70年代ブリティッシュフォークの叙情性が現代に蘇ったかのような哀感たゆたう女性ヴォーカルのやわらかい歌声はかのオールアバウト・イヴのジュリアンヌ・リーガンを彷彿とさせる。ことさらに70年代にこだわらず自然に流れ出るクラシカルなメロディーと朴訥とした空気感、川のせせらぎの如く滑らかに展開するオーガニックなフォーキーさは田舎の田園風景を想起させ.単に「癒し系」という一言で括られない奥深さと音楽に対する深い愛情が見て取れる。 December's End/thirst for rain
「The Rime of the Ancient Mariner」といえばメイデンのスティーヴ・ハリスが創り上げたアルバム「Powerslave」での10分を越す大曲としてあまりにも有名ですがこれは イギリスの詩人/哲学者:サミュエル・テイラー・コールリッジの「老水夫の歌」を元にしたものでこれをイタリアのシンフォニックロックの鬼才ファビオ・ツファンティが手掛けるととんでもないものが出来上がります。なにせ 組曲「四季」を10年の歳月をかけて構築、完結させた宇宙規模の音楽スケールの持ち主ゆえこの一大叙事詩も本作に続くとばかりに早くも同タイトルの「第二章」が用意されていて、起承転結の「起」だけでも5〜6年かける勢いで思わず遠い目になってしまいますがもはやこの境地に並ぶのは70年代クリスチャン・ヴァンデという宇宙人が率いた マグマの「コバイアストーリー」以外にないと言っても過言ではありません。
遂に入手!ロシア産シンフォ、LOST WORLD BANDのライヴ作品。西新宿の某プログレ専門店に入荷依頼をかけてはや3ヶ月。ロシアという音楽事情の実体のつかめない国からのリリースなのでほぼあきらめだけに嬉しさもひとしおでございます。 前作「Awakening of the Elements 」でピアノ、フルート、バイオリン、がギターやドラムと一丸となってアグレッシヴに疾走する様はプログレというよりハードロックに近いという印象で本作品でも構築型のシンフォニックロックでありながらも前作より倍増しの荒々しさで我々の期待に十分応えてくれる作品 に仕上がってます。次々と表情を変えるバイオリンやギターがクライマックスへと導き正確無比で腰の据わったリズム隊が切れ味の鋭い変拍子をビシビシをキメまくる時我々はかつてないカタルシスを感じることになるでしょう。一曲一曲どころか一音一音が磨き抜かれているロシアンプログレを代表する傑作。日本に来ないかねえ〜。無理だよなあ(。-_-。) Sound Source/ Lost World Band
伊産シンフォ、ホストソナテン率いる奇才ファビオ・ツファンティの別プロジェクト 「L'OMBRA DELLA SERA」。 50〜60年代のイタリアンホラーのサントラのオマージュ作というには完成度があまりにも高すぎる。イタリアンホラー特有の禍々しさや怪しくも味わい深いヴィンテージなテクスチャーの再現はまさに奇跡的。ホストソナテンではめくるめくような極彩色のシンフォニックロックを鳴らしたファビオ・ツファンティですがこのプロジェクトではそのダークサイドとも言うべき暗鬱たる世界観は現代イタリアンロックの最高峰の尊称を授かるホストソナテン=ファビオ・ツファンティの別の一面を垣間見せた非常に優れた作品。
フラワーキングスは「現代シンフォニック最高峰」という尊称を五年ぶりに更新。KAIPA時代から変わらぬロイネ・ストルトのヴィヴィッドなギターはAgents of MercyやTRANSATLANTICでも我々シンフォマニアの股間を直撃してくれましたが本作品においてはもはや独自の境地を確立。トマス・ボーディンのめくるめくシンセをバックに天空を舞うが如く歌いまくり指が指板を滑るのが聴こえるような精緻なギターワークはすべてのプログレマニアの溜飲を下げるはず。ロイネのここぞというキメのギターソロが決まる度にヘッドホンをしながら悶絶します。わたくしは何かに付けてフラワーキングスの来日を逃しているので今度こその思いがございます。頼む。来てくれ。 Banks of Eden/ The Flower Kings