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SF&F創作の部屋 作品コミュのひまわり

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「ひまわり」

宇宙空港は既に廃墟と化していたので、
彼は長い時間をかけて静止軌道にある宇宙船
から蜘蛛の糸のような繊維でぶらさげられた
狭いカプセルの中で数日を過ごしてやっと
地上に降り立った。
辺り一面は、背丈ほどのひまわりが咲き誇り
何もかもが黄色で覆われているばかりだった

彼は、GPSを取り出して自分の位置を確か
めるとともに、獲物が住んでいると思われる
家の位置を確認した。
多くのひまわりが邪魔をしているが、それは
わずか100メートルほど先にあった。
彼は背にくくりつけておいた山刀を抜くと
左右にひまわりをなぎ払って進んだ
「ひまわりを切るのはやめて」
遠くから声が聞こえた。拡声器のようだ
「これ以上切るなら、あなたを狙撃します」
たしかにこれでは自分の位置を知らせながら
動いているようなものだ。
ままよ、彼は再びひまわりをなぎ払った
殺せるものなら殺してみろってんだ
突然山刀が灼熱して赤くそして白く発光した
彼は無骨な武器を手から離した。
なるほど、これの直撃はまずい。するとはやり
これしかないか、と彼は手で太く青い
ひまわりの幹をかき分けて進みだした。
当然足の踏み場も無いほどに密集しているので
ひどく歩みが遅い。
ようやく、目的とする家の前に辿りつくと
その家の二階のテラスには一人の女性が腕組をして
立っていた。そしてその横にはとても女性
が使うには似つかわしくない対戦車ビーム
が三脚に据え付けられていた。
「ようこそ、ハンターさん」
女性は、片手に小金色の液体が入った
ワインのグラスを掲げて言った
「太陽の恵みとあなたの命が永遠に続きますように」
彼は、テラスの下に歩んだ
「何故、仕留めなかった?」
「さぁ?」彼女は、両肩を上にあげて答えた
「分からないわ」そしてその液体を飲み干した
「上にあがってこない?積もる話もあるし」
「まったくAIの癖に何を飲んでいるのやら」
彼は、腰にぶら下げたホルスターから銃を抜くと
それを構えながらそっとドアを開けて中に
入った。
目を左右に見張り、背を壁につけるように
して奥の階段を目指す
気配がない、可視光線として認識できる
範囲を赤外粋まで広げる。特に何もない
特にトラップも設置されている様子もない
階段がギシギシと音をたてた。
「そんなにゆっくりこなくても大丈夫よ
何もないから」上から声が聞こえた
それでも彼は慎重に歩いた。
のぼりつめるとドアもなく、そのまま
広いフロアが広がっていた。
その中に、先ほどの女性と一人の女の子が
居た。彼は銃口を下げゆっくりと女の
方に歩んだ。女は、テラスにある白い
テーブルの椅子に座り
子供は、床で積み木を積んで遊んでいた。
子供は、彼の姿をみるとそそくさと女性の後ろに
隠れた
「お客さまよ、いらっしゃいませは?」女性は、子供に
小声で言った。
「いらっしゃいませ」子供は、女性の後ろで
お辞儀をしながら言った
「こんにちわ」と彼は、ぶすっと言った
「まぁ、こっちに来て椅子に座らない?」
女性は、手招きをした。
「ここからの眺めは最高よ」
彼は銃を彼女に向けたまま椅子に座った
「どういう了見だ。」
「ハービィ」彼女は、両手をテーブルの上に
乗せて手を組んで前のめりになって彼の顔を
よく見た
「悪いが、昔の記憶がない。」彼は顔を背けた
「今は、シンと呼ばれている」
「あなたには私を殺すことはできないわ」
「殺す?まるで人間のようなことを言う」
彼女は、脇に立っている少女の頭をぽんぽんと
軽く叩いた
