ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

FINAL OKINAWA FANTASYコミュの17

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

17



思いの重み



トゥーマコとヘイオスがシゼンカーンの部屋で寝ていると、扉がノックされる。二人とも目を覚ますが、ヘイオスは断固として起き上がらない。仕方なく起き上がり、トゥーマコが扉を開けると、そこにいたのは実行委員の男だった。
「あの〜、早くテント片付けてほしいんですけど。とりあえず今日はウォキショー学園に持っていかなくて良いんで、この部屋に置いといてください。急いでくださいよ。じゃないと僕らが学校に怒られるんで。」男はイライラをぶつけるようにトゥーマコに話す。
「いや、ちょっと待ってください!責任者の委員長がいないから、わからないって言っていたのに、この扱い方は酷いんじゃないですか?」トゥーマコは抗議する。
「とにかく早く片付けてください。さっき籠球部の部室に行ったんですけど、誰もいなかったんですよね。あなた籠球部の知り合いの方でしたよね?籠球部のテントも片付けてほしいんですけど。では。」そういうと、男は有無を言わさず、立ち去っていった。
トゥーマコは唖然として立ち尽くす。
「なんやねんあいつ。ふざけやがって。」ヘイオスは話を聞きイライラしている。
「籠球部はみんな午後から用事があるって言って帰ってしまったから、俺以外はいないのに。なんてことだ…。」トゥーマコは茫然自失だ。
「俺らだって、さっきあいつら鍋返しに出ていったばっかりやから、あと一時間以上は帰ってこないで。あんなでかい物、一人で何とかなるわけないやん。」ヘイオスは怒りを通り越して冷静になっている。
二人が突っ立っていると、ジョータがシゼンカーンの部屋の前を通りがかる。
「もしかして、君たちのところも?」ジョータは二人の顔を見て察する。
「ありえへんよ。完全にふざけてる。」ヘイオスが不満を口にする。
「だけどもう、他の団体も人数が少ないながらも、片付けを初めているからね。僕たちもやるしかないよ。」ジョータはあきらめている。
「じゃあ、困っている者同士協力しよう。一人では絶対無理だし、三回分になるけど、三人で一つずつ片付けをするっていうのはどう?」トゥーマコが提案する。
「それが良いと思う。うちも借りた揚げ物用の器材を他のメンバーが返しに行っていて、いつ帰ってくるかわかんないから。」ジョータは賛成だ。
「しゃっ、やるだけやってやるぜ!しばくのはその後や!」ヘイオスは目を細める。
「ぶっそうなこというなよ。」トゥーマコが注意する。
「俺らに落ち度があるか?とりあえず、片付け終わらせてからや。」ヘイオスが走る。トゥーマコとジョータも続く。

夕方。鍋を返しに行っていた四人が帰ってくる。
「あ〜、疲れた。あいつら二人は今ごろ夢の中だな。」
「勝てば官軍。じゃんけんでもね。」
「肉屋でコロッケもらえたから、俺たちのほうが良かったんじゃないか。」
「食いしん坊のトゥーマコがうらやましがりそうだな。」
呑気な男四人の声が廊下に響く。
「ん?」
シゼンカーンの部屋のドアが開いている。暑いから開けているのだろうと、中を覗く。
「おーい、帰ったぞ!えっっ???」サクーンが驚く。
「???」三人も驚く。
なんと、折り畳まれたテントがシゼンカーンの部屋にあるのだ。布団を敷いて寝るスペースなどない。
「遅かったな。もう少し早く帰ってきてくれると嬉しかったぜ。」疲れ果てたトゥーマコが四人に気づく。
「あ〜、しんど。こんななるなら、じゃんけん負けておくんやった。」げっそりしたヘイオスが話す。
「何があった?」ヤラキが尋ねる。
「なんでなんで???」フィロヤはパニック。
「二人で片付けたの?」マサーも思考が追い付かない。
「まぁ、落ち着け。トゥーマコが説明するから。」ヘイオスがトゥーマコにパス。疲れて話すのすら面倒臭いのだ。

