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オリバトコミュ【第四部】コミュのshort story.5〜にんじんとこめ〜

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1.いちーこォ
2.のりくん
3.RATT
4.鉄雄
5.blue baloque(・u・)
6.へなちョコヲ
7.もりし( ゚Ω゚)
8.鉄雄
9.のりくん
10.いちーこォ
11.まっく
12.へなちョコヲ
13.天体観測☆彡
14.はるや
15.ヤマノフ王朝
16.鉄雄

コメント(16)

「やっと肩が軽くなったべよ…」


オラ権田原田吾作、タゴサクって呼んでいいべよ。

オラの村は深刻な若者不足、嫁不足に悩んでるだ。
それにオラ自身も嫁っこがほしいお年頃。

嫁探しで行った海の向こうから帰ってきてから数ヶ月の間
探偵に紹介された「ナンシーさん」はどうやら幽霊で
オラは憑依されて か な り 苦しんだ…

それは村のオババがなんとかナンシーさんから開放してくれただ。
オババの力は凄いべよ。





【OSBssだい5わ〜にんじんとこめ〜】



ただ攫われて、「運命の人」に助けられるのもいいけどぉ〜
わたしも一緒に戦って…だんだん恋に落ちて…
きゃっ!
それいい!
出会いはやっぱり、ぶつかって…

ウンウン頷きながら歩く少女が一人。
小学生らしく今日遊ぶことを考えながら帰路につく。

「今日こそ計画をじっこうする日!」
『わるもの』も『ばくだん』もちゃんと用意した!
あとは運命の人になる『かっこいい相方』よね!

本当はクラスメイトとか幼なじみ…とかもいいんだけど…
あいつら、ほんっとわかってない!!


ただこの少女には妄想癖があり、お決まりな漫画やアニメが大好きで
…影響されやすかった。

「お兄ちゃんの『じったりんじん』だったらもっと上手くできたかもだけど、お兄ちゃんは彼女に夢中だしな〜チェッ!」
【マユ/ジェットにんじん】
大小様々な空飛ぶ人参を出現。人参は爆発もできる。人参の上に乗ることもできる。





「はぁ…やっぱり無理強いは駄目だべなぁ。」

【権田原 田吾作(タゴサク)/モメンタリー・ライフ】(練習)
殴ったところから本体に忠実な成長の早い稲が生える。


タゴサクは痛感していた。
見えないながらも「ナンシー」に縛り付けられていた経験から、
今まで自分がどんなことをしてきたのか気づいたのだ。


「でも嫁っ子は欲しいべよぉ〜…」


タゴサクは徘徊していた。
村のオババや村長の奥さんには『嫁っ子を捕まえるまで帰って来るな』と言われ…
恩もあるし…色々逆らえない。

仕方なく適当な街を徘徊していた。





「キャァァァァーーー!!!」


どすんっっ!!


「なっなんだべ??」

ランドセルの少女が叫びながらタゴサクに突っ込んできた!!


「あれぇ?この人なんかダサ…まあいいや!
ねえ!ちょっと手伝って!わるものに追われてるの!!」



手を引っ張られ、仕方なく走り出す!
「お嬢ちゃん?ど、どうしただ??」

わけもわからず、タゴサクはマユの計画(?)に巻き込まれていくのだった…

フゥー…フゥー…!!

あの小娘…どこへ行きやがった…!?

絶対に許さねェーぞ…!!

あの小娘ッ!!私の宝物を傷つけやがった…ッ!!私の誇りを…尊厳を汚しやがったッ!!



ぶ ち 殺 す ッ !絶対にぶち殺してやるッ!!




許すわけにはいかねェェーんだよォォ…。



私の無限のスタンド能力の前に…敵はないッ!



鉄雄(悪者役)/ニルヴァーナ:二次元の存在を三次元化する(2部)


私の…


私の…

私のコニタンに落書きをををォォォ――――ッ!


そして悪は動きだす…

―――――――

「早く来て!わるものが追ってくるの!!」

「そんなこと言ったっわがらねーべよッ!!」

「いいから!!これに乗って!乗って早く!」

「にんじん!?え?コレにんじん!?」

2人は大きなにんじんに乗って空を飛ぶ。

マユの兄は家の窓から空を飛ぶにんじんを見た。

それが妹とはわからずに…

「桃白白…」

空飛ぶ、にんじん・・・


オラの見間違いじゃねえべ・・・


だって



だって



オラ 今空を飛んじゃってるから!!!
オラ 今にんじんに乗っちゃってるから!!!

オラ、多少野菜には詳しいはずだぁ。
でも、こんなにんじん見たことねぇ、食ったことねっ!!!

「一体なんなんだぁー!!!?????」

「わっ、ビックリしたぁ。突然大きな声ださないでよね!」

「す すまねぇ。いっ、いや、それよりお嬢ちゃん何者なんだべか??なんで、にんじんが空飛んでんだ??わるものって何者だぁ??」
突然の理解不能な状況。
タゴサクは少しでも現状を把握しようと、思いつく限りの質問を目の前にいる少女にぶつけた。

少女マユは振り向くと待ってたかのように饒舌に語りだす。

「私は、時間警察、21世紀課所属のマユ巡査長。現在、搭乗しているのはGO?-7188型飛行機。通称『ジェットにんじん』であります。時間犯罪組織に潜入捜査中、正体が組織にばれてしまい逃走中でした。一般人のあんたを巻き込みたくは、なかったんだけど・・・

マユが一日かけて考えた設定を熱く棒読みしていると・・・

「ま、前ぇ!!」
突然タゴサクが叫んだ。

「もう、人の話の途中でぇ、さっき大きな声ださないでって言ったでしょ。」
「す、すまねぇ。でも前見ないとぶつかるからよぉ・・・。」

「え・・・・?」
マユが振り向くとそこには大きなビルがっ!!

