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医療と法コミュの 【論点】安楽死と尊厳死

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ardorさんがご多忙のようですので、今、話題になっている事件に関連して暫定的に安楽死と尊厳死についてのトピを立ててみたいと思います。


富山県の市民病院で医師が人工呼吸器をはずす「延命中止行為」が行ったことが問題となっています。


この問題に関しては論ずべきことが山ほどあるのですが、
とりあえず

・安楽死、尊厳死とは何か?両者の違いは?
・安楽死(尊厳死)は認められるか、認められるとしてその要件は?

といったことがまず問題となると思われます。

私はこの問題について興味はありますが、確固たる意見をもっているわけではないので、ここで考えていければと思っています。
なにか気づいた点、思ったことなどがあればお気軽にどうぞ。

コメント(33)

参考までに1995年に横浜地裁が示した安楽死・尊厳死が認められるための要件を挙げておきます。

・安楽死
(1)耐え難い肉体的苦痛がある
(2)死期が迫っている
(3)苦痛緩和の方法を尽くし、ほかに手段がない
(4)生命短縮を承諾する本人の意思表示がある


・尊厳死
(1)回復の見込みがなく、死期が迫っている
(2)治療行為の中止を求める患者の意思表示か、患者の意思を十分に推定できる家族の意思
(3)「自然の死」を迎えさせる目的に沿った決定
立岩真也教授のHPに安楽死と尊厳死の区別について参考となる記述が引用されていますので紹介します。

 http://www.arsvi.com/0p/et.htm


「安楽死 euthanasia, mercy killing(1)とは,死期が切迫し現代医学上不治の傷病者の激烈な苦痛を緩和・除去するために,患者本人の嘱託又は承諾を得て,自然の死期に先立ち人為的にその生命を断つことをいう。これを「積極的安楽死」と称し,一方,苦痛を継続させるに過ぎない延命治療措置を中止することによって生命を短縮する行為を「消極的安楽死」とする向きもあるが,2種類の安楽死(4種類に分ける考えもある(2))を認めることになりいたずらに安楽死概念を混乱させるだけで意味がなく,特に後者については「尊厳死」という表現を用いるべきであろう。要するに,尊厳死は患者が延命医療措置を拒否して死ぬという消極的なものであるのに対し,安楽死は積極的に意図的に患者を殺すことである。」
 (立山龍彦『自己決定権と死ぬ権利』(1998,東海大学出版会)p.61)



この考え方によれば薬物などを与えて死期を早めるのが安楽死で、
今回のようなケースでは尊厳死が問題になることになりそうですね。
もっともメディアも安楽死、尊厳死の両方の表現を使っており、概念が定着していないことがうかがわれます。
ebo さん、こんばんは。初めまして。

 関連学会や研究会で使われる用語として、基本的なことを追加させていただきます。

・安楽死(広義)の分類
(1)絶対的(積極的)安楽死;狭義の安楽死
    直接的な方法(薬剤)による場合
     ;言わば薬殺
(2)間接的安楽死
    苦痛を取ることを目的とした治療(薬剤)による場合
     ;セデーションを行った上での延命治療停止
(3)消極的安楽死
    栄養補給を含めて延命処置を行わない場合
     ;主に死因として餓死となる延命治療の停止

 尊厳死については、かなりいろいろな考え方があって混乱しています。当初、尊厳死協会が言っていた尊厳死は、消極的安楽死で、さらに水分補給も停止するものでしたが、最低限の水分補給(最近話題になっているのは持続皮下注射)をしなければ、幻覚や発熱でかえって苦しめるということもあって、これは認めようではないかという考え方も出てきているようです。
eboさん,霽月先生,ありがとうございます.

