元気な本棚　ほっこりコミュの≪よりよい世界をめざしてその２≫

<その１>の書き込みが増え、見やすいように＜その２＞を作りました。
　引き続きよろしくお願いします。

　[目次]
　１　『感動は心の扉をひらく』 ― しらくも君の運命を変えたものは？
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　椋鳩十・著　あすなろ書房

　２　『永遠に捨てない服が着たい』― 太陽の写真家と子どもたちのエコ革命
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　今関信子・著　　汐文社

　３　『ふるさとをさがして』 ― 難民のきもち、寄り添うきもち
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　根本かおる・著　　学研教育出版

　４『世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ』　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　くさばよしみ・編　　中川学・絵　　汐文社

　５『ひとりではじめたアフリカボランティア』
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　栗山さやか・著　　金の星社

　６『琵琶湖のカルテ』　　今関信子・著　　文研出版

　７『森がささやいている』 ― 木工家が見つめる木の命　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　池田まき子・著　岩崎書店　　

　８『ちいさなちいさなベビー服』　　八束澄子・著　　新日本出版社

　９『尾木ママの黙ってられない』　　尾木直樹・著　 KKベストセラーズ　　

１０『手をつなごうよ』― フィリピン・ミンダナオ子ども図書館
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　松居友・著　　彩流社

１２『世界でいちばん貧しい大統領からきみへ』
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　くさばよしみ・編　　汐文社

１４『「百匹目の猿現象」を起こそう！』　船井幸雄・著／赤池キョウコ・マンガ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　サンマーク出版　

１５『しつけない道徳』　尾木直樹・著　主婦と生活社
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

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[1] mixiユーザー 05月27日 20:06

『感動は心の扉をひらく』― しらくも君の運命を変えたものは？
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　椋鳩十・著　あすなろ書房（1988年第１刷・1990年第15刷）

　この本は、1981年『よい本をひろめる会』主催の講演をもとに編集されたものです。

コウモリは超音波を出し、水の上を飛んでいる時に、どのぐらいの深さのところにどのぐらい大きな魚がいるかということを、はっきりつかみ、魚を獲ることができる。
　トカゲは、他の動物に襲われたときしっぽが切れるようにできていて、切れたしっぽは、トカゲの肉体から離れた瞬間から、ぴんぴんと生きているように動く。ものを襲う動物は、必ず動くものにむかって襲いかかるという性質を持っている。
　足がなくなってももう一度生えてくるということは、人間にはできない。ところがトカゲは、切れたしっぽがもう一ぺん生えてくる。
　ハチやクモだって、生きとし生けるもので不思議な力を持たずに、この地上に生きているものは一つもない。

　大自然が人間にあたえた力と動物に与えた力とはまた違う。動物は、トカゲならトカゲ、その一種類が何千匹おろうと、おなじ力しか出ない。ところが、人間というのは、全部個性がある。

子供の才能にふたをする一番よい方法は、「おれはだめだ」という気持ちをしっかり植えつけることだ。そうすることは、才能の出口にふたをして、出るなと重しを置いて、まだ心配で、すき間にビニールを張りつけてしまうようなものだ。

感動は人間の心を変える。感動は心の中に起こる大地震だ。心の底からぐーっとひっくり返していく。そうして、感動の方向に向かって人の心を変えていく。心の中にぎゅうっとその人間の才能を抑えつけている劣等感のもろもろのものを取り除いていく、そういう力を持っている。

そして、小学校の同級生だった、劣等生で先生からも見放された、“しらくも君”のことが語られます。30年後に同窓会で再会した“しらくも君”は非常に優れた農業の指導者になっていました。そこには一冊の本との出会いがありました。
　感動は心の扉をひらくのです。著者からの珠玉のメッセージが伝わってきます。

[2] mixiユーザー 07月04日 20:15

『永遠に捨てない服が着たい』― 太陽の写真家と子どもたちのエコ革命
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　今関信子・著　　汐文社（2012年）1400円

