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ミュリのオリジナル小説連載コミュの聖ラフィーユ学園黒潮学舎 第6話

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聖ラフィーユ学園黒潮学舎 第6話

 次の日男子組に内線かけて待ち合わせしてみんなでご飯を食べに行くと、ミュリシスさんとシャレイルさんが食堂にいてあたし以外のみんながかたまってしまった。
「やぁ、おはよう。よく眠れたかい?」
ミュリシスさんは優雅に紅茶を飲みながら話しかけてくる。
「絵里華もセレモニーに出るっていってたよ。けっこう無理はしてるんだけど、痛み止め打ってでもなんとか参加するそうだ。」
シャレイルさんも紅茶を片手に言う。今日の予定は黒潮学舎で行われるセレモニーに出席すれば後は飛行機で帰るだけだ。それにしても、絵里華ってほんとタフなんだから。
「絵里華様、もう復活したんですか?」
江崎君が驚きながら言う。医学的知識の豊富な江崎君からみたら絵里華の怪我の具合から見てこの短期間の復活はありえないことなんだろう。
「沙樹が上手に縫合してくれていたからね。抜糸するのがもったいないくらいの腕前だったよ。」
シャレイルさんが苦笑しながら言う。
「シャレイルが能力で傷を治しながら抜糸したんだ。もう絵里華の身体には傷跡すらないよ。」
ミュリシスさんの言葉にみんなが感嘆する。さすがバケモノクラスの身体をしているだけのことはあるわ。
「さて、みんな朝食にしよう。今日も忙しい一日だからね。」
藤田先生の言葉でみんなはそれぞれバイキング形式の朝食を摂った。食事が終わるとミュリシスさんやシャレイルさんも一緒にみんなでチェックアウトして旅館をバスで出発する。旅館の人が並んで見えなくなるまで手を振ってくれていた。バスが黒潮学舎につくと沙樹ちゃんが出迎えてくれた。
「やっほー。みんな元気ー?」
あいかわらずハイテンションな沙樹ちゃんからはとても緻密な縫合ができるような様子は一切うかがえない。どっちかといえば、てきとーに縫い合わせそうな雰囲気がびんびんする。
「沙樹、絵里華は?」
ミュリシスさんが聞くと沙樹ちゃんがにっこりと笑って
「先に会場の方に行ってる。一応痛み止めは投与してあるし、無茶はしないように言ってあるから大丈夫だとは思うけど。」
と言ってあたしたちを手招きする。
「会場はこっちこっちー。とりあえず開校10周年記念ということで、WKF総帥もちらっと顔出すみたいよ。」
沙樹ちゃんの言葉に会場に向けて歩いているみんなに緊張が走る。
「アンドリューも来るのか。フランスに行っていると思っていたのに。」
そう言うシャレイルさんは少しうれしそうだった。
「帰国したのは昨日らしいけどね。そのまま今日の始発の飛行機でこちらに来るそうだから、もうそろそろ到着してるんじゃないかな。」
ミュリシスさんがそう言ったところであたしたちは会場に到着した。会場にはたくさんの人が集まっていてあたし達は横のほうの来賓席に座った。そこにはすでに絵里華が座っていたけど若干顔色がまだ悪かった。
「みんな揃ったな。心配かけてすまない。」
珍しく素直に謝る絵里華にみんなけっこうびっくりしていた。もちろんあたしもだ。
「シャレイルとミュリシス姉様のおかげでなんとか回復できたよ。もちろん沙樹の腕もあってのことだけど。」
絵里華の言葉に沙樹ちゃんがえっへんと自分の胸を叩く。
「とりあえず親父が式典にでる以上、呑気にベッドで寝てるわけにはいかねーからな。」
絵里華は回復したとはいえまだだいぶ身体がツライらしい。銃弾二発も撃ちこまれてるんだから当然と言えば当然か。
「絵里華のはただの意地だもんね。おじさまに弱いとこ見せたくないんでしょ?」
