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悪魔の映画辞典コミュのトピック版【 な 】

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[ナー1]名にし負う [句]その名に相応しい.名実ともに名高い.
 
いまはなくなった名画座のなかでも、いちばんお世話になったのは国鉄天王寺駅のB1にあった「天王寺ステーション・シネマ」だ。
初めて入ったのは『ミクロの決死圏』で中学1年。
ここでは、ありとあらゆる洋画を見た。
ちょうどマカロニ・ウエスタンに火がついた頃だったから『続荒野の用心棒』で脳天チョップを喰らって『荒野の1ドル銀貨』『真昼の用心棒』『さすらいの一匹狼』・・・、懐かしいなぁ。
高3のとき『完全なる結婚』がかかって学校帰りで制服姿ではあったが18歳になってるからとトライし、窓口で門前払いになったのも今は昔の物語。
で、この劇場にはCMが上映前に上映されていて、天王寺駅は紀勢本線の始発駅だから南紀白浜や勝浦などの温泉旅館のものが必ずかかった。
そのキャッチ・フレーズが「名にし負う天下の名泉をご堪能くださいませ」というのだった。
またステーション・デパート3Fには食堂街があり、そこのフルーツ・パーラーも必ずかけられた。
そのキャッチ・フレーズは「気の置けないあなたのティー・ルーム」であった。
「名にし負う」だの「気の置けない」だの、むかしの宣伝文句は文学的だ。
そういえば、このステーション・デパートが入った新駅舎ができたとき「天王寺民衆駅」という呼ばれ方をした。
木造平屋だった駅舎をビル化してテナントをいれた形式を「民衆駅」と呼ばせたところにカチカチの国鉄というイメージがある。
ところで例の福知山線の脱線衝突事故の際、ボウリング大会から宴会、なかには3次会から4次会に流れていったJR職員の報道が魔女狩りのようにワイド・ショーを賑わせたが、あの当事者は天王寺車掌区の人々だった。
なぜ自粛しなかったと糾弾するのは、あまりに正義をふりかざすことになりはしないか。
それなら、そのキャンセル料は誰がまどうのだ。
庶民の感覚はこういうものだと思うが、それでもそのまま開催してしまったところに、会社に対する事故(自己)認識の憤懣が見え隠れしている。
本来会社が負うべき責任を、個人である職員に負わせる風土、これは国鉄時代からの長い体質が大きく関与しているのだろう。



[ナー2]なあ・なあ [俗][互いに利害の一致する者や、気心の知れた者同士が]深く話し合いもせずに、なれあいでことを進めること。

ですからね、ここで発表の途中で一拍いれますから、質問って手を上げてもらいたいんですよ。
そしたら、ああそれは・・・と、資料のなかの説明で5分もたせるから、これで持ち時間の15分はたっちゃう。
ね、これでいこうよ。
初めての学会発表なんて、どこでも似たり寄ったりだ。
恥をかかないですませるには、どうしたらよかんべ。
それが本音だ。
「では、なにかご質問のある方はいらっしゃいますか?」




[ナー3]なき・どころ【泣き所】?芝居や映画などの人の涙を誘うところ。?打たれると非常に痛くて泣き出すように感じる、体の部分。急所。弁慶のー。

医学部学生となってはじめての病院実習は緊張しながらも、やはり身の引き締まる経験の第一歩であった。
その様子を描いたのが大森一樹の「ヒポクラテスたち」で、手塚治虫や原田芳雄など錚々たるメンバーが医学生を教える教授や助教授に扮して存在感溢れる演技を見せていた。
この実習での講義は病棟の中にあるカンファレンス・ルームで行われるのだが、昨日までの講義室の階段教室と違って、学生7〜8人に先生が一人だから、ごまかしようがなくなる。あれは実習が始まって間もない頃、整形外科病棟でのできごとだった。
シャーカステン(レントゲン写真を挟んで見る蛍光灯が内蔵された器具)に何枚ものレントゲン写真がかかっている。
整形外科のK助教授は見渡すと、同級生のHくんを指名し、写真を見て所見を言うように命じた。
まだ実習に慣れていないボクたちは縮みあがった。
K助教授はコワモテだったからだ。
「えーと、この辺りが・・・」とHくんは下腿骨のレントゲンを指差して、しどろもどろにもコメントし始めた。
「おいおい、仮にもだ。キミたちは実習を始めた医学生なんだろ。この辺りなんていわずに、言い方があるだろ」やっぱり、厳しいわ。
頑張れよ、Hくん。
彼はそれでも勇気を振り絞って口にだした。
「この、弁慶の泣き所が・・・」




