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連帯オール沖縄・東北北海道コミュの田 中利幸書き下ろし論文: 核兵器と原子力発電の犯罪性 2

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二 核抑止力ならびに拡大核抑止力 の犯罪性


上記「原 子力規制委員会設置法」の法案作成の中心人物は、塩崎恭久衆議院議員で、彼は「核の技術を持っているという安全保障上の意味 はある。日本を守るため、原子 力の技術を安全保障からも理解しないといけない」と述べたと伝えられている。すなわち、核兵器を実際に保有していなくとも、 核兵器製造技術を保有している だけで「核抑止力」になるというのが、その主張の主旨である。自民党の石破茂政調会長(元防衛相)もまた、昨年からしばしば、「原発を維持することは、核兵器を作ろうと思えば一定期間のうちに作れるという<核の潜在的抑止力>になっている」と発言している。つまり、「原発停止は、すな わち核抑止力停止」を意味すると主張し、福島原発事故以来、全国で高まっている脱原発運動に対して批判の声をあげている。


日 本の為政者は戦後一貫してアメリカの「核の傘」、すなわち核抑止力に依存する「拡大核抑止政策」を国是としてきたし、すでに見た ように、自国の核兵器製造 能力の開発・維持を陰に陽に国外に示すことで「核の潜在的抑止力」を働かせていると考えてきた。日本の政治家ならびに官僚の中に は、こうした「拡大核抑止 力」や「潜在的核抑止力」の支持者が多数いるのが現状である。


原爆被 害国として核兵器の残虐性と長年にわたる被爆者の苦痛を目にしてきた日本人の中に、意識的にせよ無意識的にせよ、「核兵器の使 用」が犯罪行為であるという認識は広く共有されている。無数の市民を無差別に殺戮し、放射能による激しい苦痛をもたらす核兵器の 使用が、国際刑事裁判所ローマ規程・第7条「人道に対する 罪」(とくに(a)殺人、(b)殲 滅、(c)住民の強制移送、(k) 意図的に著しい苦痛を与え、身体もしくは心身の健康に重大な害をもたらす同様の性質をもつその他の非人間的な行為)、ならびに第8条「戦争犯罪」(とくに文民 ならびに民用物、財産への攻撃)であるという認識は、国際的にも共有されている。同時に、核兵器の使用はジェノサイド条約 (1948年国連採択の「集団抹殺犯罪の防止及び処罰に関する条約」)に違反する行為で あるという判断も、専門家の間では強く支持されている。


ところが、「核抑止力」の 保持は、実際に核兵器を使う行為ではないことから、犯罪行為ではなく、政策ないしは軍事戦略の一つであるという誤った判断が一般 的になっていると言ってよい。実際には、「核抑止力」は、明らかにニュルンベルグ憲章・第6条「戦争犯罪」(a)「平和に対する罪」に当たる重大な犯罪行為である。「平和に対する罪」と は、「侵略戦争あるいは国際条約、協定、誓約に違反する戦争の計 画、準 備、開始、あるいは遂行、またこれらの各行為のいずれかの達成を目的とする共通の計 画あるいは共同謀議への関 与」(強調:田中)と定義さ れている。「核抑止力」とは、核兵器を準備、保有することで、状況しだいによってはその核兵器を使ってある特定の国家ないし集団 を攻撃し、多数の人間を無差別に殺傷することで、「戦争犯罪」や「人道に対する罪」を犯すという犯罪行為の計画と準備を行っているという こと。さらに、そうした計画や準備を行っているという事実を、常時、明示して威嚇行為を行っていることである。核兵器 の設計、研究、実験、生産、製造、制作、輸送、配備、導入、保存、備蓄、販売、購入なども、明らかに「国際条約、協定、誓約に違反する戦争の計画と準備」である。した がって、「核抑止力」保持は「平和に対する罪」であると同時に、「核抑止力」による威嚇は、国連憲章・第2条・第4項「武力によ る威嚇」の禁止にも明らかに違反している。1996年の国際司法裁判所ICJの 『核兵器の威嚇・使用の合法性に関する勧告的意見』も、その第47項において、「想定される武力の使用それ自体が違法ならば、明 示されたそれを使用する用意は、国連憲章・第2条・第4項で禁じられた威嚇である」と明記している。


