社会学は社会諸科学の総称である社会科学のone of them にすぎないが、政治学や経済学とは違い異質な性質を持っている。社会学は3つの特質を持っている。まず一つ目は総合科学の面である。政治学や経済学は独立した一つの分野対象を持った個別科学である。しかし、社会学には確固とした学問分野がない。社会学は総合科学としての性質を持っている。社会学は社会諸科学の分野すべてを対象としてしまう科学なのである。他の科学を利用し、そこから新しい科学を創造する。固有の基盤となる分野はなく、他の学問の成果を媒介し、様々な科学と総合して他の科学では見えない新しい観点をもたらしてくれる。ジンメルはこれを二乗の科学と表現した。越境する知としても呼ばれる。2つ目に残余科学としての特質である。社会学は折衷的であることもあり、他の社会科学が対象としない分野を対象とする。そのため残余科学とも呼ばれる。これが2つ目の側面である。3つめは社会学が個別科学としての側面である。これはすべてを対象とするということ自体を固有の特徴としているということである。そのため最後の社会科学と呼ばれる。また社会学は人々の生活や社会科学の在り方など多様な視点で社会科学の基礎となる部分を対象とする。そのため下からの総合という側面もある。