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陰陽師@二次創作小説コミュの【天狗・十七】

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【天狗・十七】
山道の茶屋で我らを襲った娘。そこに取り憑いていたのは幼いオサキ狐でありました。

私「まさか。こんな幼い式神が?」

天空「まぁ、度胸だけは誉めてやるよ」

狐「うるさい、うるさい!やい、やい。陰陽師。正体がばれたからって構うもんか。お前の神器を渡すんだよ!」

私「待ってください。オサキ狐。あなたはこの神器をなにに使うかご存知なのですか」

狐「知るもんか。でもな、この山にずかずか入り込んできてアタイ達山の妖怪に悪さしようとしてきた人間を天狗達はいつも助けてくれたんだ。その天狗達を傷つける奴はアタイは絶対に許さない!」

そう言いながらキッと見上げたオサキ狐でありましたが、堅く握られた両の拳はわずかに震えていたのでありました。

私「待ってください。私達はただ、天狗達が奪った神器を取り戻そうとしているだけなのですよ」

狐「そんなわけない。現にアタイが取り憑いていた女だって、アタイ達を無理やり綴りに納めようと攻撃してきたんだよ。それを姫天狗がやっつけてくれたんだ。人間のいうことなんか信じられるか」

オサキ狐の言葉に私は思い知らされるところがありました。
たしかに陰陽師とはそういうものなのかもしれません。

薬師「それではオサキ狐殿。式神の私からひとつ教えていただきたい。あなたの仲間も攻撃されたと聞きましたが、皆無事でありましたか」

オサキ狐「ううん。アタイを庇っておとっつぁんが脚に傷を負っちゃったよ。食べたらいけない草はわかるけど、薬草の使い方なんてわかんないし。だからアンタ達を襲って神器を奪うついでに傷の薬もちょうだいしようと思ったのさ。山の旅人ならたいていは傷の薬くらい持っているだろうからね。」

薬師「そうでしたか。わかりました。それでは以前この比叡の山で作った傷の薬がありますから、これをもってゆきなさい。足りないようでしたらこの紙に薬の作り方が書いてありますから、お父上に読んでいただけば良いでしょう」

狐「…薬、くれるのかい?でも、なんで」

薬師「妙だとは思ったのです。私が親なら貴方のような年端もいかぬ可愛い子にこんな危険な真似はさせたくはないでしょうからね。きっとお父上も心配しておられることでしょう。
それに、この陰陽師ならば大丈夫。この赤目以外まともな式神を持たない風変わりな陰陽師ではありますが、その分他の陰陽師とは違って無理矢理綴りに納めようなんて真似はいたしませんよ。もし悪さをしようとしたら私と火男で取り押さえてやりましょう。
ですからオサキ狐殿。このところはこの薬師に免じて許してはいただけないでしょうか」

オサキ狐「薬をくれるってんなら…しかたないなぁ」

薬師「ですが、オサキ狐殿。この薬を持ち帰ったらもう他の陰陽師に手を出されぬように。一人で陰陽師に立ち向かおうなどとあまりに危険過ぎます。そのこと、しっかりと約束していただけますね」

オサキ狐「うん。わかったよ。約束する。攻撃して悪かったね。お詫びにこれあげるよ」

オサキ狐が手渡したのは鴉の羽根とどんぐりの実で作られた飾り物でありました


私「これは、何でしょうか」

狐「ころく天狗の羽根で創ったお守りだよ。前に夜道に迷ったときにころく天狗に送り届けてもらったんだ。比叡の山では無事山を抜けられるようころく天狗が手助けをしてくれるんだ。だから比叡の山ではころく天狗の羽根は最高の行道祈願の御守りにされてるのさ」

私「これが…。そうですか。ころく天狗という天狗は優しい方なんですね」

オサキ狐「そうさ。天狗達はみんは本当はすごく優しいんだよ」

天狗討伐の陰陽師に天狗の御守りとはなかなか妙なものでありましたが、ありがたく受け取るとオサキ狐はぴょこんと一礼をして薬を抱えて去っていったのでありました。

私「まるく納めていただき、ありがとうございます薬師殿」

薬師「いえいえ。将来の美人に恩を売っておくのも悪くないものですな。八年後あたりが楽しみです」

最後の一言さえなければ良かったのにと内心呆れた私でありました。

薬師「それよりもです。オサキ狐に取り憑かれた娘殿が未だに目を覚まさないとは一大事。ここはひとつ、この薬師めが人工呼…」

ばちぃいん。

とあたりに乾いた音が響きわたり、娘の顔へと屈み込んだ薬師の頬には真っ赤な紅葉が咲いておりました。

娘「気安く触んじゃないよ。この式神風情が!人の寝込みになにしようとしてるんだい」

目を覚ました娘はそれはもう相当に気が立っておりました。

娘「あんた達もつくづく妖怪に甘い連中だねぇ。神器を盗んだ天狗が良い奴なわけあるもんかい。
あぁ、もぅ最悪!こんな山もう二度とくるもんか。あんた達。あたしがあんな狐に取り憑かれてたなんてこと言いふらしたらただじゃおかないからね」

そういって山をおりようとする娘に天空が声をかけました。

天空「おい、女」

娘「なんだい」

天空「山道で勝手にここの妖怪を綴りに納めようとするな。これ以上陰陽師への敵視が広まったら迷惑だ」

娘「はっ。なんであたしがあんたのいうことなんか聞かなくちゃいけないんだよ」

天空「お前、陰陽師なんだろ。だったら狐にとりつかれたなんて噂が広まったらおしまいだな。噂を広められたくなかったら従え。わかったか」

娘「ちぃっ…!あぁ、もう。わかったよ。ったく嫌な式神だね!」

そういいながら娘はきつく天空を睨みつけて山を降りて行きました。まぁなんと気の強い娘であったことでしょう。娘の後ろ姿を見送りながら、確かにあのような陰陽師もいれば山の妖達が陰陽師を不信に思うのも無理はないなとしばし考えてしまったのでありました。

コメント(1)

【天狗・十八】
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