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文豪てっしーを見守る会コミュのライン(中学後編)【真美編】?

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【真美編】


 「真美さ、明日の全国大会、大樹たちの応援にいくでしょ?」塾の授業終了のチャイムが鳴った時、瑤子に呼び止められた。


 「うん。そのつもり」


 「よかった。じゃあ明日8時に迎えに行くね」そう言って瑤子は帰っていった。
 

 正直言って瑤子に誘われるまで真美は迷っていた。もちろん応援には行きたかった。でも「私なんかが行ってもいいのかな」という想いは頭の片隅にずっと存在している。瑤子に言うときっと瑤子は「真美が応援に来たら大樹は喜んでくれる」って言ってくれるだろう。それでも真美の想いは複雑だった。
 

 転校以来真美が面と向かって大樹と話した記憶は二年の時の新人戦の市大会の時と原中男子テニス部が城南中に練習試合に来た時ぐらいしかなかった。一年の時は同じぐらいの身長だったのにいつの間にか見上げなければいけないぐらい大樹の身長は伸びていた。声も一年生の時に比べると低くなっていた。
 

 一年生の時は毎日のように顔を合わせていた大樹がいつの間にか遠い存在に変わっていた。塾の休み時間に時々瑤子から大樹のことは聞いていたけど、やっぱり話で聞くのと実際ではだいぶ違っていた。もし明日話す機会があっても何を話せばいいかわからないと思う。


 もちろん大樹のことが嫌いになった訳ではないし、その想いは一年生の時から変わっていない。それでもここ最近の真美にとって大樹のイメージは金網の中でボールを追いかけるテニスプレーヤーだった。相手を自由にさせない強力なストロークと最後まで諦めない粘りで勝ちを重ねていく。コートの中の大樹はまるで別世界の住人だった。そんな大樹が今でも自分のことを気にかけてくれているというのが信じられなかった。


 塾からの帰り道、突然真美は大樹と良祐の分のハチマキを作ろうと思いたってスーパーで白い厚手の布を買った。応援に行く以上少しでも二人の力になりたかった。真美は二人分のハチマキをこしらえて、ハチマキの真ん中に『必勝』の文字を書き入れた。しかし眺めてみると真ん中に『必勝』の文字だけではどうにも物寂しく見えた。


 少し考えてから真美は梅津と中山に電話を掛けた。二人へのメッセージを書いてもらいたかった。突然のお願いにも関わらず梅津も中山も快く引き受けてくれた。


 「市大会で負けていった奴らのためにも大樹と良祐には頑張ってもらいたいけんね」梅津の言葉が印象的だった。男子の友情っていいなって思う。


 「真美ちゃん、あいつらに会ったらよろしく伝えとってね」真美は二人の想いのこもったハチマキを受け取った。

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