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【小説】聖龍島 〜公開の刻〜コミュの『聖龍島:葵』【参】

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『聖龍島:葵〜不穏な刻〜』(壱)

『聖龍島:導〜目覚めの刻〜』の続きです。


《舞台設定》
■聖龍島に似た青き島
聖也と葵が光に包まれて訪れた島。地形や雰囲気から聖龍島に似てるが、空から放たれる淡い青の光によって島全体が青く見える。

■天瀬神社の神
葵が巫女を務める天瀬神社の神は、水の神と云われている。

■登場人物
天瀬葵(2)
天瀬家の次女。姉が10年前から行方不明で、次女の葵が巫女を務めている。3歳の時に誤って海に落ちてしまうのだが、奇跡的に浅瀬に辿りつき九死に一生を得た。その時の海はかなり荒れていたという。


本編スタート


聖也「あいたたた…なんだったんだ今のは……おいっ!葵、起きろ」

葵「え…?聖也か…ここは?」

聖也「聖龍島っぽいけど…でもここって…」

葵「さっきまでうちの神社にいたはずなのになんでこんなところに…」

聖也「それに島全体が青く見えないか?」

葵「何が起きたのよ…おじいちゃんは?雅は?」

聖也「とりあえず、高い所から様子を見よう」

葵「そうね…」

聖也と葵は立ち上がり近くの山を登り始めた。
10分ぐらいは歩いただろうか二人は山頂に辿り着いた。
山頂に辿り着いた二人は絶句する。

葵「なによこれ…島が…」

聖也「島全体が青い…」

葵「あっ!あそこに建物があるわ…誰かいるかもしれない」

聖也「そうだな行ってみよう」

聖也と葵は山を下って建物の方へと向かう。
…とその時

葵「きゃああああ!!!!!!」

ジャボォォォォン

葵が足を滑らせて川に落ちてしまったのである。しかもかなり流れが速い。それに川の周辺は崖ばかりで浅瀬もない。
聖也は急いで川に飛び込んだ。

聖也「葵〜!!!」

葵「せいっ…かばっ…」

葵は激流に飲み込まれてなかなか喋れないでいた。

聖也「あおっ…あおいっ…」

スポーツ万能な聖也でも必死に追い掛けてもなかなか葵のところに行けない。
聖也は思った「もっと自分に力があれば助けられるのに」と…
その瞬間、聖也の身体が軽くなりどんどん葵に近付いて行く。

聖也「葵っ!腕を伸ばせ!」

葵「聖也…」

葵は渾身の力を出して聖也の腕につかまる。
聖也は葵をしっかりと抱き、わずかに空いていた横穴に入った。

葵「あいたっ!」

聖也「どうした?」

葵「足くじいたみたい…」

聖也「じゃあおんぶしてやるよ!」

葵「いいよ恥ずかしい…」

聖也「何わがまま言ってんだ!俺だって恥ずかしいんだからな!それに他に誰もいないみたいだし…」

葵「うん…」

聖也は葵をおんぶして洞窟の奥に進んだ。
少し歩くと広がった空間があったので二人はそこで休憩することにした。
聖也は落ちていた小枝と石を拾ってきて必死な思いで火を起こした。

葵「頭いいわね…」

聖也「万物学科に入ってて知らないのかよ…」

葵「そんな原始的なこと日常でやらないわよ!」

聖也「それもそうだが、覚えてて得することもあるってことだな…うっ…」

聖也は一瞬止まってしまった。

葵「どうしたの?」

聖也「その…」

聖也が止まってしまった理由は、葵の格好のせいである。
葵は、ずっと巫女姿だったためもちろん服も濡れてしまったのだが、巫女服はそのせいでスケスケな状態になり下着まで見えてしまったからである。

