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FINAL OKINAWA FANTASYコミュの2

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2


生意気な奴



海岸線を朝から歩きっぱなしで、そろそろ昼食でもとろうかと相談していた時だった。
「ん?誰か倒れてないか?」サクーンは目を細めて遠くを見ている。

「ほんまや。助けに行こうぜ。」ヘイオスは先頭を切り、倒れている人に向かって走った。三人も続く。

「はぁ、はぁ。だ、大丈夫か?」ヘイオスは息を切らながら、倒れている人の体を起こした。
「うぅ。すまない。み、水をくれないか。」
倒れていた男は、まるで難民のように体が痩せ細っていた。
「ほら水だ。飲め。」ヘイオスが水を差しだす。男は一心不乱に水を飲む。

「助かったよ。ありがとう。」水を飲み干した男はヘイオスに礼を言った。
「大丈夫かぁ?」トゥーマコたち三人は遅れて到着した。
「うわぁっ!キジムナーかと思った。しかます。」サクーンは男を見て驚いた。
「キジムナー?」トゥーマコは意味がわからない。
「キジムナーっていうのはウォキナワに古くから伝わる妖精のことさ。たしかに、教科書とかに載っている絵にそっくりだな。」ヤラキは説明をしつつも、サクーンが驚いたことにも納得という様子だ。

「キジムナー、キジムナーってうるさいなー。俺にはセイゴンって名前があるんだよ。」
男の名前はセイゴンというらしい。
「で、セイゴンはなんでここで倒れてたんだよ?この辺のやつなのか?」ヘイオスが聞く。
「俺はナーファの町の人間だ。っていうか、ここはどこだ?」セイゴンは困惑している。
「ここは北部寄りの中部のオンナの村だ。ナーファの町といえばウォキナワの南部じゃないか。相当離れているはずだが。」ヤラキが答える。
「ここはオンナの村なのか?なんでこんなところにいるんだろう。とりあえずナーファに帰るか。」セイゴンは助けてもらった礼も言わずに歩きだした。
「待ってくれないか。」トゥーマコがセイゴンを呼び止めた。
「実は俺たちはある理由でウォキナワに伝わる伝説の武具を探しているんだが、南部の地域にそんな噂のある場所はないかな?俺たちは南部に土地勘がないから、何か知っていたら教えて欲しいんだ。」
「南部はウォキナワの中でも遺跡や伝説が多くの残る場所だから、伝説の武具ってやつがある可能性は高いんじゃないかな。そんなに俺の力を貸してほしいなら、お前らについて言ってやってもいいぞ。」セイゴンはピノキオのように鼻を伸ばして調子に乗った。
「キー!ムカつくやつだぜ。難民みたいな体つきしてるくせに。負け犬のくせに吠えてるんじゃねーよ!助けてもらった恩も忘れやがって。」ヘイオスは今にもセイゴンに殴りかかりそうな勢いだが、サクーンが必死になって押さえつけている。
「負け犬だと?どこが負け犬なんだよ?」セイゴンは負け犬と言われることに反応した。

そんな犬猿の仲のような二人の間に割って入ったのがヤラキだった。
「まぁまぁ二人とも落ち着け。セイゴンはとりあえずナーファに向かうんだろ?俺たちも南部に向かって行く予定だから、一緒に行こうぜ。」
「ヤラキの言うとおりだ。セイゴン、今ウォキナワは得体のしれないやつらに狙われていて、やつらはもうウォキナワに侵入してきている。一人で旅をしていては危険だぞ。」トゥーマコの話を聞き、セイゴンの顔は青ざめ出した。
「そうそう、サクーンみたいにやられちゃうかも。」ヘイオスはニヤける。
「コラ!おまえは誰の味方なんだ?」サクーンは鼻をピクピクさせている。

「まっ、一緒に行こうぜ。損はないからよ。」ヤラキはセイゴンの肩をポンと叩いた。

「しょうがないな。一緒に行ってやるぜ。」セイゴンは不満そうな顔をしながらも、一人旅が心配だったので、内心ではホッとした。

「やっぱ旅をするなら、大勢が良いな。なんかワクワクする。」ヤラキは人数が増えて嬉しいようだ。
「へっ、俺たちの足を引っ張るなよ。負け犬セイゴン。」ヘイオスがにらむ。
「負けねーよ。」セイゴンは華奢な体を大きくする。
「喧嘩したら晩飯は抜きだぞ。」トゥーマコが二人を注意する。途端に二人はおとなしくなる。

