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【理子の短編小説】コミュの〜大阪LOVER〜

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スキダケドスキナノニ
スキダカラスキナンダ
スキヤケドスキヤノニ
スキヤカラスキヤンカ




『リエチャン、お母さん早く孫の顔が見たいわ…あなたもういい加減理想ばっかり追いかけてちゃダメよ?』

そう呟いて母さんはお決まりの溜め息一つ…

ハイハイわかってますよ!

母さん、アタシもね…早く安心させてあげたいんだよ?でもね…でもさ…

現実なかなかそうも行かなくて…アタシもどうしたらいいかわかんないの。年下の彼氏って微妙に難しい…年上女のプライドが邪魔をして素直な心がネジ曲がる。

はぁ…溜め息混じりに今夜も新幹線に乗り込む私。


-"最終に間に合ったよ
0時ちょい前に
そっちに着くよ"
メール短すぎたかな?
わたしもそっけないけど
新大阪駅まで
迎えに来てくれた
アナタを見たら-


『リエ!こっち…』
『しょーたぁ…』


-いつも履いてるスウェット
今日も家へ直行か…-


助手席のシートベルトを締めながら呟いてみる。


-『万博公園の太陽の塔ひさびさ見たいナ〜明日さ、たまにはいいじゃん!!』
『そやなぁ…』
って行くの?
行かないの?-


あーぁ、なんか最近ずっとこんな感じ。

馴れ合いかな?


-何度ここへ来てたって
大阪弁は上手になれへんし
楽しそうにしてたって
アナタ以外に連れは
おれへんのよ-


フロントガラスに広がる見慣れた景色が悲しくさせる。章大の部屋の周辺しか私には大阪という街がわからない。

地名すらハッキリとはわかんない…わからへん。


-近そうで
まだ遠い大阪-


きらびやかなネオンをくぐりタクシーのテイルランプの赤い海を泳ぐ車の中、運転席の章大はタバコを吹かしながら鼻歌を歌う。


-言いたいこと
言えなくて
黙ってしまうのも
良くないよね
毎週は会えないから
喧嘩だけは避けたいし
通い慣れた道が
いつもより長く感じる
この空気-


『チッ…混んでんなぁータクシー邪魔やわー』


-御堂筋はこんな日も
一車線しか動かない
『家に着く前に何か飲む物買って来ようか?』
気分変えようとしてるんじゃん!
『そやなぁ…』
っているの?
いらないの?-


章大と出会って2年と少し。時間は刻々と過ぎるけど私たちの距離や歳の差は縮まらない。

あぁ生まれた時間を変えられたらいいのに!

30過ぎた年上の私にとっては毎日がカウントダウン。学生時代の友人は3人目を妊娠したし、会社の後輩は寿退社だって…気にならないなんて言ったら嘘になる。

ねぇ章大?

私たちはどうなるの?


-何度ここへ来てたって
「一緒に住まへんか?」
とは言わないし
楽しそうにしてたって
そこは内心
めっちゃさびしいんよ-


『あ、安田章大がどんな所で生まれ育ったのか見てみたい…ダメ?』
『え〜?尼かぁ?柄悪いトコやで〜りえ絶対ヒクわ…』
『アマってゆーの?』
『せやで』
『行ってみたーい!ダウンタウンと同じ地元なんでしょ?』
『そぉそぉ…ジェイアマの駅ビルマンションに松ちゃんの実家あんで〜』
『見たい見たい!ここから近いんでしょ?』
『はぁ!?イヤ真逆やで?』
『でも市内でしょ?』
『はぁ!?尼崎て大阪と思てんの?』
『違うの!?』
『ちゃうわ兵庫県尼崎市やーゆーねん』
『ひ、兵庫県なの!?』
『せやでーまぁ市外局番06やし限りなく大阪っぽい兵庫やけどな』
『全然知らなかった…』
『都内と埼玉みたいなモンやんけ…ハハッ』
『へーぇ』


-近そうで
まだ遠い大阪-


スキダケドスキナノニスキダカラスキナンダ
スキヤケドスキヤノニスキヤカラスキヤンカ


たくさんキスをして、裸になって、章大を体で感じるこの瞬間…やっぱり好きだと再確認してしまう。

終わった後で抱きしめたまま優しくキスしてくれる瞬間ががたまらなく愛しくて離れたくなくなる…


-覚悟はもうしてるって
大阪のおばちゃんと
呼ばれたいんよ
家族と離れてたって
あなたとここで
生きていきたいんよ-


『しょーた…』
『ん?』
ワタシトケッコンシナイ?
『なんにもない…』
イエルワケナイ
『なんやねんな…』
バカ!
『久しぶりに来たらやっかし大阪が好きやなーって思っただけ』
『やっかしゆーな!』
ダッテ…ソウナンダモン
『ホントだよ…ホントそう思うの…』
ダカラソノ…ホラ…
『何?どーしたん?』


『東京タワーだってあなたと見る通天閣にはかなわへんよ』


-なんでそんなに
笑って!
一生に一度の
告白やんか!
恋しくて憎らしい大阪-


『ハハハハッ通天閣は東京タワーには負けるやろ〜さすがに』
『負けない負けない』
『よういって京都タワーやで』
『そんなことない!』


-何度ここへ
来てたって
また来るのは
アナタが
おるからやもん
楽しそうに
してたって
それはアナタが
ここに
おるからやもん

どんだけ
喧嘩したって
あなただけ
ほんまに
大切やもん-


『もうこっち来いやって言って?』


-あぁ!!!
催促してしもた
やないの
近そうで
まだ遠いか?
大阪-






『ふふっ…リエ?明日実家行ってみるかぁ?姪っ子大っきなったやろなぁ〜可愛いねんで〜』






え?それって…






もしかして…






もしかする!?






『ほんならリエのとこも行かなな…』






-恋しくて
憎らしい
大阪!-

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