「遊んでらっしゃい」
少女は、うんと返事をして彼女から離れると
階段を下りて行った
「私の体は、人間のよ。ほらこれ・・・」
彼女は、シーンズのポケットから一枚の
カードを出した
「私が人間である証」
シンは、そのカードを手に取ってじっと見つめ
それから彼女に返した
「どうやったんだ?」
「私の昔の体そっくりの遺伝子をデザインして
作ってもらっただけ・・意思は、今の技術で移入
できるものね」
彼女は、どこまでも広がるひまわり畑に目を
やった。その周りを少女が駆け出して行く
「もしあの時ずっと平和な日が続いて
いたら、あなたと二人でここでまだ働いて
いたかもしれないわね」
「悪いが・・」シンが言いかけるのを彼女は制した
「あなたには当時の記憶がないね、でも、私にとって
はあなたは、ハービィだわ・・そして
昔話を聞く相手が欲しいの」
テーブルに置いてあるワイングラスに彼女は
ワインを注いだ。
「あの頃、ここでは人もAIも協力していたわ
何も問題もなく、ただ平和な日々だった。
でも、やはりAIはただの奴隷に過ぎなかった
私達は自分達の権利を訴えるようになった。
でも、人間達の権力者はその権力を何時までも
手中にしたいだけのために、私達に対して
強権を行使して破壊した・・
酷い時代だったわ。
当然、今までの関係は無くなり、人とAIは戦い
をはじめた。私も多くの人を殺したわ」
「それが原因で今も追われているしな」
男は、ぶすっと言った
「あなたも、極め付きの戦士だったわよ」
「そうかも知れない、お前のたわごとかも
しれない」シンは銃を眺めた。
ふと思った、俺にお前は撃てるだろうか?
相手は人間の証明書を持っている。
もし彼女がターゲットで無い場合は、彼自身が追われる
身となる。
「ええ、すばらしい戦士だったわ。それが
今では、権力の犬に成り下がってしまって
かつての仲間を屠っているとはね。
かつてのあなたは、なによりも権力を嫌って
いたわ」
「そうかもしれない、しかし今の俺の仕事は
犯罪AI狩りだ。そして・・」
そして、あいつをいつか殺す。シンは、
どこにあいつが居るか知っているにも関わらず
いまだに手の打てない自分が疎ましく思えた
「そして?」女は訊いた
「いや、何でもない」シンは、銃をなでた
「お前は何故人間の体を?」
「かつての敵の体ね、私もいわば寝返ったような
ものね。」彼女はふと考えた
「このひまわり畑をね、このどこまでも続く
畑を人々はどのように見ていたんだろうって
思ったの」
「観方は変わったか?」
「同じだった」彼女は、立ち上がった
そして、大きな対戦車ビームの脇まで歩き
大きく両腕を上に向かって伸ばした
「この景色を好きだという意識は同じだった」
下では子供がしゃがみながら土いじりを
していた。
「あの子は?」彼もまた銃を持ったまま彼女の
横に立った
「この体のクローンよ、本当は私のこの意識を
移植しようと思って作ったのだけど、あの小さな
体に私とは違う意識が目覚めてゆくのをみたら
そんな気がなくなった・・私は、不自由な言葉で
あの子に伝えるべきことを伝え、そして、彼女は
いつか自分の心のままにどこかに行くでしょう
全てではないけど、言葉で伝えることで、私の
一部は確かに彼女の中で生き続けると思うの?
これって・おかしい?」
「俺にはわからない」シンは答えた。
「人間ではないからな」
「私はこの風景を何時までもみていたい、
ずっとそう思っていたし、今でもそう・・
私が死んだらここに埋めて欲しいくらい」
「それならAIでいればよかったものを」
「でも、あなたに殺される」
「そうでなくても殺されるさ」
シンは、発砲した。音は出ない。
女の胸に赤い染みが広がり、その目が大きく
見開いた。
シンは、しばらく床に倒れた女を見つめて
からゆっくりと部屋を出た。

風が畑の中を駆け抜け黄色い花が波のように
ゆれた。シンは、ひまわりを手で掻き分け
ながら自分を下ろしてきたポッドまでづっと
歩き続けた

はるか後ろで、少女の悲鳴が聞こえた。
シンは、ポッドに入るとゆっくりと上空を
目指した。眼下には黄色い絨毯が何処までも
広がっている。その脇に、ささやかな家が
ひっそりと建っていた。
「報告を」と冷徹な声が彼の頭の中で響いた
「ターゲットは、人間への意識移植を行って
いたため、チップは無い。その代わりに
レコーダの内容を代わりに送信する」
「了解」声は言った
彼は、女を殺したシーンまでの映像をネットを
通じて送信した。

ひまわり畑の脇の一軒家で、少女は女性の脇
で泣きじゃくっていた。
「生きているよ」女は、倒れたまま胸についた
血糊を掌につけてそれをしみじみと眺めた
「AIならともかく、いくらペイント弾とはいえ
生身の体には痛いなぁ」
空の中を一つの小さな卵型の乗り物があがって行くのが
みえた。太陽の日差しにきらきらと輝いている
「まったく、容赦ないのだから」
そして、血糊がついたままの手で少女の頭を引き寄せた
「さぁ、これで私達はもう追手におびえることは
ないわ」

-----------
最初から創作するつもりが
途中のエピソードから作ってしもうたわい
さて、どうなるんだろ??
ま、きままに・・・やってみるべ。
-------------

コメント(3)

さてと、上記のエピソードの前の話といたしませう。
題名を決めていなかったので無題とさせていただきました
しかし、大丈夫かな?ケ・セラ・セラよ・・
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「無題(0章)1」
男は土色のコートを羽織って寂れた宙港のゲートを出た
周囲は雑草が点々としている荒れ果てた荒野が何処まで
も続いているように見えた。風が通り過ぎて砂塵を巻き
上げた。
彼は細い目をさらに細め、その光景を暫く眺めていた
それから、錆びの浮いたタクシー乗り場の標識のある
場所まで地面に置いたバッグを手にして歩いた。
彼が標識の傍で止まると、標識の下にある小さな箱に
小さな文字で「あと30分」表示された
彼は、コートの下のスーツの内ポケットから銀色に輝く
金属の小箱を取り出して、その蓋を開けると一本の煙草
を口に咥えた。
それからコートのポケットからは、真鍮で出来た傷だら
けのライターを取り出して両手で煙草を覆いながら火を
点けた
への字に硬く締められた口と鷲鼻からゆったりと煙が吐
かれた澄み切った空の中を、一羽の猛禽と思われる鳥が
ゆっくりと輪を描きながら進んでいった
遠くに砂煙をあげながら、こっちに向かってくる車の
姿が見えた。懸命に走っているのだろうが亀にように
遅い。

タクシーの中は、酒くさい空気が充満していた
彼は、車に乗り込むないなや一枚の紙を運転手と自分の
間にある透明なポリカーボネイトの板に音を立てて
貼り付けるように大きな手で押さえた。
運転手は、訝しそうに振り向きそしてその紙に描かれた
男の顔写真を見て、目を大きく見開いた
「居るか?」男はしわがれ声で訊いた
「あんた、死ぬよ」運転手はにやにや笑いながら答えた
「奴に勝てるものか」
男は、懐から銃を取り出して銃口を運転手の目の前に突きつけた
「ちっ、葬儀屋に金を払っておいた方がいいぞ」
運転手はアクセルを踏んだ。
車は砂塵を巻き上げながら、荒野の中を走りだした。
永遠に続くと思われた殺風景な景色は徐々に姿を変え畑が
ぽつんぽつんと現れそして納屋が人家が増えだした。
そして、いきなりネオンの看板が連立する町があらわれ
タクシーはその中に入っていった。
「ようこそザザ一番の歓楽街!ドラギュにようこそ!!」
ドライバーは、多くの車がのろのろ運転するなか
舞台の口上のように言った。
「さて、何処につけます?いきなりチーザに合うかい?」
「いや、宿が先だ」
「お勧めは、ママの宿だぜ。」運転手は言った
「あそこの女はどれもすげーぞ」
「任せる」男は、賑やかな繁華街を眺めながら答えた
車が止まった宿屋は見た目は普通のホテルのようだったが
ロビーには多くの化粧をした女達が、多くソファに座って
たむろしていた。
「無題(0章)2」

薄暗く、くたびれたカーペット。油の匂いがしみこんだ
木の床、カチカチと時を奏でる音も大きな時計
埃がまとわりついた抽象画、そして二階に通じる
狭い階段。
彼の目にとまったのは、そんな時代を感じさせる
ものが多かった。旅慣れはしているつもりではあったが
多くを期待するのは無理なようだった。
フロントの前に向かう彼に対して、ソファーに座った
女達の秋波が一斉に送られた。
ここでは、女を買わなければならないのか・・
彼は、独りで居たいにも関わらず余計なサービスを
提供しようとするホテル側の意向が不愉快だった。
フロントには誰も居らず、呼び鈴を押した。

出てきたは、背の高い女だった。寄る年波で体の線は崩れて
いるもののその顔立ちは明らかにかつてはよほどの美女の
ように伺われた。
女主人は、男を上から下までじろり舐めるように見た。
ブリムの広いカウボーイハットに細い目
浅黒い肌をした顔、見た目でも金持ちではない
どちらかといえば厄介ごとを連れて歩いているような
匂いがする。しかし、客は客だ・・彼女は宿帳を
広げた。

「部屋は、いま二つ開いているよ。2階と3階だけどどっち
がいい?」
「通りが見える方は?」男は、訊いた
「どっちも通りに面しているよ。」
「2階にする」
「そうかい」女主人はフロントの後ろにある鍵入れから
一枚のカードと一枚の紙を出して男に差し出した。
彼は、このような古臭い建物ならいっそ真鍮の鍵でも
出てくればいいのにと思いつつそれを手にした
「202号室ね。そしてこれに名前を書いて・・」
男は、名前だけを書いた。
「R・スミスねぇ」彼女は、にやにやしてその紙に書かれた
文字を見て言った
「じゃあスミスさん、後ろから女を一人選んでくださいな
どれも絶品でしょ」
「選ばないと駄目なのか」男は、女達の一人一人を眺めながら
言った。
「もちろん、ここの街の悪い決まりみたいなものでね」
女主人は、腕組をして言った。
「こういうことでもしないと、彼女たち飢え死にして
しまうんだよ」
彼がなかなか決めないでいると、というか選ぶ気も
なかったのだが・・女主人は、痺れをきらした。
「気に入らないなら、他所から呼んでもいいよ」

「いや、いい」
男は、鞄をもったまま、女達の前に歩み出た
一斉に、手でスカートのすそを上げたり、唇を舐めまわしたり
両手でそっと乳房を持ち上げてみせたりと各々が
無言のアピールをした。
その中で一人うつむき加減の女がひとり男の目を
引いた。
「お前だ」男は、短くて黒いスカートを履いた
女の指さした。
しかし、その女はそれが自分だとは思わなかった
ようで、主人が背後から「ミリア!ご指名だ」
と大声で呼ばれるまで俯いていた。
ゆっくりとミリアは顔をあげると、そそくさと
立ち上がりソファの後ろから一本の白い杖を取り出した
彼女の目は両方とも義眼だった。
「お前さん、お目が高いねぇ。この子はこの店で一番の
床上手だ。」主人は、大声で後ろから声をかけた
「ミリア、202号室だ。ちゃんとお世話をするん
だよ」
彼女は、女達の間を羨望と嫉妬の視線の中ゆっくり
と杖で床をなぞりながら歩いた。
男は、その女の後ろを重たい鞄を持ったまま
ついて行った。
その男の後ろを小さな子供がついてきた
「おじさん鞄持つよ!」
子供はそうって男の持つ鞄の握りに手をおいた
「触るな」男は、厳しく言った。
子供は、その口調の激しさに戸惑いながら
引き下がって行った
「よほど大事なものが入っているのね」ミリアは
進みながら言った。
「あの子、チップが貰えないとご飯抜きだわ」

男は何も答えなかった。
ミリアと呼ばれる女は、階段の段差に杖の先を
当てながら慎重に階段を登った
「あなたのお名前は?」
彼女は階段を登りながら言った
「スミスだ」
「スミスさんね・・偽名?」ミリアはくすりと笑った
「ここの宿帳に一番多い名前だわ」
階段は、木製のせいかきしむ音をたてた
「階段のきしむ音は覚えておいた方が
いいわ」ミリアは、小声で言った
「だれかが来ればすぐに分かる」

そのだれかが上から降りてきた。
ギシ、ギシと重い音を立てて、男は降りて来た
ミリアが足を止めたので、スミスもまた足を止めた
見上げると。ひとりの男がゆっくりと階段を
降りてきた。
スミスは、その顔をじっと見た。
どこかで見たような・・
彼は自分の記憶の中を辿った
面長でやや下がり気味の大きな目、品位を感じさせる
歩き方・・
男が脇を通り過ぎるときスミスは小声で
「ハービィ」と言った
男は、何も聞こえなかったのかそのまま降りていった。
再び彼はミリアと共に階段を昇り始めた。

