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あざらしの談話室2コミュのFreedom-Fighter 23-3

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「経験が浅いと過剰に考え込んで疑心暗鬼になるもんだ」

キックスは恋愛経験皆無ゆえ、正直戸惑っていた。

「しかし、一緒にいたら心が落ち着く…」

ムスタングの言うことは見事に的を得ていた。この時点で、キックスはゆかの想いを感じ始めていた。しかし浮わついた状態は兵士として如何なものか…そういうふうに考えていた。最前線に立つ部隊…とりわけAPURGではキックスが最高階級(准佐)だ。ラプターには『恋愛不器用の堅物軍人』と呼ばれて茶化されているが…。


そこもやり遂げてこそ、キックスさんなのでは?


ムスタングは、嬉しそうだった。

「自分は…この戦いが終わったら、平和な世界でエリーゼと結婚するつもりです」

彼は、そのためにも最後まで生きて戦い抜くと誓っていた。その姿はキックスも心を動かされるものがあった。


オレは…どうしたらいいんだ?


「なにがですか?」

はっと我に帰った。ガーランドから上陸用舟艇に乗り込み、最初の便で移動する最中だった。隣でやや心配そうにゆかが見ていた。

「…いや、なんでもない」

さすがに本人には話せない。必死でその場を取り繕う。

「…ビビってるんですか?」

笑顔のゆか。とりあえず頭を軽くはたく。勿論キックスも笑顔。

「お前こそ、怖くはないのか?」

「怖いって思ったら、その先には行けませんよ」

よくわかってる…キックスはそう思った。

上陸準備!舟艇指揮者が叫んだ。各々が装備を手に取る。

「扉が開いたらすぐに砂浜を走れ。息を吐くのは砂浜の先に着いてからだ!」

キックスが気を引きしめなおす。他の舟艇でもそれぞれの指揮官が最後の号令を発していた。それからすぐして、舟艇が砂浜に乗り上げる。扉が勢いよく前に倒れ、それを合図に一斉に隊員達が砂浜を走り出した。

キックスは半分までいったところで立ち止まり、辺りを見回す。

「四番隊…ムスタング少尉、五番隊…コーポート准尉、六番隊…イノグチ少尉か…」

次々と隊員が砂浜を内陸側に走っていく。入れ替わりに避難民の乗船作業が始まる。アリソンはアリシアに捕まりそのまま手伝いに…。キックスは今後の打ち合わせにそのまま内陸側に向かった。

「キックス、全員揚陸完了しました」

ムスタングが近寄ってきた。キックスはすぐに移動準備を指示する。

「ババクジ引かされた?」

アカネがニヤニヤしながらやってきた。

「あのクソボケのせいでな」

ハイタッチ

「えっ!ミューちゃんも来たの?!」

フェリスが驚きながらミューレンスに近付いた。彼女らも面識はある。特にフェリスとはかなりの仲良しだとか…。

「うん、あのクソボケくんのおかげで」

かなりわざとらしい笑顔。それが男性にはより怖く見えたとか見えないとか。

「またそんなこと言って〜」

フェリスがミューレンスを茶化す。顔を赤くするミューレンス…それを見てキックスは小さく笑った。

15分後、全部隊は輸送車などに分乗し移動を開始した。幸い拠点に到着するまで何事もなかったのが救いだった。この拠点…キャンプベルベットは、そこまでスペースのある場所でもなく、301師団と3個隊が入ればキャパは限界に近い。

「…で、あのクソボケの容態は?」

「ウイング大尉でしょ? ミルフィーから連絡あって、安定はしてるみたい。でもまだ意識は戻らないって」

そうか…キックスは割り振られたスペースに腰を落ち着かせた。そして思わずタバコを…


アリソンを見て、それをしまった


「まだ未定だが、いずれハスティーらもこっちにやって来るはずだ」

彼はバックから地図を取りだし丁寧に広げた。

「101小隊はメンバー合流後、自主避難地になってる大学に向かってもらう。これはさっき別ルートで入った指令だ」

もちろん24特務隊『Devil Hant Angels』が上級部隊として任務に就く。さらに作戦発動と共にOCRGの各隊が与えられた地区に配置される。

「…キックスはどうするの?」

やや心配そうに尋ねるアリソンに、キックスはしばらく黙ったまま地図を見つめた。


…リジェに向かう


一気に血の気が引いたのがわかった。リジェ…リジェルバルタに潜入。敵地に飛び込むのだ。命の保証は、ないに等しい。


全体の指揮はどうするの? キックスは派遣軍最高司令官なんだよ?


APURGのオーガンシティー派遣軍最高司令官は、准佐であるジョージキックスだ。その最高司令官が敵国潜入すると、現場指揮は誰が執るのか…もっともな疑問だ。


ハスティーが執る、APURGの派遣軍最高司令官はオレだが…ハスティーはAPURG派遣軍の最上級部隊の指揮官になる


つまり最上級部隊の隊長…ミリアルハスティーが最高司令官となるわけだ


「心配なのか?」

キックスの言葉は、自然と口に出た。もちろん心配だ、アリソンの気持ちはもっともだ。しかしキックスは…


オレは死ぬことはない、死ぬつもりもないし、なによりまだやらなきゃならないことはたくさんある


そういって、アリソンの頭を撫でた…彼女は…今にも泣き出しそうになっていた。そんな彼女に彼は…すっと抱き寄せた。アリソンは戸惑いながらも、すぐにキックスに身を預けた。ほんのすこし、涙を流しながらも。

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