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あざらしの談話室2コミュのFreedom-Fighter 14-1

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14 さらの決意



「・・・先輩・・・先輩・・・」

はねすけはゆっくり目を開けると、そこにはちとせが立っていた。心配そうな表情で彼の顔を見つめていた。

「ちとせ・・・ちゃん?」

ゆっくり起き上がる。どうやら寝てしまっていたようだ。

「ずっとうなされてました。だからびっくりして・・・」

ちとせがすっと鏡を差し出した。それを受け取ったはねすけは、自分の顔がひどいことになっていることに気付く。目は真っ赤に腫れていた。泣いた後の顔だった。

「ごめんね・・・心配かけちゃって」

ようやくのことで立ち上がるはねすけ。その時、額に汗をかいていたことにも気付いた。

「ははは・・・こりゃひどいな」

もはや笑うしかない。

「そうですよ・・・ひどい顔ですよ?」

ちとせも笑った。はねすけは顔を洗うために一旦稽古場を出た。トイレの洗面所で顔を洗うはねすけ・・・目の前の鏡に映る自分の顔・・・。



ユキ・・・



思わずつぶやいた。ユキの亡き骸は、アヤの亡き骸と共に、生前みんなでよく遊んだあの小高い丘に埋葬された。最近は行ってないが、丘のてっぺんに2本の墓標が立っている。幸い戦争が始まってからはあの辺りで戦闘は行われていない。住人もいないということなので、あのまんま残っているはずだ。



そのうち・・・墓参りしないとな・・・



はねすけは洗面所を後にして、稽古場に戻った。



どうも結構な時間、トイレでぼーっとしていたらしい



稽古場の雰囲気はかなり変わっていた。りょーすけ・ゆか・せいご・さらの4人が同じ白のロングハッピを着ていたのだ。

「あ! 遅いぞ。どこに居たのよ」

ゆかが白色のハッピを持って彼の元へ歩いてきた。

「いや・・・ごめん。顔洗ってたんだけど・・・ぼーっとしてたみたい」

「・・・昔でも思い出してたの?」

どきっとした。この人には超能力でも備わっているのだろうか? もしくは某ロボットアニメのゼロシス・・・とにかく冗談抜きでそう思ってしまった。

「あれ? ちとせちゃんは?」

衣装を受け取ったはねすけは、さっきまで居た後輩を探した。

「今、奥の部屋で試着してるよ」

ゆかがニヤニヤしながら教えてくれた。



一緒に着替えてきたら?


結構です



改めて白ハッピに目を向ける。着目したのは背中。『WhiteWing』という文字が目立つ。イラストはよしこが担当したらしい。女の子だろうか、翼が生えた女の子のシルエットが描かれている。

「これね、発案はあたしなんだよ?」

気付いたら隣にゆかがいた。

「その女の子は世界から争いをなくす神様の使い、まぁ天使でね、癒しの舞いで戦う意思を無くすの。白い翼を持つ自由の戦士って言われてるんだ。でね、この天使は何人かいて、人々は彼女達をFreedom-Fighter White-Wingsって呼んだのよ」

ゆかにしてはとても女の子らしい発想だな、はねすけは思った。ちとせあたりが思いつきそうな設定だが、ゆかもやっぱり女の子だ・・・。(失礼のない意味で、だ)

「ゆかの発想にしては、乙女チックだね」

はねすけは正直に言った。ゆかは少々むっとした表情を浮かべたが・・・

「それはあたしに惚れたって解釈ととっておくよ」



・・・ずいぶんと外れた異訳だが



にしてもこの『WhiteWing』がやけに気になった。なぜなら先日みたリストに『完成間近』として同名の戦闘機があったのだ。

「X683W・・・。まぁ気にしないほうがいいかな」

はねすけはそれ以上考えるのをやめた。



どうですか!? これいいですよ!!



勢いよく奥のドアが開き、テンション高い女の子が飛び出してきた。あまりの勢いに特にはねすけが素のリアクションをしてしまう。まぁそれ以上話題には挙がらなかったが、まぁとにかくこのときのちとせはハイテンションを何乗もかけた感じだった。

「どーですか? これ!」

とにかくテンションの高いこの女の子・・・。

「やっぱり映えるな〜」

りょうすけもせいごも納得の様子だった。少し離れてその様子を見ていたはねすけもさらも、特別な思いで見ていた。2人共ちとせの素性はわかっている。ざっくばらんにはゆかも知っている。しかしはねすけやさら・・・ハスティーやメンフィスとは決定的に違う点があった。なにより2人はトサノコクで彼女に出会っている。実際助けた人間だ。その時のちとせはまさに魂の抜け殻みたいな状態だった。このままではいつ自殺してもおかしくない。肉体的には問題ないが、精神面においては危篤状態だ、そうカウンセラーには伝えられていた。さすがに女の子ということで、女の子のデリケートな面などはサレンスら女性隊員に任せていた。それ以外ではハスティーもキックスもなるべく一緒に遊んだりなど接していた。任務上トサノコクから離れた後も、代わる代わる彼女のいる戦災孤児院に出向いて面会などしたりしてた。(一番足を運んだのはサレンス。ついで諜報任務に向かう前や後にウイングが立ち寄る程度)そしてオーガンシティー国立大学に進学する際には、別の用事で参加できなかったハスティー・フリッツ・メンフィス、諜報任務で国を離れていたウイングを除くキックス・ラプター・サレンスが入学式にも顔を出していた。現在彼女は大学から少し離れた場所に一人暮らししている。ハスティーの家とは間逆ということもあり、ハスティーの家を訪れるということはなかったが。ちとせがはねすけやさらと初めて会った時に初対面のリアクションをしたのはまさにそれで、トサノコクの頃に会ったとき以来ほとんど会っていなかったからである。

「改めてね・・・」

ゆかが口を開いた。

「はねすけやさらちゃんがやってきたこと・・・お父さんがしたかったことっていうことの意味がなんかすごく実感できてるよ」

はねすけもさらも何も言わなかった。

「あぁやって、今では幸せに過ごせている子がいるって考えたら・・・ね」

「そうだね・・・」

さらはこう答えるに留めた。

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