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文豪てっしーを見守る会コミュのかなしゃるちゅ(2-3)(長編)

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 一方の女子はというと、3つ出来たグループはそれぞれが排他的なオーラを作り出していた。縄張り争いをすませた小鳥の群れのように、すでにそれぞれのグループ内で固まっていた。グループ同士がいがみあうわけでもない。ただ不気味な静けさとともにそれぞれのグループが共存していた。グループ内の会話がどのようなものかはまったくわからなかったというのもあってか、外から眺めている分には表向き平和な光景だった。


 「どうして女子ってあんなにずっと好きな人同士で固まるっちゃろうね」


 男子の目線で言えばどうしても不思議に映る光景だった。そうは言っても輝だって特にどうこう言う気もなかった。高校生にもなって全ての人がわかりあえるという夢を見るつもりはなかった。何となく合わない、一緒にいてもあまり面白くない、そういった感覚は誰だって持ち合わせている。無理して一緒にいるぐらいなら初めからある程度距離を置いて接する方が余計な摩擦を生み出さないで済む。気に入らないからといって物理的な力に頼らないぐらいには高校一年生はじゅうぶんに大人だった。


 そうして人間関係が出来上がっていくと、あとは流れるプールに流されるように簡単に進んでいく。グループの中で自分に与えられた役割が勝手に一人歩きを始めて、それが日常の一部分として溶け込んでいく。与えられた役割が本来の自分とかけ離れてさえいなければ、居心地は悪くなかった。


 高校生活が日常として受け入れられ、どことなく高校生の風格が現れ始める五月後半というなんとも絶妙なタイミングに、輝の高校では文化祭が動き始める。六月の第一週の土日に行われる文化祭は高校の二大行事と言われるほどの大きな行事だった。


 保護者や来場者にとってはたった二日間のみのイベントだが、主催者に当たる学生にとっては、二週間前から授業を短縮してまで作業を行う長期イベントだった。文化部に入った学生は入部した直後から準備にとりかかるようで、実行委員に至っては前年度の一月には発足して準備をしているそうだ。その頃はまだ輝たち新入生は、合格を夢みて受験勉強に明け暮れていた頃のことだった。


 行事はクラスメートの今まで見えなかった別の一面を見ることができる貴重な機会である。特に文化祭はクラスの中であまり目立つ機会を与えられない文化部が中心になる数少ないイベントだった

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