葵「ん…?はっ!こっち見んな〜」

聖也「こらっ!石投げるな〜!!見たくて見たわけじゃない!」

葵「いいから見るな!」

聖也はすかさず岩に隠れた。

聖也「あのさ〜」

葵「見るな!」

聖也「見てないって…声掛けただけだ」

葵「なによ!」

聖也「その格好のままだと風邪ひくぞ!」

葵「う…」

聖也「その…」

葵「言わなくていい!こっち見るなよ!見たら殴る」

殴られるぐらいなら見たいと思った聖也だったが欲を抑えた。

シュルシュルシュル〜

聖也が岩から現れないと察した葵は巫女服を脱ぎ始める。
巫女にふさわしい清らかな身体。
葵は聖也のいる岩と反対向きになって言う。

葵「あ…あんたも暖を取りなさいよ!風邪ひくわよ…」

聖也「お…おぅ…」

葵「変な事したらホント許さないんだからね」

聖也「しねぇ〜よ」

聖也は岩から出て葵の綺麗な背中を見て恥ずかしくなるがすぐに背を向けて焚き火に近付いた。

聖也「あの…俺も服脱ぎたいんだけど…」

葵「あ…別にいいけど襲うなよ」

聖也「襲わない」

聖也は理性を抑えるのに必死だった。
葵の真後ろで服を脱ぎ始める聖也。服を岩に掛けて葵と正反対の方向を向いて座る。

聖也「あったかいな…」

葵「そうね…」

そのまま数分黙っていた二人だったが葵が話しかけてきた。

葵「あのね…私、3歳の頃に海に落ちて溺れかけた事があるの」

聖也「そう…なんだ」

葵「それでね!その時は奇跡的に浅瀬に流れ着いて助かったんだけど…」

聖也「あぁ…」

葵「流されてる時に思ったの…周りは崖だらけで今回は奇跡は起きないのかな〜って…」

聖也「うん…」

葵「でも聖也が助けてくれた。ありがとう」

聖也「当たり前の事しただけだ」

葵「でも嬉しかった…」

聖也「死なせるわけにもいかないからな…」

葵「くすんっ…」

聖也「どうしたんだよ!いきなり泣いて…」

葵「私たち助かるのかな〜って思って…。私、10年前から行方不明になった姉がいるの」

聖也「(10年前から行方不明って…)」

葵「孤独な時間が多かったから不安なの…だから…」

聖也「今は俺がいる。葵のじいちゃんや雅ちゃんがいるとこまで無事に連れてってやるから…なっ!」

葵「うん…」

聖也「(それにしても…この島は一体何なんだ?)」

洞窟内を水の一滴の音がこだまする…


…続く

コメント(3)

『聖龍島:葵〜選ばれし刻〜』(弐)1

『聖龍島:葵〜不穏な刻〜』の続きです。


《舞台設定》
■龍の洞穴
聖龍島に伝わる龍が棲むと云われている洞窟。現在は、神龍湖の底に沈んでいる。

■黒翠龍
額に黒い翡翠がある事から名付けられた聖龍島で言い伝えられている邪神の化身。凶暴な性格で島全体に災厄をもたらしたが、四聖龍によって倒され龍の洞穴に封印された。

