ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

西瓜糖@阿佐ヶ谷 コミュの最終話

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
東京の西に住む私にとっては、馴染みの薄い北へとのびる線路。

遠くまで行くことを告げるように、二階建てのグリーン車や対面座席の車両をまばらに連結した列車。不思議な気まずさに襲われて乗り慣れたレイアウトの車両に足が向く。

駅間が長くハイテンションなスピードに揺られていると、連れ去られるような不安がよぎる

ゆったりとした敷地や、増築を繰り返したことがうかがえる不可解に長い歩行を強いる通路が田舎臭さを醸し出す駅舎に降り立つ。

十一月の曇って妙に暖かい日によく似合うハリボテのような駅前の景色が、もうすでに絶望的に心地よく思える。

西瓜糖の最後の展示を託した柴田祐輔が出展しているアートプロジェクトの会場にたどり着くためには、このあと、スカした都心からの客に辟易していることを隠そうとしない芝居がかってぶっきらぼうな運転手が操るバスに身をうずめなくてはならない。

都心からのスカした客である私はその役割を充分にはたしながら、閑散とした道路の先にある生活臭が飽和してはじけた歴史的な大型団地を会場とするアートプロジェクトの小道具に成り果てる。

あれから七ヶ月、西瓜糖でのそれが思い出になりつつあるこの時期に観た彼の展示は、こう書き出してしまいたくなるほど、日常を愛しながら挑発するいつもの柴田祐輔の作品ではあった。

あの時、最後を誰に頼もうかとぼんやり考えていて、若い奴じゃなきゃやだなと反射的に結論づけたのは正しかったと思う。西瓜糖は時代の徒花である。その時期にだけ咲くことを許されていた。それを無理やり咲かせ続けるのは罪なのだろう。だからそれなりの罰も受けた。しかしそれでも西瓜糖はいまだに正しい。正しいものは、正しく終わらせなくてはならぬ。過去として納得させてはならぬ。やり切れなさを充満させて終えるのだ。それには、当然明日が来るという疑いの無さに包まれた中でのカットアウトが望ましい。明日に向かっている今を演出しなければ。そうだ、それには絶対的に健康な若者だ。

絶対的に健康な若者。彼に会うまでそんなフレーズを使ったことがなかったので、浮かんだ瞬間にそれはそのまま柴田君を指し示すのだけど、いかんせん準備の時間がとても短かった。それでも引き受けてくれた彼にはずいぶん無理をさせたはずだ。本当にありがたかった。結果、作品の出来の微妙さといい私にとっては申し分のない最後だった。

うん、こちらが善し悪しを確定できない、つまり過去に回収されず問題ばかり多い作品を、最大限の努力できっちり仕上げてくれた。そう、それを私は望んでいたのだよ。良かろうが悪かろうが、好きだろうと嫌いだろうと彼の作品は正しい。私がそう言い放ってあげるよ。西瓜糖とともに。いや別に誉めているのではないから。ただ単に正しいというにすぎないんだな。これが。
でも楽しかったよ。ありがとね。

新たな生活に流されていただけで、もったいぶっていたのではなく、ましてこれを書いてしまったらもう書く理由が無いなどという感慨に耽っていたはずもないのだけど、確かにタイミングは逸していた。だからここで書かねばもう書かないだろうなと思い、まあ、どちらでもいいのだけど書いとくか、と書き始めてはみたものの、こいつは結び方が難しいやね。

今、私はとてもいい感じです。西瓜糖を終えて本当によかったです。それではみなさんごきげんよう。てなことで、どうだろか。

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

西瓜糖@阿佐ヶ谷  更新情報

西瓜糖@阿佐ヶ谷 のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング