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文豪てっしーを見守る会コミュのかなしゃるちゅ(1-3)(長編)

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 初めてここを通過する人が思わずポカンとしてしまう名前、お世辞にもセンスのいい名前とは言えなかった。しかし名前とは裏腹にサガンクロスは長崎方面・大分方面・熊本方面の3方面に分岐する九州において重要な意味を持つジャンクションであった。


 このサガンクロスにも名付け親がいるはずである。不意に常日頃から親父ギャグを飛ばしている初老の男性の姿が僕の頭の中に浮かんだ。
 

 僕の想像の中でその男性はサガンクロスという名前を思いついて満面の笑みを浮べていた。僕は急に腹立たしくなった。


 「それにしても……」僕は頭の中を切り替えた。


 「サザンクロス」と「サガンクロス」


 たった一文字しか違わないこの二つの言葉は、その一文字ゆえにだいぶ印象が違ってくる。サザンクロスはどこか神秘的で荘厳な感じを受ける。一方のサガンクロスに至っては親父ギャグの域をどうしても抜け出せない。
 

 僕は目の前に広がっているサガンクロスのはるか上空にサザンクロスを浮かべてみた。本来は決して共演しえない光景である。


 サザンクロスは日本ではほとんど見ることができない星座の一つだった。サザンクロスの四つの星を見るためには沖縄まで下らなければならない。その沖縄にしても、水平線にスレスレにわずかに見える程度らしい。
 

 僕は小学生の頃、母の故郷である奄美大島でたった一度だけサザンクロスを見たことがある。しかし奄美大島では、一番下の星が水平線の下に潜っていて、どれだけ待ってもその全体像を拝むことは出来なかった。僕の中でサザンクロスは未完成の星座のままで、それを補完することは出来ないままであった。
 

 僕がサガンクロスとサザンクロスについての大して役に立たない想像をし、車の運転をしていることさえ忘れかけているうちにも、不思議と両手ではハンドルを握り、右足はアクセルとブレーキをしっかりと踏み分けながら、分岐を間違えることなく熊本方面に向かうことに成功していた。

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