沙樹ちゃんが絵里華にさっくりとトドメをさす。やっぱり沙樹ちゃんはドSだと思う。
「本部に戻ったら2-3日入院するかい?幹部専用病棟の特別室がちょうど空いてるからね。私と沙樹が責任もって完治させるよ。」
シャレイル先生の言葉は提案だけど強制力を秘めていた。たぶん絵里華は帰ったら入院することになるんだろう。
「まぁ、仕方ねーだろうな。かなり不本意だけど従うよ。」
絵里華は半分諦め口調で言った。こんなに素直な絵里華も珍しいかもしれない。
「さて式典がそろそろ始まるわよ。ほら、総帥が入ってきた。」
沙樹ちゃんの言葉にあたしが入口を見ると絵里華の父親でもあるイケメンな総帥が会場に入ってきた。いつもながらかっこいい。
「オレ寝とこうかな。痛み止めが効きすぎて眠い。」
絵里華は椅子にもたれて寝る態勢だ。意地で式典にでたもののおとなしく話を聞く気力はのこってないらしい。そんなこんなのうちに式典がはじまって退屈な話がいろいろとあって、あたしも思わず意識なくなっちゃった。でもイケメン総帥の挨拶の声でばちっと目が覚めた。隣をみると絵里華もいつの間にか起きてて、睨みつけるようにステージ上の総帥を見ていた。総帥は挨拶が終わるとすぐに会場から退室していく。絵里華はそれを見送ると再び瞳を閉じた。それからまたしばらくいろんな話が続いて式典が終わるとみんなぐったりしたようになっていた。座りっぱなしは退屈すぎるよ。
「あーやっと終わったー。長かったなー。」
仁藤君が背伸びしながら言う。みんなも同感という顔つきだった。
「さて、今回の研修はすべて終了だ。あとは飛行機で帰るだけだよ。空港までは乗ってきたバスで移動する。出発は30分後だ、遅れないように。」
藤田先生の言葉でみんなはそれぞれ帰り支度を始める。荷物とかはバスに積み込んだままなので手持ちのものだけだ。
「絵里華、歩けるか?」
ミュリシスさんが絵里華を支えて椅子から立ち上がらせる。絵里華は顔色がかなり悪かった。
「この分なら内側でたぶん出血してると思う。表皮は綺麗になってるけど中はまだ癒えてないから。」
沙樹ちゃんが絵里華の様子を見ながらそう診断する。
「少し力を使っておこうか。ミュリシスから補給したばかりだからね。」
シャレイルさんがそう言って絵里華の身体に手を触れる。その手からは目には見えない力が流れ込んでいるのだろう。
「ありがとう、シャレイル。だいぶ楽になったよ。」
シャレイルさんの手が離れると、絵里華は若干元気になったようで一人で歩きだす。
「なんとか羽田までもちそうね。病院に着いたら速効睡眠療法だわ。」
絵里華の後ろ姿を見ながら沙樹ちゃんがぼそっと言う。睡眠療法というのはその名の通り眠らせる治療だそうで、神の血族である絵里華は睡眠時の回復効率が起きているときに比べて抜群にいいらしい。ようするに身体の機能を休めてその分回復に力をまわせるようにするっていうことらしい。
「じゃあ、私達もバスに行こうか。」
シャレイルさんがそう言ったのを合図に、あたしたちはみんなでかたまってバスまで移動した。バスに乗り込むと意外な人物が先に乗り込んでいてあたしはびっくりした。バスに乗り込んだあたしがみたのは不機嫌そうな絵里華と一つ席を開けた席に座っている総帥だった。
「私も同じ飛行機で戻るのでね。すまないが、ご一緒させてもらうよ。」
総帥がみんなに微笑みながら言うけれど、みんなの表情は凍りついていた。
「普通にタクシーでも車でも用意すればいいだろう。」
絵里華は納得がいかない顔で総帥に言う。確かに総帥ならみんなと一緒にバスとか乗らなくてもよさそうだ。
「たまには経費節約もいいだろう?」
対象的に総帥は楽しそうだ。それをみて絵里華の顔がますます不機嫌になる。
「みんな席に座りなさい。もうすぐ出発だよ。」