「きゃ、そおいうことは早くいう〜!!よけらんないよ〜。」

タゴサクとマユを乗せたジェットにんじんはビルに突っ込んだ・・・。

ガッシャアーーーン
パリーンパリーン


「な、なんだっ!?」
「に、人間が突っ込んできた!!」
「ここ7階だぞ!?」
「死んだの!?」
「いや死んでるだろ!!」

「株式会社ヒデエモン」のオフィスは騒然となる。

「・・・あだだだ。」
「うげげ・・・なんとかーー」
二人は無傷だった。
タゴサクが服とフローリングから生やした稲が、防御と衝撃吸収の役目を果たしたのだ。
(あぶねえところだっただ・・・めちゃくちゃだ)
タゴサクが一息ついていると、階段をすごい勢いで駆け下りてくる音が聞こえてきた。

「おい!おめーら!なんだ今の音は・・・!!
なっ!て、てんめーーーー!!俺っちのオフィスになにしやがるんだバーロウめ!!」
この会社の社長とおぼしき人物が二人に近づいてくる。
「汗水垂らしてやっとこさたてたおれっちのオフィスを!!許さねぇ!!」
慌てる二人。
「あ、あははは〜大丈夫だって〜壊れたのは窓ガラスだけじゃあん」
「そ、そうだっぺよ!こーんぐらいならちょっと工事すりゃあチョチョイノチョイだっぺ・・・」

ゴギャギャギャギャ!!!!
バギ!!ボギボギ!!!
ドッガアアーーーーーン!!

タゴサクが言い終わらないうちに、社長の後ろで轟音が響いた。
その音の先を見ながら硬直する二人と社員。口はアゴが外れるくらい開いている。

ゆっくりとふりかえる社長。
「な、なんでい今の音・・・・は・・・・・」

社長が見た光景。
それはテラスのように風通しがよくなったオフィスの半分と
写真集を持った男。
その男の後ろに、バラバラに崩れながら落下していくビルの上層部。
社長の努力の結晶、社長室とともに。
社長には、それら全てがスローモーションに見えていた。

「て・・・てやんで・・・・い」
「しゃ・・・社長!!」
社長はそのまま白目をむいて倒れた。

【ヒデエモン社長 リタイア】
タゴサクは気づいた。
(この子も、この子を追ってきた男もスタンド使いだ・・・東京はこんなにスタンド使いがいるっぺか・・・)

写真集を片手に持った男・・・鉄雄が静かに喋りだす。
「このコニタンの写真集『27』を買うということ・・・
 それは「コニタンの魂をを支える」ということだ。「愛」の証明なのだ。
 わかるか?これはな・・・コニタンの旅立ちの写真集だ。
 金目当てにヒョコヒョコスカウトについてきたバカギャルが
 お小遣い稼ぎに出している写真集ではない。
 これは魂の結晶なのだ。
 コニタンの黄金のような魂だ・・・。
 1ページめくるごとに現れるコニタン笑顔・・泣き顔・・・
 それに・・・その一つ一つに・・・・
 「鼻毛」をかくという暴挙ッ!!
 「お歯黒」もだ!「目のくま」まで書いてやがるッ!!
 き、きさまは・・・俺の愛を!!!そしてコニタンの魂を侮辱しやがった!!!こんなビルをいくつ破壊したところで腹の虫はおさまらねえ!!
 許さんぞ!!!バラバラにして磨り潰してひき肉にして犬のエサにしてやるッ!!
 覚悟しやがれ!!!!!」

狂ってる。
タゴサクはあいた口が塞がらないどころか、さらに開いてアゴが地面に落ちた気がした。
そんな理由で他人様のビルを半壊させ、こんな子供を惨殺する気なのか・・・。
しかしとにかく、この男を説得しなければならない。
どんな能力かはわからないがこれほどのパワー。かなうわけが無い。

「ま、待つっぺよ!話せばわかるだ!写真集ならまた買えば・・・」
「ちっちぇ男。」

少女の声。
マユに全員の視線が集中した。
まさか。

「そんな写真集ぐらいでビービーいってんじゃねーよっ!エロ本でも買ってろ!それで満足できないなら××に行って×××に×××でもしてもらえこの×××!!!」

空耳であってほしい。
全員がおそるおそる鉄雄の方に視線を戻す。
残念なことに言葉は彼の耳にしっかりと届き、彼の額にいくつもの血管を浮き立たせていた。
次の瞬間彼の隣にあったビルの壁が一瞬で吹き飛んだ。


「・・・殺す。」

タゴサクは、涙が出そうなのを必死でこらえた。

「さあ〜っ、わるものをやっつけちゃうよ!!いいところ見せてよね、オジサンっ♪」

殺伐とした空気、絶対的な恐怖に気付くことなく、マユは元気に声を上げる。
そんな健気な姿とは裏腹に、タゴサクは多いにブルッていた。


死ぬだ、間違いなく秒殺されるだ。
涙どころではなく、体の至るところからあらゆる体液が漏れ出しそうになる。
息をすることすら忘れそうになりかけるが――、マユの声に反応してようやく自分を取り戻した。


