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陰陽師@二次創作小説コミュの妖怪小話其之三十二【古山茶・前編】

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【古山茶】(ふるつばき)
老いた椿の木に宿った精霊。花の落ちる様子が人の死を連想させると云われている。





【古山茶・前編】昔、ある男が山の奥深くに迷い込んでしまいました。
そろそろ日も暮れようかというところに随分と古い一軒家がポツンとたっておりました。
その家の隣には樹齢数十年はあるかと思われる巨大な椿の木が道一面に赤い花を散らしておりました。
男がその家に近づいてみると

「あら、人のお客さん?」

と声をかけられ、振り向くと若く美しい娘がたっておりました。
はて、こんな山奥に娘一人とはなにやら怪しいと思いながらも男は一晩の宿を頼みました。
このような古びた屋敷で恥ずかしいですがもう日も暮れてしまいそうですからね。
どうぞお構いなくお上がりください。
と控えめな様子で娘も快く承諾し、手料理などを振る舞ってくれました。

明くる日には男はすっかり娘に惚れ込んでおりました。
下山の際、こんな山奥でたった一人は心細いでしょう。
私と一緒に降りて都で末永く暮らしませんか。と娘に持ちかけると

「せっかくのお気遣いありがとうございます。
けれども、もうお気付きの通りわたくしは人ではありません。
この屋敷に生えている古い椿の木の精なので御座います。
もっと綺麗に咲き誇りたいと願う花の思いからこうして少女の姿をしているわたくしですが花の寿命は短いものです。
貴方が一緒に降りたとしても末永く愛してなどはいただけないでしょう」

と、寂しげに言う様にいっそう愛情の念を募らせた男は

「そんなことはありません。
たとえ花の色が朽ちて移り変わったとしても私の心が変わるはずがありません」

と言い張り、落ちたばかりの紅く瑞々しい椿の花を一輪拾い
残った片方の手で少女の白い手をひいて一緒に山を降りてゆきました。

コメント(1)

妖怪小話其之三十三【古山茶・後編】
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