仏教亭コミュの『五時八教』

『五時八教』

中国ではインドから経典が紀元ゼロ年あたりから一気に入って来たため、多数の経典の成立順序優劣が分からなかった。それを整理する作業が紀元5～6世紀に盛んに行われることになった。
それを「教相判釈」（略して教判）という。
なかでも中国の天台智顗（538年 - 597年）が立てた法華経を最勝とする「五時八教」を最澄が日本に持ち帰り日本で定着する。

法華経を最勝にした根拠は無量義経（法華三部の一つ）にある「40余年未顕真実」の言葉。
（釈尊は35歳に成道以来45年間説法している。無量義経は偽経の説有）
天台智顗は法華経に最後の真実が説かれているとして他経典を整理している。
現在、五時八教説は認められるものではないが天台宗、日蓮宗はこの説を譲らない。
以下は天台智顗の教相判釈である「五時八教」である。

「五時」

１、華厳時　『華厳経』ガヤー城近郊（21日間）「乳酥」別・円を説く頓教、擬宜の教え。
２、阿含時　『阿含経』バラナシー国の鹿野苑（12年間）「酪酥」蔵のみを説く漸教。
３、方等時　『大方等大集経』『阿弥陀経』等。マガダ国の竹林精舎等（8年間）「生酥」蔵通別円の4教を対比して説く漸教。
４、般若時　『大般若経』等。霊鷲山（14年間。異説有）「熟酥」円教に通別を帯ばしめて説く漸教。
５、法華涅槃時　『法華経』霊鷲山（8年間）『涅槃経』（一日）「醍醐」円教を説く頓教。

「八経」

＜化義の四教＞
１．「頓教」　仏が悟りを開いた直後、衆生の機根に関係なくすぐに説いた教え。　
２．「漸教」　浅い教えから深い教えと次第し順序を追って衆生の機根に応じて説いた教え　
３．「秘密教」機根の違う衆生同士に説法の違いを知られず（秘密）に法を説いた教え。　
４．「不定教」機根の違う衆生同士でも説法の違いを知り、不定の得益がある法を説いた教え。
＜化法の四教＞
１．「蔵教」　経・論・律の三蔵教の略。「偏真の空理」。
２．「通教」　蔵教と別教に通じる教え。
３．「別教」　前の蔵・通二教や後の円教と違い、菩薩のみに　別に説かれた教え。
４．「円教」　円満融和の教え。空仮中の三諦の融和、十界互具を説く、最も優れた完全なる教え。

コメント(12)

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[1] mixiユーザー 03月28日 21:36

所属の在家教団が日蓮宗の系譜なので、五時八教は中心ドグマとして事あるごとに強調されています。
しかし、明らかに事実（文献考古学によってだいぶ前から明らかになっている）に反する教義とどう対峙するかは、自分自身にとっても教団という宗教組織にとっても、未来を決する重大事という気がします。
法華経の価値が五時八教ドグマにのみ依存するとしたら、それは非常に危険です。天台智顗が構築しその系譜に属する日蓮等が構築した「法華経最尊最上」というヒエラルキーが、事実を突きつけら瓦解すれば、何を以ってその価値を生きながらえさせるのでしょう。
今後しばらくこの問題を考えていきたいと思います。

創造神が「混沌」の中から分けたはずの「天」は、ガガーリンが乗ったソ連の宇宙船によって存在しない（「地球は青かった」という有名な言葉の後につづけて「神はいなかった」といったと言われる）ことになっても、科学がどれほど創世記の記述を否定しても、聖書の価値が毀損されないところにヒントがあるかもしれません。

[2] mixiユーザー 03月30日 21:30

法華経は虚心坦懐、信仰心を抜きにして読めば、やたら光ったりおかしな姿に変身するお釈迦様と、彼が様々な方便（教化手段）を用いて、志（信仰心）があれば誰でも等しく、果てしない未来に仏陀となることを保証すること、信仰心の根本がお釈迦様が時空を超えて永遠不滅であって無数の菩薩を教化し続けていること、過去様々な菩薩道（＝六波羅蜜）を行じていたことしか書かれていません。
あえて簡略化してしまうと「釈迦牟尼仏と菩薩讃歌」でありましょう。
しかも、かなりの期間を経て編纂された寄せ集めで統一感に欠けるという弱点もあります。

[3] mixiユーザー 04月01日 23:47

五時八教のドグマ故に法華経を「お釈迦様の最後の教えであり真実の教えである」として神聖視し、久遠の仏陀からの啓示という構図は、一神教の聖典（＝啓典）と同じです。
それでいいと思って、とにかく信じてすがることを良しとする人は別に構わないでしょう。しかしそう思わない人に押し付けたり排除したりするのは止めてもらいたい。
法華経には、「この経を信じ受け入れること」こそ最重要事項であるように書かれていて、ほとんど「実践＝八正道から転じて六波羅蜜」の実現可能は方法や指針は書かれていません。
これでは「聖典」の根拠となった五時八教ドグマが事実によって崩壊したあとの法華経の価値を改めて考えねばなりません。これが、事実を事実として認め、そうでないものを排除した現代認識の上に構築された、現代的「法華経っていい経典だなあ」を探っていかねばならないのが、法華経教団・信者の責務であると思います。