 私も,また資料などありましたら,貢献させていただきたいと思います.よろしくお願いします.
>藤・霽月さん
フォローありがとうございます。
安楽死・尊厳死といってもいろいろあるので議論が混乱するという面もあるのでしょうね。
個人的には安楽死・尊厳死という言葉の問題は別にして積極的に薬物を与える場合と本件のように人工呼吸器を外す場合とは分けて考えるべきだろうとは思いますが。
水分補給の話は初めて聞きました。
消極的安楽死といっても全く何もしないとは限らないのですね。

>ardorさん
勝手にトピを立てて申し訳ありませんでした。
また何かあればよろしくお願いします。

>Ronさん
名古屋高裁と横浜地裁の要件の違いは興味深いですね。

要件(5)(6)は横浜地裁では示されていませんが、
これは横浜地裁は不要と考えたわけではなく、
当然のこととして書かなかった可能性もあるのではないでしょうか。

これ以外の両者の違いとしては
1、名古屋高裁では苦痛の内容は限定されていない(精神的苦痛も含む)が横浜地裁では肉体的苦痛に限定された。
2、横浜地裁では「他に手段がないこと」という要件が追加された。
3、本人の承諾について名古屋高裁は本人の意識がある場合のみ要求しており、意識がない場合は不要としていたが、横浜地裁は常に必要としている。


という点が挙げられると思います。
特に3、の違いはかなり重要で、横浜地裁の判断が出た後かなりの議論になったようです。
単に要件の数だけを見ると、名古屋高裁の方が厳しいように思えますが、このようなことを考えると横浜地裁の方が実質的には厳しい要件を課しているとも言えると思います。
情報提供

 厚生労働大臣が,終末期医療のあり方について検討を急ぐよう指示した模様です.その中で,「法律か、ガイドラインでいいのかも含め、早めに結論を出してもらいたい」と述べたようです.

終末医療の停止条件「早めに結論を」 川崎厚労相
http://www.asahi.com/national/update/0328/TKY200603280262.html
>ardorさん
情報提供ありがとうございます。
以下、私見です。
安楽死・尊厳死で主に問題となるのは医師の刑事責任の有無です。
ガイドラインで「こういう場合は安楽死・尊厳死は許される」としても法的には何の拘束力もありません。
(事実上の拘束力を持つことはあるでしょうが。)
刑事責任の有無は裁判所が判断することで、裁判所はガイドラインが守られている場合でも医師に刑事責任を負わせることは可能です。
こうなるとさらなる混乱を招くだけのように思えます。
もし何らかの基準を設けるのであれば法律によるべきではないでしょうか。
法律になれば裁判官もそれに沿って判断をすることになりますので、統一した基準が得られると思います。
ガイドラインは、行政処分の基準(医師免許の剥奪などでしょうか)や法的な問題は発生しないが倫理上問題のある行為を行う基準にはなりえても、安楽死・尊厳死の基準とするには無理があるように思えます。


>Ronさん
ご指摘の問題点はまさにその通りだと思います。
両判例とも一つまたは複数の要件を満たさないとした有罪判決ですので、他の要件は厳密に検討しなかった面があるように思います。
今後、安楽死・尊厳死の要件を満たし違法性阻却される判例が出てくれば、その判例は要件についてかなり厳密に検討されているのではないでしょうか。
>もし何らかの基準を設けるのであれば法律によるべき
>ではないでしょうか。
>法律になれば裁判官もそれに沿って判断をすることに
>なりますので、統一した基準が得られると思います。

 私もそう思います.法律に書き込めばよいというのは,確かにそのとおりと判断します.ですから「尊厳死法?」とかを制定するのが手なのかもしれません.ガイドラインでは司法上の刑事免責にはならないでしょうし,なにより司法が判断しにくいと思います.

 まぁ,その典型で問題になっているのが,医師法21条問題(異状死体の届出)であって,医師法の改正もしくは,「異状死体届出に関する法律?」とかを作っていくほうがよいのでしょうし,厚労省が動かし始めているパイロットスタディが軌道に乗れば,法改正も視野に入れているのではないかと思います.