「そろそろ行こうぜ。おっしゃ、しゅっぱーつ!」サクーンは叫んだ。

セイゴンを仲間に加えた一行は、海岸線をさらに南へ向かう。



試練の時



「セイゴン、ここから一番近い伝説の武具がありそうな場所って心当たりはあるのか?」トゥーマコは尋ねる。
「それだったらたぶん、フテンマン神宮だ。」
「たしかあの神主もそんなこと言ってたな。ここから近いのか?」サクーンがセイゴンに聞く。
「今いる場所がオンナの村だ。で、もう少し南に行くとヨミタの村。で、さらに南に行くとタンチャの町だ。で、タンチャの町から少し島の内側に行くとギノンワってとこに着く。そこにフテンマン神宮がある。」
「な、なんかすごい名前の町ばっかりだな。頭の中がこんがらがるぜ。」ヘイオスは困惑している。
「もうけっこう歩いているから、オンナの村も抜けるはずだ。みんなもう少し頑張ろうぜ。」ヤラキがみんなに声をかける。

それから5人は野宿をしつつ、二日間歩き続けた。そして、歩き続けて三日後の昼、ギノンワの町に辿り着くのだった。

「ヘトヘトだぜ。今日はフテンマン神宮まで行かないでもう休もうぜ。疲れた〜。」サクーンはバテバテだ。
「休みたいところだが、もしかしたらフテンマン神宮ももうすでにファットバギーに目をつけられているかもしれない。今日のうちに武具があるか見に行こうぜ。」トゥーマコはサクーンをなだめた。
「そうだぞサクーン。休んでる暇なんかないぞ。」
「なんだとヘイオス。お前のほうが先に休もうとしていたじゃないか。」
「二人とも、喧嘩はするなよ。」ヤラキが止める。
「ところでファットバギーってなんだ?」セイゴンが聞いた。
「そういえば話してなかったな。ファットバギーってのは俺たちの敵で、伝説の武具を集めて世界を征服しようとしている悪い奴なんだ。」サクーンが説明した。

「だから伝説の武具を探しているのか。だいたい事情はわかった。俺も協力するぜ。」セイゴンが答える。
「やけに素直だな。お前らしくないな。」ヘイオスは感心している。
「別に。いつもどおりだけど。」平静を装うが、セイゴンの鼻は伸びている。まるでピノキオだッッッ!!
「フテンマン神宮まであと少しだ。俺が案内するぜ。着いてきな。」
一同は調子の良いセイゴンを先頭に、フテンマン神宮に向かって急いだ。

しばらく歩くと小さな鳥居が見えた。
「はぁはぁ。さあ着いたぞ。」セイゴンが指をさした。その先にはとてつもなく長い石の階段が続いている。
「みんなきついと思うけど、あともう少し頑張ろうぜ。」ヤラキはみんなに笑顔で語りかける。
「よし、行くぞ。」トゥーマコは先頭を切って階段を昇った。
四人も続く。


「ダメだぁ。もう限界。」サクーンの顔は苦しそうだ。
「あともうちょいやんけ。頑張ろうぜ。」ヘイオスが励ます。
「頂上だ。みんな頑張れ。」トゥーマコとヤラキは階段を昇り切った。遅れて三人もへとへとながら昇り切った。

「ふぅ。見ろ。向こうにでかい建物があるぞ。」ヤラキは神殿を見つけた。
五人は疲れた足取りで神殿に向かった。
「なんか人いなくね?」サクーンは辺りを見渡した。たしかに人のいる気配は全くと言っていいほど感じられない。
「おいセイゴン。なんもないやん。」ヘイオスがセイゴンに詰め寄る。
「そ、そんなこと言われても。」
こいつ、今さら責任放棄するのか?どうしようもない負け犬だな、とヘイオスがぶちキレかけたそのときだった。

「お兄ちゃんたちここで何しているの?」
神殿の影から小さな女の子が顔をのぞかせている。
「君はここの子なのかい?ほかに人はいないのかい?」トゥーマコが尋ねた。
「あたし以外ここには人いないよ。それより、あたしと縄跳びして遊ぼう。」女の子は五人に駆け寄る。
「お譲ちゃん、僕らは伝説の武具を探して旅をしてるんや。悪いけどお譲ちゃんと遊んでいる暇はないなぁ。」

「いじわる。あたし、伝説の武具のあるところ知ってるよ。」
一同、女の子の発言に驚く。
「それ俺たちに教えてくれないか?」ヤラキは優しくお願いした。
「良いけど、あたしと縄跳びしてくれないと教えないよ。」女の子は頑固そうな顔をしている。
「しょうがないな。じゃ遊びますか。何して遊べばいいの?」サクーンは渋々やる気を出した。
「簡単だよ。縄跳びの二重跳びを連続十回、全員が跳べたら教えてあげる。」

「しゃあないな。じゃ、俺からいかせてもらうわ。こうゆうのは昔から得意なほうやからな。」一番手はヘイオス。一発でクリア。続いて、何回か失敗しながらも、トゥーマコ、ヤラキも無難にクリアしていく。
「俺あんまり自信ないけど。」セイゴンも時間がかかりながらも、なんとかクリアした。が、跳んでいる最中ヘイオスは笑いっぱなし。
「見た?あの必死な顔。ぷぷぷ。ほんまおもろいわ。」悪魔のような男だ。
そして残すところはサクーンのみとなった。ここから、悪夢のような展開になろうとは誰が想像しただろうか。



男たちの信頼



「サクーン頑張れよ。落ち着いてやれば大丈夫だからな。」ヤラキが声をかける。
「お、おお。」サクーンは自信のない返事を返す。
「サクーンの跳ぶところもおもしろそうやな。」ヘイオスはもう一笑い出来ることを喜ぶ笑いを必死にこらえていたが、笑うことはなかった。いや、笑えなかった。

サクーンの番になってから何時間経ったのだろう。まだサクーンは終わらない。

「もぉ〜サクーンいつまでかかっとんねん。」ヘイオスは足をバタつかせる。
「えーい、気が散る。声掛けるな。俺はこういうのは昔から苦手だったんだよ。」サクーンは笑えないほど跳べなかった。日も暮れ出している。
「サクーン頑張れ。あと少しだぞ。」トゥーマコが必死に声をかける。
「大丈夫、大丈夫。落ち着け。」ヤラキも祈るように声援を送る。
しかし、縄に足をとられて失敗してしまう。
「またかよ。しっかりせーや!」ヘイオスは苛立っている。

「ふふふ。」女の子が笑っている。
「何がおかしいんねん。」ヘイオスは女の子をにらみつける。
「おい、ヘイオス。」トゥーマコが止める。

「お兄ちゃんたちって、伝説の武具が欲しいんじゃないの?伝説の武具はその一つ一つが強大な力を持っていて、使う人次第で、人を救う力にもなるし、逆に人を苦しめる力にもなるのよ。だから、伝説の武具を持つ人は綺麗な心を持っていなければいけないの。そして、もっとも大切なのは諦めない勇気があることよ。」

「偉そうに言いやがって。おいサクーンこんなガキに負けていいのか。もっと頑張らんかい。」ヘイオスはサクーンの気持ちを奮い立たせようと必死だ。

「わかってる。」

それから何回跳んだのだろうか。まだサクーンは終わらない。だが、男たちはすがすがしさを感じていた。
「サクーンもう少しだぞ。」
「頑張れ。」
「リズムを大事にしようぜ。」
「お前なら出来る。大丈夫だぞ。」
サクーンを応援するトゥーマコたちの顔は充実感に満ちていた。
「おお、任せておけ。」サクーンもみんなの声援を無駄にしてはいけないと、必死になる。
すでにサクーンの体力は限界だったが、諦めない心と仲間の信頼がサクーンの体を動かしていた。
そしてついに、
「8、9、…10。やったぁ〜。」
ついにサクーンはクリアした。その瞬間男たちは喜び、抱き合った。
「やったなサクーン。」
「俺だってやれば出来るんだよ。」サクーンが渾身のガッツポーズをする。
「信じていたぞ。」