総帥に促されてみんなはそれぞれ席に座る。総帥が前の席に座っているせいかみんな後ろの方に固まっている。あたしもみんなについて後ろに行こうとしたけど、沙樹ちゃんにとめられた。沙樹ちゃんはあたしを総帥の隣に強制的に座らせる。そして自分はその後ろの窓側にちょこんと座った。沙樹ちゃんのとなりにはミュリシスさん、そのまたとなりにはシャレイルさんが座る。みんなが席に座るとバスは空港に向けて出発した。
「田村真美君だね。絵里華や沙樹から話は聞いてるよ。」
突然、総帥に話しかけられてあたしはちょーびびった。みんなの視線があたしに向いているのがびんびん感じられる。
「お会いできて光栄です、総帥。」
あたしはなんとか挨拶を返した。
「そんなに緊張しなくてよいよ。君の組織入りを決定したのは私も同然だからね。友達のお父さん感覚で構わないよ。」
そう言いながら総帥は絵里華をちらっと見る。絵里華はぷいっと横をむいてふてくされた。絵里華てあたしの友達って言えるのかなぁ。
「私の名前は川井幸治だ。本名はアンドリュー・ドゥ・イフェレスというのだがその名前は日本ではほとんど使っていないのでね。幸治おじさまとでも呼んでくれ。」
総帥は気さくにあたしに話しかけてくる。あたしは緊張でどきどきしながらも
「はい。」
と小さく返事をした。
「アンドリューが本名まで名乗るのは相当気にいってる証拠だ。遠慮なくいろいろと甘えるといい。」
シャレイルさんはそう言ったけど、あたしはまだ冷や汗が滲んでいた。
「シャレイル、いつもバカ娘がめんどうかけてすまないな。私の血もいつでも提供するから言ってくれ。」
総帥が言うとシャレイルさんは少しはにかんだ。
「ラフィーユに戻ったらミュリシスから追加をもらうから大丈夫だよ。そのかわりミュリシスの勤務シフトを少し調整しておいてくれ。かなり無理させてしまうだろうから。」
シャレイルさんの言葉に総帥は頷いた。
「オレも絵里華と一緒に2-3日入院する予定だから。お見舞いに来てくれるかな、お姫様?」
ミュリシスさんがいたずらっぽくあたしに言う。
「すまない、ミュリシス姉様。オレのせいで苦労かけるな。」
絵里華がミュリシスさんに謝る。さっき力使った分をまた補充するってことはミュリシスさんまた血を吸われるんだろうな。
「オレはどっちかといえば役得なんじゃないかな?念のため入院するだけで、実際は気持ちいいことするだけだもん。」
ミュリシスさんは冗談交じりに言うけど、けっこう大変そうだと思うのはあたしだけかな?
「まだまだお前は甘いということだな。ニ流組織の暗殺者に怪我を負わされるようではな。」
総帥の厳しい言葉に絵里華が不貞腐れる。
「でもおじさま、絵里華は3対1でこの結果だったんだから、1対1なら絶対無傷でしたよ。」
沙樹ちゃんがフォローを出す。というか、3対1で戦ったんだ絵里華ってば。
「こちらもミュリシスとクリストファーを送りこんでおいただろう?ちゃんと数合わせはしたはずだ。」
どうやら総帥には何人暗殺者がいるかまでわかっていたようだ。絵里華一人では分が悪いと思って、信頼できる構成員を送り込んだのだろう。
「オレは後方支援にまわってたし、クリストファーも他の役割をしていたから実質は絵里華一人になっちゃったんだよな。それはオレらの作戦ミスか。」
ミュリシスさんが席を少し倒しながら言う。
「まぁ結果オーライってことで、幸治叔父様。」
続けてミュリシスさんはにっこりと笑って総帥に言った。
「そういうことにしておこうか。なぁ、バカ娘。」
総帥が皮肉気に言ったが。絵里華はそれをさくっと無視した。
「真美君には最初からはずかしいところを見せてしまったね。とりあえず私達親子はバカ娘、クソ親父と呼び合う仲なんでね。言葉遣いが悪くなったのは見逃してくれるとありがたいな。」
総帥の言葉にあたしは頭をぺこりと下げた。総帥はそんなあたしに微笑みかけてくれる。その顔はとってもイケメンで普段のあたしならガン見してしまうとこだろうけど、さすがに組織のボスをガン見できるほどの度胸はあたしにはなかった。
