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米国関連情報 (2)コミュの125.熟練技能とチームワークで復活する米製造業 中国の優位性薄れ、米国に製造拠点を回帰する動き

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 米国の工場労働者に未来はあるか? デビッド・ローズ氏は「ある」と思っている。筋骨隆々の体に刺青を入れた、サウスカロライナ州出身のこの男性は、同州ピエモントにある米ゼネラル・エレクトリック社(GE)のグリーンビル・エアフォイルズ工場で、重要な仕事を担当している。

 ローズ氏の担当業務の一つは、コンピューター制御の工作機械を駆使して、航空機のジェットエンジンに使用される長さ3インチ(約7.5cm)のタービン翼に、熱処理で小さな冷却孔を開けることだ。各タービン翼に開ける冷却孔は300個、その直径はほとんどどれも人間の髪の毛よりも細い。冷却孔は回転するタービン翼を冷たい空気の膜で被うように設計されていて、この処理を施したタービン翼は約1650度の燃焼排ガスを浴びても溶けない。

時間給労働者にも権限与えるGE工場

 時給31ドル(約2500円)と賃金は良い。だが、ローズ氏が気に入っているのは、労働組合に加わっていないこの工場における権限委譲の形である。同氏のような時間給労働者のチームにも、新メンバーを選ぶ権限が与えられているのだ。採用者を決めるにあたり、まず時間給労働者たちが応募者を面接する。チームに分けてオモチャのブロックでヘリコプターを組み立てる課題に取り組ませ、その作業ぶりを観察する。

 各チームは、それぞれが作業工程を調整し、障害を取り除き、生産性を最大化するために最適と思えるやり方を工夫する。このほど、2つのチームがタービン翼の洗浄スピードを上げる方法を個別に提案した。工場長はどちらか一方の方法だけを採用するのではなく、それぞれのチームが自分たちの方法で作業するのに必要な設備の購入を承認した。

 「これまでに従事した仕事では給料の額だけが重要だった。だが、ここでは、権限を与えられているという実感がある。かつての職場のどこよりも、ここがいちばん良いと思う」。34歳で妻と4人の子供がいるローズ氏はそう語る。

 米国の製造業は今でも国内総生産(GDP)の11.7%を占めている。しかし、米国の工場労働者が職を維持することは容易ではない。企業は、世界のどこにでも好きなように工場を移すことができる――GEの製造部門の従業員のほぼ半分は米国外にいる。世界総売り上げのほぼ半分は国外である――。米国の労働者が雇用を維持する唯一の方法は高度な技術を身につけ、生産性を高めることだ。こうすることで、韓国や中国、メキシコのライバルより3倍は高い賃金を正当化できる。

 米国人が高い賃金を獲得するには、低賃金の国ではこなせない高度な技術を駆使する製品に特化し、サウスカロライナ州のタービン翼工場が実践しているような創意工夫やチームワークを武器に、外国のライバルに打ち勝つ必要がある。

人件費の上昇と人民元高で中国の優位性が弱まる

 ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が5月5日に発表した調査レポートは、今後5年間で米国に「製造業の復興」が訪れると述べている。BCGは、米国に対する中国の賃金上の優位性は弱まっていると見る。中国本土の平均賃金は年率で約17%上昇している。人民元高も進んでいるからだ。そして「順応性を高めている」米国の労働力は、非組合員の賃金や手当てを受け入れている。また、州政府や地方自治体政府もさまざまな優遇措置を講じて工場誘致に取り組んでいるという。

 BCGは、生産性を考慮して米国の賃金に換算すると、中国の平均賃金は2015年、米国の44%に達するという。2010年には米国の31%だった。上海周辺の揚子江デルタ地帯の賃金と、米国で最も低いミシシッピ州の製造業労働者の賃金とを比べると、その差はさらに縮まる。2010年にミシシッピ州の48%だった中国沿岸部の賃金は、2015年には69%になる。

2011年5月18日(水)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20110516/219988/