「…っと、こういうことでさ。三人で何とかさっき全部運び終わったところなんだ。」トゥーマコが一通り説明した。
「ひ、酷い。」フィロヤが唖然とする。
「昼までって言っていたのは、向こうなのに。昼過ぎに指示を出すなんて。」マサーが怒りを覚える。
「納得いかーん!!みんなで実行委員長のところに行って、納得いくまで説明してもらおう!」ヤラキが提案する。
「賛成!!」サクーンの鼻息は荒い。
シゼンカーンの部屋を六人は飛びだす。
実行委員会のテントがあった場所に行くが、テントは片付けられていた。実行委員会の役員は大学の写実部の人間が締めていた。それを思い出し、写実部の部室に六人は向かう。
写実部の部室の前では、六人と同じように納得のいかない人で溢れかえっていた。その中にはジョータもいる。固く閉ざされた扉の前で、怒りをぶつける。
「おらー!!実行委員長出てこい!!」
「お前らのミスだろう!!」
「ふざけるな!!きちんと説明しろ!」
凄まじい怒りで、写実部の前は地獄と化している。このまま説明が為されないと、確実に暴徒が出る勢いだ。
「俺はさっき写実部の奴が話していたのを聞いたぞ!委員長は実はただの寝坊だったらしいぞ!」一人の男が話す。
「それは本当か?」
「ふ、ふ、ふざけるなよ。俺たちは寝坊したやつの尻拭いをさせられたうえに、謝罪もないのか…。」
「出てこいっ!」
「ソーマこらぁぁぁ!!」
呆れかえる者、扉を蹴る者、叫ぶ者。抑えきれない感情で、その場が埋め尽くされる。
「こうなったら力づくで扉を開けよう。もう、委員長本人が何とかしないと収まらないぞ。」トゥーマコが話す。
「よし、体をぶつけて鍵を壊そう。」ヤラキが提案する。
「みんなどけ〜〜!扉を壊すぞ〜!!」ヘイオスが叫ぶ。
サクーン、マサー、フィロヤが道を作る。
「よし!せーの…。」トゥーマコとヤラキがタイミングを取ろうとした時だった。
キィィと高い音を立て、写実部の扉が開いた。中からは、副委員長の男に付き添われた実行委員長のソーマが出てきた。
「あ、あ、あ、あの、みなさん、今日は、すいません。」震えた声でソーマが謝る。
「ふざけるな!それだけか!!」
「それで許されると思ってるのか?」
「お前のミスなのに、なんで俺たちにはあんな態度なんだよ?」
「一人で片付けていたやつもいたんだぞ!」
「そうだ!手伝いもしないで、謝るだけで許されると思っているのはおかしいだろ!!」
収まらない怒号。収まるわけもない。ソーマは耐えきれずに泣きだした。
「おいおい。泣いて許されると思ってるのかよ??」
「泣く前にやれることがたくさんあったろうが!!」
ソーマが泣いても、怒りは収まることはない。
だが、ここで最悪な出来事が起きる。
「ソーマ、ソーマは悪くないよ。」
「そうだよ!委員長なんて大変な仕事なんだからさ!」
「あいつらが野蛮なだけだからさ。泣かないで!」
写実部の変な女どもがソーマをフォローする。
これに周りが黙っている訳がない。一触即発の瞬間。一人の男が叫ぶ。
「ふざけるな!」
ヘイオスだった。
「みんななぁ、昨日まで大変な思いしてやってきてんねん。売り上げやったり、思い出作りであったり。委員長をやるっていうのは、みんなのその思いを背負って、良い方向に行くように全力を注ぐってこととちゃうんか。そらぁ、人間やから失敗することもあるけど、だけど、失敗してしょうがない、当たり前、みたいな言い方するのはおかしいやろ。だったら、初めから委員長だのなんだのやる資格なんてないねん。俺らの思いはどうなんねん。自己満足でやっていいことと悪いことの違いもわからへんのか。勉強したいのにお金なかったり、大学で勉強したいのに働かないといけないやつがたくさんおるのに、大学に通うお前らが、人として大事なこと出来なくてどないすんねん。テント貸してもらったんやから、片付けは俺らがやるよ。けどな、ミスったんやから、まず最初に謝らないんかい。そこで委員長が逃げたら、下につく人間はどう思う?疲れてるのはみんな一緒や。だからこそ、こんなときこそ、礼儀をしっかりせぇや!これを理解するまで、次の学校祭に関わるな。もし、適当なことを次もやってたら、俺は絶対許さんからな。最後に…、俺らみたいなのを学校祭に参加させてくれて、おおきに。おかげで良い思い出が作れたわ。そんじゃな。」
そう言うと、ヘイオスは黙ってシゼンカーンの部屋に向かい歩きだした。トゥーマコ達も、ヘイオスについて歩いて行く。
「すいません、すいません。」ソーマは泣きじゃくりながら謝り続ける。副委員長に抱きかかえられながら、部室の奥に入って行くのだった。