■四聖龍
聖龍島を守護する神々。龍は力を表す象徴。東は蒼龍、南は紅龍、北は白龍、西は黄龍がそれぞれ守護している。


本編スタート


あれからどのぐらい経ったのだろうか服も乾き、それぞれ岩に隠れて着替える聖也と葵。
着替え終えた二人は、焚き火の火を一本太い木に付けて洞窟の奥に進んだ。

聖也「こんなところ聖龍島にもあるのか?」

葵「ここが聖龍島だなんて確証ないでしょ」

聖也「それもそうだ」

葵「ふふふ…」

すっかり仲良くなっていた聖也と葵。

葵「この借りはちゃんと返すから」

聖也「前に俺を助けただろ!それでチャラにしてやるよ」

葵「全然、足りない」

聖也「そうか…」

聖也と葵は和んだムードのまま洞窟をさらに奥に進んでいった。
しばらく歩くと巨大な空間に出た。天井からは隙間から光がいくつも差していた。

聖也「洞窟なのにこんな広い空間が…」

葵「なんだか怖いわね…」

???「助けて…」

その時、巨大な空間を響くように女性っぽい声が聞こえた。

聖也「誰だ!!どこにいる!!」

???「こっちよ」

葵「聖也…」

聖也「いま助けに行ってやる。葵、ここで待っててくれ」

葵「わかった…気をつけて…」

聖也「あぁ…」

聖也は声が聞こえる場所に向かった。
声が聞こえた場所には真っ黒な岩らしきものが置いてあった。

???「この下よ!!岩で塞がってしまったの」

聖也「ちょっと待ってろよ」

聖也は力ずくで岩を退けようとするがビクともしない。
聖也は方法を考えていた。

聖也「そうだ」

聖也は木に付いた火を消し、岩と岩の間に挟んでてこの原理を使った。

聖也「動け〜」

岩は少しずつ動き出し横に倒れた。

聖也「ふ〜…大丈夫か?」

???「ありがと…」

その声が聞こえた瞬間、周囲から轟音が鳴り響く

ゴォォォォォ

聖也「なんだ!?」

葵「聖也!!」

葵の声で聖也はすぐにその場を離れた…瞬間、岩があった壁が崩れる。

聖也「あぶね…」

???「我ガ封印ヲ解イテクレタ事ヲ感謝スル」

その声の主が崩れた壁の向こうから現れた。
それを見た聖也と葵は驚きを隠せない。

聖也「こいつは…」

葵「龍…?!」

聖也「ほんとかよ…」

???「ソウダ我ハ四聖龍ドモニ倒サレココニ封印サレタ者」

葵「四聖龍に倒されたって……あっ!あの額の黒い翡翠は!!」

???「ホォ〜我レヲ知ル人間ガマダイタトハナ…我ハ黒翠龍、邪神ノ化身デアル」

聖也「邪神の化身…」

葵「かつて聖龍島で暴れていた凶悪な龍、四聖龍に倒されて龍の洞穴に封印されたって本で読んだ事あるけど、ここがその龍の洞穴なの…?」

聖也「じゃあここは聖龍島ってことかよ…」

葵「でも龍の洞穴は、今は神龍島に沈んで…」

聖也「じゃあ俺たちがいるここって…」

葵「沈む前の龍の洞穴…」

黒翠龍「ドウヤラ、貴様ラガ訪レタ場所ガ判ッタ様ダガ…」

聖也「ん…?」

黒翠龍「生キテ還レルト思ウナ」

その時、黒翠龍の尻尾が聖也を襲う。
間一髪のところで避ける聖也。

黒翠龍「人間ニシテハ、ナカナカヤルナ」

聖也「こんなのどうすれば…」

葵「(このままじゃ聖也が危ない…助けなくちゃ…でもどうすれば…)」

???「私を喚びなさい」

葵の心の奥から声が聞こえた。

葵「だっ…誰?」
『聖龍島:葵〜選ばれし刻〜』(弐)2


葵「だっ…誰?」

???「あなたには分かるはずよ」

葵「…そう…りゅう…?」

???「そうよ!強く祈りなさい巫女…」

葵「強く…強く…(聖也を助けたい…聖也を…)」

強く祈る葵の身体が輝きだす。
その間にも黒翠龍の腕が勢いよく聖也に向かって襲いかかろうとしていた。

葵「我が命ずる、蒼龍よ!水柱を発現させよ!」

葵の言葉と共に聖也の足元から巨大な水柱が現れ、聖也を押し上げる。
黒翠龍の攻撃は水柱を抜ける。

黒翠龍「コレハ…マサカ!!」

聖也「葵…」

葵「我が命ずる、蒼龍よ!氷弾で敵を殲滅せよ!」

今度は巨大な氷の塊が黒翠龍を襲う。

黒翠龍「グッ…ヤハリ蒼龍!!」

葵「そうだ!!私はこの巫女の力を借りて再びお前を倒す」

蒼龍は葵を通して黒翠龍に話す。

黒翠龍「二度ト倒サレルカ」

黒翠龍は黒い炎を葵に向けて放つ。

聖也「葵!!!!」

葵「……流壁」

突如、葵の前に水の壁が現れた。

黒翠龍「ソンナノデ防ゲルカ!滅セヨ!」

ザァァァァァ

水の壁に黒い炎が当たり爆発する。

聖也「葵ぃぃぃ!!!!」

黒翠龍「倒シタカ…ナッ!!」

葵はいつの間にか黒翠龍の後ろに立っていた。

葵「具現、蒼龍!!」

その言葉と共に蒼龍が姿を現す。
黒翠龍よりも倍近く大きい青と白の身体、額には青い宝玉、金色の角・牙・爪、刀のような尻尾、そして神に相応しい存在感。

蒼龍「再び滅せよ!蒼牙一閃」

蒼龍が素早く黒翠龍の横を抜ける。

黒翠龍「グオォォォォ」

黒翠龍の身体から黒い血が噴き出し、辺りが黒炎に包まれる。

黒翠龍「再ビ…具現シテ…ヤル」

黒翠龍は黒炎に包まれて姿を消した。
蒼龍も姿を消し、葵が倒れる。

聖也「葵!!大丈夫か?」

葵「良かった…無事で…」

聖也「葵!!!!」

葵「すーすー」

葵は寝息をたてていた。

聖也「ふっ…(そういえば、少女らしき声は一体なんだったんだ?)」

???「ふふふ…」


続く…
『聖龍島:葵〜繋がる刻〜』(参)

