歴史　ちょっといい話コミュの曲江　杜甫

　久々に中国をやります。

　中国史上最高の詩人といえば、、、、。

　杜甫、李白でしょう。中国の詩の歴史は古く紀元前１２世紀といわれています。

　だから、李白や杜甫がいた時代にはもう、中国での詩の歴史が２０００年続いていたということになります。

フランス人が詩を書くのはそれからさらに５００年ぐらい後のことになります。

　杜甫という人、科挙試験に何度も落ちて、結局最後まで受かることはなかったというのは有名なお話。

　杜甫のおじいさんは、かの則天武后の男妾だったんですね。

　杜甫はそういう身分の人だったから、、科挙試験に通らなかったとも言われています。

職には就かない、家族も子供もいる、しかも安禄山の乱がおこって、世の中は不安定、、、。結局家族を養えず、親戚に預けて、杜甫は単身で給料の安い役人になります。

　反乱はさらに長引き、結局、杜甫は捕まってしまいます。

　このときに書かれた詩が　

　
　春望

　国破れて山河あり　　　

のあの詩です。

その後杜甫は、脱出に成功し、それが評価されて、杜甫はなんと、皇帝の過ちを諌める役職に大抜擢されます、、、。

が、、、、。

馬鹿正直な杜甫は、本当に皇帝の過ちを諌めてしまうんですね。。。

程なく、杜甫はせっかく手に入れた職を失うこととなり、一切の出世の道を断たれることになります。

前置きが長くなりましたが、そんな、踏んだりけったりの人生を振り返ったとある一日を詩にしたのがこの詩です。

曲江　杜甫

　朝囘日日典春衣
　
毎日江頭盡醉歸

酒債尋常行處有

　人生七十古來稀

　穿花蛺蝶深深見

　點水蜻蜓款款飛

　傳語風光共流轉

　暫時相賞莫相違

朝（ちょう）より回（かえ）りて日日（ひび）春衣（しゅんい）を典（てん）し、毎日江頭（こうとう）に酔（え）ひを尽くして帰る。

酒債は尋常、行く処に有り。

人生七十古来稀なり。

花を穿（うが）つ蛺蝶（きょうちょう）は深深（しんしん）として見え、

水に点ずる蜻蜓（せいてい）は款款（かんかん）として飛ぶ。

伝語す風光、共に流転して、

暫時（ざんじ）相（あい）賞して相（あい）違（たが）ふこと莫（なか）れ、と。

朝廷から戻ってくると、毎日のように春着を質に入れ、いつも、曲江のほとりで泥酔して帰るのである。

酒代（さかだい）の借金は普通のことで、行く先々にある。

この人生、七十まで長生きすることは滅多にないのだから、今のうちにせいぜい楽しんでおきたいのだ。

花の間を縫って飛びながら蜜を吸うアゲハチョウは、奥のほうに見え、
水面に軽く尾を叩いているトンボは、ゆるやかに飛んでいる。

私は自然に対して言づてしたい、「そなたも私とともに流れて行くのだから、ほんの暫くの間でもいいから、お互い愛（め）で合って、そむくことのないようにしようではないか」と。