　　　「私たちが大人になるまで、地球は待っていてくれるの？」
　　　温暖化、環境破壊が進む地球。
　　　エコを学ぶ京都の子どもたちは、地球の未来に不安を持っています。
　　　いま、自分たちになにができるのだろう。
　　　環境学習の先生となった一人のカメラマンと、子どもたちのノンフィクション。

1997年、地球温暖化を食い止めるために、世界の国々が、やるべきことを決める会議（COP３）が京都で開かれました。京都の子どもたちは、この機会に、今まで以上に環境について、しっかり学んでいこうという取り組みを続けていました。そんな時に環境学習の先生として協力を呼びかけられた一人に、京都に住むカメラマンの岡部達平さんがいました。

岡部さんは、ピンホールカメラ（針穴写真機）を使って、針の先ほどの小さな穴から入る太陽の光で写真を撮ります。カメラの本体は、捨てられた材木で組み立て、レンズにあたる穴は、ジュースの缶を使って、シャッターの調節はフィルムの空き箱を工夫して作ってあります。
　

授業は清水小学校にて、半年間にわたって行われました。
　最後の授業が終わったあと、職員室にもどり始めた岡部さんを、６年生の女の子２人が追いかけてきてうったえました。
　「永遠に捨てない服が着たい」
　環境学習をしたからこそ生まれた願い。
　先生は、その気持ちをしっかり受け止めました。
　岡部先生が考え続けて思いついたのは、体操服のリサイクルでした。小学校を卒業する時に着なくなる体操服を集めてリサイクルし、それぞれの学校で決められた体操服を作り、また学校に帰ってくる。中学生も同じです。

2010年、春、一年生の体育の時間です。子どもたちが来ているのは、リサイクルされて再びよみがえった体操服です。
　「ごみにならない服が着たい」とうったえた女の子たちの願いが、かたちになって広がっていきます。

　他に、粟田小学校、御所南小学校などが紹介されています。
　また、本書をとおして、岡部さんの他に、森孝之さんについても初めて知ることが出来ました。森さんは、嵐山で「アイトワ」という名のエコライフガーデンを営まれています。また、太陽光発電を使った暮らしを実践されているということです。本を通してまた、新しい出会いがいただけました。

[3] mixiユーザー 07月31日 09:26

『ふるさとをさがして』― 難民のきもち、寄り添うきもち
　　　　　　　　　　　　　　　　根本かおる・著
　　　　　　　　　　　　　　　　学研教育出版（2012年12月）1200円

　本書（2012年12月出版）によると、戦争や身の危険からふるさとを追われた難民・国内難民の数は世界でおよそ4300万人。日本の人口のおよそ3分の1にあたるといいます。世界の人口がおよそ70億人ですから、これは160人に１人の割合になります。
　多くの難民をうみだしている国、受け入れている国があります。難民たちの避難生活は、平均して17年にもおよぶといいます。避難先で生まれ、ふるさとを知らない子どもたちもあるのです。長く待ってもふるさとに帰れる日が来ず、第三国に移住することを決心する人々もあります。
　本書では、ネパールのブータン難民キャンプでの人々の暮らしを中心に紹介されています。

　

第１章では、ブータン難民キャンプで、多くの人びとに支えられながら生きる子どもたちの暮らしを紹介します。主人公の少女スニータは、難民キャンプの子どもたちみんながモデルです。

第２章では、「援助活動」を仕事とする人たちだけではなく、それぞれに仕事を持ちながら、「自分には何ができるのか？」と一生懸命に考えて、難民たちを支えている人たちのことが紹介されています。

ユニクロでは、ブータン難民キャンプに服を届ける活動をしてきました。服は、ユニクロの「全商品リサイクル活動」を通じて日本全国から届けられたものです。

北海道に本社がある小さな会社「富士メガネ」では、タイの難民キャンプへ出かけて行き、難民たちに眼鏡をプレゼントする活動を、30年間続けてきました。活動地域は、他の国々にもひろがっていきました。ネパールのブータン難民キャンプにも何度も足を運び、メガネをプレゼントしてきました。

文章の内容はもちろんのこと、やわらかい色合いの装丁と、したしみやすい挿し絵、数々の写真など、たくさんの人のあたたかい想いの込もった本書と出会えて、本当に良かったと思いました。難民について知りたい人の入門書としても最適ではないでしょうか。

　本書は、2012年に出版されていますが、沢山の本が並ぶ図書館の書架で目立たないせいもあってか、難民の問題について関心度が低いためなのか、全く読まれていない状態でした。アンケートハガキが挟まっていたり、栞もぴっちりと綺麗なままでした。今頃気づいた自分を反省しつつ、是非本書のことを知ってほしいと思い、紹介することにしました。

[4] mixiユーザー 08月11日 10:13

『世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ』　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　くさばよしみ・編　中川学・絵
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　汐文社（2014年3月）1600円

≪2012年、ブラジルのリオデジャネイロで国際会議が開かれました。環境が悪化した地球の未来について、話し合うためでした。世界中から集まった各国の代表者は、順番に意見をのべていきましたが、これといった名案は出ません。
　そんな会議も終わりに近づき、南米の国ウルグアイの番がやってきました。
　

演壇に立ったムヒカ大統領は、質素な背広にネクタイなしのシャツすがたです。そう、かれは世界でいちばん貧しい大統領なのです。給料の大半を貧しい人のために寄付し、大統領の公邸には住まず、町からはなれた農場でくらし、花や野菜を作り、運転手つきの立派な車に乗るかわりに古びた愛車を自分で運転して、大統領の仕事に向かいます。

　さて、ムヒカ大統領の演説が始まりました。会場の人たちは、小国の話にそれほど関心をいだいてはいないようでした。しかし演説が終わったとき、大きな拍手がおこったのです。≫

ムヒカ大統領は、ウルグアイの公用語であるスペイン語で演説しました。
　本書では、演説を意訳して子ども向けの表現に変えてあるということですが、十分にその素晴らしい内容が伝わってきて、大変感動しました。

　子どもたちだけでなく、すべての年代の人たちに是非お薦めしたい本です。プレゼントにも。

)ムヒカ大統領は、首都モンテビデオの貧困家庭に生まれ、少年の頃から、家畜の世話や花売りなどで家計を助けていました。
　元左派ゲリラ活動家で、幾度も逮捕され、1972年に逮捕された際には、軍事政権が終わるまで13年近く収監されており、軍事政権側の人質として扱われていました。「刑務所の中で人生を学んだ」と振り返っています。
　2009年11月ウルグアイ大統領選挙に当選し、2010年3月1日より同国大統領。任期は５年で、任期満了にともない、惜しまれつつも退任。

ネットで「ムヒカ大統領」で検索しただけでも、大統領の生き方、スピーチに感銘を受けた沢山の人の投稿があり、スピーチの動画も字幕つきで見ることが出来ます。大統領の声、表情、身振りなど、まざに身体全体から真実の思いが伝わって来る、素晴らしい演説でした。

[5] mixiユーザー 01月29日 20:01

　『ひとりではじめたアフリカボランティア』
　　　　　　　　　　　　　栗山さやか・著
　　　　　　　　　　　　　金の星社（2015年4月）1300円

著者の栗山さやかさんは、都内の短大を卒業後、渋谷109のショップ店員、OL、フリーターなどを経験しましたが、24歳の時、親友の死をきっかけに、いろんなことを考えるようになりました。そして、25歳の終わりに、海外にでました。
　バックパックを背負ってアジア、ヨーロッパ、中東などの国々を数ヶ月かけて旅をし、エチオピアでは医療ボランティアに携わります。
　あるとき、「エイズ患者と接していて、感染が怖くないですか？」と、聞かれました。
　さやかさんは、「それでもいい。自分はこれまで26年も、家族がいて、安全があって、教育が受けられて、飢えに苦しむこともなく、清潔な場所で普通に暮らしてこられて、それでもう十分だと思った」と書かれています。