「おぅ!にぃにぃ、ありがとな!お前のおかげですっきりしたぜ!」
「ヘイなんとか、ありがとう!」
「俺たちも大学生らしく、勉強も頑張るぜ!」
さっきまで怒っていた人たちから、怒りが消えた。ヘイオスの情熱が変えたのだ。
歩きながら後ろからヘイオスの背中を見つめる五人は、ヘイオスの背中が今日はとても大きく見えたのだった。
シゼンカーンの部屋でくつろぐ六人。テントがあるので、いつもは広々使える部屋が窮屈だ。
「おい、見なおしたぜ。」サクーンがヘイオスを褒める。
「ふん。」シャイなヘイオス。
「あ、照れてる!」マサーが突っ込む。
「今日は男にモテモテだったな!」フィロヤが煽る。
「写実部には嫌われたな!」ヤラキが笑う。
「あ〜、お前らうっさい!!」ヘイオスがイライラする。
一同笑う。
「なんか、たくさん話したら腹減ったわ。マサカーズは帰ってしまったし、打ち上げは明日以降として、今日は飯でも食いに行くか!」ヘイオスが提案する。
「そうだな。やっと落ち着いてご飯も食べれるし。」ヤラキはノリノリだ。
「よし、行こう!」トゥーマコの号令で、一同部屋を飛び出す。

片付けを終え、学校祭の幕は閉じた。良いことも、悪いことも、全ての思いには、重みがあり、重さの分だけ思いは重い。この経験を糧に、男たちはさらに成長していくのだった。



大学潜入。



朝、雨音でトゥーマコが目を覚ます。バケツを逆さにしたような大雨だ。みんなを起こし、朝食を食べる。
「あれ?俺たちがウォキナワにきてから、初めて雨降ってるんじゃないか?」ヘイオスがトゥーマコに聞く。
「あ〜、そういえばそうだな。」
「トゥーマコ達がウォキナワに着く前まで、こっちは凄い天気だったよな。」ヤラキが思い出す。
「そうそう。てか、二人は嵐に巻き込まれたんだよな?それがウォキナワを通り過ぎていった嵐だったんじゃないか。」マサーが説明する。
「そうかも。えらい目にあったで〜。なんか懐かしい思い出や。」ヘイオスが懐かしむ。
「それにしても凄い雨だね。これじゃあ外には出られないな。」フィロヤは外を眺める。
「さすがにずっとこの強さでは降らないだろうけどな。で、今日は何する?」サクーンが鼻をピクピクさせる。
「今日はゆっくりしようぜ。学校祭で疲れたわ。暇もなくて、まだ学校祭の売り上げも数えてんし。」ヘイオスはダラダラを希望のようだ。
「あ、それ賛成。今日はゆっくりしよう。」サクーンが手をあげる。
「そうするか。今日は自由行動ってことで、みんな思い思いに過ごそうぜ。」トゥーマコがまとめた。
そこへマサカーズがやってきた。
「おはよーさん!打ち上げの日はいつになったかな?」
「まだ決めてないっすわ!」ヘイオスが答える。
「マサカーズさんにしては、朝早くないですか?今日何かあるんですか?」マサーが疑問に思う。
「だって今日から授業あるもん。まぁ、だるいんだけどね。」マサカーズが頭を掻く。
「籠球部の方とも調整するんで、夕方また来てもらえますか?その時までには決めておくんで!」トゥーマコが話す。
「おぅ、わかった。そんじゃまた来るわ。」そういうと、マサカーズは去って行った。

「そっか、今日から授業始まるんだ。」ヤラキがつぶやく。
「学校祭も終わったしね。居候の俺たち暇人だな。」フィロヤが笑う。
「大学生の生活か…。なんか興味あるな。俺、こっそり覗いて来ようかな?」サクーンが話す。
「それ、良い!!」ヤラキが食い付く。
「もう、けっこうな期間ここで生活しているのに、俺たちはここの大学のこと何も知らないもんな。面白そうだ。」トゥーマコもワクワクする。
「俺も行くよ!」マサーも乗り気だ。
「俺も!」フィロヤはもちろん乗る。
「俺はもう少し寝てから考えるから、お前ら行ってきーやー。」ヘイオスは布団に潜る。
五人は初めて授業中の大学に潜入するのだった。

