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『神誤忍法帖』コミュの血まみれ魔香妃』―その十六

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『卍』が跳んだ。ベレッタ92を投げ捨て青龍偃月刀を両手に、ありえない跳躍を見せる。閃光手榴弾の効果が薄れ、視界が戻り始めた「上海ドラゴン」の連中めがけて、鉛色の光を放つ青龍偃月刀を電光石火の如く振り下ろしていく。

切―斬―砕―

複数の敵を一撃で殺める『卍』。その無駄の無い動きはまるで全てを燃やし尽くす破壊の舞踏。そしてその様は返り血を浴びながら殺戮のダンスへと「女」を誘っているようであった。

『卍』の動きを眼の辺りにして「女」は初めて覚える感覚に戸惑いを覚えた。この胸の高鳴りはなんなのだろう?そして下腹部から生じる妙な弄りのようなこの刺激は?色んな事があまりに突然に同時に起きている、何がどうなっているのか自分でも混乱している、そしてあの『卍』という人間、わからない、だけど何か自分の心の中が焦がれているような、自分の肉体が異変を起こしているような―

「何をしているっ、解き放て!己を!」

「女」の迷いを断ち切るように『卍』の叫びが響いた。これが引鉄になった。もう理屈はいらない、考えるな、感じるだけで十分だ、肉体と精神の覚醒を今こそ―

「あああああ!!!!」あの建物を震撼させた咆哮が再び亜空間を生み出すかのように響き渡る。しかしこれは呻き声ではない。自身の全細胞から本能的に抑え切れないエネルギーが雄叫びとして溢れ出したとでも形容すればいいのだろうか。気が付けば「女」は自身の拳を握りしめていた。そしていまだパニック状態にある「上海ドラゴン」の連中の中にその拳を叩きつける為に走り出していた。

拳がギャング達の頭蓋骨を砕いていく。眼球が飛び出し、脳漿が飛び散る。コメカミをその手で掴まれた者は悲鳴を上げる間もなく己の骨が砕ける音を聞きながら死んでいく。いままで殴りつけてきた地面に比べ、なんと人体のもろいことか。そんな事より制限なく拳を打ちおろす事が出来る、この解放感ときたら!殴りたいモノを自由に追いかけ、掴み、破壊する事が出来る、この充実感ときたら!

ギャング達の骨が己の拳によって粉砕される度に身体の中で何かが変化していく。何だ、この感覚は?破壊行為がもたらす快感がいつしか快楽に昇華されていく。自身の力が制限することなく発揮される―力の解放に恍惚とする己に「女」はまだ気が付いていなかった。だが、いつしか「女」の股間からは血だけではなく、白濁の液体が大腿にまとわりつくように垂れ始めていた。

拳を振り上げ、殴りつける度に全身に走る刺激―痛みではない、これは悦びだ―「女」の表情が次第に妖艶さを増していく。暴力行為がここまでも艶かに「女」を変えるのか。

そんな「女」に瞬時ではあるが、『卍』は見とれてしまっていた。そしてそんな己を激しく恥じた。そしてそのモヤモヤした感情を打ち払うべく、更に青龍偃月刀を激しく振りかざしながら「上海ドラゴン」の連中を惨殺していく。しかし己の「男」自身がはちきれんばかりに膨張しているのはどうすることもできなかった。

『卍』が切り殺す―
「女」が殴り殺す―

いつしか2人の「暴力」は互いの魂をぶつけあう至極の愛撫と化していたかのようであった。


『神誤忍法帖外伝:血まみれ魔香妃』―その十六:終わり

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