約60各国を旅したのち、アフリカ・モザンビークにたどりつきます。
　モザンビークで長い間続いた内戦がやっと終結したのは、1992年のことで、それまで訪ねたどこの国よりも荒廃していました。
　さやかさんは、「この町の貧困層の中でも、特に貧しくて困難な状況にいる女性たち、弱い立場にある子どもたちにとって役立つ場所になれば」と思い、女性や子どもを支援する協会「アシャンテママ」をたったひとりで立ちあげました。

　モザンビークの公用語はポルトガル語で、英語は通用しません。さやかさんは、医療技術学校を受験するために、まずポルトガル語から勉強し、ついに試験に合格します。
　学校ではたった2年半の間に多くのことを詰め込んで勉強するため、毎朝４時半から勉強して学校へ行き、夜遅く帰ってきてからも勉強。週末はアシャンテママの勉強小屋で時間が許す限り働くという日々でした。
　そして、血のにじむような努力が実り、2014年12月に医療技術士の国家試験にトップで合格します。

さやかさんのような方がいてくださることは、未来への光です。読んでいてマザー・テレサを彷彿とさせるものを感じました。
さやかさん、どうかお元気でお身体を大切に。ご活躍をお祈りしています。

栗山さやかさんは、緊急時の人命救助や社会福祉の増進、国際協力などに尽力した方々に贈られる≪平成27年度社会貢献者表彰≫を受賞されています。
　また、本書は第27回読書感想画中央コンクール【中学校・高等学校の部】指定図書になりました。

[6] mixiユーザー 02月23日 10:07

『琵琶湖のカルテ』　今関信子・著
　　　　　　　　　　　　　　　　　　文研出版（2010年）1300円

琵琶湖は日本で最大の湖、そして日本でいちばん古い湖でもあり、誕生以来、さまざまな固有種をはぐくみ、また、人間たちに大きな恵みを与えてきました。
　その琵琶湖が、人間の活動による環境の変化で、いまさまざまな変調をかかえています。「琵琶湖の医者」として、湖をずっと見守ってきた科学者たちによる、「琵琶湖のカルテ」から、どのようなことが見えて来るのでしょうか？　

　科学関係の本は苦手だなあと思ったのですが、今関信子さんの著書だということと、京都市に住んでいる私にとって、滋賀県はお隣の県で、身近に感じていること、そして、私たち京都市民にとっても、琵琶湖の水は大切な命の水なのですし、やはり読んでみなくてはと思いなおしました。
　

科学というと、難しい内容で数字やグラフがたくさん出て来るのでは、と勝手に想像していましたが、読み始めるとそんな心配は吹き飛んでしまいました。琵琶湖を人間に置きかえるなら、このように様々な病気をかかえていることを放っておけません。そういった意識を持つことにより、本当に大切なことが何なのかが見えて来ます。

　あとがきの中で、滋賀県琵琶湖環境科学研究センター・環境情報統括員である熊谷道夫さんは、こう書かれています。
　“琵琶湖の環境は、テーブル上の議論ではなく、自然を知ることによってのみ守られる。本書が、そのきっかけになればよいと思っている。”

地球温暖化と琵琶湖の問題も無関係ではありません。そして、そこからまた、さまざまな問題も見えてきます。
　今関さんは、藤村靖之（工学博士）著『エコライフ＆スローライフのための楽しい非電化』という本のページをめくって、ぎょっとしたと書かれています。
　電気ポットの保温、テレビやコンピューターなどの待機電力が、日本の家庭の消費電力の10,3パーセントにあたるとか。そして、それは、全消費電力からみてみると、原発４基分だということです。
　ちなみに、日本中で使われる電気掃除機の消費量は、年間で原発１基分の発電量になります。フローリングの床なら、ほうきの方が掃除しやすいのに、掃除機でする習慣ができてしまっているので、むかし活躍したほうきの出番は少ないのです。
　

[7] mixiユーザー 03月01日 09:50

　『森がささやいている』― 木工家が見つめる木の命
　　　　　　　　　　　　　　　　池田まき子・著　岩崎書店（2011年）1300円

広葉樹の豊かな森にかこまれた岩手県岩泉町にある、「岩泉純木家具」の工房。
　この岩泉町に生まれ育った工藤宏太さんは、木工家として地元の山の広葉樹を使って、木の表情を生かした家具をつくっています。