「――だ、な、ナニをどーやってコノ状況でそんなセリフが言えるだべ…………!?」

「だって私は無敵☆DE☆素敵な女の子だもんっ♪
乙女武器の夢見るハートで、この世の悪をキルゼムオール!
未来警察官マユ12歳☆まだ誰のものでもありませんっ★(キラ〜ンッ)」

しっかりポージング。
可憐さと小悪魔的笑顔を魅せながら、爛々と煌く後光が過ぎた――ような気がする。



――――この嬢ちゃん、ゼッタイ空気読めてねえべ……

しかし、全身が殺気と殺意だけで硬直させられていたタゴサクには、割と天恵。
鉄雄の視線だけで、脳裏に圧倒的に幻視させられていた死から、意識を逸らすことが出来た。



「無残に殺す、残酷に殺す、酷薄に殺す。殺して殺して殺してやる。
ありとあらゆる方法で苦しま
「 だ ま れ 、 ■ ■ 」
――だ――だああああああアアアアッ!!!!」


火に油を注ぐように、いやガソリン、いやロケット燃料か。
容赦無い毒舌で尚更に鉄雄を挑発するマユ。
その顔は子供のあどけなさというより、魔王の凶笑。
してやったり、タチの悪いプログレッシブなおこさま。

ってか■■って、そんな言葉こんな嬢ちゃんが口に出しちゃだめだべ……
世界中の男が言われれば、確実にブチ切れる侮蔑用語トップ1。放送禁止用語。
常に嫁っ子を捜しているタゴサクも、流石にそこまでの言葉はムッツリピュアなココロにも罅が入る。



「大体、そんな写真集に落書きされただけでブチ切れるとかマジキモい。
外見は悪くないけどさ。残念だけど、かっこいいってそういうことじゃないし?
――――ってか、どうでもいい。さっさとやられちゃってよ……この■■■♪」



ぐさり、と刺さる音がしたような気がした。
というか、確かにした。
どっか耳がおかしくなったっぺか?とタゴサクが内心驚く。

鉄雄の心に、限りなく毒が混じった言葉の矢が貫通する。それはもう、ぐっさりと。
先程の言葉よりもなお悪辣な毒性に、鉄雄の顔色は紅くなったり黄色くなったり蒼くなったり。

色鮮やかに目まぐるしく、その形相まるで鬼妖の如し。
ブツブツと何かを独り言を呟いている。呪詛のように、コニタンコニタン、と。

とても、見ていて気の毒ではあったが、




(! ちゃんす、だべ!!)


その隙を、タゴサクは見逃さなかった。
マユの腕を無理矢理掴む。

「え!ちょっとっ!!」

どこか項垂れた鉄雄の方には、目もくれず全速力で走る。
走る、走る、走る、走る――――!!



「えっ、そ、そっちはぁ〜?!ええええええええ!!!!」

「――――飛ぶだよッ!!!!」



窓のない、中空へと二人で跳躍。
突如、二人の背後に閃光。



DDDDDDAAAAAAWWWWWWNNNNNN!!!!!!



大爆発するビルディングを後ろに、二人が急降下していく――!!


飛び出した空の中、マユは轟音に振り返り、爆発したビルを見るなり目をキラキラさせて叫ぶ。

「粉砕!玉砕!大喝采!」

「な、何言ってんだべか?…ッ!?こ、こら、お嬢ちゃん!危ねっぺよ!」

手を引くタゴサクを振りほどくマユ。
落下中にも関わらず、身を捩って爆風に乗って飛来するガラスやコンクリートの破片に向かい、

「ガラスのシャワーだぁー!」

生き生きとした叫び声をあげる。
が、自由すぎるマユにタゴサクは気が気ではない。
爆風に乗っている破片はものすごい勢いで迫ってくる!

「あ、危ねぇって!こっちさ来い!」

タゴサクもなんとか身を捩り、慌ててマユを腕の中に抱きかかえる。

「モメンタリー・ライフ!オラとお嬢ちゃんに稲を生やせるっぺよ!」

鉄雄がビルの上層部を吹っ飛ばしたおかげで日当たり抜群!天気は良好!
何より必死なタゴサクの精神力を受けて稲はニョキニョキ生えてグングン育ち、あっという間に二人を黄金色に染める!

「よし、これでとりあえず破片は防げるべ!あとはさっきの『にんじん』で…ッッ!?」

一安心したタゴサクは強烈な殺気を感じて、それが放たれている場所を見る。



崩壊したビルの上、そのテロを彷彿させるような惨状を作り上げた男、鉄雄――マユの言うところ『わるもの』――が片手に写真集、もう一方に一枚の写真を持ってタゴサクらを睨んでいた。

「コニタンを…コニタンを侮辱した罪が《ビルから落ちて死にました》程度で償えるかァァァ!
 ブッ潰してやるゥアァァァッ!!!」

狂ったように吼えながら裏に『広告用』と書かれた写真にニルヴァーナの手を突っ込む!



ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ




タ ワ ー マ ン シ ョ ン だ ッ !!

コニタンを冒涜した報いだぁぁぶぁぁぁッ!!」


27階建てタワーマンションがタゴサクとマユに向けて放たれた!

「ホ…ホギャァァァァーーーーーっ!!!」

あまりの出来事にタゴサクは眼が飛び出しそうになりながら叫ぶ!!
一方のマユは……

「出たーーーーっ!!あはははははっ☆」


大喜びである。


7階建てのビルから放たれた27階建てのタワーマンション!!
自然落下でも大惨事だ!!

「な、なんだべなっ!?一体どうなってんだべぇぇっ!!??」
マユを抱えていた腕に力がこもる………というより、むしろ抱きしめてしまっている。


ギュウゥゥゥ………


「げふぅっ!!………く、苦しい!!早く避けないと押し潰されちゃうから!!」

「…………ん…んだ…んだぁ……んおっ!?おおっ!す、すまねえだ!!」

呆然としていたタゴサクは我に返り力を緩める。


「ふぅ…まったく…少しはしっかりしてよね!!いくよ〜ジェットニンジン!!」


ギャーン!!


マユがそう言った瞬間に巨大で細長い人参が現れる!!



グ ゴ ゴ ゴ ゴォォォ…………


タワーマンションが二人の間近に迫る!!

「急がなきゃ押し潰されちゃう!!よ〜し!行っけぇーっ☆」


ギギギュゥゥゥゥンン………

(っっ!!はっ…!…早過ぎるだ!!息が…出来……)


「駄目っ!間に合わなぃっ!!もっと早くっ!!行っけぇぇぇ!!」

ドッッ ギュゥゥゥゥ…ッ……

(だ……べっ………よだ…れが……出…)




ズ ド ゥ ォ ォ ォ ォ ン…………



タワーマンションが地面にぶつかった瞬間に大きな音を立てて崩壊する!!


「ハァ………ハァ………ハァ………クソがぁ……まだだ………生きている可能性が僅かでも有る限り捻り潰す!!」

鉄雄は血眼になりながらマンションの残骸を破壊し始める!!


「ふぅぅ…落ち着け……素数でも数えて落ち着くんだ……い、1…2…3…4…畜生ッ!!まだまだ殺し足りんぞっ!!何処だ!!ド畜生ッ!!」

ドゥゥン!!ドゥゥン!!





「あ〜あ〜…暴れちゃってるよ…キモッ!!」

「……ヒィ……ヒィ……なんなん…だべ……一体……ヒィ……」

二人は鉄雄が暴れている場所から少し離れたビルの屋上に避難していた。


「はぁ…もっとかっこいい相方の方がよかったなぁ……」

マユは大暴れしている鉄雄を余所に遠くを見つめている……

一方のタゴサクはヨダレと鼻水を垂らしながら遠くを見つめていた……


その頃マユの兄は彼女とショッピングを楽しんでいた♪

多くの人で賑わう日曜日のデパート。
そのデパートの婦人服コーナーで、何故かシャッターの音が響いていた。
「いいよ!すごくいい!ハンパ無く萌えだよォーーデュかりん!!」
カシャ!カシャカシャ!
シンは、『ピンクダークの少年 第6部』に登場する女主人公に扮したデュカの周りを回りながら絶え間なくシャッターを切り続ける。
「もっと頂戴!その萌えもっと頂戴!」
「ねえーシン〜今日はショッピングじゃないのぉー?なんで写真会みたいになってんの〜」
と、いいながらノリノリでカメラに笑顔を向け続けるデュカ。その表情はシャッターが切られるたびに微妙に変化している。
第一コスプレしてきたのは当の本人だ。
「ご、ごめん・・・デュカの一瞬一瞬が眩しすぎてつい・・・」
「シン〜〜vvv」
抱き合う二人。周囲の人間の白い目など感じもしない。
「さーてデュカりん!ちょっと待っててね〜今フィルム変えるからね〜」
その場にしゃがみこみ、カメラからフィルムを取り出すシン。
「あ、やべ」
フィルムが手からこぼれ落ちて転がっていく。
拾おうと手を伸ばすシン。

グシャリ

突如上空から人が降りてきて、フィルムをしっかりと踏み潰した。
「あーーーーー!!!???」
叫ぶシン。男はそのままゆっくりと歩き出す。
「・・・・クソ・・・どこでもドアはダメだ・・・精度が悪い・・・あのクソガキドコにいやがる・・・」
ブツブツ呟きながら歩みを進める男を、唖然とした顔で見送るシン。
男は壁の前に突き当たって立ち止まった。
「どこに隠れても無駄だーー!!!!絶対に殺してやるぞ!!!!」
激しい怒号とともに男の前の壁は砕け、大きな穴が空いた。
そこから飛び降りて、男は消えた。

「うう・・・」
シンは壊れたフィルムの前でわなわなと震えていた。
「ち、ちくしょう・・・絶対にゆるさな「ゆるさねえ」
声を遮られたシンははっと気づく。後ろから禍々しい紫色の邪悪なオーラが漂っていることに。
「あの野郎!!!絶対にゆるさねえ!!あたしのもえもえな写真が詰まったフィルムによくも!!!」
デュカはシンの胸倉を掴み、無理矢理立ち上がらせる。
「追うぞ!!!」
「ハイ!!!」
シンが思わずとっていたのは『敬礼のポーズ』だった・・・。

----

「こ、ここまでくれば大丈夫でしょ・・・」
公園に着陸したジェットにんじん。それにもたれながら二人は一息つく。
「ねぇ。あんた青森かなんかの人でしょーなんで東京まで出てきたの。」
「オラは嫁っ子さがしにきただ。今風に言うと「運命の人を探しにきた」って感じだ。」
・・・・あーもうなんか運命じゃん。こいつとアタシ。
こんな田舎くさい男ホントはいやだけどしょーがないなあ。
運命じゃ、しょうがないよね♪
「じゃあさ、あたしと付き合ってみ・・・・」

風が吹いた。
公園の木々が揺れ、木の葉が舞う。
そこに、女性がいた。
白く、長い髪がまるで妖精のようだった。

「ちょっと!!今超大事なシーンなんだけど!!きいてん・・・」

「・・・惚れただ」

「は?」
「・・・か、彼女が運命の人だ!やっと見つけただ!」
タゴサクはそう言うと、女性のほうへ歩き出す。
「ちょ、ちょっと!何いっちゃってんのーー!?まちなさいってーー!」
マユは釈然としないままタゴサクを追う。

----

とるるる・・・とるるる・・・
留守番電話サービスに接続します・・・
プツッ ツーツー
「電話にも出ない・・・鉄雄様、どこにいったのかしら。」
ホワイトは「本を買ってくる。いやなに、あれだ、哲学書みたいなものだ。昼には帰ってくる。」
と言ったきり帰ってこない鉄雄を心配して外に出ていた。

日が、沈みかけていた。
あれぇ・・・?そろそろあたしの虜になってもいいはずなのになぁ?おかしいなぁ・・・?きっとまだパンチがたりないのね!?

そういえば…「わるもの」は出てきたけど「ばくだん」が出てこないなぁ・・・?

ばくだん…ばくだん…

―――――――

おや…?わたしは何をしていたんだっけな?そうだ。出張で来たんだった。本当は断りたかった。故郷の町から離れるのは嫌だしな。しかし、そこでゴネて会社から目をつけられるのはまっぴら御免だ。

そしてもう今日の仕事は終わったんだったな。あとは食事や入浴を済ませてホテルで8時間ぐっすり眠るだけだったんだが…。

性欲ってのは我慢がきかないものだ。あまりにも美しかったものだから…フフ…。

やってしまいましてね…

そしてそれを少女に見られた…。このわたしの犯行を見られた。そして『ばくだん…』と声を発した。あの少女はスタンド使い。デカい人参に乗って逃げた…。わたしの本性を知ったものは生かしておくわけにはいかない。

必ず殺して消してやるさ…。

ん?わたしの性癖とは何かって…?

『手』だよ。ええ。『手』そのものだよ。子供のころ…レオナルド・ダ・ビンチの『モナリザ』ってあるだろう?あの絵…画集で見た時だ…。

あの『モナリザ』がヒザのところで組んでいる『手』…あれ…初めて見た時…

なんていうか…その…下品なんですが…フフ…

勃 起 しちゃいましてね。

わたしの名前は『吉良吉影』。

これでわたしの名前を知っているものはあなただけだ。いいな?わたしの事を誰にもしゃべるなよ?

吉良吉影/キラー・クイーン(原作第四部)

さて・・・あの少女の始末をつけなくては…

「もう…鉄雄様ったら何処へ行ったのかしら…」

今、私の前を通り過ぎて行った女…

なんて白くて美しい手なんだ…

性欲ってのは我慢がきかないものだ。あまりにも美しかったものだから…フフ…。

やってしまおうか…

ん?あの後ろの頭の悪そうな男のツレは…

「どこにいくのよォォ〜!?」

・・・見つけたぞ・・・一石二鳥とはこのことだ…
「そ、そこのお嬢さん!オラと付き合うだべ!!!」



なっなにィ〜〜ッ!!

こ…こいつ、私の見つけたあの美しい手を手に入れようというのか!
「手に入れる」…クククク…

あの少女と男…始末させてもらおう…




***********



「あんのうすらハゲどこいったぁぁ!!!」


フィルムを無残な姿に変えられたせい…というか、勢いが加味されているような気がするが…
男を追ってデュカとシンはデパートを出て、公園までやってきていた。

「はぁ…はぁ…もういいよ、デュカ…」
「何で!?折角シンにカワイく撮って貰ってたのに…」

しゅんとするデュカを宥める。
『シンに』とか言って、こういうところが堪らなく…


萌 え だ



シンは悶えていた。
萌えは怒りを忘れさせる!!!

「そうだ!そうだよデュカ!この公園、池があるだろ!そこでEE戦の再現をしよう!!」
「そっか!シンGJ!!」


二人は意気揚々と池のそばまで行き、キャラメル・ミルクでEEフィギュアを作成。
撮影会を始めた…。
シンは持ってきたヒーローフィギュア達にレフ板を持たせ、上から下から斜めからデュカを撮る!!!
良いアングルを狙うのに夢中で、自分の姿勢は背は反り限界まで地面に近づいて凄い形相だ。

「おい!ケンシロウ!もっと上に上げて、キン肉マンはそのまま!!」

今日は肉体派フィギュアばかり連れてきて正解だ!
これはイイのが撮れた!確信した!伝説に残る写真が撮れ…


ズドギャァッァァァアーーーーーーン!!!


物凄い爆風が…



シンの手の中から一眼レフを奪い去り…





池…に…


「「池に落ちただとぉぉぉ!!!!」」



「「あんんのビチグソがぁぁぁーーーーー!!!」」

萌えは怒りを忘れさせる。そして増幅もさせる!
それは、萌えが何物よりも優先されるからだ。

二人の腐ったスタンド使いは、今、人間をやめた。

もうもうと砂埃のまう公園
爆発したのは、爆弾などではなく…


「見つけたぞッッ!!貴様達ァッ!絶対に逃がしはせん!挽き肉にしてぶちまけてやるッ!!!!」

…大破した戦車が地面に向かって突き刺さっていた
池の側にいたシンとデュカがすかさず上空を見上げる

「あそこだッ!デュカ!」
「あの野郎、絶対許さねェ!!この私の最高な姿を二度までも!!シン!撃ち殺すわよ!」
「イエス!サー!!」

瞬間的にデュカの足元の地面が溶け、形が形勢される

突如出現したそれは、針山の様に無数に空に突き出た砲台


「ボロ雑巾になるがいいわァ!!」
「デュカ!今のお前輝いてるぜッ!」

「なんだべ!?」
「わぁ!いい爆発!なにこの演出、最高!」

公園の中央にいたタゴサクは爆風に驚いて後ろを見た

さっきまではなかったはずの大破した戦車、要塞

そして…

バラバラバラバラバラバラバラバラバラ
バラバラバラバラ バラバラバラバラ
バラバラバラバラバラバラバラバラバラ


「蟻どもがッ、仲間を増やしたか!?だが所詮無駄だッ!コニタンのッ!コニタンの怨みッ!!こんな事では潰えんッッ!この鉄雄を止められるものかァ!!!喰らえ、アパッチだッ!!」


見上げるシン デュカ タゴサク
太陽を塞ぎ落下してくるモノは…

プロペラを旋回させながら、地面へと向かう凶器と化した軍用ヘリ



「ダァ!あの悪魔がきたべッ!!もう死ぬだ!」
「キャハハハ!すごいすごーい!」

「無駄よッ!上空で爆破させてやるわ!」
「デュカ、ジッタリンジンは装填済みだ!」


ドウドウドウドウドゥ!!!
ドウドウドウドウドゥ!!!!

凄まじい勢いで空中に砲弾が飛び交う

まさに、戦争





「……あんなにもおおっぴらにスタンドを使うとは、ここいらの連中は馬鹿ばかりか?特にあの空にいる奴、何故にああも目立つ攻撃を仕掛けている??…平穏な人生を知らない可哀相な人間達だ。」

そう言うと、吉良吉影は公園のベンチに腰掛けて前方の光景を眺めた
田舎臭い男と自分を目撃した女を爆破しようと考えていたのだが、突如始まったこの茶番にもう少し様子をみようと考え直したのだ

(まぁ…最終的にこの公園にいる全員には消え去ってもらうがな。私はただの通行人として、最期には帰らせてもらうよ。
何故なら
…すでに、バイツァダストは発動させている……フフフ。)



吉良は鼻歌を歌いながら通勤鞄から本を取り出し、しおりを抜いて、ページをめくる
そして…近寄ってくる人物に席を空ける為、端によった


「いいかしら、そこ。」
「……いいですよ、綺麗なお嬢さん…。」



ホワイトはあいたスペースに腰掛け、空を見上げる

「…読書のお邪魔だったかしら?」
「いえ、大丈夫です。それよりも、貴女……」


ギ ギギ

(爪が…伸びる。この衝動は抑えられない……。
この状況、当然この女もスタンド使い……
ならば後悔もあるまい、わざわざ自分の意思でこの公園に留まったのだ。そしてこの吉良吉影の隣に座った。私のコレクションになる…そういう運命だ。)


「…美しい手だ。少し、見せてくれませんか?その手をこちらに…」


ホワイトはニコリと微笑むと、こう言った

「あの空中におられる方を…二度とコニタンなどと言えない様に地面にへばり付かせて下さったら、見せてさしあげてもいいわ。」


コニタンと叫んだ鉄雄の言葉は

ホワイトの耳にしっかりと届いていた
「あの悪魔を倒したら、あの人と手を繋げるんだべか…」

自らの都合の良いように解釈したタゴサクは呟く。
そういえば、と思い出す。以前外国で恋愛を教えてくれた男が言っていた言葉。


――オマエは強引すぎるからな、我慢してしばらく手も握ったりしないくらいがいいぞ


しかし、許されるのならば我慢などしたくない。提案は相手から出されたもの。我慢をする必要はどこにもない。

ちらりと横目で見ると、鉄雄はアパッチから飛び降りようとしているところだった。
はためくコートを押さえ、件の落書きされた写真集を落とさぬよう大事に抱えている。

アパッチの墜落するその先では地面から生えた砲台を駆使する男と、それに指示を出す女。「弾幕薄いよ!何やってんの!」などという叫び声がこちらにまで聞こえてくる。

そして自分の横には、この騒ぎの原因であろう少女。
自分を含め、全員スタンド使い。
タゴサクは脳みそをカラカラ鳴らして考える。

「四対一なら倒せるべ…お嬢ちゃん!あの人達に加勢して悪魔を倒すべよ!」
「え…!やっとやる気になってくれたのね!よし、行きましょう!さぁ早く乗って!」

自分に向けられた言葉ではない上に曲解したタゴサクの頭の中では、

(一ヶ月でキスをして、二ヶ月で結ばれて、三ヶ月後には結婚だべ!)

と彼の中では完璧な段取りが組まれていた。
意気揚々とマユの発現した『ジェットにんじん』に飛び乗ったタゴサクは、白馬に乗った王子のような気分で鉄雄へと向かっていった。

…ズザッ。



悪 魔 、 降 臨 。



「このウジ虫どもがぁ!この鉄雄の怒り、まだまだこんなものではないぞぉッ!!」

戦車、大砲、戦闘機。更には実際の軍隊まで。
「鉄雄軍」は、完全に池を包囲する形に膨れ上がっていた。

鉄雄の手には、雑誌「ミリタリー・クラシックス」。
写真集をカモフラージュするために購入されたことは言うまでもない。
その雑誌は、今や無尽蔵の怒りの源泉と化していた。


軍勢の余りの増殖ぶりに、怒りに震えていたシンも慌て始める。
「おいおい、いくら何でもこれじゃ埒があかない…って、オイ!デュカ!!」

気が付くと、デュカは一人防空壕を作って閉じこもっていた。
「… 飽 き た」


ええええええぇぇぇぇぇッ?!


眼前に迫る「鉄雄軍」。シンは、息を呑んだ。



「おらぁ、おめぇらぁッ!!サボッてねぇで戦うっぺよぉッ!!」


上空から声がする。

シンが振り向くと、巨大なにんじんがこちらに向かって突っ込んできた!


「貴様新手のスタンド使いかッ?!これでも食らえッ!!」
鉄雄はパトリオットを繰り出す。
無数の対空砲が、にんじんに向かって発射される!!


「うおおぉっ!モメンタリー・ライフッ!!」

にんじんから無数の稲穂が伸び、ミサイルを一つ残らずキャッチする。

「ヨメ、ヨメ、ヨメ、ヨメ、ヨメ、ヨメ、ヨメ、ヨメ、ヨメ、ヨメ、ヨメ、ヨメ、ヨメ、コメェーッ!!!」

妄想の塊となったタゴサクの集中力は凄まじく、全てのミサイルをピンポイントで鉄雄に向けてカウンターで打ち返した!

地を這い、猛然と鉄雄に襲いかかるミサイル!!


「なにぃッ?!だが、やられるかッ!守れ、長城ッ!!」
今度は「世界遺産大全集」だ。万里の長城が、ミサイルを食い止めた。


「… 油 断 し た な」


気が付くと、鉄雄は背後を取られていた。

「ヨメヨメヨメヨメコメヨメヨメヨメヨメヨメコメヨメヨメヨメヨメコメヨメェーッ!!」

ラッシュを食らった全ての箇所から稲穂が生える。
鉄雄は、完全にがんじがらめにされてしまった。


「グゥッ!だがこの鉄雄、まだくたばりはせんぞぉッ!」


「キモイなぁ、おじさん」
マユがおもむろに近寄り、鉄雄の胸元をまさぐる。

「あんたのその能力、『引 き 出 す』んだろ?だったら、こうすりゃいいじゃん♪」

鉄雄の手を掴むと、マユは胸元から取り出した「それ」をあてがった…

「や、や め ろ ぉ ッ ! !」

鉄雄の咆哮が空しく響く。



数分後、鉄雄は完全に打ちひしがれていた。

彼の周りには、無数の「女神」が立ち並んでいた。
スラリとした長身、美しい黒髪、優しい眼差し、スッと伸びた鼻筋、微笑む口元。

そして、

鼻毛、お歯黒、目の下には隈をこしらえた女神が。



(ヒ、ヒデェ…極悪だ、あいつ)

シンは呆気にとられて、妹を見ていた。
想像にも及ばない圧倒的破壊の跡に、少し離れて観察していた吉良はため息をつく。


こんな大惨事にしてくれるとはさすがに思っていなかったからだ。


元凶となった男はもう動けなくなっているようだが…

さっき通りすがった時にわざとぶつかってバイツァ・ダストを仕掛けさせてもらったガキは、
さすがにもうこの公園にはいないだろう。

残っていたとしたらバイツァ・ダストが自動で守ってくれるから死にはしないだろうが、
その間自分が自由に使えるスタンドが出せないというのは少し痛いな。


がりがりがりがり……

気がつけば爪を噛んでいた。


本来ならさっきの美しい女にバイツァ・ダストを仕掛けることができれば一番理想的だったのだが、
スタンドが見える者に簡単に仕掛けることは難しいだろう。

それならば仕方ない…


シュゥゥゥ…

【バイツァ・ダスト:解除】




とりあえずまず第一に優先してやらなければならない事…それはやはり、
私の性癖を目撃してしまったあの少女を殺すこと。

それさえ果たせば私の平穏なる生活が崩されることはない!



キラークィーンの腹部が、上にスライドして開く…

「飼いならしておいて良かった…」

そこには不気味な動物の顔を持つ植物があった。

【猫草(ストレイキャット):空気弾を発射する】


ここからまっすぐ直線!
着弾で爆破する空気弾であの少女を消す!
私が殺したと気付く者はいない!






「アハハハハ☆このおじさんほんとバッカみたいだったねー。」

鉄雄のことだ。

「この田舎もんのタゴサクの方がずっとイカしてた・ゾ☆

 ほんとアイドルの写真集とか買ってカッコつけた喋り方する奴とかひくわぁ〜
 カッコいいと思ってるのは自分だけって気付かないんだろうね〜」


ゴゴゴゴゴゴ…


俺を… ここまで… 

 コケにしてくるとは…

ゆ…ゆるせん……


稲にがんじがらめにされた体で、力づくで歩を進めようとする!

「無駄だべッ!稲は成長しきっていてもはや身動きひとつ取れないはずだ!

 …と言いたいトコだべが、なんという執念!!
 わずかずつだが進んできてるべ!!」」


マユにゆっくりと近づく!

一歩

二歩

三歩…



ドッコォォォォォン!!


突如、鉄雄の背中、巨大な火を吹いた!!