「そろそろ空港につくな。出発まで1時間半くらいあるからあわてなくてもよいよ。お土産を探したりカフェで休憩したりするといい。」
総帥がみんなに向けて言う。
「バスは僕達を降ろした後ラフィーユ本校に戻るから、荷物は忘れないようにするんだぞ。」
藤田先生が自分の荷物を棚から降ろしながら言った。みんなもあわてて荷物整理を始める。総帥は身ひとつできたのか荷物らしきものは見えなかった。その間にバスは空港に到着して総帥がまず一番最初にバスを降りる。それに続いてあたし達も続々とバスから降りた。バスの下の荷物入れに入れておいた荷物を受け取ると、あたし達は空港の中に入る。一瞬にして外人を含む美男美女揃いの集団は空港ロビーにいた人々の視線を一気に集めた。あたしはちょっと恥ずかしくなりながらもみんなと一緒に搭乗手続きをした。先におりた総帥は姿が見えなかったのでその点はみんな少しだけほっとしていた。
「真美、お土産みよう。」
荷物をカウンターに預けると沙樹ちゃんがそう言いながらあたしの手をひっぱった。とりあえず拒否なんてできるわけなく、あたしは沙樹ちゃんにひっぱられて2Fのお土産売り場に拉致される。絵里華やミュリシスさんやシャレイルさんも後ろからついてくる。みんなも適当に空港内にバラけたようだった。土産物コーナーに着いても沙樹ちゃんの暴走はとまらない。
「これかわいいー。買っちゃおう。」
そういって沙樹ちゃんが手にしていたのは犬のぬいぐるみだった。土佐犬という犬で高知ではそれを使って闘犬をしているらしい。
「オレもこれ買おうかな。父上への土産によさそうだ。」
ミュリシスさんがそう言って木彫りの土佐犬を手に取っている。シャレイルさんもお菓子の箱をいくつか抱えていた。なんか意外な姿だ。
「シャレイル、医局への土産か?」
絵里華もお菓子の箱をいくつか抱えている。その姿もあんま想像できてなかったものだった。
「ああ、絵里華は真紀子と美聖にか?」
シャレイルさんが会計を済ませながら言う。
「そそ、姉貴も兄貴も甘いもの好きだからさ。特に姉貴は何か買っていかないと絶対機嫌悪いから。」
絵里華が仕方なさそうにいう。それを聞いたシャレイルさんが苦笑していた。とりあえずあたしもお母さんとかにお菓子と自分用にキーホルダーとご当地ボールペンを買う。買い物が済むと出発時刻まであと30分くらいになっていた。
「そろそろ搭乗口に行こうか?私達は優先搭乗だからね。」
シャレイルさんに言われてあたしは自分の航空券を見た。席が1列目のKになってる。飛行機の1列目ってあんま見ることないと思う。
「これって、ファーストクラス?」
あたしが沙樹ちゃんをつついて聞くと
「違うわよ。プレミアムクラスって言うの。普通座席と違うとこと言えば、ちょっと座席が広くてジュースや軽食がついてて、スッチーが何分かおきに用事聞きに来るくらいかしら。」
と説明をくれた。よーするに良い席ってことね。グリーン車ってとこかしら。
「まさか、隣がまた総帥とかないよね?」
あたしの頭をさっきのバスでのことがよこぎった。
「大丈夫。真美の隣はあたしになってる。総帥の隣はね、絵里華だよ。」
沙樹ちゃんの言葉に、絵里華がむっとしたのがわかった。
「私はミュリシスの隣になっているな。」
シャレイルさんがミュリシスさんのチケットを見ながら言う。
「結局オレが貧乏くじかよ。ま、予想はしてたけどさ。クソ親父のことだ、嫌がらせするに決まっている。」
絵里華はあきらめたように言うと搭乗ゲートのほうに足を進める。あたし達もそれに続いた。ゲートでもあたし達は注目の的だった。別に取り調べされたわけじゃないけど、ミュリシスさんとかシャレイルさんは警備員のお姉さん達からすっごい見られてた。搭乗待合の部屋に入ると、総帥が座席に座っていて紙コップのコーヒーを飲んでいた。