　工藤さんが製材業から木工家に転身したのは40年前のこと。何百年も生きた大きな木をうすい板や角材にする製材の仕事に疑問を持ったことがはじまりです。そういった材料で作られた家具が、大量に作られては使い捨てにされることや、地元の広葉樹林がどんどん切り出されているのを知ったこともきっかけでした。
　工藤さんは、300年生きた木は300年使える家具にしようと思いました。
　それからずっと、工藤さんは家具づくりを通して木の命にふれ、木の心に寄りそってきました。

1977年、工藤さんは木材市場で、樹齢270年の栗の木の丸太と出会い、何としても自分のもとに引き取りたいと思いました。
　製材作業が始まり、何枚か板を取っていくうちに、黒っぽい穴を見つけました。
　何かがつまっているように見え、両手でそうっと黒いかたまりを取り出してみると、何とそれは、クマの子だったのです。その穴は、年輪が90年前から120年前のところにあります。ということは、この子グマが木に入りこんでから100年ものあいだ、この木の中で眠っていたことになります。
　もし、のこぎりを入れる位置が１センチでもずれていたら･････。この子グマの体はのこぎりの鋭い刃で切り裂かれていたはずです。
　小グマはぐっしょりぬれていました。栗の木に多いとされるタンニン分のせいで、腐ることもなく見つかったのです。
　（栗の木はこの小さな子グマをかばい、クマのお母さんがふところにだくように、やさしく守ってきたんだ･････。栗の木は子グマを外の世界に出してあげたいと思い、だれかが見つけてくれるのを待っていたのではないだろうか）

　子グマの話題は町中に広がり、地元のテレビだけでなく、全国のマスコミでも取り上げられました。子グマは上等な桐の木の小箱におさめられ、事務所の神棚にお祭りされたということです。

工藤さんは、ふるさとの森と川と海を守り、次世代に伝えていくために、さまざまな取り組みを率先して行われています。3月11日の大震災のことも書かれています。

[8] mixiユーザー 03月18日 09:16

　『ちいさなちいさなベビー服』　八束澄子・著
　　　　　　　　　　　　　　　　新日本出版社（2015年12月）1400円

　図書館の新刊のコーナーで見つけました。表紙のベビー服の写真にひかれて、「何て可愛い」と思わず手に取ったのですが、ページを繰り、内容をざっと見てみると、なんとこのベビー服は、亡くなった赤ちゃんを包むために心を込めて作られたものだったのです。

岡山県倉敷市にある倉敷中央病院のボランティアグループ「グリーンはぁと」には、活動内容別に11ものグループがあります。外来の案内、園芸、生け花、保育、読み聞かせ、手芸などです。このちいさなちいさなベビー服は、その手芸サークルの人たちの手によって、作られたのでした。

　妊娠途中で、または生まれてまだ日が浅いうちに、命つきてしまう赤ちゃんもいます。お腹の中で何か月もの間、大切に大切に育んできた赤ちゃんとの、あまりに悲しい対面と、突然の早すぎる別れ。お母さんはどんなにつらいことでしょう。

　現在では、妊娠12週以降の流産は死産として扱われ、必ず遺体をお母さんのもとにお返しするのだそうです。
　ほんとうに小さく生まれてしまった赤ちゃんに着せるベビー服がなく、しかたなく、タオルにくるんだ赤ちゃんをありあわせの菓子箱に入れて連れ帰るお母さんもいました。
　･････なんとかできないだろうか。
　ここから倉敷中央病院のエンゼルケアの活動がはじまったのでした。