男たちは無邪気に喜びあった。



手に入れたもの



四人はサクーンを胴上げして、喜びを爆発させる。一通り喜んだところで、五人は女の子の方に振り向いた。

「さてと、サクーンもクリアしたことだし、伝説の武具がどこにあるか教えてもらおうか。」トゥーマコは女の子に詰め寄った。
「そんな怖い顔しないでよ。ちゃんと約束は守るわ。あなたたちの勇気この目で見せてもらったわ。あなたたちなら世界を救えるかもしれない。」
「え?」

「最後に勝つのは勇気ある者だから、あなたたちを試したの。伝説の武具の一つ、グリンガムの鞭はあなたたちに任せたわ。」
女の子は次の瞬間、姿を小さな光に変えた。光はサクーンの持つ縄跳びに向かって飛び、縄跳びの中へと入っていき、強烈な光を発した。そして、光の中から先端が三つに別れた鞭が現れた。

「何なん今の?夢か?」ヘイオスはたった今起きた出来事を信じられない様子だ。
トゥーマコもヤラキもセイゴンも呆気にとられポカンとしている。
「夢じゃないぜ。」サクーンが答える。
サクーンの手にはグリンガムの鞭がしっかり握られていた。

「うーん、ってゆーことは、あの女の子は幽霊?うわっ、やばいじゃん。」セイゴンはびびっている。
「幽霊なわけないだろ。たぶん、フテンマン神宮の守り神だったんじゃないか。たぶんそうだ。」ヤラキは納得の表情。
トゥーマコも続く。「俺もそうだと思う。俺たちを信じてグリンガムの鞭を託してくれたんだ。」

「一番凄いのはサクーンが二重飛び十回出来たことやけどな。」ヘイオスはニヤケ顔。

「いや、ほんとに。自分自身ここまで出来たことにびっくりしてるよ。でも一番効いたのはお前らの声援かもな。ありがとよ。」サクーンは四人に礼を言った。

ヘイオスは拍子抜けした顔をしている。サクーンに感謝されるとは思っていなかった様子だ。

「へへ。まっ、仲間だからな。」ヘイオスは照れながらもサクーンに答えた。

「さぁ、日も暮れてきたし今日は宿にでも泊まろうぜ。階段下るの面倒くさいけどな。」トゥーマコは苦笑いしながら、みんなを誘った。

五人はくたくたになりながら、階段を下り、宿にたどり着いた。疲れ果てていたのか、五人はご飯を食べて、風呂に入るとすぐに眠った。

そして、夜が明けた。



ウラッソの町へ



朝になり、サクーンとヤラキが宿のロビーで話をしている。
「体が全身筋肉痛だぜ。痛すぎ。」サクーンは昨日の縄跳びで体が筋肉痛だ。
「俺も筋肉痛とまではいかないが、かなり体が疲れてるな。」ヤラキの顔にも疲れが残っている。

「おはよう。俺も体がキツいぜ。」トゥーマコも起きてきた。
「ヘイオスとセイゴンは?」ヤラキが尋ねる。
「まだ寝てたよ。あの様子じゃ、まだまだ起きないな。」トゥーマコが答える。
耳を澄ますと、奥の部屋から大きないびきが聞こえてくる。

「考えたんだけどよ、あと二、三時間ゆっくりしてから出ようぜ。みんな疲れが溜まってるからな。」サクーンが提案した。
この提案はすぐに通った。みんな疲れていたからである。昼前に出発時間をずらし、みんなが休んでいる間にトゥーマコは宿の女将にこの先の伝説の武具に関わりがありそうな場所や、ナーファまでのルートを確認していた。宿を出て順調に進めば、ナーファの手前の町、ウラッソに着くらしい。ウラッソまで行く頃には日が沈むので、またそこで宿をとれば、翌日の昼にはナーファに着くという話を聞くことが出来た。今日のルートはわりと短めだが、疲れが溜まっている一行にはちょうどいいものだった。途中、名物のタコライスを食べていくと良いと言われたので、今日の昼ご飯はそこでとることにした。

トゥーマコはみんなを起こし、日程の確認と、準備をした。
ロビーに全員が集まる。
「おっしゃ、早くその何とかライス食べようぜっ!」ヘイオスはたくさん寝たので元気だ。

