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かいわれ新書コミュの第8回 K-ichiroの答え

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「クエンティン・タランティーノ」(エッセイ)

 タランティーノをお題に挙げられたものの、タランティーノの映画といえばはるか昔、1997年(高校時代!?)に映画好きの友人に誘われて「ジャッキー・ブラウン」を1本観ただけだった。タランティーノについて知っていることも「しゃくれ」くらいしかなく、短編ひとつ書く手がかりとしてはちょっと「引っ掛かり」がなさ過ぎる。
 ということで、真面目に映画を観てみることにした。本当は評判の良い「パルプフィクション」を借りようと思ったのだけど、全て借りられていたのでほとんど内容を忘れている「ジャッキー・ブラウン」と、「フォー・ルームス」を借りて観てみた。ところが、映画好きの友人が結婚式で使っていた曲のいくつかが、「ジャッキー・ブラウン」と「フォー・ルームス」のサントラからの引用だったことが発見できたくらいで、映画自体は実はそんなに面白いと思えなかった。一緒に借りた北野武の「アキレスと亀」のほうがまだ僕には興味が持てた。
 でも、タランティーノといえば、TSUTAYAでも1コーナーが出来ているほどだし、コアなファンも多いみたいだ。きっと何かすごいところがあるのだろう。
調べてみるとタランティーノという人はオタクなのだそうだ。レンタルビデオ店の店員として働いていた時代に膨大な数の映画を観ていて、作品のそこかしこに好きな映画からの引用、パロディ、オマージュが散りばめられているのだという。日本映画やアニメにも通じていて、「キル・ビル」なんかではそこらへんが見られて面白いと解説されていた。「ジャッキー・ブラウン」、「フォー・ルームス」も引用の元ネタまで知っていればより楽しめたのかもしれない。

 それにしても、映画でも何でも何か新しいものをつくろうと思ったらやっぱりその分野の先人達が積み上げた成果を知っておくのは大事なことだなぁと思う。「アキレスと亀」の主人公は売れない画家なのだけど、彼も同じような理由で画商に美術史を勉強しろと言われる。素直な画家は60年代のアクションペインティングからピカソ、ミロ、モンドリアン、ウォーホル、バスキアまであらゆるアーティストを学んで吸収しようとする。(観ているほうも一緒に美術史を学んでいる気になって面白い)ただし、吸収した膨大な知識を編集する1%のオリジナリティーがあるか無いかが決定的で、これがないと、ずっと亜流のままで終わる。画家は結局オリジナリティーを発揮できないまま終わってしまう。

 他の分野のアーティスト達はどうだろうかと思い浮かべてみる。桑田佳祐の曲にはビートルズ、クラプトン、ボブ・ディランといった洋楽から日本の歌謡曲まで本人が親しんだ音楽からの影響が見て取れる。奥田民生ももろビートルズのギターリフを引用していたりする。村上春樹は高校時代からペーパーバックを読んでいたというアメリカ文学の影響が大きいらしく、読んでいてもどこか翻訳モノを読んでいるような雰囲気がある。村上隆は美術史と現代アートの状況を徹底的にリサーチした上で、かなり戦略的にオタク文化をチョイスして作品のテーマにしている。(フィギュアを作るときには海洋堂に通って超しつこく研究したらしい)。レム・コールハースの建築(特に初期)はミース・ファン・デル・ローエの引用が多い。ポストモダン華やかなりし頃、磯崎新は「もう新しいものなんて何もない」と言い切って、過去の建築様式の引用だけでつくばセンタービルを作った。
 みんな先人達が積み上げた成果を膨大にインプットしているから、アウトプットがある。
そして、引き継いだものに1%のオリジナリティーを混ぜて、次の世代へ引き継いでいく。
多くの映画に影響を受けたタランティーノが、後に続く映画監督にまた影響を与えていく。

 2本も観ればどちらかの感想文で1本書けると思っていたのに、意外に大した感想を持てなかったがために本題から随分逸れてしまった。結局、僕は未だにタランティーノの魅力が良く分からない。
今度こそ「パルプフィクション」を観てみよう。

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