 ただ,法律いっぱい作るのもなんかなぁという面はありますが,特に取り締まりにかかわることなので,作らないといけないんでしょうね.構成要件をはっきりさせるためにも...
日本医師会
第IX次生命倫理懇談会報告書「ふたたび終末期医療について」の報告(H.18.3.2)

この報告書に尊厳死についての懇談会での考えかたが示されています.

http://www.med.or.jp/nichikara/seirin17.pdf
>Dreamさん
生と死に関して患者さんや周りの人間がよく考えずに安楽死、尊厳死を望んでいるのであれば問題ですね。
ただ、しっかりと生と死を見つめて、それでも死を望むという場合にも一切、安楽死、尊厳死を否定してしまっていいのかという問題は残るのではないでしょうか。

「医療側の緩和治療の未熟」については私はちょっとわからないです。
ただ医療の発展の仕方として延命することだけが目的というのではよくないとは思います。


>ardorさん
異状死体の届出に関しては医師法を改正して、「異状死体」の定義を付け加えることでいいと思います。
尊厳死の場合は刑法改正という手段もありますが、
かなり特殊な場面であるので、別に特別法を作る方がいいのではないかと思います。
(母体保護法は刑法上の堕胎罪についての特別法ですが、これと同じような感じでしょうか?)
法律をたくさん作るのはよくない気もしますが、この場合は国民の権利を制限するものではないのでよいかとも思います。
Dreamさん、こんばんは。

 初めまして。元肺癌の専門医で、現在は在宅ホスピス・ケア支援の診療所をやっています藤・霽月(ふじ・せいげつ)と申します。同じ医者のようですので、ちょっと説明させていただきます。

> 尊厳死も安楽死も患者が望むのであれば、患者の精神的未熟

 我国では、死を直視しようとするのを避けようとする傾向があって、死に備える講座とか直前教育というのが難しいという話は、よく聞きます。宗教もいろいろで、時と場合によって宗旨を変える方々も多いことが、さらに難しくしているというのが現状ではないかと思っています。

> もしくは医療側の緩和治療の未熟が関与しているのではない
> ですか?

 これはもし、15年ほど前の癌の疼痛緩和に関する調査を元にして言われているのであれば、データが古すぎます。小生も国立がんセンターの研修を受けたことがありますが、こうした研修会を通じて、これができている医者の数は、すでに2〜3万人になってきていると思われます。

 マスコミは、相変わらず15年ほど前のデータを持ち出して、日本の癌治療の現状は憂うべきものという論調になっています。3年前の医学会総会でも、某大学の麻酔科学教授が、このデータを用いて、疼痛管理ができていないという発表をされていましたが、こういう発表は患者をより不安に落としこめるだけだという批判を会場からさせていただきました。

 小生も、東海大学安楽死事件の横浜地裁判決に基づいて、間接的安楽死は行わせていただいています。使うのは主に、脳転移の場合の痙攣と多発性肺転移あるいは癌性リンパ管症による換気血流不均等分布による呼吸不全に対してです。後者の場合、人工呼吸器を繋いでも楽にならないことは御存知のことと思います。今回の事件でも、これであることがハッキリしていてくれればと願っているところです。

> 問題は、疼痛緩和治療に対して使われるモルヒネが癌にしか
> 適応を持たないことではないでしょうか?

 これは全く同感です。しかし、心不全でも診療報酬上は通っていますので、これで処理することもあります。
>藤・霽月さん
詳しい説明ありがとうございます。
法律しか勉強してない私のような人間が集まってこの問題を議論すると机上の空論になってしまうので、現場で医療に携わる方のご意見はとても参考になります。


>Dreamさん
ご意見ありがとうございます。
Dreamさんの書き込みで、この問題が法律以前に宗教や死生観がからんでくる難しい問題だと再認識させられました。
「生命は絶対的価値を有する」という命題がありますが、
それが正しいのか、そこにいう生命とは何なのかといったことも議論されるべきなのでしょうね。
3月31日の法務委員会で尊厳死の問題が質問されているようです

質問者:村井宗明議員(民主党・無所属クラブ)
答弁者:法務大臣

http://www.shugiintv.go.jp/jp/wmpdyna.asx?deli_id=29952&media_type=wb&lang=j&spkid=6935&time=00:54:27.2

話の内容
  本人の意思についての問題点
  横浜地裁の判例
  殺人罪・自殺ほう助罪の構成要件該当と家族の意思の有無での違法性阻却の関係(家族の意思とはなにか?)
  立法不作為の状態だと司法は判断難しいのじゃないか
  横浜地裁の判例に法的根拠を持つと仮定して,その適応の問題点(特に客観的な問題について)
  テリーズ法(アメリカの行政が延命中止を阻止する法)について
>生かし続ければ刑事罰は受けないんでしょ?