五人はそれぞれバラバラに大学の中を歩く。
トゥーマコが一人で歩いていると、ベンチに座っている二人組に話しかけられる。
「ヘイ、メーン!ここで何してんの〜?」
「やー、あれだろ?学校祭で焼鳥焼いてたよな?」
「しかも、島の人間じゃないんだって〜??」
「そうだば?確かか?」
「リョーマが言ってたやし。」
「あ〜、そういえば、そんなことも言ってたな〜。」
「で、ユーはどっから来たの〜?教えてよ。俺たち外国のことに興味津々なのよ。」
「そうそう!今度留学することも決まってるんだぜ!留学する前に、外国のこともっと知っときたいやし!」
二人の勢いに圧倒されるトゥーマコ。
「いや、この島の外から来ただけで、食べ物とか、言葉とかはそんなに違わないところから来てるから、外国でもないと思うんだけど。」トゥーマコが説明する。
「な〜んだ。そっか。」
「リョーマが外国人と友達なったぜ〜、外国のやつは髪がチリチリしてたとか、言ってたから期待したのに。」
トゥーマコは頭がチリチリでヘイオスを想像する。
「でも、良い奴そうじゃん!名前何てゆーの?俺の名前はカズー。よろしく!」
「わーの名前はツグー。よろしくな!」
「俺の名前はトゥーマコ。北の国から来た。よろしく!」三人は自己紹介をする。トゥーマコは二人を特徴で覚える。黄色い服の方がカズーで、青い服の方がツグーと覚えた。
「トゥーマコは、北の国から来たんだな。けど、顔の感じはウォキナワ人に似てるね。」カズーが話す。
「それ良く言われる。親近感のある顔って。」トゥーマコは喜ぶ。
「北ってことは、やーの住んでるところは、もしかして、でーじ寒かったりして、しかもしかも、雪とか降ったりすんのか?」ツグーが尋ねる。
「おお!雪降るぜ。寒くて、息も白くなるし。」トゥーマコが地元のことを話す。
「マジか〜?」カズーが興奮する。
「ヤバい!やー、ここに座れ!もっと話すぞ!」ツグーがトゥーマコを座らす。

盛り上がる三人。三人の話は大きく花を咲かせた。意気投合する三人であった。



大学潜入。。



トゥーマコがカズーとツグーと三人で盛り上がっている頃、ヤラキは講堂で講義を受けていた。いわゆる潜りというものだ。今はウォキナワの成り立ちについての講義を聞いている。
「…という、経緯を経て、ウォキナワの独特な文化や、言語は形成されたわけです。逆に、文化や、言語の元を辿ることにより、交易をしてきた国の文化も知り得ることが出来、ウォキナワのことを知ると言うことは、世界を知る足掛かりになることと言えます。」壇の上で、丁寧に教授が説明する。
「す、凄い…。ただ何となく今まで生きてきたけど、全然知らないことばかりだ…。こんなに東の海を越えた国の文化が日常生活の中まで入り込んでいるとは。」初めて得る知識を前に、ヤラキは感動しっぱなしだ。気づいたときには、隣にいた人から筆と紙きれをもらい、熱心にメモをとる。ヤラキは勉強が好きなようだ。
講義を聞きながら、ヤラキは思う。出来ることなら大学に入って色々なことを学びたいと。

一方、サクーンとフィロヤは二人でとことこと教室を眺めながら歩く。
「やっぱ可愛い子が沢山いるな〜。」鼻息の荒いサクーン。
「あぁ〜〜、男女が仲睦まじく、勉学に励む姿は良いな!俺も学校生活を送ってみたいぜ!」フィロヤもサクーンに同調する。