[4] mixiユーザー 04月02日 20:52

しかし、現代的理性にかたよった法華経の理解は、間違っているかもしれません。
法華経は、もっと「神話」や曼荼羅に近い読み方にこそ価値があるようにおもいます。思想や方法論ではなく神話だと思えば、理性的には荒唐無稽にみえても、「大乗」を名乗る仏教徒の心の奥底を反映する世界認識、それが神話として展開されている、こうみれば、五時八教ドグマによらない普遍的価値を見いだせるのではないかと思います。

[5] mixiユーザー 04月03日 13:46

昨年NHKでも取り上げられたコミック「チ。～地球の運動について～」という中世東欧で「地動説＝異端＝弾圧・虐殺」のなかで、地動説に気づき観測を記録し続けた無名の人々を描いた漫画の最終第８巻に、面白いセリフを見つけました。
弾圧者の父を持つ司教が、異端審問官に言い放ちます。
「もし万一大地が動いているとしても、その前提で聖書を読み直し、再解釈に務めるのが我々の役目だがな・・新しい意見や発見を拒絶するのではなく、検討してより聖書への理解を深める。そういう姿勢が今信仰にもっとも必要なんじゃないか」
まさに、五時八教ドグマの否定を前提に、法華経の価値を改めて考えようというのと同じだと思ったのでした。
歴史的事実にもっとも近いと推測されるお釈迦様最後の言葉にも、
「諸々の事象は移ろいゆく、怠ることなく努力して修行を完成せよ」
とあることと符合します。

[6] mixiユーザー 04月10日 22:01

五時八教をとりあえず事実であるとし、法華経（お題目）の通力みたいなものを受け入れている、教団および会員との付き合い方は、究極問題です。
ドグマが事実と異なると否定しながら、それを隠して平然とたとえば日々読経するという行為に、何の意味を見いだせるでしょうか。
一つは「善き友」であり続けることではないか。
同じ経典を同じ儀式形式で保つ、一定の倫理観・実践で結びつく人々の集い（お釈迦様がサンガを重要としたのと同じ）大事にする、それがすなわち「仏道」の全てであるとすることなのかもしれません。

[7] mixiユーザー 04月11日 01:21

サンガ＝教団は世界、社会の縮図。いろんな人がいるわけです。現況、会員同士の諍いや対立もある。皆、平等にお釈迦様の弟子であるのに。
法華経薬草喩品に曰く、自然は大きな樹には大きな樹、小さな樹には小さな樹、中くらいの樹には中くらいの樹にふさわしいだけの雨を降らせる。佛も同様にあらゆる衆生に平等に教えを授ける。衆生の利鈍、誰が何に依って何を思い何をどのように得るか、機根のすべては如来のみ知り給う。その上で各々に多くも少なくもなく必要な時に必要なだけを与える。
その為には仏様はどんなことでもして下さる。
如来の智慧のすべてを一人ひとりのために惜しみなく遣って＝精進して私たちに与えて下さるのだから誠に有り難く、涙が出ます。それに対して自分は何をするか何ができるか……? それを日々悩み考えることが大事でしょう。
究極、「平等」こそがお釈迦様の慈悲なのだと私的には解釈しています。
気が合わない人とは合わせなくても良いと思っています。挨拶して喧嘩にならなければOK。合う人とだけ、互いに向上していければ最高。
(昼寝して寝つけないので書き込み)

[8] mixiユーザー 04月16日 20:19

法華経最尊最上の裏付けとしている、お釈迦様の神格化は、かなり気持ち悪いです。小王国の王子として生まれ出家修行して、理法を悟り、その方法を余すことなく伝えてともに生涯正しい修行生活を貫き通し、寿命を全うして亡くなったところにある価値をかえって毀損すると感じるからです。

[9] mixiユーザー 04月25日 12:00

五時八教の一番怖いところは、明確な価値づけによって、法華経以外の経典を貶めてしまっていることです（日蓮に顕著に現れる）。
初期の「大乗（と名乗った教団）」が上座部に対して取った態度と同じです。その先鋭的な対立を包摂的に解消する内容となっている法華経（２～９；方便品～受学無学人記品）を、ふたたび他宗蔑視の道具としてしまっています。
上座部の伝統的な営みの中から「大乗」が紡ぎ出されたように、五時八教の硬直したドグマの中から、事実の認識の上に立つ新たな法華経仏教が成長できるのではないかと思うのです。

[10] mixiユーザー 04月25日 18:31

犬と猫、鳥、皆子供の頃から一緒に暮していれば、決して猫が鳥のヒナを襲ったり犬が猫を噛んだりしないで仲良く暮らしています。
なぜ人間はその叡智の最高峰たる宗教で争うのでしょうか。法華経が釈尊最高の教えである。それは私も法華経の在家として信じています。だからといってそれは、夕方野良仕事の帰り道、畑の脇道の古い道祖神に手を合わせるおばあちゃんを見下すものでしょうか。教えがどうのこうのと曰うて身近にある善を為さないのでは清らかな心根とは言えません。

[11] mixiユーザー 04月25日 18:35

尤も、宗教(亭主氏のいうところのドグマ?)は人類最大の妄想(心理学者JUNGのいう普遍的無意識)かもしれません。

[12] mixiユーザー 05月12日 21:19

ドグマは解釈学、キリスト教の三位一体を生み出したものと同じ支弁的いとなみ。つまりは厳密な学問、「五時八教」ドグマの成り立ち背景がいかなるものだったかは、冒頭のフリクラ氏の説明のとおりであります。
このことは歴史的事実として認めることから現代仏教は始めなければなりません。学問的解釈によって築かれた教義（＝ドグマ）を信仰の名のもとに「事実」にすり替えることはあってはなりません。

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