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モナリザ化粧品の2人コミュの第5話 奏

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勇太が和江に告白したクリスマスイブから歳月は流れて
あれから何度かのクリスマスイブがやって来ては過ぎていった。
そんな何度目かのクリスマスイブから2ヶ月ちょっとが過ぎた3月初旬。

「アイツ『いま貯金をしているからホワイトデーは期待しないでね』と
言ってたけど何のための貯金なんだろう、フフフッ…」
デスクで仕事の手を休めてそんなことを考えているとき支店長の声が聞こえた。
「田所さんちょっと来てくれる?」
「また売り上げアップのハッパをかけられるのかな?」
そう思いながら支店長のデスクへ行くと彼は満面の笑顔でこう言った。
「おめでとう!
さっき内示があってね、来月から本社の経営企画室へ行ってもらうよ!
支店のトップセールスのあなたを手放したくないんだけど
栄転なんだから気持よく送り出すことにしたよ!」
支店長が大声で話すものだから
和江の周囲にはアッという間に人の輪ができてしまった。
そしてお調子者の社員の音頭で始まったバンザイ三唱は
いつまでも止むことはなかった…。

和江の東京への出発前夜に催された送別会は
栃木支店始まって以来の盛り上がりであった。
店内の酒を全て飲み干す勢いで乾杯を繰り返すセールスレディたち、
和江の胸に顔を埋めて泣き出す後輩女子社員、
平静を装いながら互いに酌をしあう課長たち…。
表し方はそれぞれだが
誰もが和江の旅立ちを祝う気持と別れを悲しむ気持は同じであった。

何軒目の店かなど誰も分からなくなっていた午前4時、
和江と勇太の2人以外はみんな酔いつぶれていた。
(これからみんな朝帰りでシャワーを浴びて出勤しても二日酔いで仕事にならないだろうな…)
和江の存在は「栃木支店を開店休業にした女」としてずっと語り継がれるに違いない(笑)
2人は連れ立って店を出た。
和江はもうみんなの顔を見ずに東京へ出発するつもりだった。
もう一度みんなの顔を見れば泣き出してしまいそうだったし
涙の別れは和江の流儀ではないからだ。

電車の時間まで2人はあてもなくブラブラと歩いていた。
お互いに何か話さなければと思いながら
言葉を交わせば泣き出してしまいそうなので無言で歩き続けるしかなかった。
「もうここでいいよ」改札の前で和江はそう言った。
「じゃあな…」そう言ったのに和江は前へ進むことができなかった。
東京と栃木、今までのように毎日顔を見ることはできないけど
お互いを想う気持は変わらないしこれからもずっと心は一つなのに
なぜ涙が出るのだろう?
和江は勇太の胸に飛び込んで泣きたかったが
そうすれば東京へ行けなくなることは分かっていたので
その気持を必死に抑えていた…。

スキマスイッチ / 奏
http://www.youtube.com/watch?v=J5Z7tIq7bco

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