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ストーリーで学ぶ脳科学コミュの海馬と記憶

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みなさんは、海馬という言葉を聞いたことがあるでしょうか?海馬というのは脳の組織の一部で、側頭葉の内側に存在します。海馬=hippocampusという言葉は、「タツノオトシゴ」という意味ですが、もともとは、ギリシア神話に出てくる、前半分は馬の姿で、前脚に水掻きが つき、後半分が魚の尾になっている架空の動物のことです。トリトンは海馬四頭にひかせた馬車に乗っていることになっています。
さて、脳の中の海馬に話を戻しますと、確かにタツノオトシゴのような形をしています。この部分は「記憶」に深くかかわっているとされています。大脳辺縁系の一部であり、成人では、小指ほどの大きさです。

海馬が記憶にかかわっているということが認識されたのは以下のような実話があったからです。

コメント(6)

神経科学者の中では非常に有名なお話ですが、いまから50年以上前のこと、H.M.さんというてんかんの患者さんがいました。この方ほど長い間、研究者によってフォローされた症例はないでしょう。H.M.さんは子供のころから難治性のてんかん発作に悩まされていました。彼はペンシルバニア州ハートフォードの病院を受診しました。主治医であったスコビル医師は、てんかん発作の焦点になっている側頭葉の内側部にある海馬を両側とも切除する手術を計画しました。

手術は行われ、その後、H.M.さんのてんかん発作はかなり改善され、薬で十分にコントロールできるようになりました。しかし、その代償として非常に重大な問題が起こってしまったのです。それは、「ものが覚えられない」ということです。5分前にあった出来事が思い出せません。5分前にあった人を覚えていないし、何をしていたか、何を食べたかなど全く思い出せなくなってしまったのです。
彼は、手術後、50年以上にわたって経過がフォローされてきました。そして、海馬の機能の解明に重要な役割を果たしたのです。
彼は手術以降、医師の名前も、自分が病院に入ることになった経緯も、まったく覚えられなくなりました。そして手術の前2年間ほどの記憶にも問題が生じました。しかし、それ以前の記憶は完璧に覚えていました。アメリカ合衆国の歴代の大統領の名前も思い出せたし、自分が住んでいる家の住所や電話番号もすらすらということができました。知能テストでも平均よりむしろよい成績を記録しました。しかし、そのテストをした10分後には知能テストをした、という記憶を完全に失っているのです。
海馬という言葉をご存知の方の中には海馬はハードディスクのように記憶のすべてを受け持っていると勘違いされている方もいるようです。しかし実際には記憶にはいろいろな側面があり、海馬は記憶装置の一部を構成していると考えたほうが正しいのです。

記憶には短期記憶と長期記憶があります。いま、リアルタイムで何かをかなえている場合にも記憶は必要です。ちょうどパソコンもRAMの上で動いているのと同じです。たとえば、「今日は晴れです。」という言葉を聴いて理解できるのは、「今日は」という言葉を記憶しておき、あとで「晴れです。」を聞いたときに結び付けて考えることができるからです。このような記憶を短期記憶といいます。短期記憶というのは単に時間的に非常に短い間、覚えているという意味ですが、機能的に考えると思考をする上で非常に重要な記憶です。これは、「作業記憶」「ワーキングメモリー」と呼ばれる機能とほぼ同じです。この作業記憶の機能は、前頭葉にあります。海馬を使わずに前頭葉に記憶するのです。ですから、H.M.さんも知能テストやクロスワードパズルは普通の人と同様にできるのです。

一方本当の長期記憶は、大脳皮質のいろいろな部分に分散して蓄えられると思われています。これを前頭葉に引き出してきて使うわけです。

それでは、海馬は何をしているのでしょうか?それは、いろいろな経験や感覚を長期記憶として蓄えられる形に変換している、といって良いと思います。そして2年間くらいの間に大脳皮質のほうにメモリーを移していくのです。

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