「遅かったな、もうすぐ搭乗が始まるよ。」
総帥が私達を見ながら言う。
「お土産選びに時間をくってね。みんな好みがうるさいから。」
シャレイルさんが総帥の隣に紙袋を置く。
「麻酔科はクセ者揃いだからな。あとは姫宮のところか。」
総帥はコーヒーを飲み終えたらしく紙コップを握ってコンパクトにすると近くのゴミ箱に捨てる。
「最小限のところしか配らないけれどね。それでも5箱くらい買ってしまったよ。」
シャレイルさんは笑いながら紙袋の中身を総帥に見せた。
「あたしもちゃんとお土産かったよー父様と母様に。」
沙樹ちゃんも紙袋の中身を総帥に見せる。総帥の顔に笑みが浮かんだ。一通り中身を確認すると、総帥は少し離れたところにいた絵里華に目を向ける。
「絵里華、こっちに来なさい。」
有無を言わさない調子で総帥が言う。絵里華は一瞬総帥を睨んだが素直に命令に従った。
「隣に座りなさい。」
総帥が言うと、絵里華はしぶしぶと言った感じで総帥の隣の座席に座る。
「飛行機の中で具合が悪くなっても困るからな。少しだけ力を使っておく。」
そう言うと総帥は絵里華の身体に触れる。絵里華は一瞬拒絶しようとしたが、シャレイルさんにそっと後ろから抑え込まれてあきらめたようだった。みるみるうちに絵里華の顔色が良くなっていくのがあたしにもわかった。総帥は1-2分もすると絵里華から手を離した。
「これで大丈夫だろう。羽田に迎えの車を手配してあるから、絵里華、シャレイル、沙樹、ミュリシスはそれを使うといい。」
総帥はどこまでも手際が良いようだ。そうじゃなければあたし達の組織の総帥なんてとても務まっていないだろう
「真美君。」
急に総帥に名前を呼ばれてあたしはびくっとした。
「は、はい。」
返事だけはしたものの声が完全に裏返っていた。
「真美君は私と一緒に帰ってもらってよいかな?君とはいろいろと話をしてみたいんだ。」
突然の提案にあたしは頭の中が真っ白になってしまった。
「ちゃんとクロノスタワーまで送るから。少しだけ私のわがままにつきあってくれないかな?」
総帥は少しだけいたずらっぽく言った。あたしには拒否権は最初から存在しなかった。
「わかりました。あたしでよければ。」
ってか、こう答えるしかないよね。あたしの立場としたら。
「よかった。断られてたらものすごくショックだったよ。」
冗談まじりに総帥は言うけど、あたしの答えはたぶんわかってたんだよね?
「いいなー。あたしもおじ様と一緒に高級車乗りたいー。」
沙樹ちゃんがあたしを見ながらうらやましそうに言う。代われるものなら代わってもらいたいよー。
「沙樹にはすまないが、うちのバカ娘を見てやってくれ。」
総帥が沙樹ちゃんの頭をなでながら言う。
「仕方ないなー。また今度乗せてね。」
沙樹ちゃんはあっさりとあきらめて絵里華の隣に座る。そうしているうちに搭乗アナウンスが始まった。あたし達はプレミアムクラス?なので一般客より先に搭乗できた。一番前に座ったあたしはなんだか落ち着かなかった。しばらくしてクラスのみんなが入ってくる。クラスのみんなはどうやら後ろの一般席のようだ。
「真美はええなー。沙樹様の隣かー。」
アシャンちゃんが通り過ぎる時に一言かける。
「また羽田でね。」
江崎君は手を振りながら後ろに行った。そのあともみんなが通路を通って後ろに行く。なんか一番前だと飛行機に乗る全員が通るのをみなきゃいけないので落ち着かない。しばらくするとやっとお客さんの列がとぎれてあたしはほっとした。席を一つあけて向こう側の通路を見ると窓側の絵里華が不貞腐れているのが見えた。総帥は通路側で絵里華にいろいろと話しけているみたいだったけど内容までは聞こえてこなかった

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