 「生かし続ける」=「亡くならない」場合は,結果が不発生なので,人の命を法益とする罪にはかからないでしょうね.

>外すと殺人ですよと、家族にも自分にも云い続けてれば
>切符切られて臭い飯食わんで済むと。

 刑事上はそうでしょうね.

 まぁ,ただ今後は,「本人が尊厳死を希望して,適式のリビングウィル」を残していたののに,そのとおりしなかった場合の期待権侵害という問題も発生するかもしれません.ただ,延命中止によって医師が刑事上の責任を問われる可能性がある場合にまで,期待権が優先するとは思われませんけどね.
>ardorさん
情報提供そしてご意見ありがとうございます。
期待権侵害ですか。
確かにありうる構成ですね。
ただしリビングウィルが定着して、法的根拠等ができなければ難しいかもしれませんね。

>番長さん
まぁ、現状では生かし続ければ特に法律問題は生じないでしょうね。
しかし、それは考えようによっては事なかれ主義ともいえないしょうか?生かし続けることが患者さんやご家族にとって本当にいいことなのかといった倫理的な問題はあると思います。
今回のように人工呼吸器を外した医師と外さなかった医師と、どちらが患者さんのことを考えているかというのは一概にはいえない難しい問題ですね。
>事なかれ主義

 まぁ,昨今問題となっているのは,「刑事訴追」を受けるくらいなら「事なかれ」の方が良いのではないかという主義だと思いますけどね.

それと,

 積極的延命中止は別として..

 消極的延命中止(つまり呼吸器にはつながれているが,どのような手段を用いてももう回復の見込みはない場合の延命中止:特に脳死)の場合は,倫理上の問題のほかに,国家と家族の経済上の問題も発生すると考えます.呼吸器を使っているときには,通常,心臓を動かすための薬品(カテコーラミン系など)や,栄養関係の薬剤も投与し続けるのが通常で,終末期に入ってから,呼吸器利用の料金や入院費を含めかなり高額な医療費が発生します.これは国家全体の医療費の高騰を招くひとつの要因でもあり,また国家規模だけでなく,家族に対する医療費請求も,莫大なものになりがちです.これは,回復見込みがあれば,莫大なお金をかけるのもいとまないでしょうが,回復見込みがなくなってきているにも関わらず,重い経済的負担を家族に課すのも不幸であると思われます.
>番長さん
「倫理的非難より、刑事罰の方が嫌だ」というのは素直な感情でしょうね。
私も医者ならそう思ってしまいそうです。
そこで一定の要件を満たせば刑事罰を科せられないというルールを作ろうという動きがあるのではないでしょうか。
そうすれば一度導入された人工呼吸器ははずせないという問題も解決すると思います。

確かに倫理を持ち出すと面倒な話になりますが、法律も一定の倫理観を強制するものですのである程度は仕方ないとは思います。
刑法における違法性も「社会倫理規範に違反することで法益を侵害すること」という説明がなされることがあります。

法律による尊厳死の合法化も結局は倫理に違反しないからということで理由づけられると思います。
もっとも全国民が納得するような倫理などありえず、そこが一番の問題なのでしょうけど。

>ardorさん
国家と家族の経済上の問題を持ち出すと、「金と命を比較するのか」という議論が必ず出てくるのですが、やはりそのあたりも避けては通れないでしょうね。この点にかんしては私もちょっとまとまった意見がもてていません。
ちょっと前から思ってたのですけれども、ある一定の要件下では、安楽死・尊厳死も許容されるとするのが、一般的な理解ですよね(もちろん、許容されないという説もありますが)。

ただ、同意殺人が可罰的であるにもかかわらず、何ゆえに犯罪阻却ができるのか、今一つ理解に苦しんでおります。
期待可能性の欠如の説ならば、それはそれで理解はできますけど(賛成は私はできないです)、違法阻却だというのであれば、なぜ違法阻却ができるのでしょう?

法学部生にあるまじき(低レヴェルな)疑問といえるのでしょうが、どうしても理解ができないです。

生命の絡む法益衡量の議論は、法哲学等の議論を踏まえなければ、およそ有益な議論ができないのかなぁ、と己の浅学菲才を痛感してしまいます(個人的には緊急避難で正当化されえないのかな、とか思ってます、学説の説明のしかたをみると、緊急避難のような説明のしかたも見受けられるのですが…)。



ardorさんの、金銭面のお話も、ごもっともですよね。治療費が1日1000円とかなら別に困らないですが、とてつもないお金がかかりますし、かつ、植物人間状態になって、回復の見込みゼロと医者に宣言されても、そのまま治療(延命)を続けなければならない、というのでは、いくら生命が人格の構成要素の中で最も重要とはいえども、困りますよね。



あと、話はそれますが、もし、「私が植物人間状態になって、回復可能性ゼロでも、延命措置を続けてくれ」と言っている人が、植物人間状態になって、回復可能性がゼロになった場合、どうなるのでしょう。推定的同意の法理も使えないですから、NGなのでしょうか。しかし、それもそれで問題があるような気がしてならないです。
日曜日の昼間に寝ていると夜に眠れなくなります(^o^)

eboさん,ありがとうございます

>私も医者ならそう思ってしまいそうです。

 たぶん医者じゃなくても,普通の人なら,「これをやったら刑事罰になるかもしれない」ということはやらないと思いますし,刑法の目的はまさにそこ(規範的機能・社会秩序維持機能)ですしねぇ.

>「金と命を比較するのか」という議論

 は,出てくるでしょうね.規範・倫理・宗教的見解などに加えて,経済的観点も一つの議論としてあってもいいかなと思うのです.やはり人は,お金のことで殺したり,死んだり(借金苦など)する痛ましいことがありますし,社会資源としての医療には限りがあるという面もありますので,避けては通れないことではないかなという意味で,問題提起させてもらいました.

ルビーニョファンさん,ありがとうございます.

 医学的な言葉の定義だけを付加させておいていただきますと..

 「植物状態」とは,意識は無いが,人工呼吸器などに頼らなくても,栄養のを与え続けることで生命を永らえさせられる状態をいいますので,植物状態=回復可能性ゼロではないと思います.確かに,多くは回復できない状態と思われますが..

 これに対して「脳死状態」というのがあって,こちらは,人工呼吸器などを使わないと自身では呼吸できず,また,多くの場合には心臓を動かす薬も使い続けなければ心臓も止まってしまう状態ですが,私の臨床体験でも,この状態で管理がよければ,1〜3ヶ月くらいは心臓も動き続けます.

 また,脳死でなくても呼吸器系の病気などで人工呼吸器を付けておかないと呼吸が止まって死んでしまう状態というのもあります.意識があるかどうかは,その具体的状況によりますので,意識がはっきりしている人もいらっしゃいましょうし,意識がなくなっている人もいらっしゃると思います.

 いずれにしても,医療がここまで進化したために,人工呼吸器などが無い時代には,想定できなかった事柄が,法的にも問題になるわけですね.
夜遅くに、わざわざありがとうございます、大変勉強になりました。

今まで多分勘違いしていたのですが、脳死というのは、植物状態のように非常に長期に生命を延ばすことができる…というわけにはいかないのですね。
刑法でも脳死説と三徴候説がよく議論されていますが、両説で、具体的な死期はそこまで変わらないのですね(むろん、だからといって議論の実益がなくなるわけでは、まったくないですが)。


立法時の問題を解釈で埋めるのが日本法の特徴といえますが、さすがにこの辺になってくると、限界があるのかなぁ、という気がしてしまいますが、雑な立法をされても困るので、難しいところですね。
>ルビーニョファンさん
同意殺人との均衡でなぜ尊厳死が違法阻却されるのかというのは考えなければならないでしょうね。
価値判断としては、やはり一定の要件を満たす場合は刑罰を科すべきではない(すなわち健康な人の場合を前提とする同意殺人と同列に扱うべきではない) というのがあるのでしょう。
そこで違法性と責任どちらで処理するかですが、責任はどうしても個別判断になってしまいますので、予測可能性が担保できないという問題点があるのではないでしょうか。違法性であれば一般的な基準を立てることが出来ますので。それから期待可能性の法理で処理するのは現在の裁判所の立場からからすると難しいというのもあるのでしょう。
そして違法性で処理するというのは、やはり社会倫理に反していないというのが究極の根拠ではないかと思います(行為無価値的な説明ですが。)
違法性で処理するとして緊急避難という構成も可能かと思いますが、「現在の危難」が何なのか、守られる法益は何なのかといった点が問題となると思います。個人的には35条の正当行為・業務行為の方が近いかなという気がしています。
わかりにくい文章で申し訳ありません。

「私が植物人間状態になって、回復可能性ゼロでも、延命措置を続けてくれ」という事例についてですが、現状では本人が明確に意思表示をしている以上、それを尊重すべきかとは思いますが。延命措置をしても人間には寿命があるわけでいつかは亡くなるわけですが。
もっとも医療が進歩して、延命治療をすれば半永久的に生きていられるというような事態になれば話は別でしょうけど。


>ardorさん
ありがとうございます。
医学的な説明は非常ににありがたいです。
本当にいろんな見地からの検討が必要な問題ですね。
難しいです・・・。
>今まで多分勘違いしていたのですが、脳死というのは、植物状
>態のように非常に長期に生命を延ばすことができる…というわ
>けにはいかないのですね。

 「脳死」については,臓器移植法ができたときに,診断の基準ができており,これが医療上の統一基準として出来上がっております.「脳」の死というぐらいで,脳は機能していないことを証明することになっています.

 「脳死」の状態で,最長どれくらい心臓が動き続けるのかという,最長記録みたいなのは私は存じ上げませんのでわかりませんが,かなり長く続いている記録もあるかもしれませんが,通常は長くても数ヶ月だと思われます.
 「植物状態」については,年単位になることも多いですし,長い場合は何十年にも及ぶ場合もありますが,少ないながらも回復する可能性がありますので,「脳死」と「植物状態」は区別しないといけないと思われます.

 まぁ,結局,呼吸や心臓のコントロールは,簡単にいうと,中枢たる脳からコントロールされているわけで,脳が機能しなくなると,普通は,呼吸も心臓も停止するのですが,現代の医学により,機械や薬物によって,動かし続けることができるようになったため,「脳死」という概念が発生したというところでしょう.
少し動きがあったようです


尊厳死 法整備の声強まる 生前意思表示 問題発覚後2.5倍(産経新聞)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=25581&media_id=3

富山県の石井隆一知事は週明けに川崎二郎厚労相に面会し、延命治療中止の要件などについて具体的な議論を急ぐよう求める。

 一方、弁護士や障害者団体などでつくる「安楽死・尊厳死法制化を阻止する会」(代表・原田正純・熊本学園大教授)は「尊厳死を認めることは、障害者などの弱い立場の人々に死を選択するよう、世論が圧力をかけることにつながる」と反発を強めている。
川崎協同病院事件

 法律やガイドラインがはっきりしないのに,被告人に責任を問うのは酷な面もあるというような判断もあって,殺人罪としてはもっとも軽い執行猶予付きの1年6ヶ月に減刑となったようですね.東京高裁の判決には,医療界や法律界に向けた提言が含まれているとのことのようです.
 

懲役1年6カ月に減刑 川崎協同病院事件控訴審判決
http://www.asahi.com/national/update/0228/TKY200702280233.html

(一部引用)
 横浜地裁判決は「家族の依頼があると誤解してチューブを抜き、患者が苦しみ出したため筋弛緩剤で窒息死させようとした」と殺人罪の成立を認定。弁護側は「治療行為の中止(尊厳死)で刑事責任を問われない。事実認定も異なる」と無罪を主張していた。
上記報道の別ソース

川崎・筋弛緩剤事件、1審を破棄し減刑…東京高裁
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070228i307.htm

川崎協同病院:筋弛緩剤事件、医師に2審も有罪
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20070228k0000e040080000c.html

(一部引用)
 一方で「治療中止について法的規範も医療倫理も確立されていない状況で、家族からの要請に決断を迫られた。それを事後的に非難するのは酷な面もある」と情状を酌んだ。

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