児童文学作家の八束澄子さんが、何か月も手芸サークルに通い、自らもベビー服作りを手伝いながら、メンバーと活動をともにします。

また、NICU（新生児集中治療室）で助けられ、退院していった赤ちゃんの同窓会の取り組みなども紹介されています。

[9] mixiユーザー 03月24日 09:26

『尾木ママの黙ってられない』　尾木直樹・著
　　　　　　　　　　　　　　　　KKベストセラーズ（2011年）1048円＋税

　尾木ママでお馴染みの、教育評論家・尾木直樹さんの著書を初めて読みました。
　表紙から、もう少しくだけた内容かとイメージしていましたが、うーん、すごい！

　著者は、今までに180冊以もの著書を出版されていますが、教育の専門書は、教育関係者にしか読まれないケースがほとんどでした。だけど、いまの日本が抱えている教育の諸問題は、親御さんやその子どもたちの未来に、大きく関わっているとても大切なこと。真実の声を多くの皆さんにとどけなきゃ･････とずっと歯がゆく思ってきた尾木さんの目の前に、バラエティー番組がパッとその道を開いてくれました。

　本書は、「尾木ママ」がどういう人間なのかを解明する内容になっています。これまでの人生の歩み、考えていることなどが語られます。
　子どもたちの幸せと日本の未来のために、皆さんと一緒に、日本の教育を本気で変えたい、という尾木ママの存在を、とても心強く思いました。
　

[10] mixiユーザー 05月15日 10:27

『手をつなごうよ』― フィリピン・ミンダナオ子ども図書館
　　　　　　　　　　　　　　　　　松居友・著　　彩流社（2016年4月）1800円

松居友さんは、フィリピン・ミンダナオで、「子ども図書館」の活動を15年にわたって続けてこられました。本書はその活動について詳しく紹介されているということで、さっそく読んでみることにしました。

　日本に一番近いイスラム紛争地域といわれるミンダナオ島で、著者がどのようにして、多くの人たちの協力を得て「ミンダナオ子ども図書館」をつくり、絵本の力で子どもたちの笑顔を取りもどしたのか、その軌跡と現状、これからについて記され、その背景にある地域の状況や、著者個人についてもふれられています。

　フィリピンという国、そしてミンダナオについても、ほとんど何も知らないで来た自分にとっては、本書をとおして初めて知ることばかりでした。
　本来は平和な島であるミンダナオの治安が不安定になりはじめたのは、資源の獲得を目的とした経済的植民地主義が広がりはじめた、第二次世界大戦後のようで、イスラム地域や先住民のいる山岳地域で、くりかえし戦闘や戦争が起きました。大きな戦争は4，5年おきに起きているといい、多くの避難民が生まれ、2002年になるとその数は120万人にまでふくれあがったといいます。

　「ミンダナオ子ども図書館」では、図書館という名をもちながらもさまざまな活動がおこなわれています。
　読み語りの活動は、全体の根幹をなす幹。そこから、医療やスカラシップ、保育所建設や植林、避難民の救済といったプロジェクトが、大枝となってはりだしています。

ここでは、イスラム教徒とキリスト教徒と先住民の子どもたちが、なかよくいっしょにくらしています。みんなおたがいのちがいを認めあいながら生活しているのです。子どもたちはいっています。ここではみんな兄弟姉妹だ、ひとつの家族だと。
　文中に「どんな信仰や希望をもっていても、愛がなければ無に等しい」という言葉がありましたが、本書を読んで一番感銘を受けたことは、愛の尊さでした。本当に心洗われる思いがしました。

　著者のお父様は、福音館書店・初代編集長の松居直氏です。戦後の荒廃した日本で、子どもたちの豊かな情操を育む本の出版に尽力し、大きな足跡を残されましたが、この息子さんを育てられた方でもあるのですね。偉大です。

[12] mixiユーザー 07月27日 08:48

『世界でいちばん貧しい大統領からきみへ』
　　　　　　　　　　　くさばよしみ・編　　汐文社（2015年10月）1200円

以前、『世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ』（汐文社）という本をご紹介しました（本欄④で紹介）。「世界でいちばん貧しい大統領」とは、元ウルグアイ大統領のホセ・ムヒカ氏のことで、2012年にブラジルで行われた国連会議でのスピーチが注目され、給料のほとんどを寄付している質素な生活も話題になりました。

