歴史　ちょっといい話コミュの近世ヨーロッパ

1　プロイセン

あんまり人気の無い歴史ネタですが、ここでついに、少なすぎる知識ではありますが、連載シリーズ「近世ヨーロッパ」について、語ろうかなあと思います。

　気まぐれなんで、一回で終わるかもしれませんが、、、。

　
当時、大国といわれている国で、敵対していた国が、フランスとオーストリアでした。

そのオーストリアが、フランスに愛娘のマリーアントワネットを嫁がせ、外交革命とまで言われるほどの歴史的同盟をすることとなります。

それほどまでに、オーストリアを挑発し、同盟の原因を作った国が、プロイセンと言う国でした。

　フランスやオーストリア、イギリスなどは、統一された近代国家だったのですが、ドイツだけは、三十年戦争と言う３０年も続いた破滅的な戦争の痛手から立ち直れず統一されていませんでした。

分りやすくいうと、当時のドイツは、応仁の乱で荒廃し戦国大名が乱立していた日本のような状態だったのです。

そこに、織田信長のような、強力な戦国大名となって現れたのがプロイセンという国でした。

　そのプロイセンを強国に押し上げた人物が、ナポレオンが最も尊敬していた。フリードリヒ二世という王様でした。

　「国王とは国家第一の僕である」なんて言葉を言ったのもフリードリヒでした。

ジャーマンポテトというのを知っていることと思います。

ドイツにジャガイモを流行らせたのもこのフリードリヒでした。

新大陸からもたらされたジャガイモは、はじめグロテスクで、悪魔の食べ物として、誰も食べようとしませんでした。

そこで、フリードリヒは一計を案じます。

「貴族以外はジャガイモを食べてはいけない」という御触れを出したのです。そうすると、ジャガイモは瞬く間に、プロイセン国内に広まったと言われています。

2　フリードリヒ大王

プロイセン王国の王フリードリヒ二世をフリードリヒ大王とも呼ばれます。

むしろ、大王といったほうが一般的かもしれません。

　私事ですが、中国史を好きになったきっかけ、それは、「三国志」でした。一方、欧州史を好きになったきっかけ、それは、「ナポレオン」でした。
　そのナポレオンが最も尊敬していた人物がフリードリヒ大王だったそうで、部屋には肖像画を飾っていたそうです。

　フリードリヒ大王？誰なんだろう？

それが、フリードリヒ大王との最初の出会いでした。

　
　フリードリヒ大王の父親は、軍隊王とよばれるほど、軍隊にお金を使うのが好きだったのですが、兵を強くするのみで、具体的にそれを使って戦争をすることはありませんでした。
　
　少年時代のフリードリヒといえば、フルートをかなで、小説を読み、おしゃれの好きな、ひ弱な少年だったそで、、、、。　
　まあ、こんな感じの親子でしたから、まったく父親とはそりが合わなかった。
　そりが合わないどころか、こんな、典型的なダメダメお坊ちゃまですから、とにかく将来を考え、父親は、フリードリヒに厳しく当たります。

　対する、フリードリヒはどうだったか、、あまりに、父親が厳しすぎるために、なんと、イギリスに家出を計画します。

　まったく、情けないものです。

　ところが、この家出の計画が、父親にばれてしまい、カンカンに怒られます。

　どれくらい怒られたかというと、なんと、実の息子を、情けなさのあまり、殺してしまおうとします。

　さすがにそれは、臣下にとめられ、殺されることは無かったのですが、家出を手引きした者は、息子の目の前で、殺されることとなります。　

　ところが、その部下が殺される場面においてもフリードリヒは、失禁し、処刑される直前に気を失うこととなります。

　あまりの情けなさに、息子の将来をあきらめた父親は、フリードリヒを田舎の小役人にしてしまいます。

　将来を絶望視され、不遇の王子として辺境での小役人生活をさせられたフリードリヒでしたが、逆に、この、恵まれないはずの辺境での経験が後に、彼を、大きく成長させることとなります。。

　時は過ぎ、父親が危篤になり、フリードリヒは父親に呼ばれます。
　この時、立派になったフリードリヒを見た父親は、プロイセン王国を息子に譲ることに何の不満も抱かず、そのことを伝え、息を引き取ります。

　そして、ここに風雲急を告げる近世ヨーロッパにおいて、強国として、その地位を確かなものにした、偉大なる王フリードリヒ二世が誕生することとなるのです。

3　オーストリアとの戦い

以前の日記に、マリア＝テレジアのお話をしたことがあります。
　彼女が国を相続するに当たり、女性であるため、近隣の多くの国が、女性が国を相続することなど認めないと難癖をつけ、しかも、それが理由で戦争になります。

　これを「オーストリア継承戦争」といいます。

　そして、プロイセンのフリードリヒ大王は、どさくさにまぎれて、オーストリア領のシュレジエンをなんと占領してしまいます。
　偉大なる王と冠されている割に、強引で理不尽な行動に出る王だったんですね。
　
　オーストリアという大国を相手に、フリードリヒは、父親が作り上げた強力な軍隊と天才ナポレオンが尊敬するほどの采配で結局、シュレジエンの占領に成功します。
　
　ところが、やっぱり、プロイセンの取った行動に対して、マリアテレジアはまったく納得できません。そして、その耐え難い屈辱に対し復讐に燃えます。

