ぎ、集落のある丘から下り、道道930はしばらく東に向かって台地上に続く。道が北へ向きを変えると、再び丘陵横断がいくつか、新酪まで続いてゆく。さすがにまだ別海東部の内陸部、一つ一つ谷間が深く、登り下りの波が大きい。ただ、明らかに陽差しが傾き始め、風が涼しくなり始めている。14時近くに差し掛かり1日の一番暑い時間帯が終わりつつあるのだ。暑かった真昼にしんどかった身体や頭が、明らかに軽くなっていることを感じられるのは、夏ツーリングならではの嬉しさだったと、久しぶりに思い出せたように思う。
 そして風の涼しさに、根釧台地も内陸から次第にオホーツク海に近づきつつあることが感じられる。ということは逆に言えば、ひたすら暑かった茶内原野からこの辺までが、根釧台地内陸の範囲なのかもしれない。
 新酪の展望台を過ぎてしまえば、国道243まであまり大きな谷は無いとわかっている。国道243で別海温泉(昔そういう名前の温泉があった)北側のクランク区間から農道へ。防風林と開けた雰囲気がどことなく低地っぽい牧草地中を少し東に向かってから、トラックが北を向き始めた。
 いつもだと、この辺で標津から延々と直線基調だったコースがやや小刻みに向きを変え始める。道幅は狭めに、路面もやや不安定気味になり、そろそろ次の別海町東部フェイズだと思っているせいか、ややじれったいような距離感が感じられる。でも今日は、下り始めた気温と風景の中で長くなり始めた影のお陰で、広々とした牧草地の伸びやかさが、牧草地とイレギュラーに入れ替わる森の深さと共に、とても好ましく感じられる。この辺、こんなに良い風景が続いていたんだと、つい脚が停まるほどに。
 この頃から陽差しが目立って赤っぽくなり、風の涼しさも確かな傾向として感じられる。202kmコースもいよいよ後半まっただ中、根釧台地も一番東側の区間だ。

 もうあまり大きな登り下りは無く、頻繁に曲がっていた道はいつの間にか一直線に変わり、ひたすら北上を続け、別海市街の東側から床丹内陸へと推移してゆくとともに、交差点でオホーツク海岸側への看板が床丹から尾岱沼へ変わっていった。辺りもそれまでややイレギュラーに牧草地と森が入れ替わっていたのが、整然とした牧草地、直行する道沿いの防風林、そして谷間を越える箇所では茂みっぽい森が、ここまでの風景と違って整然と繰り返され始めた。道が一直線のためか、牧草地も直行する道も尚更規則的に感じられる。風景が別海から中標津に近づきつつある。
 こうなると、もうあと登りっぽい箇所は、武佐から開陽しかない。今日最大の登り区間であるということがちょっと億劫ではあるものの、所詮100mぐらいの登り。今のところは段々涼しくなって行くのを感じながら、のんびりと、淡々と距離をこなせばいい。

 202kmコース中一番長い区間だというのに、こういう移り変わりの間、いつもの往路での訪問より時間は短く感じられていた。ただそれは1日が夕方に入り走り始めてから時間が経ち、ここまでの距離も150km。私の感じている時間が単に早くなっているせいだったかもしれない。実際の時刻はもっと早く、14時から14時半、15時と面白いように過ぎていった。
 国道272、標津川も意外にすぐ現れたように感じられたが、気が付くと時刻も16時過ぎ。脚取りとともに淡々と時刻が過ぎている。残りの距離を計算し、民宿地平線に到着時刻は17時半を過ぎそうだと連絡しておく。いつも私の到着時刻を読み切っている石川さんに、ご心配をお掛けしちゃいけない。
 いつも低い雲や雨に打たれて眺めている、俵橋のクランク区間。そんな天気でも、牧草地と茂みと森が続くまっただ中に拡がる畑の優しい表情が印象的なこの辺り。今日は風がやや強いものの、もうすっかり斜めになった陽差しが、周囲から少しだけ丘になっている畑の広々伸びやかな景色、眩しく鋭く風景のコントラストを上げている。16時半前、いや、何とか16時台に着いておきたかったが、もう17時前。少し先の上武佐に17時に着きたかったので、何をどう言い訳しても希望到着時刻よりちょっと遅れ気味だ。