「タコライス食べたことないのか?俺たちはけっこう食べるよな。」セイゴンはヤラキとサクーンに聞く。
「だな。俺のおっかぁもけっこう作ってくれるぜ。」サクーンが答える。
「そういえば、タコライスはウォキナワだけって話聞いたことあるぜ。」ヤラキは思い出したように言う。

「そうなのか。なんか楽しみだな。じゃ、タコライス目指して出発しようぜ。」トゥーマコが先頭を切り歩きだした。みんなも続く。

一行はギノンワの町を南に行く。

宿の女将に教えてもらった目印の黄色い看板の古本屋に向かって一本道を一時間ほど歩くと、目印の古本屋が見えた。向かいには『元祖タコライス』と書かれた大きな看板が見えた。ここのようだ。一行は中に入りタコライスを食べた。トゥーマコとヘイオスには馴染みのない味だったが、新鮮で美味しかった。昨日の疲れが残っていたが、タコライスを食べ終わる頃にはヘイオスがサクーンにホットソースをかけたりするなど、いつもどおりの光景が広がっていた。
五人はお腹を満たし、ギノンワの町をウラッソに向かって歩き続けた。

「おいセイゴン。ウラッソの町には詳しいのか?」ヘイオスが聞く。
「そこまで詳しいわけじゃないけど、たしかこのまま真っ直ぐ行くとバックレ街っていう、買い物とか出来るとこがあるはず。今日はそこで夜ご飯食べるのはどう?」

「そこで良いんじゃないか。」ヤラキは賛成している。他のみんなも賛成した。
歩き続けて日も暮れだしたころ、人の活気がある場所に着いた。どうやら、ここがバックレ街のようだ。

バックレ街はとても賑やかだ。屋根こそないものの、ナーゴの町にあったジャコスのように何でも揃うといった感じだ。若干ジャコスより飲食店の数は多いかもしれない。

「なんかいろいろある感じだな。」ヘイオスは目を輝かせている。
「お前が気になっているのはあっちにいる女の子だろ。」セイゴンがツッコミを入れる。
「たしかに。」あとの三人は納得のうなずき。
「うっさいわ。」ヘイオスは顔を赤らめた。

「店が多いな。どうするトゥーマコ?」ヤラキがトゥーマコに聞く。
「これだけ広いところだし、それぞれ好きなものを食べれば良いんじゃないか。あと、武器や薬草も手に入りそうだし、自分に合う道具も選んで、ナーファに乗り込もうぜ。」
「それ賛成。俺に合う武器探そっ。」サクーンはニヤリ。
「でも転けたら意味ないけどな。」ヘイオスがチクリ。

「オッケー。じゃ、みんな後でここに集合ってことで、よろしくな。」ヤラキがうまくまとめた。五人はそれぞれ晩ご飯と道具の調達に行くことになった。


新たな仲間


二時間ほど経ち、五人は集合場所に集まった。

「ふぃ〜。食った。食った。オート屋っていう定食屋が美味かったぜ。」サクーンはお腹をパンパンにさせている。
「疲れも残ってるし、もう寝ようぜ。」セイゴンは眠そうだ。
「セイゴン、残念だけど今日は野宿だ。けっこうお金無くなってきてる。」トゥーマコは苦笑いをする。
「ええぇーーっ。」みんなが残念がる。
「そんなこと言ったって、お金ないんだからしょうがないだろ。これからナーファにも行かなきゃならないし、今日どっかに泊まるなら、明日の朝食抜きだぞ。」トゥーマコがみんなをなだめる。
「しゃーないな。じゃ、野宿出来そうな場所探そうぜ。」ヤラキは切り替える。
しぶしぶ野宿の場所を探そうとしていた、その時だった。

