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モナリザ化粧品の2人コミュの第9話 Oh Happy Days

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「これから考えるさ…」
そうは言ったものの行くあてのない2人を乗せた車は
いつの間にか高速道路を走っていた。
ただひたすらアクセルを踏み続けていたが
やがて何度目かの休憩に停まったSAで2人は眠り込んでしまった。

コンコンッ、コンコンッ…。
白髪まじりの初老の黒人男性がクルマの窓をノックする音で
2人は目を覚ました。
「あなたたち、どうしたのですか?」
タキシード姿の男性とウェディングドレス姿の女性が
車内で眠り込んでいるのを見れば誰でも不思議に思うだろう(笑)
彼は神父で自らが指揮するゴスペルクワイアと共に移動中だという。
そして、コーヒーとサンドウィッチがあるから一緒に食べないか?と
朝食に誘ってくれた。

空腹だった2人は神父の誘いを受けサンドウィッチを食べながら
今までの出会いと別れ、そして昨夜の出来事を話した。
想いのままに式場を飛び出してきた2人だったが
一夜明けると心は「これからどうしよう?」という不安でいっぱいだった。
そんな2人の気持を察した神父は自分達と一緒に来ないか?と誘った。
「音楽を聴けば不安な気持も晴れますよ!」

開演前の楽屋は賑やかだった。
クワイアのメンバーは全員黒人だったが国籍は違っても恋の話は万国共通だ。
2人はメンバーから入れ替わり立ち代わり質問攻めに遭っていた。
そしてそんな賑やかさの中にいると不安な気持を忘れることができた。
やがて公演が始まり、2人はメンバーから借りたTシャツとジーンズを着て
ステージの袖から彼らの歌を聴いていた。
最後の曲が終わりいつまでも観客の拍手が鳴り止まぬなか神父がマイクを取った。
「今日はこれからこのステージで結婚式を執り行います。
みなさんも一緒に若い2人を祝福して下さい!」

観客の歓声と拍手が一段と大きくなった。
ステージ袖に立つ2人にスポットライトが向けられたが
突然の出来事にどうしていいか分からずうろたえる2人に神父が言った。
「どうした若いの!さあ2人の愛を見せてくれ!」
バンドの演奏が始まりソリストの歌声が響くなか
クワイアの間をモーゼの十戒のように神父に向かって道が開けてゆく。
「汝、病める時も健やかなる時も…」
2人の涙はやがて嗚咽になりもう神父の言葉など全く聞こえなかった。
突然の出来事なのでウェディングケーキも指輪も用意できなかったが
ここには本物の愛と祝福があった…。

Oh Happy Day
http://www.youtube.com/watch?v=a37bBm8pXSk


ステージの撤収作業も終わり
先ほどまでの喧噪がウソのようにホールは静まり返っていた。
間もなくクワイアは次の公演地へ旅立つ。
2人は東京へ戻ることにしたので別れのときがやってきた。
「神父さん、本当にありがとう!」
「お2人に神の祝福を!」
2人を乗せたクルマのリアウィンドウに「Just Married!」と書いてあることに
気づいたのはクルマが走り出してからしばらく経ってのことだった(笑)

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