今日ご紹介する本は、これまでのスピーチや取材で語られたこと、そして１時間におよぶインタビューをもとに構成されています。

　ムヒカ氏は、1960年代初期に当時の独裁政権に反抗するゲリラ活動に加わり、４度投獄されました。４度目の投獄生活は悲惨で、つかまったとき抵抗して、６発撃たれて死にかけ、そしてなんと13年間牢獄にいることになるのです。そこは、換気口もトイレもマットレスもない、ただのコンクリートの箱でした。
　
　1985年の終わり、軍事政権が終わり、出獄できました。
　自由の身になったムヒカ氏には、痛みや苦しみを嘆く気持ちは消えていました。
　開放されたあとたくさんの人と話をしました。
　許すこと、過去を乗り越えること、そして異なる意見にオープンであることが大事だと。

[14] mixiユーザー 01月03日 13:25

『「百匹目の猿現象」を起こそう！』　船井幸雄・著／赤池キョウコ・マンガ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　サンマーク出版（2006年）1200円

　
　「百匹目の猿現象」とは？著者はこれまでに本書の他にもいくつかの著書で、このことについて触れてこられました。

宮崎県・串間市の石破海岸。その200メートルほどの沖合に幸島という小さな島があります。野生の猿がすんでいたこの島で、戦後間もないころ、初めて餌付けに成功。
　餌のサツマイモの泥を、当初猿たちは手で落としていましたが、翌年、一頭のメス猿が川の水で洗って食べるということをはじめます。やがてほかの猿たちもマネをして、５年後には島内の75パーセントの猿に広まります。

ところが、なんと幸島から200キロ強も離れた大分県・高崎山の猿も同じ行動をしはじめたのです。さらに、この行動は全国に飛び火していきます･･･。
　幸島の猿の行動が、どうやって遠く離れた所へ伝わったのかはわからないけど、まるで共鳴するようにこの現象は広まりました。現在では、「百匹目の猿現象」として広く認知されている、生物の持つ神秘的なまでに不思議なメカニズムです。

　イギリスの科学者のシェルドレイク氏も仮説を立てています。
　＜この世の中には、時空を超えて共鳴をもたらす力がある。それは非エネルギー的で、まるで電波のように遠く離れた所にも広がっていく。＞
　生物学者のライアル・ワトソンもこう考えを述べています。
　＜特定の行動をする動物の数が、ある臨界値を超えると、その行動は群れ全体に広まるだけではなく、自然障壁を飛び越し、他の場所でも発生するのではないか？＞

著者は、この「百匹目の猿現象」を人間社会に起こすことを、自分の使命と考え、呼びかけてこられました。
　「よい思い、正しい行いには、時間や空間を超えて、多くの人に伝わり、広がり、変えていく力がある。社会や地球がもっとよい方向へと変わっていくために、一人ひとりが一匹の猿となり、一粒の麦となろう」と。

　赤池キョウコさんのマンガが間に挿まれていて、マンガならではのユーモアの効果で気持ちがほぐれ、楽しく読ませていただきました。

船井＆赤池コンビで、下記の本も出版されています。こちらは全編マンガです。

　～マンガで読む～
　『船井幸雄のツキを呼ぶコツ』（2004年）
　『船井幸雄のスピリチュアルな世界』（2005年）
　　　　　　　　　　　　　　　　船井幸雄＆赤池キョウコ／著　グラフ社
　　　　　　　　　　　　　　　

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[15] mixiユーザー 01月16日 09:33

　『しつけない道徳』　尾木直樹・著
　　　　　　　　　　　　　　　主婦と生活社（2016年9月）1000円

文部科学省は、2018年度から、いじめ防止対策の効果などを目的に、道徳の授業を国語や数学なみに“教科”に格上げし、成績評価もつけようとしています。
　私自身は、このことについて、はっきりと言葉では説明できないながら、なんか違うのではないかと、漠然としっくりこない思いがありました。私のように、そんな疑問や思いをいだかれている方も、きっと多いのではないでしょうか。

