Ｄ×Ｄ─舞×運命─コミュの第056ヒート　“妥協”

夕日に染まる静かな部屋で、村田先輩は読書に集中していた。

すると、台所から由美先輩が入ってきた。

「村田く～ん、おやつだよ～。」

「おー、サンキュー。って、そ、それは…」

由美先輩の手に持たれている皿の上には、大量のきゅうりが綺麗に盛りつけられていた。

「おやつだよ。食べて～」

「由美ちゃん…さりげない嫌がらせだね…。それなら俺も…」

「げ、それは…」

村田先輩はポケットから一匹のエビを取り出した。

「由美ちゃんがこれを食べてくれたら、俺もそれを食べるよ。」

「そ、そんな～…。先に村田くん食べてよ～。」

村田先輩は大量のきゅうりを、由美先輩は一匹のエビを見たまま凍りつき、部屋中に再び静寂が訪れた。

「じゃ、今日のところは俺がエビ食べるから、由美ちゃんがきゅうり食べてよ。」

「そーだね！一件落着だね！」

その時、ドタドタと階段を駆けあがる音が聞こえ、ドアが開いた。

そこにはいわし先輩と遊佐先輩の姿があった。

「村田さん、大変です！…あ、お取り込み中でしたか？」

「あ、いやいや気にしないでいいよ！それよりどーした？」

「高坂の花屋に酒井先輩やハワイ達が集結してます！」

「そーか、思ったより早くことを進めないといけないみたいだな…。」

「どーするの～？」

皆が村田先輩に注目した。

「しょーがねぇ、パトラッシュとゆきちゃんには役割を自覚してからにしてほしかったけど、急がなきゃみたいだし、あの二人をゲームから呼び戻すぞ！」