核兵器の使用は大量殺戮と 広域にわたる環境破壊、最悪の場合は人類破滅という結果をもたらす徹底的で且つ極端な破壊行為であることから、その実際の使用行 為と準備・保有による威嚇行為は、性質上二つの異なった行為ではなく、一体のものと考えるべきである。C・G・ ウィーラマントリー判事は、上記ICJの勧告的意見に関連して出した個別意見の中で、核兵器を使用しての「自 分の敵の徹底的な破壊あるいはその完全な消滅をもたらすであろう損害あるいは荒廃を起こす意図は、明らかに戦争の目的を超えてい る」と述べて、「核抑止力」の不条理性を強く批難している。す なわち核兵器保有それ自体が、極端な威嚇行為、すなわちテロリズム行為であり、したがって「核抑止力」を使う人間は「テロリス ト」であると認識されなけれ ばならない。国家が「核抑止力」を使うということは、それゆえ「国家テロ」行為であり、その国家の元首をはじめとする為政者なら びに軍指導者たちは明らか に「テロリスト」なのであり、「平和に対する罪」を犯している「犯罪者」なのである。


核兵器を実際にはいまだ保 有していなくとも、核兵器製造能力を十分持っており、いつでも製造する「計画と準備」があるということを明示すること自体が、 「人道に対する罪」や「戦争犯罪」を犯す「計画と準備」を行っていることと同義であることから、石破茂や塩崎恭久が示唆する「潜在的核抑止力」もまた 「平和に対する罪」と定義しうる行為である。同時に、アメリカの「核の傘」に依存する「拡大核抑止力」とは、「人道に対する罪」や「戦争犯罪」を犯す「共通の計画あるいは共同謀議への関与」、つまり「共犯行為」であるところから、 これまた明らかに「平和に対する罪」と定義されなくてはならない。


したがって、これまで日本政府が長年依存してきた安保同盟の下での 「拡大核抑止力」も、核兵器製造能力の開発・維持、すなわち「潜在的核抑止力」も、いずれも国際法に違反する明確な犯罪行為であ ることを我々は強調する必要がある。

で は、「自衛のための核兵器使用は合法的行為」であるという主張に正当性はあるだろうか。「自衛」とはいったいどのような行為を指 すのか、その定義はひじょ うに難しい。武力紛争や戦争は、しばしば「自衛」という口実で開始されることからも分かるように、「自衛」は極めて恣意的な概念 である。例えば、ナチスは 「予防的自衛」と称して侵略戦争を正当化した。米軍によるアフガン攻撃やイラク攻撃すら「自衛戦争」であるとブッシュ政権は主張 した。「自衛戦争」は、自 国をどうしても防衛しなければならないという必要に迫られて行う戦闘行為であり、その際使われる軍事力は、攻撃してくる敵の軍事 力と格差がありすぎてはな らず、ある程度の均衡性を保つようなものでなくてはならない、というのが一般的な認識である。自衛する側の戦力が敵の軍事力より はるかに強大であったり、 逆に極めて弱小であれば、戦闘の内容自体が「自衛」という性格をもたなくなってしまうからである。すなわち、「自衛戦争」では、 「必要性」と「均衡性」と いう2つの要素が重要視される。大量破壊兵器である核兵器が、この「必要性」と「均衡性」という要素の条件を満たすような性格の 兵器でないことは明らかで ある。


し かも、核兵器の持つ特殊な破壊力と性質上、「人道に対する罪」や「戦争犯罪」を犯さずに核兵器を使用することは現実的に不可能で あるところから、「合法な 自衛戦争」においてもこれを使用することはできない。また、どのような理由があるにせよ、一旦、小型のものであれ核兵器が使用さ れれば、大型核兵器の全面 的な使用へと急速にエスカレートしていく危険性があることも明らかである。よって、「自衛のための核兵器使用」ということは、法 理論的にも現実的にも許さ れないことであり、したがって、「核兵器合憲論」は、憲法自体のみならず、国際法の観点からしても、論理的に不整合であり且つは なはだ不条理である。同時 に、原発(とりわけ高速増殖炉)と核燃料再処理工場の存在そのものが「潜在的核抑止力」と一体となっていることを考えると、これ らのいわゆる核エネルギー 関連施設の存在は、憲法第9条の「武力による威嚇又は武 力の行使は、国際紛 争を解決する手段としては、永久に これを放棄する」という条文に違反するものであると言える。すなわち、「核抑止力」は「平和に対する罪」であると同時に、憲法第9条にも明らかに違反する犯罪行為である。

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