「キャーッッ!」
バックレ街に女の子の悲鳴が響き渡る。

「女の子の声だ!」ヘイオスは一番に悲鳴が上がった方向に走りだした。四人も遅れて着いていく。

ヘイオスが人を掻き分けていくと、そこにはチンピラ一人に絡まれている女の子が。「お姉ちゃん、俺と一緒にお茶してくれるだけで良いんだよ。」チンピラは嫌がる女の子にナイフを突き付けている。
周りで見ている人だかりは助けようともしない。しかし、その光景がヘイオスの心に火を点けた。
「嫌がってんだから、手を離せ。」ヘイオスはチンピラ向かってに突っ込んだ。チンピラはヘイオスに体当たりされて、ひるんでいる。
「な、なんだてめえは?」
「お前みたいなクズ見てると黙ってられないんだよ。」ヘイオスは燃えている。
「クズ呼ばわりしやがって。邪魔するなら、殺してやるぜ。」チンピラはヘイオスに襲い掛かった。が、次の瞬間。
「おりゃぁぁ。」
ヘイオスの見事な一本背負いが炸裂した。
「あっがぁー。」チンピラは痛みで動けない。

「大丈夫ですか。お嬢さん。」余裕でチンピラを倒したヘイオスは、女の子に優しく手を差し伸べる。
「あ、ありがとうございます。」
「今日この後暇だったら、僕と…。」
「くっそー。お前覚えていろ。兄ちゃんに言ってぼこぼこにしてもらうからな。覚悟しておけ。」チンピラは足早に逃げ去った。
「ちっ。負け犬が。」ヘイオスは逃げるチンピラをにらみつけた。ヘイオスは気をとりなおして、振り返り女の子に話しかける
「あ、もし今日この後暇だったら、僕と…。」
その時、人だかりの中から男が出てきた。
「あっ、すいません。彼女を助けてもらってありがとうございます。さぁ、デートの続きをしようか。」
「うん。ありがとうございます。」男と女の子は足早に去っていった。彼氏持ちだったようだ。

ヘイオスは唖然とした表情。
それを見ていた四人は爆笑している。
「お前がやる気を出したから、何があったのかと思ったぜ。まぁ、残念だったな。」サクーンは笑いながらヘイオスの肩を叩いた。
「くっそー。」ヘイオスは相当悔しい様子だ。
「最後の最後でおもしろいもの見せてもらったな。さっ、場所探して野宿しようぜ。」トゥーマコは笑いをこらえながら話を変えた。
「今日は星でも見ながら外で寝ますか。」ヤラキは野宿が好きな様子だ。五人が野宿する場所を探そうと歩きだそうとした時、後ろから声をかけられた。

「あの、すみません。突然ですが、仲間に入れていただけないでしょうか。」
振り向くとセイゴンと同じような背丈の男が立っていた。

「俺、フィロヤって言います。今のチンピラやっつけたとこ見て、感動しました。見たところ、旅をしているようですが、是非仲間にいれてもらえないですか。俺、自分を変えたいんです。」
「けっ。男には興味ねぇんだよ。さっさと寝ようぜ。」ヘイオスが突き放す。
「えっ、ちょっと待てよ。話だけでも聞いてあげようよ。」セイゴンがヘイオスをとめる。
「セイゴンの言うとおりじゃないか。話聞くだけ聞いてやろうぜ。」ヤラキがなだめる。
「俺の名前はトゥーマコ。フィロヤはなぜ自分を変えたいんだ?」
「実は…。」フィロヤは経緯を話しだした。
フィロヤには兄がいる。フィロヤの兄はやんちゃで、どこに行ってもやんちゃなやつの弟として見られるのが苦痛なのだという。そんな自分を変えて、一人の男として一本立ちするために、旅の仲間になりたいというのだった。
「事情はわかった。だが、俺たちの旅も訳ありなんだ。」トゥーマコはフィロヤに旅の経緯を話した。
悪の魔の手から世界を救う。フィロヤは話を聞いて怖気づいたが、同時に自分を変えていくには、大変なことでも乗り越えて行くことが必要なことも理解していた。フィロヤの顔は迷っていた。
「迷う必要なんてない。俺たちと一緒に来いよ。」声をかけたのはヘイオスだった。
「俺の兄貴もやんちゃ過ぎだったから、俺はお前の気持ちわかるぜ。お前はお前だし、みんなで助け合えば、乗り越えていけるさ。」ヘイオスは照れくさく笑っている。
「明日はいよいよナーファの町だ。フィロヤも早く寝ないと明日起きられないぞ。」ヤラキも優しく声をかける。
「決まりだな。」サクーンも笑っている。

「ありがとう。頑張るぜ。よろしく。」フィロヤが頭を下げる。
フィロヤが六人目の仲間に加わった。



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