『聖龍島:葵〜選ばれし刻〜』の続きです。


《舞台設定》
■古の門
かつて一度開かれた事がある現世と異界を繋ぐ門。そのせいで人間と龍による侵略戦争が起きたという。その時の結果は、人間が勝利した。

■蒼龍
天瀬神社に奉られている神。巫女である葵の心に宿り、強い意志によって発現または具現する。水や氷といった攻撃に加え、牙や爪、刀のような尻尾で敵を滅する。

■発現と具現
発現は、龍の意志を喚び出す事で、主の心から解放または龍の力を現世に現す。具現は、主が自らの身体から龍そのものを現世に喚び出す事。


本編スタート


聖也と葵はさっきまで起きていた事を整理していた。
ここが昔の聖龍島である事。
龍が実際に存在した事。
その龍に襲われた事。
葵の身体に神が宿っている事。
数々の事があって困惑していた二人だったが…

聖也「こう考えていてもラチがあかない…先に進もうぜ」

葵「そうね…」

先ほどの戦闘で壁や天井が崩れたおかげで外への穴が空いていた。
二人は岩を登って外に出た。
二人が出た場所、さっきの事が現実なら神龍湖の底になる。しかし、もちろんの事だがそこに水はない。

聖也「ここが神龍湖の底か…」

葵「仮説があってればね…」

聖也「結構、深いんだな」

神龍湖の周囲を見るからに大体200mぐらいある。

聖也「きつそうだな」

葵「でもこのままここに居ても…」

聖也「そうだな、行ってみるか」

聖也と葵は神龍湖の側面へと向かった。

聖也「近くで見るとかなり急だな…」

葵「これじゃ登れそうにないわね」

聖也「どうするか…」

ゴォォォォォ

その時、地面が揺れ始めた。

聖也「なっなんだ?!」

葵「きゃっ」

聖也「大丈夫か?」

葵「えぇ…なんとか」

すぐに揺れは止まった。

聖也「なんだったんだ?」

葵「聖也、あれ見て!!」

聖也は葵が指差す方向を見た。

聖也「なんだあれは…」

神龍湖の丁度真上に歪んだ何かが現れていたのだ。
その時、聖也の左鎖骨が輝き出す。

聖也「くっ…またかよ…」

葵「聖也!!大丈夫!?」

蒼龍「あ…お…」

葵「え?」

蒼龍「あお…い…」

葵「蒼龍なの?」

蒼龍「そうよ…葵…」

葵「どうしたの?」

蒼龍「その青年の聖龍の骨が輝き出してる」

葵「うん」

蒼龍「私とあなたの力を合わせれば現世に帰れる」

葵「そうなの?」

蒼龍「思い出して…あなた達がここに来た時の事を…」

葵「宝玉と…聖也から放たれた光が合わさったから!!」

蒼龍「同じようにすれば帰れるわ」

葵「わかった」

蒼龍「帰りたいと強く念じて」

葵「うん!!聖也、いい?」

聖也「なるほどね…わかった」

葵は集中して祈り始めた。

葵「(帰る…私たちの元の時代に帰る…)」

葵の身体が輝き始めた。

葵「行くよ!!聖也」

聖也「あぁ…うぉぉぉ!!!!」

聖也の左鎖骨の輝きが増していく。

聖也「くっ…」

葵「聖也、頑張って!!」

聖也「おぅ!!」

葵と聖也から放たれた光が重なっていく。

葵「(帰るんだ!!)」

光が広がっていき…光が消えると共に二人の姿も消えた…。

『現世/天瀬神社』

神主「さっきの光は一体…」

雅「お姉…ちゃん、聖也さん…」

その時、宝玉が再び輝き出す。

神主「またか!!」

雅「お姉ちゃん!?」

光が消えるとそこには聖也と葵が立っていた。

神主「おぉ…」

雅「お姉ちゃ〜ん!!!!」

葵に抱きつく雅。

聖也「帰ってこれたのか…」

葵「心配かけてゴメン…だいぶ待たせちゃったね…」

雅「…へぇ?」

神主「お主らが消えたのはついさっきじゃぞ」

聖也「それじゃ…」

葵「あんな時間が経っててもこっちだと数秒の出来事だったの?」

雅「お姉ちゃん?」

聖也「時間が流れが違うって事かよ」

葵「そういう事みたいね」

神主「何がさっぱり分からんが少し休んだ方がいい…」

聖也「あっ…はい」

その瞬間、地面が揺れ始めた。

聖也「まっまたか!!」

雅「お姉ちゃん!!」

葵「大丈夫よ!雅」

しばらくすると揺れは止まった。

神主「今の地震はなんだったんだ…」

雅「…お姉ちゃん!!」

葵「どうしたの?」

聖也と葵は空を見上げ絶望する。

聖也「おい…葵…あれって…」

葵「向こうで見た歪み…」

聖也たちの瞳に映っていたのは異界で見た歪みだった…


…続く

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