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陰陽師@二次創作小説コミュの妖怪小話其之九【混沌・弐】

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【混沌・弐】
時は平安。都には『混沌』と呼ばれ畏れられる妖がいた。
彼は目も見えず耳も聞こえず、それでいて人の肉を喰らう妖であった。
だが、ある日何か強力な力が彼を取り押さえた。
その力は捕らえた彼に痛みを与えようとはしなかった。
変わりに、暑さをしのがせ、寒さを防ぎ、また度々餓えた彼を導いては飢えを満たすに十分な肉を提供した。
肉は固く筋張ったものもあったが、時には柔らかく、甘く薫るような肉もあった。
姿を見ることも言葉を聞くことも叶わず、頭をすり寄せても決してその力が彼に触れることはなかったが、彼は確かにその力に深く深く感謝した。
これほどまでに平穏な日々を未だかつて彼は知らなかったのだ。

ところが、ある日、力の元に不穏な気配が漂った。
何者かが力の主を狙っているようだった。
彼は自らの主の為にと死力を尽くして闘った。
しかし、敵対する力は速く、しなやかで、それでいて非常に強かった。
遂に彼は主を守るというは願いを叶えることなく、
またも別のより強力な力の元に取り押さえられ、
体中の自由をすべて奪われ、小さな箱へと封じられたのであった。




―ある日のことです。
清明様のもとへある陰陽師の討伐依頼が持ち込まれました。
この陰陽師『混沌』という名の妖封じて人々を助けたかと思えば、
この混沌を使役して、私利私欲のために残虐非道な闇討ちを繰り返すという悪党で御座いました。
討伐には清明様選りすぐりの式神を向かわせたのですが、その混沌の力の凄まじいこと。
一体、幾人の人間がこの妖に喰われたことでしょう。
しかし遂に清明様は混沌を倒し、討伐を成功させたのでございます。
されど、被害に遭った者の恨みはなお深く、
混沌の恐怖に支配されていた人々からは、この善人を忌み嫌い悪人に媚びを売る妖などは早々に殺していただきたいという声が続々とこの陰陽院へと寄せられました。
しかし清明様はさも悲しそうに首を振り、
「この妖も使う者さえ善人であったならば良い妖となっていたことでしょう。
いずれにかこの妖が正しき道へと導かれることを私は切に祈ります」といい、
人々からの批判を一身に浴びつつも、いつ解けるやも知れぬ封印の葛籠に混沌を封じたので御座いました。

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