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連帯オール沖縄・東北北海道コミュの 除染袋150万袋の現実を超えて  飯舘村 営農再開に挑む

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東京新聞転載
【ふくしま便り】

除染袋150万袋の現実を超えて  飯舘村 営農再開に挑む

2016年3月1日


チャレンジハウスについて説明する菅野宗夫さん=福島県飯舘村で
写真
 福島第一原発の事故から五年を迎えようとする福島県飯舘村。全村避難が続くが、来年三月までの避難指示解除を視野に入れて、営農再開への挑戦が始まりつつある。汚染を克服できるのか。働き手を確保できるのか。難題が山積みだが、ひとつひとつ乗り越えていくしか道はない。再生に向けて呻吟(しんぎん)する村の今を伝えたい。
 「食べてみてください。えぐみがなくて、うまいんだ」
 菅野宗夫さん(64)は、そういってコマツナの葉をむしり、一枚を食べた。味わってみると、たしかに爽やかで素直な味だ。
 コマツナは、菅野さんが飯舘村の佐須地区の自宅前で栽培している。ビニールハウスの中に高さ八十センチほどの台を作り、中に粉砕した軽石を敷き詰めた。ここにコマツナの苗を植え、パイプから栽培養液と井戸水を混ぜて流す。天気や温度、乾燥状態などをセンサーが把握し、栽培養液の量などを決める。パソコンで遠隔操作することができ、村外に避難中で、通いで来る菅野さんにとっては、ありがたい装置だ。ほかにも汚染されていない土でホウレンソウを作っているハウスなどもある。
 名付けて「チャレンジハウス」は、村民の生業再開を支援しているNPO法人「ふくしま再生の会」(田尾陽一理事長)が作った。同会にはボランティアで研究者、医師らが参加。菅野さんの自宅を拠点に、毎週末、集まって村内の放射線値を測定したり、農作物のセシウム吸収の実証実験などを繰り返している。コマツナのハウスの装置は明治大学農学部が開発した。
 菅野さんは、チャレンジハウスでの実証実験を続ける一方で、避難指示解除前にトマトなどの本格栽培も始めようと計画している。「少しでも早く営農を再開することで村の人たちにデータを提供できるのではないか」との思いからだ。
 菅野さんらの実証実験では、土中の放射性物質はほとんど作物に移行しないことが確認されており、「作付け」「出荷」「摂取」の三つの制限が解除されれば、営農再開は可能となる。
 村復興対策課によると、解除後の営農再開希望者は百八十人ほど。愛沢伸一課長は「予想を超えて多いので驚いている。年齢的にも二十〜四十代と若い人たちもいる」と期待を持つ。
 だが難問が立ちはだかる。
 除染で出た汚染土を詰め込んだ百五十万個ものフレコンバッグだ。仮置き場の建設が間に合わず、全体の約九割以上が仮仮(かりかり)置き場に野積みされている。
 仮仮置き場とは何か。除染廃棄物を一時保管するための仮置き場は、環境省が地権者と三年間の賃貸契約を結び、住宅地から離れた場所に造る。
 ところが土地の確保が難航して進まず、仕方なく水田などを埋め立てて一年契約で借り、仮仮置き場とした。この仮仮置き場が際限もなく増殖し、一級の農地がフレコンバッグに覆い尽くされるという事態となった。
 飯舘村の場合、全農地の八分の三が仮仮置き場。中間貯蔵施設の土地確保さえ難航している現状では、増えることがあっても減る見通しはない。
 また、残された農地の質の問題もある。飯舘村の農地除染は、汚染された表土を五センチの深さではぎ取り、代わりに山を切り崩した砂を客土としてまいた。
 この方式を選んだ自治体は、被災地の中でも飯舘村など数少ない。はぎ取り方式は放射線量が下がりやすい長所がある一方で、田畑の土壌の質が極端に悪くなる。実際に同方式で除染した農地は、雨水で水たまりができるほどに水はけが悪い。
 「元の土に戻すには十年はかかる」との声も聞こえる。
 菅野さんは、こう話す。
 「この村の農業再生がどれほど大変か、想像もできないほど。それでもやり遂げる。村外の人たちにも協力してもらって、知恵と力を集めてやり遂げるんだ。そのとき飯舘の名は世界に広がっていくでしょうね。そんな夢を見ています」 (福島特別支局長)

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