1908年12月11日(12日という説もある)ポルトガル北部ポルト生まれ。学生時代は映画とスポーツに熱中し、18歳からは陸上選手、レーシングカー・ドライバーとして活躍を始め、国内外の賞に輝く。27年から29年にかけて地元のドウロ河で労働する人々を描いた短篇記録映画に取り組むが、資金不足により中断。この後、リーノ・ルーポ監督が開校した俳優養成学校に兄と入学し、28年には同監督作にエキストラ出演。31年「ドウロ河」を完成させ、映画祭にも出品して好評を博した。ワイン製造や家業を手伝いながら、短篇にも取り組み、42年に初めての劇映画「アニキ・ボボ」を発表するが興行で失敗し負債を負う。その後は映画を離れるが、54年にサン・パウロ映画祭で再発見されたのを期に、再び映画に取り組むようになり、数本の短篇が各国の映画祭で賞を獲得した。 再び映画界を離れるが、71年長篇「過去と現在」で注目を集める。パオロ・ブランコと出会い、彼の製作で「フランシスカ」(81)を発表。以来、クローデル劇《繻子の靴》の映画化(85)、ビュル・オジエ主演「O Meu Caso」(86)、怪奇オペラ「カニバイシュ」(88)といった独創的な作品で高い評価を得る。90年は「ノン、あるいは支配の虚しい栄光」でカンヌ映画祭審査員特別功労賞を受賞。『アブラハム渓谷』(93)で世界的に絶賛され、カトリーヌ・ドヌーヴ、ジョン・マルコヴィッチ主演『メフィストの誘い』 (95)や、マルチェロ・マストロヤンニの遺作『世界の始まりへの旅』(97)、カンヌ映画祭審査員特別賞を獲得した『クレーヴの奥方』、ミシェル・ピコリ主演、マルコヴィッチ、ドヌーヴ出演の『家路』(01)などを精力的に発表する。2001年はヴェネツィア映画祭に、セミ・ドキュメント「Porto da minha infancia (わが幼年時代のポルト)」を特別出品するにあたり、これまでの功績に対しブレッソン賞を受賞。続いて本作に取り組み、独創的な作風でカンヌ映画祭でも評判となる。2002年は、ペドロ・アブルニョーザの新曲「Momento」のミュージック・クリップを監督したのに続き、ドヌーヴ、マルコヴィッチ、イレーネ・パパス、シルヴェイラ、シントラらお馴染みの面々とステファニア・サンドレッリという豪華キャストを集結させて、客船を舞台にした「Um Filme Falado」の撮影を終えるなど、94 歳(現在99)にして驚異的な創作力を維持している。
(そして今作『Belle toujours』)
●主な監督・出演作品 ([f]=映画祭題) 31 : ドウロ河[f] Douro, Faina Fluvial 32 : Estatuas de Lisboa 38 : Miramar, Praia das Rosas : Ja Se Fabricam Automoveis em Portugal 42 : アニキ・ボボ[f] Aniki Bobo 56 : O Pintor e a Cidade 59 : O Pao 71 : 過去と現在 昔の恋、今の恋[f] : O passado e o presente 75 : Benilde ou a Virgem Mae 78 : Amor de Perdicao 81 : フランシスカ[f] Francisca 82 : Visita ou Memorias e Confissoes 83 : Nice - A propos de Jean Vigo : 文化都市リスボン[f] Lisboa Cultural 85 : Le soulier de satin 86 : Mon cas 88 : カニバイシュ[f] Os Canibais 90 : ノン、あるいは支配の虚しい栄光[f] : Non, ou a Va gloria de mandar 91 : 神曲[f] A divina comedia 92 : O dia do desesper 93 : アブラハム渓谷 Vale Abraao 94 : 階段通りの人々 A Caixa 95 : メフィストの誘い O convento 96 : Party 97 : 世界の始まりへの旅 : Viagem ao principio do mundo 98 : 不安[f] Inquietude 99 : クレーヴの奥方 La lettre 00 : Palavra e Utopia 01 : 家路 Je rentre a la maison : Porto da minha infancia (公開予定) 02 : 家宝 O Principio da Incerteza : Momento (音楽クリップ) 03 : 永遠の語らい Um Filme Falado