[ナ−4]なぎ・なた【長刀】長い柄の先に、幅の広い反り返った刃のついた武器。

桂米朝の『地獄八景亡者戯(じごくばっけいもうじゃのたわむれ)』は長講一席、まともにやれば75分かかる。
亡者となって地獄に落ちた人間たちが力を合わせて様々な苦難を乗り越えていくスケールの大きい噺である。
そのなかで、亡者たちが自己紹介を兼ねて、特技を披露しあう場面。
「わたいの特技はきょくべいです」
「ああ、そりゃよろしいな、曲芸ですか」
「いや曲芸とちゃいまんねん。きょくべーですねん」
「なんでんのん」
「キョクベー。曲屁ぇですねん」
「?」
「つまりでんな、いろいろな講釈通りに屁ぇしまんねん」
いっぺんやってみい、となりまして・・・。
「それではまず梯子屁ぇ、から。ぷ―。ぷ―。(と抑揚のない長い平坦な屁を2回かますと、こんどは小刻みに)ぷっ、ぷっ、ぷっ、ぷっ、ぷっ、ぷっ、ぷっ。梯子っ屁でござーい。」
「おもろいがな!次やって,次ぎやって!」
「そしたら今度は長刀屁ぇ」
「よっしゃ!」
「ぷぅ〜、ぷっ、ぷ―」
屁をもって、長刀の刃の彎曲した感じと、根元の金属をとめたところ、そして長い柄の部分を見事に鳴らしてみせたのである。
この芸、なんの役にも立たないが面白い。
しかし難点があるのだそうな。
ときどきだが空砲だけならいいのだが、実弾が発射されてしまうのじゃそうな。



[ナー5]なげ・う・つ【抛つ・擲つ】《他五》?投げつける。?惜しげもなく投げすてる。
 
「有る程の菊抛(な)げ入れよ棺の中」これは夏目漱石が嫂(あによめ)の楠緒子(くすおこ)の死去に際して詠んだ追悼句である。
白菊、黄菊、気品あふれているためか古今に名句が多い。
久保田万太郎の「しらぎくの夕影ふくみそめしかな」は好きな句であるが、味のある名優・中村伸郎には「菊の前去りぬせりふを覚えねば」という句もある。
あまりいい句とは言いかねるのだが。
脚本家・池端俊策の監督作『あつもの』は大輪の菊をめぐる、ユニークな映画であった。
「菊づくり菊見るときは陰の人」と古句にあるとおり、菊は秋の咲いているときよりも、冬、春,夏の準備期間がすべてだという。
大抵の素人は我慢ができずに音を上げるらしい。
こんなに手間ひまかかって、これかよ。
そうなると文字通り投げ捨てになる。
こうなりゃ手間ひまかかる花よりも、カネで済む夜の花に向かう輩がでてくる。
こういうのを「あつものに飽きて生身を吸う」というのである。



[ナー6]なつ・ばしょ【夏場所】大相撲本場所のひとつ。毎年五月に東京の国技館で開催される。

ボクの古い俳句に「夏場所や先づもって訊くけふの首尾」というのがある。
実はこれは若・貴が上げ潮のときに詠んだものである。
こんな状況になることを誰が予測しただろうか。
相撲取りというのはカネはもらえるものだと考えている種族である。
少なくとも「ごっつぁんです」と言い、笑うだけで、中入り後に登場するような有名な力士なら五十歩百歩だろう。
大阪場所があるために、ボクは約20年にわたって相撲部屋のいろいろな弟子を診察してきたが、翌年ふたたび会うことができる弟子なら、ひとかどの人間になっている。
勝つために、ただただ体重を増やそうと、食べまくり飲みまくり、多くは体に頭がついていけない。
彼らがもっとも恐れているのは下痢である。
なぜなら、もし土俵を黄害で汚せば、大変なことになるからで、すぐに下痢を止めてくれと駆け込んでくる。
びっくりしたのは、ある年、風邪をひいたとふんどしかつぎが受診した。
その前日には違う症状を訴えて診察を受けていたから、経過はどうなっているのかと聞いたら顔色が変わった。
「昨日は友達に保険証、貸したっす」
葬儀の夜に憲子元夫人が「なにしろ相撲の世界しか知らずにきた世間知らずですから」と我が子たちのことを喋っていたが、人気商売の、本当に選ばれた人生を歩んでいる力士なら、世間を知るはずがない。
ボクの患者でもある○○親方などは、春になると診察室のドアから顔を出して「せんせぇ」とにこっと笑う。
その人懐っこさ、可愛さ。
「これだな!」と毎年思う。

    

[ナー7]なな・ふしぎ【七不思議】ある地域で数え上げられる人・自然などにかかわる七つの不思議な現象。

シネラマが見世物としてデビューしてからの数年、『これがシネラマだ』『シネラマ・ホリデー』に続いて公開されたのは『地中海の休日』などの観光ものや、『世界の七不思議』といった紀行ものであった。
ソフトの供給が途絶えると商売にならないから、当然のように起こってきたのが、シネラマによる劇映画の製作であった。
そして世に出たのが『不思議な世界の物語』というグリム兄弟の童話を描いた作品だった。
OS劇場の大スクリーンに2本の継ぎ目があったことを覚えている観客は年々すくなくなる。
確かめたいひとは『西部開拓史』を見てみればいい。
ジェームズ・スチュアートが画面中央から上手にはけるとき、足が10メートルくらいに伸びるから。



[ナー8]ナンセンス[名・形動]意味をなさないこと。ばかげたこと。

学生運動の真っ盛り時代、団交で大学側が何か言うと「ナーンセンス」と口々に叫んで学生たちは主導権を握ったという。
ある国立大学で教授たちが全員勢ぞろいして学生集会に出席。
学生がいつものように公開質問状を突きつけてペースを取ろうとしたとき、学長がマイクを掴んで「ただいまの○○くんの質問に答えさせていただく」と発言したとき、満場から「うぉ〜」と驚きの声があがったという。
多勢を頼みに嵩にかかってくる相手には、この手が効く。



[ナー9]なん・びょう【難病】なおりにくい病気。

『解夏』の主人公はベーチェット病だった。
難病ものは古今東西、紅涙を搾る企画として製作されつづけてきた。
日本では70年代後半まで、心臓弁膜症か再生不良性貧血か白血病が三大難病で、アイドル映画のヒロインたちはお世話になったはずである。
しかし、いつまでも三大難病ばかりというわけにもいかず、『解夏』の選択も、そういった事情で考え出されたのだろう。
最近では相変わらず「癌」が多いが、死亡原因のトップなのだから仕方がない。
むかしから実話に題材を採る映画が多いために珍しい病気が映画に登場してくる。
『愛と死をみつめて』の骨肉腫。
『父ちゃんのポーが聞こえる』のハンチントン舞踏病。
なかでも特にユニークだったのは「鎌状赤血球症」という溶血性貧血のひとつでヘモグロビン異状症にあたるものだ。
この病気は黒人に多く、黒人にとってはドラマが多いのか、シドニー・ポワチエ主演『12月の熱い涙』のヒロインはこれで死んだ。

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