歯ごたえのない感想などいらん！コミュの太陽

「太陽」（少しネタバレします。。）

監督アレキサンドル・ソクーロフ
キャスト：イッセー尾形・桃井かおり・佐野四郎

昭和天皇を人間として描いた作品です。
実に、人間的に贅沢に描かれた作品。周りの物事がものすごい早さと勢いで進んでいく中、それに翻弄されながらも静かに、そして一人の人間として生きようとする天皇の姿を丁寧に描いております。

見ている間も静かに自分の国、そして自分のあり方など、いろいろなものを考えることが出来る良き映画でした。

時にはコミカルに描き、より天皇の人間としての深さがにじみ出ていたのは、なんというのか、イッセー尾形さんの丁寧な演技のたまものでもあると思いました。

ていうか、まず外見が似すぎていますから昭和天皇に、イッセーさん！ほんとうにびっくりしますよ。

最後のちょこっとだけ出てきた天皇の奥様役の桃井かおりさんは本当に良かった。

天皇「僕は今日から人になったんだ。」
奥方「あ、そ。」
天皇「うん。」
奥方「うんうん。」
天皇「うん。」

これのやりとりが、本当に良い。

天皇が人間宣言したことで、微妙にテンション上がってるみたいだけど「別に人間だろうがなんだろうが天皇は天皇だし」みたいな、「ふ～ん」みたいな反応。

それが本当に自然で良かった。その二人の温度差は感動的ですらありました。

宣言したことで、米軍と天皇と軍部はテンションあがってたみたいだけど、「大体の国民はこういう反応だったんじゃないのかな」な～んて想像してしまうくらい説得力あるリアクションでした。

でもね。。。そのあとにひとひねりあるのですよ。。。これが。。

まぁロシア人の監督作品なのですけど、日本人だったらいろいろなしがらみがあって、こういう題材では描けないのですかね～。なんか残念やわ。自分の国のことなのになんで日本人が描かないんだろう？

もし配給会社がこういうのは売れないって思っているのならすごい勘違いではないのですかね～。。。

日本の人はこういうことを毛嫌いする傾向があるけど、今はこういうジャンルに誰も手を出してないし、若い人の中で今いちばんスキャンダラスで一番気になってるのってこういうのじゃないのかね？

別に国の陰謀だとかそういうヨタ話もんじゃなくてだよ。

「めぐみ」も他の国の人が監督だし。。

時代劇とかばっかじゃなくて、自分の国の話くらい、自分の国で描ければ良いのにね～。

なんて思う今日この頃でした♪