「サクーン!フィロヤ!」
二人を後ろから呼ぶ声がする。二人が振り向くと、その先にはケーイがいた。
「あんたたち、こんなところで何やってんの?」ケーイが話し掛ける。
「あ?ちょっと大学生ってのを見物だよ!」サクーンがぶっきらぼうに答える。あからさまな照れ隠しだ。
「ケーイは今から授業?」フィロヤが尋ねる。
「そうだよ!次の授業のある教室に移動しようと思っていたところ。」
そこに女の子二人組が現れる。お人形さんのような可愛らしい子と、おしゃれな子の二人組だ。
「あ、ケーイ!今から行くとこ?」お人形さんのような子がケーイに話しかける。
「そうそう!てか、今日までの課題やった?」ケーイが答える。
「あたし全然出来てないよ。こんなのだと、絶対マルタに怒られるよ。」おしゃれな子が話す。
「先生何考えているかわからないからね。」ケーイも困った顔をする。
「マルタって、ガリガリで、弱弱しいくせに、偉そうな、あのマルタか?」話を聞いていたサクーンが尋ねる。
「え?サクーン知ってるの?」ケーイが驚く。
「ああ。ちょっとな。」サクーンは苦笑いだ。思い出したくもない思い出だ。

ここでケーイが異変に気がつく。
「あれ?フィロヤ大丈夫?」ケーイがフィロヤを心配する。慌ててサクーンも横にいるフィロヤを見た。サクーンは驚愕した。フィロヤの目がハート型になっているのだ。この男も、単純な男だ。
「おい、おい!フィロヤ大丈夫か?」サクーンがフィロヤの体を揺する。
「ああ。あぁ、だ、大丈夫だよ!」フィロヤが正気を取り戻す。
「この二人はケーイの友達?」おしゃれな子が尋ねる。
「うん。この前ゼミでイスガキに行った時、あたしとナルミーでタケトゥミ島に行ったんだけど、その時知り合って。」ケーイが説明する。
「ふ〜ん、そうだったんだ。あたしの名前はリィサ。よろしくね。」おしゃれな子が挨拶する。リィサと言う名前だ。
「あたしは名前はリィナ。よろしく。」お人形さんのように可愛らしい子の名前はリィナと言うらしい。この子の名前が判明した瞬間、フィロヤの体が震えた。
「俺の名前はサクーン。よろしく。」サクーンはぶっきらぼうに挨拶する。ケーイの前ではクールぶりたいのだ。
「あ、俺の名前はフィロヤ。よろしくっ!」フィロヤは小さな体を大きくして、元気に挨拶する。
それを見て、リィナがクスッと可愛らしく笑う。
フィロヤはリィナの笑った顔を見て、感無量の笑顔だ。
「じゃ、あたしたちは次の授業があるから行くね!またね〜!」ケーイが手を振りながら去っていく。リィサとリィナもケーイについていくのだった。
三人が見えなくなるまで、フィロヤは元気に手を振る。
三人がいなくなって、サクーンは悲しくなる。恋に破れた傷がまだ癒えてないのだ。だが、サクーンはまだケーイにときめいてしまっていた。
それとは対照的に、フィロヤははしゃぐ。
「はぁぁ〜。リィナか。良い名前だな〜。リィナ〜、良いなぁ〜。」フィロヤがつぶやく。
「おい、あんな可愛い子に、彼氏がいないとでも思っているのか?」サクーンが浮かれているフィロヤに話し掛ける。どこかで聞いたことのあるセリフだ。
「おいおいサクーン。そんな夢のないこと言うなよ。」フィロヤがサクーンに呆れかえる。
「けど、大学生って何か楽しそうだな。なれるものならなってみたいな。」サクーンは大学生の生活に憧れる。
「そうだな〜。将来の選択肢が増えそうだな。」フィロヤもうなずく。

