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D×D─舞×運命─コミュの第092ヒート  “あんなに一緒だったのに”

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Hawaiiの言葉。

それは俺の胸を鋭い刃で突き抜くような言葉だった。


わかってるんだ、そんなことは。


ただ、彼奴は敵になっていて。

どうしようもなかったんだ。



わかっていて、どうしようもなくて

だからっっ…



澄んだ瞳で一直線に見つめてくるHawaiiに、それ以上目を合わせていられなくて、…俺は耐えきれず部屋を出た。


やめてくれ

わかってるんだ


*****************



「…私は…みんなでまた仲良く出来ないかって…いつも…考えてます…」


まゆちゃんの周りは、真っ赤な絨毯が敷かれているようだった。


「…なんで…どうして…」

リサは、その場に膝をついた。

酒井先輩もまゆちゃんに近づこうとして、かがみこんだ。

そのときだった。
大槻先輩がまゆちゃん目がけてボンバーマンのカセットを投げつけてきたのだ。

「…っう!」


すかさず、まゆちゃんを守るように酒井先輩が腕でカセットをはじいた。
カセットが当たった部分がじぃんと痛む。


「ケンちゃん!!何してんだよっ!!」


大槻先輩は、優しい人。
こんなKYな行動はしない。
酒井先輩は、目の前で今起きていることのすべてが信じられなかった。


まゆちゃんを刺してしまったことも。

大槻先輩がこちらに危害を加えてくることも。

リサが…敵として今、目の前にいることも。


ただ、わかるのは、今すぐまゆちゃんを病院へ連れていかなければならないということ。



酒井先輩は、唖然としているリサを横目に、まゆちゃんを抱きあげようとした。

「…ねぇ、行かせないよ?」


だが、大槻先輩がこちらに向かってカセットを投げる予備動作に入った。

「ケンちゃん!!自分が何を言ってるのかわかってんのか!?」

酒井先輩が叫ぶが、大槻先輩は顔色一つ変えず、目線はどこに視点が合っているのかわからない状態のままであった。

「わからないよ…。どうしてだろう…。俺…でも、こうしなきゃいけないんだ…」

そう言って、まだカセットを投げつけてくる大槻先輩。

まゆちゃんの顔はすでに青ざめていた。
一刻を争う状態だった。

酒井先輩の頭の中に、なつき先輩とメタの最期がよぎった。

「俺はもう…教育学科の人を失いたくないっ!!」


酒井先輩は、まゆちゃんの近くに落ちた赤く染まるマゴの手ソードを手に取ると、大槻先輩目がけて走った。


『ダメっっ!!』



ぐちゃ…


─あぁ…どうして世界は


酒井先輩の持つ剣から手に伝うのは、生暖かい赤い滴。


─世界はこれほどまでに残酷なのか。




大槻先輩は、地面に手をついた。


リサに突き飛ばされた衝撃により、バランスを崩した彼は床に尻餅をついた形となった。




「…お、俺は…」


リサは、ゆっくりと床に膝を突いた。
酒井先輩は、剣から手を離し、リサから数歩後ずさる。
先輩の手は震えている。

剣先は、リサの体に刺さっていた。


「…ごほっ…」


リサの口から血が溢れでる。


「……¢%‡Φξψ」


苦しそうに、リサは小さく何かの呪文を唱える。
すると、リサの周りが暖かな光を帯びて光りだした。



「リサっ!!」


そう、酒井先輩が叫んだと同時にリサと大槻先輩の姿はその場から消えてしまった。


*****************



酒井先輩は、病院の中庭のベンチに腰かけ、空を見上げた。

青い空。
雲一つ無い。


どうしてこんなことになったんだろう。

俺がしたかったことは……一体?


リサを刺した。
彼女を刺すつもりは無かった。


だが、同じこと

彼女がでてこなければ、自分は大槻先輩を刺していただろう

自分は、あのとき覚悟を決めた。

友人を手にかけることを。

敵だったんだ

仕方なかったんだ

なつき先輩は、村田先輩軍に殺されてるんだ


だからっ…もぉ…!!


酒井先輩は、頭を抱え込んで、髪をかきむしった。


『…みんなで仲良くなんて…やっぱり無理なのか?』


呟いた声は空に溶けた。


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