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福岡でマンガを読むコミュの卯月妙子「人間仮免中」

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長年マンガを読んでいると、
時々とんでもない作品と出会うことがある。
この「人間仮免中」というマンガは、
宝島社が一年に一回出している、
「このマンガがすごい!」という本の2013年版で、
「オトコ編」の3位になっているマンガである。

作者は卯月妙子という人で、
出版社は2005年に、
吾妻ひでおの「失踪日記」というマンガをヒットさせた、
イースト・プレスという会社である。

僕は「このマンガがすごい!」の紹介記事を読んで、
たしかにすごそうなマンガだなとは思ったのだが、
わざわざ買ってまで読もうとは思わなかった。
記事で紹介されていたあらすじは以下のようなものである。

壮絶な過去と統合失調症を抱えた著者は、
25歳年上のボビーに出逢い恋をする。
ぎこちないながらも幸せな日々が続くが、
病気が悪化して歩道橋から飛び降りてしまう。
顔面崩壊に失明。入院中に襲いかかる妄想と幻覚。
ボビーが寄り添い、徐々に回復してゆく。

このあらすじを読んで、
たしかにすごいストーリーだとは思ったが、
だからといって読んでみたいとは思わなかった。
これまでの経験から、
精神を病んでいる人については、
結局「理解できない」ということで、
終わってしまうことが多かったからだ。

しかし、この記事につけられていた、
マンガの中から抜き出した1コマの絵のインパクトと
卯月妙子という作者の名前は、
いつまでも頭の中に残っていた。

その後何回か書店でこのマンガを見かけていたが、
手に取ることはなかった。
しかし、昨日、
一時間程時間を潰さなければならないことがあって、
よし、一時間だけでもカラオケに行こうと思ったのだが、
日曜だったのでカラオケ屋の駐車場が満車で入れず、
近くにあったブックオフに立ち寄って、
ブラブラと棚を見て歩いていたら、
このマンガを見つけてしまったのである。
定価の半額くらいの値段であった。

結局自分に必要なマンガや映画との出会いというのは、
必ず用意されていて、
僕は敷かれたレールの上をただその作品に向かって、
ゴロゴロと誘導されていくだけなんだなあと思った。
最後にその作品を手に取って買うかどうかということだけは、
僕の判断にゆだねられているのだが、最近の僕は、
そういうチャンスになんとか反応できるようになりつつある。

今回のこのマンガとの出会いだって、
最初に「このマンガがすごい!」を読んで知った時、
次に書店の店頭で見かけた時、
そして今回のブックオフで見つけた時と、
何回かの接触と、僕からの拒絶があって、
やっと僕の家にこのマンガは来たのである。

読み進めていて初めて気付いたのだが、
僕は著者の卯月妙子さんという人のことを知っていた。
知っていたといっても、何かの雑誌の記事とかで、
かつて読んだことがある、という程度なのだが、
卯月さんは、マンガ家というよりは、
多分AV女優として何かの記事で紹介されていたのだ。

それは「ガロ」か「ゴン」か「ブブカ」か、
「クイックジャパン」か、そのあたりの、
サブカル系の雑誌だったと思うのだが、
過激な内容のいわゆる「企画もの」と呼ばれていたAVで、
色々すごいことをしている人という記事だったのだと思う。

小学5年生から異常体験が始まり、
最初の自殺未遂が中学3年生。
20歳で結婚して子供を産んだが、
夫の会社が倒産したため、
AV女優となり、過激なAVに出演。
もともと精神病だった夫は、
飛び降り自殺をして植物人間になり、
一年半後に亡くなる。
背中一面に夫を供養するための般若心経と、
戒名の入れ墨を彫る。
その後もストリップ劇場の舞台上で、
喉を切って自殺を図ったりして、
交際相手を神経症に追い込んで別れる。
25歳年上のボギーという男性と知り合い、
一緒に暮らすようになって、多少精神が安定するが、
舞台に復帰したいという一念から、
処方された薬の量を自分で減らし、
妄想にとりつかれて歩道橋の上から道路に飛び降りる。
顔面がグシャグシャに粉砕骨折して、右目を失明。
それでもなんとかリハビリして、
執念でこのマンガを描き上げたのである。

こんな卯月妙子の壮絶な人生のうち、
このマンガに書かれているのは
歩道橋から飛び降りる前後のことのみである。
なので卯月さんがもう充分過ぎるくらいに
精神を病んでいるところからマンガは始まっているので、
結局僕にとっては、精神病というものがどういうものであって、
それにどう対応していいのかということは、
まったくわからないままに、ただ事件だけが起きるので、
読んでいてもただつらいだけで、そして、
自分の身の周りでもこのようなことが起きたらどうしようと、
ただ不安になるだけなのだが、
それでもこのようなマンガが存在しているということは、
卯月妙子はどこかで正気を保っていて、
何かを伝えようと、必死であがいているに違いないのである。
このマンガの中にこのようなセリフがある。

水木しげる大先生は片腕で漫画描いてた
おいら片目でもこれ全部漫画にしたい・・・!!

僕たちはこのマンガの意味とか、
卯月妙子の生き様が倫理的にどうだとか、
精神疾患とは何かとか、
そんなことはどうでもいいから、
どんなことが起きていて、
それをどんなセリフとどんな絵で
伝えようとしているかという、
そのことだけを読めば、
ただそれだけでいいのだと思った。

このマンガについて、ネットで情報を探していたら、
ちばてつやさんがこのマンガをブログで紹介していた。
2012年12月13日の記事である。
「最近の若者たち、つまらないことに悩んだり
創作の壁にぶつかって、へこんだりしている
学生たちに読ませているんだ。」
と書いてあった。

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