大学生の生活に憧れながら、授業の様子を歩いて眺める二人であった。



大学潜入。。。




五人より遅れて、一人、大学を散策するヘイオス。中庭を歩いている。
「あいつら、本気で僕を置いて行きやがって〜。一人ぐらい僕のこと待っててくれても良いのに…。きぃ〜!」ヘイオスは強がってはいても、寂しがり屋なのだ。
「ん?なんやあれ?マサーか?」ヘイオスは広場の壁を、女の子と二人でよじ登るマサーを見つける。
「おーい、マサー!何しとん?」ヘイオスはマサーに駆け寄る。 マサーとあの女の子はどういう関係なんだ?と、妄想を膨らませ、ニヤニヤするヘイオス。
「ヘイオス!あ、今ちょっと良いところだから、少し待っていて。」そういうと、マサーはペースを上げて、さらに壁をよじ登る。そして、一番上に突き出ている石に触れると、壁から降りてきた。
「ごめん、待たせたね。」汗を掻いても爽やかなマサー。
「すごい、すごーい!初めてとは思えないですよ、マサーさん。」マサーと一緒に壁をよじ登っていた女の子も降りてきた。
「壁なんか登って、何してたん?」ヘイオスがマサーに尋ねる。
「こういう競技なんだって。この子が一人で練習しているところを、偶然俺が通り掛かって、一緒にやらしてもらったんだ。意外と難しいけど、凄く面白いよ!ヘイオスもやってみる?」マサーがノリノリでヘイオスを誘う。
「え、遠慮しとくわ。」マサーの勢いに押されつつも、ヘイオスは強引に断る。
「やってみたら楽しいって!」マサーがヘイオスの手を引っ張る。
「いいって、いいってっ!」ヘイオスは腕を振りほどく。
「本当に楽しいのに…。」残念がるマサー。
「いや、いいよ!ふぅ。マサーは他の奴らどこに行ったかわかるか?」ヘイオスは汗を掻きながら、マサーに尋ねる。
「うーん、俺は見てないな。」マサーはわからない。
「そっか。おおきに!俺はあいつら探しながら、もう少しぶらぶらするわ!」ヘイオスがマサーに礼を言う。
「俺はもう少しチャレンジしてくよ!」マサーは笑顔でヘイオスを見送る。

一人寂しく歩くヘイオス。
「マサーが女関係に関しては一番疎いと思ってたんやけどな〜。こうゆうパターンがあったか〜。マサーは純粋やし、行くとこまで行くかもな〜。それに比べて俺は……。ちっきしょ〜〜!!」一人、虚しく嘆くヘイオスであった。

ヘイオスが校内に入り、廊下を歩いていると、カズーとツグーと話すトゥーマコに出くわした。
「おぉ、トゥーマコ!こんなとこで何しとん?さっきマサーに会ったで。てか、この人たちは知り合い?」ヘイオスが話し掛ける。
「うわっ!チリチリっ!…そうか、こいつがリョーマの言っていた外国人か。」ツグーがヘイオスに反応する。
「だぁーかーらっ、こいつは外国人じゃないって、トゥーマコが言ってただろ!」ツグーにカズーが突っ込みを入れる。
「この二人はリョーマとトモヒロの大学の友達なんだってさ。こっちがカズーで、こっちがツグーだ。」トゥーマコはヘイオスに説明する。
「リョーマめ、何か余計なこと言ったみたいやな。今度会ったら懲らしめてやらんと!」ムッとするヘイオス。
「で、ユーの地元はどこなのよ?」カズーがヘイオスに尋ねる。
「僕?僕の地元はカンサーイよ!トゥーマコの北の国と、ウォキナワの中間ぐらいの場所にあるかな!ウォキナワも粉物文化発達してるけど、カンサーイの粉物はもっともっとおいしいで!」ヘイオスが語る。
「ほぉ〜、じゃ、粉もん食べ過ぎたら、俺たちもやーみたく髪チリチリぃ〜なるば?」ツグーが素朴な疑問をぶつける。
「これは自前じゃ〜!」ヘイオスが叫ぶ。
一同、腹を抱えて笑う。
「良いね!ヘイオス面白いよ!てゆーかツグー、そろそろ次の授業始まるんじゃないか?」カズーが廊下にある日時計を見る。
「あっ!もうこんな時間やし!やったーと喋ってたせいで、俺の休憩時間終わったぜ。やったーどうしてくれるば?」ツグーは悪ノリで絡む。
「えー、ツグーよ。地元のやつじゃないと、やーのそのノリわからんから、トゥーマコとヘイオスにするなっ!」カズーがツグーに対処する。
「ちっ、今回は許してやるよ。その代わり、また暇な時しゃべろうぜ!」ツグーは無愛想にして歩いていく。素直でない男だ。
「ソーリー!ツグーはいつもああなのさ。また絶対しゃべろうね。バーイ!」カズーもツグーを追い掛ける。
仲の良いカズーとツグーを、トゥーマコとヘイオスは笑顔で見送るのだった。



コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

FINAL OKINAWA FANTASY 更新情報

FINAL OKINAWA FANTASYのメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング