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小説・評論:孤城忍太郎の世界コミュの私説『九州で分斷された服(まつろ)はぬ民』

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 この作品を讀む時に、この音樂を聞きながら鑑賞して下さい。
 これは自作(オリジナル)の

 『Motion1(JAZZ風に) 曲 高秋 美樹彦』

 といふ曲で、YAMAHAの「QY100」で作りました。

 映像は和歌山懸にある、

 『熊野』

 へ出かけた時のものです。

 雰圍氣を味はつて戴ければ幸ひですが、ない方が良いといふ讀者は聞かなくても構ひませんので、ご自由にどうぞ。






     私説『九州で分斷された服(まつろ)はぬ民』


 小碓命(おうすのみこと)が九州の熊襲建兄弟の討伐を命じられ、熊襲建(くまそたける)の宴に女裝して忍び込んで宴も酣(たけなは)の頃に兄弟を誅伐し、弟の建が死に臨んでその武勇を褒めて、自らを倭男具那命(やまとをぐな)と名乘る小碓命に譲つて倭建(やまとたける)の號を獻じ、以後倭建命(やまとたけるのみこと)と改名したとある。
 この九州地方で再び叛亂を起こした『熊襲』が、實(じつ)は天孫降臨の時に平定して南北に追ひやられた蠻族の一つで、總(すべ)てが追はれた譯ではなく、恭順して殘つた部族もあつて、それが不滿の爲に叛亂したのであらうが、西方の蠻族の討伐から歸るとすぐに、景行天皇は重ねて東方の蠻族の討伐を命じる。

 倭建命は休む間もなく東國へと向かひ、東國の從はない十二箇國、

 『伊勢(いせ)・尾張(おはり)・三河(みかは)・遠江(とほたふみ)・駿河(するが)・甲斐(かひ)・伊豆(いづ)・相模(さがみ)・武蔵(むさし)・總(ふさ)・常陸(ひたち)・陸奥(みちのく)』

 を平定しに行くのだが、途中に相模の國で「荒ぶる神がゐる」と國造に欺かれた倭建命は野中で火攻めに遭ひ、そこで劍で草を掃つたので天叢雲劍(あめのむらくものつるぎ)は草薙劍(くさなぎのつるぎ)となり、燒津の地名の起源にもなつたといふ。


 また相模から上總(かづさ)に渡る際に、走水の海(横須賀市)の神が波を起こして倭建命の船は進退窮まつた時に、后の弟橘媛(おとたちばなひめ)が自らの命を捧げんと入水するといふ犠牲で難を免れたと記される。


 更に、足柄坂(神奈川と静岡の懸境)の神を蒜(ひる)で打ち殺して東國を平定し、そこで弟橘姫を偲んで、

 「吾妻はや(わが妻よ)」

 と三度歎いた事から、東國をあづま(東・吾妻)と呼ぶやうになつたと言ふ。


 その後甲斐國の酒折宮で、

 「新治筑波を過ぎて幾夜か寝つる」

 連歌の發祥とされる歌を詠み、それに、

 「日々並べて(かがなべて) 夜には九夜 日には十日を」

 と下句を付けた火焚きの老人を東の國造に任じた。


 やがて科野(しなの)を經て尾張に入つて倭建命は、予(かね)てより婚約してゐた美夜受媛(みやずひめ)と結婚し、草那芸剣を美夜受媛に預けたまま、伊吹山(岐阜・滋賀の懸境)の神を素手で討取りに出立する。
 すると倭建命の前に神の化身の「白い大猪」を無視、或いは「大蛇」を跨いで通つた爲、神に氷を降らされて意識が朦朧としたまま下山する。
 居醒泉でようやく醒めた倭建命だが病身となり、尾津から能褒野へ到つてこの地で亡くなったとある。


 ここで平定を目的としたこれら東國の從はない十二箇國の相手の代表を神といつてゐるが、これこそが九州から北へ北へと追ひやられた人々で、服(まつろ)はぬ民の蝦夷(えみし)の事であり、以前にも調べた事を書いたが、彼等にも「熟蝦夷(にきえみし・おとなしい蝦夷)」や「麁蝦夷(あらえみし・荒々しい蝦夷)」が當然(たうぜん)のやうにゐたのは容易に想像出来る事である。


 さうして敵對する國の代表を神と呼ぶ理由は何故かといふと、同じやうに出雲の國譲りの時でも相手を神と呼んでゐる所から考へれば、これは敵對する相手を神と呼ぶ事によつて、そこから正式に地位を譲り受けたと現地の民に印象づけ、第二次世界大戰の時にGHQが天皇の名の元に終戰を畫策したのと同じで、事態が圓滑(スムウズ)に治まるといふ權力の移行が有効だからであるのは想像に難くないだらう。


 かくして、過激な政治家が「日本が單一民族」と言つた事は徒勞に終つた事が證明されたのであるが、抑々人類の發生を考へれば單一も何もあつたものではなく、敵對してゐる事の方が却つて恥かしいぐらゐのものである。
 こんな風に空想は次から次へと膨らんで行き、アイヌの行末を時に案じたりしてゐる、
 さういへば、遙か昔に『コタンの口笛』といふ映畫(えいぐわ)を電視臺(テレビ)で觀た記憶が甦つて來た。


     二〇一三年五月二十八日午後六時三〇分店にて


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