しかも賃金がすべてではない。中国は、米国の市場から遠く離れている、コミュニケーションが円滑に進まない、知的所有権保護が甘いといった弱みを抱えている。BCGパートナーでパートナを務め、今回のレポートの主要な執筆者となったハル・サーキン氏は、米国から中国に製造拠点を移すことは「今後は、簡単に決められることではなくなっていくだろう」と予測する。

 BCGは、中国が低賃金という優位性を失うことは、メキシコにとっても有利になると予測している。同レポートは、中国は「今後も主要なグローバルプレーヤーであり続ける」が、中国国内の市場と西ヨーロッパ市場向けの製品の割合が増えると予測する。

フォードなどの優良大手企業が一部工場を米国内に戻す動き

 米国にとって良い兆しが見えている。キャタピラー(CAT)やフォード・モーター(F)、NCR(NCR)のような優良大手が、海外での事業拡大は継続しつつも、一部の製造部門を国内に戻すと発表しているのだ。

 とはいえ、米国製造業の復活は必ずしも雇用の拡大をもたらすわけではない。高効率企業はより少ない人員で生産活動をこなすようになるからだ。現に、 米連邦準備理事会(FRB)の製造工業生産指数は13%上昇しているのに、雇用者数は直近の最低値からわずか2%増加しているだけだ。大卒ではない人々に開かれたキャリアのうち、最も賃金が高いのが工場労働である以上、これは不幸な状況だ。

 だが、仮に雇用増がなくても、工場生産高が増加すれば米国経済は息を吹き返すはずだ。米国は貿易赤字を減らし、工業製品の輸出を増やして、諸外国に対する負債を返済する必要がある。万事が順調にいって景気が回復すれば、製造業から締め出された労働者は雇用が増えている部門で職に就ける。現に農業ではこうした変化が生じている。農作業の効率向上にともない、農家の子息は家業に従事する必要がなくなり、全く別の分野の職業を選択できるようになった。

 米商務省経済分析局のデータによると、製造業に従事する雇用者数はピーク時1979年の1970万人から41%減少している。だが、国内総生産に占める製造業のシェアは変わっていない。

 その一方で、「製造業部門は雇用者数だけでなく、生産高も減っている」と懐疑的な見方をする人々もいる。シンクタンクの情報技術・イノベーション財団(ITIF)が4月26日に発表した「国の製造業戦略の実情」というタイトルのレポートは、商務省が「石油精製産業」と「コンピューター及びエレクトロニクス産業」の2つの産業の生産高を実際以上に水増ししていると批判している。そしてこの2産業を除くと、2000年から2009年までに、GDPに占める製造業の割合は大幅に減少しているはずだと主張している。同財団のロバート・アトキンソン代表は、「(製造業は)復興に向かってなどいない。そもそも復興など起きていない。実際の生産高を維持するだけで精一杯の状態だ」と手厳しい。

 これに対し、経済分析局のエコノミスト、リック・ストラスナー氏とニコール・メイヤーハウザー氏は、5月3日に行われた会見で、同局のデータは確かだと断言した。非営利の労働力戦略センターのジュリアン・アルシッド理事は、この論争は的外れだと指摘する。「製造業が下り坂にあろうが、回復に向かっていようが、その規模は今も大きい。どの点から見ても、製造業は重要な分野なのだ」。

 ピエモントのGE工場に再び戻ろう。この工場には、その成功を参考にしようと、GEのほかの工場から見学者がやって来る。工場長のブラッド・ブラウアー氏は、見学者の応対と成長戦略の立案に追われている。GEのジェフリー・イメルトCEO(最高経営責任者)は、3月31日にワシントンで行った演説の中で、「我々は製造業分野で偉大な足跡を確実に残す必要があった」と述べた。

 このほどブラウアー氏は、オハイオ州シンシナティにあるGEアビエーション本社を説得し、今は別会社にやらせているタービン翼にコーティングを施す作業用機械の購入費3000万ドル(約24億円)を拠出させた。この決定に伴い、前出のデビッド・ローズ氏らの仕事量は増えることになる。ブラウアー氏は「この工場で働き始めた当初は、与えられる仕事をこなせるようになるまで5年程度はかかると思った。だが、実際には1年で、ほぼ確実に処理できるほど能力が高まった」と語る。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20110516/219988/?P=2

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