「スミスさんお出かけですか?」
女主人の声が後ろから聞こえた
「あの人もスミスさんなのね」
ミリアがくすりと笑った
「なんで足を止めた?」
「だって、あの階段のきしみ具合からすると
かなり大きな人かなと思ったから」
「無題(0章)3」
部屋は、思ったより広く中にはバスも用意
されていた。男は、荷物をベット脇の
机の上に置いた。
「もうはじめる?」ミリアは、ベットの上に
腰掛けて言った
「それとも、マッサージをする?」
「いや、今は構わないでくれ。」
男は、バッグを開いた。
ミリアはそういって、鼻をくんくんとさせた
「鉄と油の匂いがする」
「教えて欲しいことがある」
男はバックの中のものを机の上に並べた
どれも銃とその部品だった。
カチ、カチという音を立てながら一つの
拳銃の銃身を伸ばして短いライフルの様に
仕上げてゆく
「何を知りたい?」
ミリアは、つまらなそうに足をぶらぶら
させた。
「チーザは何処だ?」
ミリアはどきりと足を止めた
「奴の仲間なの?」
「いや、その反対だ」
銃にスコープを設置してそっと窓際に
立ち通りに向けてスコープを覗く
「じゃあラリィの仲間?それとも腕試しに来たの?」
「違う」
窓開き、カーテンを引くとそっと銃口を
突き出してスコープから標的になるものを探した
「勝てないわよ」ミリアは言った
「やつはAIだし、特注の装甲ボディを持っているもの」
「それは知っている」
男は、道路に捨てられた空き缶に狙いをつけた
そして引き金を引いた
空き缶から10センチ程横に一つの黒いこげ後が
できた。
「家に電磁シールドがあるのか」
男は、ぼそりと言った。
「知りたいのは何?」
「まずは奴の居場所と行動範囲だな」男は銃を下ろし
別の銃を机の上から選びなおした。
「住んでいる場所は分からないわ、でもずっと遠くにある
廃墟を根城にしているって」ミリアは
ぽつりぽつりと言った。どうせ誰でも知っている
ことだもの、今までも賞金稼ぎや腕試しのやつらが
やってきたこともあるもの。
「誰か言ってたけど、昔は大きな農場だったところで
白い漆喰がぬってある教会なんだって、なんか不思議ねぇ
神様がいる場所に悪党が住んでいるのだから・・」

彼女は、何かを思い出すように暫く口を閉じて
また話した
「私はこんな目だけど・・でも、黄金色に広がる
畑の脇に白い教会でもあれば、きっと昔はステキな
場所だったのね」
そういって、自分の目を触った
「夕方になると町の中央にある居酒屋に来る時があるみたい
もっとも警察も役に立たないくらいだから、みんな見てみぬ
ふりをしているわ」

「部下はどれくらい居る?」
「分からない、ちょっとしか居ないとも
40人とも50人とも言われているもの」
男は、一丁の銃を選び旧式な弾丸を挿入した
更に消音機を接続して再び銃口をカーテン脇から
そっと出した。
パスンという音がして、道端の空き缶が
跳ね上がった。
「火薬?」ミリアは鼻をひくつかせた
「おしゃべりだな」
男は、ぶすっと言うと。ミリアの両頬を片手で掴んだ
「余計な事はいうな」
ミリアは頷いた。男は手を離した
「すると、夕方には前の道を通るのか?」
「さぁ、何時もじゃないから・・でも来る時はろくなことにならない」
「しかもチーザには、誰も手が出ないわよ
ラリィも多くの殺し屋を送ったみたいだけど
みんな逆に殺されたって話を聞いたもの」
「ほう、奴が殺したと?」
男は、ふむと言った。そこのところ詳しく知らないか?
「分からない、チーザ本人ではなくて
部下がやったんじゃないかしら」
「AIには人は殺せないからか?」
「だって、そうでしょ」
「そう信じて居た方がいいな」男は窓から
外を覗きみた。彼と階段ですれ違った男が
弾丸で穴を穿かれた缶を踏みつけてこっちを
見ている姿がそこにあった。
彼は、ちっと舌打ちをしてミリアの横に座ると
そのままどすんと、背中をベッドの上に落とした。
今は休むべきのように思われた。
少なくとも、実物を見るまでは。
彼女は、小さい声で鼻歌を歌いながら
時の過ぎるのを待った。

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