そんな時に出版されたこの本を、思わず手に取ってしまいました。
　長年いじめ問題を調査、研究してきた著者は、正直なところすごく心配している、と書かれています。というのも、この方法が必ずしも効果的とは思えない実態があるからだといいます。

　「道徳」とは？？
　社会の中で人として生きていく上で、本当に必要な、大切な道徳はもっとシンプルで本質的なもの。豊かな想像力と理解力、協働性に懐の深さ、寛容な心･････　これらを養い育てていくことが、本来の道徳教育である。
　著者は、本書では、そんな道徳を３つのステップに分けて考えていきます。
　まず、道徳に対する先入観を捨て去る作業。その上で、「道徳って一体どういうものなんだろう？」ということをフラットな視点から見てみる。
　次に「なぜ道徳って必要なんだろう？」という問い直し。
　そして最後は、実践編 ―「家庭でできる道徳」です。

「道徳」について語ることは難しいと、つくづく感じます。ここまで書いて下さった著者はさすがだと感じました。今まさにタイムリーなこの問題に向き合った本書を、ぜひ多くの方に知っていただけたらと思いました。

[16] mixiユーザー 07月21日 09:21

～地球に生まれたあなたが～
「今すぐしなくてはならないこと」　木村秋則・著
　　　　　　　　　　　　　　　　　KKロングセラーズ（平成26年）1300円
　

　著者は、1949年青森県弘前市生まれ。無農薬・無肥料のリンゴ栽培に挑戦し、苦難の末に、完全無農薬・無肥料のリンゴ栽培に成功された方です。
映画『奇跡のリンゴ』が大きな反響を呼んで、著者は講演や農業指導のために日本中を飛び回るようになりました。自然栽培の芽は全国に生まれているのです。
　日本の農薬使用量は世界で一番多い。日本の農業は、なんとかしてこの汚名をなくすように意識を変えていかなければならない。効率重視の農業から原点に立ち返る。この活動を著者は「農業ルネッサンス」と呼んでいます。

≪リンゴが実をつけてくれるようになったのは、「本当に大切なことは目に見えない」と気づいてからです。たいせつなものは、「目に見えない部分」にこそあり、そんな見えないものを見る心が、奇跡を起こす力になるのです。
　心を形にして出すことはできませんが、行動にして表すことは出来ます。それは心が自分の身体を動かしているからです。≫

いろいろ気づかされることがありました。その一つにウシの飼育のことがあります。
ウシは放たれた草地で自分が排泄したフンの場所の草を、５年間は食べないのだそうです。ウシは本能によってそれが毒であることを知っているから。５年という機関のなかで排泄物が風化され、土に戻って無毒になる。この毒は硝酸態窒素で、堆肥を使って行う有機栽培から出てくる。その残留濃度について、EUでは厳しく規制されているが、日本では野放し状態である、ということです。
　

オゾンホール、巨大ハリケーン、大嵐･････これらの「原因」は地球の見えない水脈の汚れだと書かれています。水脈の汚れの原因は「土」の汚れである。「土」の浄化なくして、自然環境の再生はありえない。
　地球は「土」の「球」と書く。わたしたちの手で壊した地球の自然は、わたしたちの手でしか再生できない。
　地球はまさに危機に瀕しています。始めるのは今しかないのです。

『「心」が変われば地球は変わる』（木村秋則・著　扶桑社）も出版されています。　
「生き方」「農業」「食」などについて熱く語った感動作『ソウルメイト』を、待望の文庫化したものです。
　【目次】 : 第１章　今、私の伝えたいこと―これからの生き方と日本について/ 第２章　農業は、日本の宝/ 第３章　畑のリンゴが教えてくれること/ 第４章　“見えない力”と歩き続けて/ 第５章　いちばんのソウルメイトは、やっぱり女房/ 第６章　“リンゴの奇跡”を支えてくれたソウルメイト/ これから一緒に奇跡を起こしていくソウルメイトたち/ 特別対談　木村秋則×高野誠鮮「本物はヒトもリンゴも腐らない」