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あざらしの談話室2コミュのFreedom-Fighter 6-2

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やっぱり・・・彼女はそう言われて直感した。ウイングは秘密基地に連れて行くつもりだ。地下に隠された航空基地に彼は車を走らせている。しかしその質問がくるということはすなわち



空に上がる



と解釈できる。ちとせとゆかはどうするつもりなのだろうか? 仮に彼女らを連れて舞い上がったとして、いったいどこに連れて行くつもりなのだろう。

そうこうしているうちに車は森林の中を走っていた。やがて木々に囲まれたコンクリート製の建物が視界に現れる。その建物の入口の前でウイングは車を停めた。

「さぁ着いた。降りた降りた」

彼に言われて3人は車を降りた。時折吹く風に揺れる木々のざわめき以外何も聞こえない。4人はその建物の中に入る。中はがらんどうで、下に続く階段以外は明かりもなくかなり不気味で、なにより底が何も見えない。ちとせが怯えだしたので、ゆかが手をつなぎウイングのすぐ後についた。さらは最後尾で「出てこないか」しっかり見張りながら下っていく。

「・・・さら、この基地の名前聞いたことあるか?」

ウイングが突如立ち止まり背中越しに質問を投げた。暗かったので真ん中2人が驚いてしまう。さらは少し考えたが答えは出せなかった。無理もないだろう・・・彼は再び降り始める。そしてそのまま一番下まで降りたとき、彼は再び振り返りこう言ったのだ。



ここの名前は、旧エルバート軍特務隊の秘密基地、キャンプダガイだ



今まで見たことのない悲しい表情、その中に見え隠れする怒りの感情。見慣れたさらでさえ初めて見る人間・・・ストーネス・M・ウイングがそこにいた。彼自身ここは『できれば来たくない場所』のひとつだった。元々この基地は領土を侵した敵に対しての『伏兵施設』として15年前に建設された、当時としてはエルバート軍最大の秘密基地だった。優秀な索敵能力を有していた『キャンプダガイ』は



西側から侵犯する敵を即座に要撃・撃退できる



として期待されていた。しかし実際のところはまったくといっていいほど機能せず、結果近くの村落を全滅に追いやることになるのだ。その村落については今もって説明の必要もないだろう。

基地のコントロールセンターに入った4人を出迎えたのは、数人のAPURG軍兵士だった。ウイングは敬礼に敬礼で応え、責任者らしき人物に状況説明を求めた。部屋の中央に置かれた机の上に広げられた地図を睨む。3人には商店街で出会った時とは180度正反対の人間に見えていた。

「やはりここは見つかるな。近いうちに」

ため息混じりに呟いた。コーヒーメーカーに手を伸ばすウイングは3人にも勧める。ゆかとさらが手を挙げたが、ちとせは飲めないため代わりにジュースを希望した。

「あの扉の向こうには何があるんですか?」

ゆかが、さっき入ってきた扉とは反対の場所にある扉を指差した。扉にしてはかなり大きなもので、荷物の搬入口を思わせる。「開けてみな」というウイングの言葉に、興味津々も恐る恐るちとせが扉を開ける・・・ただっ広い空間が視界に飛び込んできた。そこはなんと地下格納庫だったのだ。少し前に触れた地下航空基地の、である。隅々まで見渡すと戦闘機が駐機されていた。

「言い忘れたけど、ここは秘密基地だ。ここで見たことはすべて他言無用厳禁だからね」

ウイングがちとせの背中に向かって背中越しに言葉を放つ。

「ちなみにもし言っちゃったら・・・?」

ゆっくりと振り返るちとせ。

「決まってるじゃん」

言い終わりと同時に、彼は腰にさしていた短銃を引き抜き素早い速さでちとせをロック、引き金を引いた。


カチンッ



沈黙の空気が流れる・・・。

「機密保持のためにお空に召されてもらう。例えハスティーの彼女でも例外はないから。まぁ元よりそんなことはないと信じてるけどね」

そう言ってウイングは短銃を腰にさした。銃口を向けられたちとせはその場に座り込んでしまった。表情からどんどん血の気が引いていっているのがわかった。ゆかもさらもその場から動くことができなかった。

「すまなかったね。驚かせてしまって」

彼はちとせの傍に立ち手を差し伸べた。怖がりながらも手を取り立ち上がる・・・。

「SonicAtackerとWingStrikerの整備はどこまで進んだ?」

あと10数分はかかると返事が返ってきた。ウイングは小さくうなづいた。

「中尉、ハンプスより連絡です。一旦降りたいと・・・」




「かなり腕が立つな、こいつら」

オーガンシティーの外れでは激しい空中戦が続いていた。

「違うだろ、こっちの腕が落ちてんだよ。くそっ!」

ハスティーは操縦桿を引き機体を急上昇させる。刹那、敵の放ったミサイルが機体腹部すぐ下をかすめた。そのまま機体を立て直し機銃で敵機を飛行不能に追い込む。

「キックス、そろそろ限界だ。一旦降りるぞ」

―了解。

「CDコントロール、TSX001及び002の着陸許可をもらいたい」

2機は何とか敵の攻撃を振り切り、戦闘空域離脱に成功した。完全に振り切ったのを確認し、2機編隊を組む。そしてマスクを外した。

「久々にしてはかなりこたえるフライトだったな」

キックスは『あざらし』をオートフライトモードに移行させて、全身を投げ出した。つい2ヵ月前まではほぼ一般人を同じ生活をしていた2人。ゆえに肉体的精神的にもブランクが大きすぎたのだ。否応なしにトレーニングの復活を考えてしまった。そんなところ、ディスプレイにCDコントロールからの通信が表示された。キャンプにはNアプローチせよ・・・簡単な暗号だった。Nは英語のNORTHだから、つまり北から着陸せよという指示である。2機は高度をさらに上げて、スピードも上げる。

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