ドゥルーズの論文集"L'Ile deserte et autres textes: Textes et entretiens 1953-1974"(アクサンが抜けており、申し訳ない)は、その名の通り1953年から1974年までの単著未収録のものを中心とした、論文・インタビュー・序文・書評等39編をまとめたもの。巻頭を飾るのは未発表のテクスト"Cause et raisons des iles desertes"(1950)。すでに『ドゥルーズ初期』(夏目書房)や『ミシェル・フーコー思考集成』(筑摩書房)などに収録されているテクストもある。先月(2002年1月)刊行された『ニーチェは、今日?』(ちくま学芸文庫)に収録されたドゥルーズ論文「ノマドの思考」のクレジットがMinuit 2002と なっていて当時首をかしげたのだが、つまりはこの論文集に収録されるからだったのだ。
この論文集を企画したDavid Lapoujadeによる解説によれば、1975年から1995年までのテクストを収録した"Deux regimes de fous et autres textes"が続刊予定とのこと。第一巻は400頁を超えるし、第二巻は未刊ということで、邦訳されるのはまだまだ先だろう。前回、洋書ブックフェアの成功のお陰で、三省堂書 店神田本店人文書売場で洋書を扱うことが可能になりそうだと書いたが、このドゥルーズの論文集第一巻もまもなく入荷するはずなので、現物を手に取りたい、という方は店頭の哲学・現代思想棚を覗いてみて欲しい。なお、以前、ロトランジェについて記事を書いたとき、彼がドゥルーズの単行本未収録テクスト約60本を 集めた英訳版論文集、その名も『マイナーワークス』を企画編纂していると書いたが、これはまだ当分未刊のようで、ひょっとしたら、フランス本国でのこれらの動きに対応して、企画を練り直しているのかもしれないなと推測している。