誰もがあっけにとられた。

突然の爆発。

「い、いったいなんだっぺ!?」

「え!?なになに、どーゆー事ッ!?」

混乱の中、ただ一人、冷静且つ慎重に行動する男が一人。

「すこし目測を誤ったようだな。やはり長旅のせいで少し鈍ってしまっているようだ…が、次弾はハズさない。」

吉良より再び、空気の爆弾が放たれる。


フワンッッッ…

(残り4m…)

(3m…2m…)

(1m…よし…)


ドォオォォォォォォーーーンッッ!!

(な、何ィィィィ!?)

またしても吉良の予想に反して爆発する爆弾!!

タゴサクのモメンタリー・ライフが生やしていたもうひとつの苗が二発目の空気の爆弾を見事に遮った。


「ぐぅゥ…ッッ!!だいじょうぶだっぺか!?」


「わ、私はなんとか…でもこのおじさんどーする?」


「……グゥぅぅ…この、私が…帝王たる、この私が…ッ」

虫の息の鉄雄が、鬼の形相でマユの足首を掴もとする。

「あ☆全然だいじょぶみたいッッ…いこッ、タゴサク!」

グシャアッッ

無情にも
彼女の両脚は
鉄雄の背を踏みつぶしていった…

「うゥ〜ん……いいっぺかなァァ…」

「いいのよッ☆
さッ、はやくッ!」



「……グゥゥゥ、この、私が…わた…し…」

ガクッッ


とうとう、鉄雄の意識は途切れてしまった…。
日もすっかり落ちた夜。
空を飛ぶ人参にまたがりながら、タゴサクは考えていた。

不幸を呼び寄せる人参女。
いつ復讐に来るかもわからない恐怖の写真集男。
爆発を操る謎のスタンド使い。
そしてなによりも
その後方で写真集のキレ端を見たとたん
鬼の形相に変貌した運命の人。

東京は、今日一日だけでタゴサクに大いなるトラウマを残してくれた。
もう、実家に帰りたい。おかあのあったかい味噌汁が飲みたい。

「オラはもう運命の人には出会えないだ・・・。実家にかえるだ・・。」
タゴサクはまたもや泣きそうになり、がっくりとうな垂れる。
バシン!
頭に衝撃が走ると同時に、顔を人参に思い切りぶつけるタゴサク。
「なーにしょげてんのよ!見なさい!この景色を!」
そう言われて下を見ると、まるで生き物のような光の群れ。
田舎で暮らしていたら、きっと見ることは無い都会の神秘的な景色。
「この明かりの数だけ出会いと別れがあるのよ!
 そしてあんたの知らない蝶・刺激的な出来事がたくさんあるの!
 ワクワクしてこない!?
 根をあげてんじゃないわよ!男だろ!いなかっぺ!!」

タゴサクはハッとした。
ばあちゃん・・・。ばあちゃんだ・・・。

「あ、ありがとうばあちゃん!オラ、もう少しこの雑踏の中でがんばってみるだよ・・・。
 運命の人を探すことだけじゃねえ。オラが、強くなるために!」
「誰がばあちゃんだボケ!まあでも安心していいよ♪その目的のひとつわ達成してるわっ!」
鼻息があらくなるマユ
「な、なんだっぺ・・・?」

「何故なら運命のひとは今目の前に「コッチヲミロ・・・・」

一瞬の沈黙。そして二人は声のしたほう、人参の先端に目を向ける。
ゆっくりと姿を現す小さな陰・・・。

ギャルギャルギャルギャルギャル

「コッチヲミロォーーーー!!!」
「いやぁあああああああ!!」
「やっぱり田舎に帰るだぁぁぁあああああ」

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タゴサク達が去っていった空を見上げる吉良。
「わたしの正体に気付いたものは・・・誰であろうとにがしはしないさ。」
吉良の後方ではシンとデュカの撮影会が再開されていた。
ボロボロの服と使い捨てカメラで楽しそうに戯れている。
恋する二人は無敵なのだ。
(あれは・・・ほうっておいていいな。)

そして吉良の少し前。鉄雄がホワイトに首をしめられている。
(強いんだか弱いんだか・・・よくわからんやつだったな。
 この二人も私がスタンド使いだということには気付いていないようだし、このまま去ったほうが無難だ。
 しかし・・・・)
爪を噛みだす吉良。抑えられない衝動。

鉄雄の首をしめたま、おそろしい怪力で振り回すホワイト。
「ご、ごべんなさい・・・ほんの下心・・・じゃなぐで出来ごこグホッ!!」
「ほんの乳心ぉおおーー!!??よくもそんなことが言えたものねぇーーー!!」
「そ、そんなこといってな・・・ゲフゥ!?」

「あの・・・取り込み中すまないが・・・ちょっといいかな?」
ホワイトはキョトンとした目で吉良を見上げる。
吉良は、すでに瀕死の状態の鉄雄に話しかける。
「君・・・不思議な力をもっているようだが・・・

 これ、さっきやったみたいに・・・『具現化できないかな?』」
そういって吉良は一枚の写真を鉄雄に差し出した。


モナリザの写真だった。


「手だけでもいいんだが。」

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社長は病院の窓から夜空を見ていた。
そこに一際輝く光を見つけた。
「お、流れ星でぇ。消えないうちに願い事願い事・・・。」
世界中の女をたぶらかせることができますように。
社長がそう願いをかけたものは、流れ星ではなかった。
その、大量の米をまき散らしながら猛スピードで墜落する赤い人参は、
数秒後、社長の顔面に不時着したのだった。






今日もどこかでスタンド使いたちは出会っている。
運命という重力に引かれあって・・・・。




【OSBssだい5わ〜にんじんとこめ〜】完

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