 丘から下って17:05、上武佐着。いつもの商店で缶コーヒーを飲んで、いや、飲む前に冷たい缶で首の後を冷やしてから一気に飲み干す。冷たい喉越しの飲み応えに、おれは生きていると思える。このまま開陽まで行ける。でもこの時間だと、開陽台訪問は諦めよう。
 一見森と牧草地が続く平地に見え、実は山裾へ100mの登りとなる上武佐から開陽。いつもの202kmコースでは早朝一気に下ってしまう。しばらく脚を軽く回すだけで下ってくることを思い出すと、今日はその逆、どう考えても順調ペースは望めない。というより、出発前からわかりきっていた今日最大の登り区間だ。腰を据えてのんびりと焦らず、淡々と脚を回してゆくことにする。
 夕方とは言え未だ鋭い夕陽が横に近い高さから直射している。道が森の木陰から畑や牧草地に出ると、涼しい影があまり無いのがやや悩ましくはある。でも腹を決めてしまえば、顔の右から直射する西日は目を細めたり木陰に入ったりして極力やり過ごしつつ、赤く染まった景色と青く沈む影を眺めて楽しんでいればいい。

 最近森が伐採されて畑になった町道北19で、思っていたより多くの場所で地平線が見えるようになっているのは、最後の嬉しい足留めになった。
 17:50、民宿地平線着。開陽台にも寄っていないのに、いつもの到着時刻を30分以上過ぎている。そんなに時間が掛かるようになったか、おれもいよいよ歳だな。と思ったものの、今日の気温が32℃まで上がったことを教えていただいた。暑かったと思ったら32℃、そりゃあ暑い筈だよ。私的規準を完全に超えている。むしろよく走り切れたなというオドロキに変わるとともに、向かい風だと思っていた海の風にむしろ助けられていたことに、今更ながら思い当たった。
 そういう過去からの経緯じゃなく、純粋にこのコースの素晴らしさと緻密な構成を、逆向きに辿ることによって新鮮に蘇った印象と共に目一杯、味わうことができた満足感。いいコースのいい一日だった。人生こういう日もあるのだ。

 明日の天気は、今日お昼頃に見たちらっと眺めた中標津の天気予報では曇りのち晴れ、最高26℃だった。今日それぐらいだと良かったのになあとか思いつつも、あれだけ暑くはあったもののあまり頑張っていないお陰で、幸い今のところあまり疲れすぎていない。明日は何とか出発できそうな気はする。津別峠を早めに越え、上手く行けば14時頃に、そうでなくても淡々と進めば15時頃には津別に着けるだろう。別に16時着、いや、17時着だって何の問題も無い。明日の宿は津別だから、なんなら峠で涼んで時間調整してもいい。とにかく宿で幸せに夕食を頂き、速攻で寝れればいい。
 と思ったら、石川さんからどこかで降るって言ってたよとのこと。えっと思って天気予報を確認すると、何と津別で13時以降雨ではないか。しかも降水確率70〜80%。話が違う。そしてむしろ問題なのは明後日だ。予報は曇りだが、最高気温が22℃、遠軽で20℃。気温がかなり下がっている。
 2007年にはこの辺で、わずか2時間の間に37℃から17℃に気温が下がったのを体験しているので、この気温が不思議だとは思わない。しかし雨と前後して何かが起こるとみるべきだ。少なくとも天気が不安定なのには間違いなさそうである。
 結論としては安全策、明日は全輪行にすることにしよう。昨夜冗談半分だった、弟子屈(じゃなくて摩周でした)へ送って頂くことを石川さんにお願いした。列車は10時の快速しれとこに乗れればいいので、お昼前にご予定がある石川さんのご都合があり、7時前出発、8時過ぎ摩周到着ということになった。

■■■2026/10/24
■■■http://takachi.no-ip.com/
■■■高地 大輔

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