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陰陽師@二次創作小説コミュの妖怪小話其之九十六【火男・四】

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【火男・四】
火傷が癒えてから、ひのめはますます精を出して働くようになりました。
さらにはそばかすの消えたひのめは白い輝くような玉肌に健気で温和そうな表情が良く似合い、とても可愛らしい様子でありました。
火倉屋敷に訪れた貴族の殿方達も噂の見目良い女房を一目見ようとわざわざ火鉢を頼んではひのめに声をかけたりいたします。
それまでは訪れる度に絢子が可愛いと言っていた殿方でさえひのめを褒める様子に絢子はさらに苛立ちを募らせていたのでありました。

絢子「ふん。あんな田舎生まれの娘にうつつを抜かすだなんて所詮見る目のない男共だったと言う事ね」

そう言って今まで自分のことをちやほやしてきた男達を邪険に扱う絢子の胸の内にはある殿方の事が気になっていたのでありました。
最近屋敷内で度々見かける肩幅の広い逞しい体つきで温和な顔の名も知らぬ青年でありました。
おそらくは父君の客人だろうと思い、ただ遠くから眺めるばかりでありましたが、いずれは自分の美しさに声をかけてくれるものと思い、より一層髪に櫛を当て、装飾に磨きをかけていったのでありました。

そんなある日の事でした。忠政が新春の祝いの席に呼ばれ、長く屋敷を留守にする事となりました。

忠政「十日ほどで戻る。屋敷にはたくさんの女房達がいるから不便を感じることはないだろうが、お前も身を飾ることばかり考えずに働き者のひのめのように自分の心を磨くことを考えるのだぞ」

絢子「…わかっております父上。いってらっしゃいませ」

そう言って忠政を見送った絢子でありましたが、父の言葉に内心酷く苛立って降りました。

絢子「なによ。父上までひのめ、ひのめと忌々しい」

ふと窓の外からかまどで働くひのめの姿をぞいてみると、ひのめの背後にあの醜いひょっとこ面を被った男がたっておりました。

絢子「また来てる。なんて醜い男なのかしら。どこの馬の骨ともわからない男を連れ込むなんて本当に嫌な女だわ」

そう内心で呟きながら様子をうかがっていると、ひょっとこ面の男がひのめに声をかけました。

火男「ひのめ、会いに来た」

ひのめ「きゃぁ!…あら、火男さん。突然現れるからびっくりしましたよ」

火男「ん…。悪い。俺、神だからそういうところよくわかんないんだ。ひのめ。この面をひのめにあげよう。また前みたいに火の粉が顔にかかったら大変だからな」

そう言って面を外した男の顔に、様子をうかがっていた絢子の胸はそのまま止まってしまうのではないかというくらいに高く跳ね上がったのでありました。

絢子「…!あの方は…!!」

声が漏れぬように口元を手で押さえる絢子の耳に愉しげなひのめの声が響きます。

ひのめ「まぁ!火男さん。そんなに良いお顔だったなんて、私ちっとも知りませんでした。あぁ、どうしよう。恥ずかしい」

火男「はは。別に恥ずかしがることなんてないだろ。今まで一緒に喋っていたのに。おかしいな。ひのめは」

そう言ってからりと笑う男は紛れもなく、絢子が心に思っていたあのお方だったのでありました。

コメント(1)

妖怪小話其之九十七【火男・五】
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