　どれほど燃えたかというと、３０年戦争以来の仇敵、そして、ヨーロッパ世界におけるライバル。その不倶戴天の敵フランスとなんと同盟をしてしまうのです。そして愛娘マリーアントワネットを人質のごとく、遠い国フランスに嫁入りさせることとなります。
　
　世の歴史家は、このショッキングなオーストリアとフランスの同盟を「外交革命」と呼んでいるほどです。

　さきに受けたプロイセンとの恥辱を雪ごうとする。マリアテレジア不退転の意思のあらわれです。

　このほかにも、マリア＝テレジアは他のヨーロッパ各国と対プロイセンを意識した外交関係を着々と築いていきます。

　女を怒らせると怖いんですねえ。。

4　七年戦争

復讐に燃えるマリアテレジアにより、徐々に孤立していくプロイセン。

　そしてついに、この二国が戦争を開始します。最初に動いたのはフリードリヒでした。

　どうせ戦争になるなら、先手を打ってしまえということでした。

この戦争は、７年も続くため七年戦争といいます。

戦争の詳細については、フラッシュがあります。

前編
http://www.geocities.jp/ottofurstvonbismarck/7yearswar1.html

後編
http://www.geocities.jp/ottofurstvonbismarck/7yearswar2.html

　この戦争は泥沼化します。

　しかも、今度の敵は、オーストリアだけではなく、フランス、ロシアといった大国もプロイセンに戦いを挑みます。

　列国を相手にしかも、戦いが長期化したとなれば、国力の差でプロイセンは不利。
　

　ところが、ここで、漫画だぜ、漫画。。とばかりに、ありえない事態が発生するのです。

　ロシア皇帝が死去。跡を継いだ、ピョートル３世は、なんと、以前貧弱だったと日記に書いたお坊ちゃまフリードリヒ大王そのままだったのです。

ピョートル三世からしてみれば、フリードリヒに対する印象はこんな感じだったでしょうね。

　自らフルートを奏で、音楽に造詣が深く、文学に秀で、しかも君主としては啓蒙専制君主、戦争を行えば大国オーストリアを屈服したヒーロー。

　「フリッツ様ーー！！」

　そんな感じでしたから、、絶対に勝てる戦争、、いや、このまま戦いを続ければ、プロイセンが滅ぶ戦争から、手を引いてしまいます。

　肖像画を見てもわかるように、私のような非常に人のよさそうな顔をしていますよねｗｗ。

　結局、復讐に燃えたマリアテレジアでしたが、長期化した戦争を早く終わらせたいというのもあったのでしょう。

シュレジエンはオーストリアに返ることは無くプロイセンと講和することとなります。

この戦争により、プロイセンはヨーロッパにおける地位を確立はするのですが、なんといっても列国を相手に７年も戦争をしたのですから、国内は荒廃し、フリードリヒの残りの治世は、もっぱら内政を重視します。

以前に、フリードリヒとジャガイモのお話をしましたが、七年戦争で荒廃したプロイセンに、安定的な収穫がのぞめる作物をはやらせようというお話だったのですね。

ところが、、、ここで、ヨーロッパの諸侯を震撼させる、大事件がフランスで起こります。。

いやー、歴史って、ホント面白いですね。

5　フランス革命

フランス革命、、、これだけで、もう一シリーズ連載できそうなんですけどね、、。

　それぐらい、好きです。フランス革命。

　もしこのフランス革命が、失敗していたら、、。単なる、一揆みたいな感じだったでしょうね。

　フランス革命が、なぜこれほどに、すさまじいものなのかと言えば、それは、革命により、とんでもなく強力な国家となったからだと思います。
　ヨーロッパの地図を塗り替える。いや、それ以上にヨーロッパを統一してしまうかも知れない。そんな、化け物にフランスが、かわったからだろうと思います。
　
　マリーアントワネットが嫁いだのがルイ十六世でしたが、フランスは、それより２人前の王ルイ１４世、ルイ１５世の時代に絶頂期を迎えます。

経済は、空前絶後の好景気。

ところが、当時のフランスは、格差社会。税金は、特権階級や金持ちほど払わなくていい。そんなシステムでした。

そんな感じですから、財政も好景気とは無関係。

　しかも、ヨーロッパでは幾度と無く戦争をしていましたから、国家財政は、破綻寸前でした。　

　そしてついに、増税を決意した国に対して、フランスの働く貧困層がキレます。

　革命が起こり、王様の権限は停止されることとなり、新たに、国民公会という選挙による議会が誕生することとなります。

6　世界史がかわる

フランス革命は、他のヨーロッパの国にとって、大変ショッキングな出来事でした。

　以前にも日記で紹介しましたが
　
　フランス革命については、色々な側面から、そのことを評価することが出来るのだろうけど、軍事的な面でフランス革命について見るならば、この革命は誰も成功しないだろうと思われていました。

　戦争とは、当時一般民衆のものではなく、貴族が行い、指揮するものだったからです。
　その貴族も、革命が起こると国外へ逃亡してしまいます。
　また、ヨーロッパ各国はみな君主国で、自分の国でもフランス革命を真似されては困りますから、束になってフランスに宣戦布告をしてきます。
　フランス国内には戦争の素人しかいなく、国外は皆強敵ぞろいとなれば、普通に考えても、革命が成功することは万に一つも無いだろうと思いますよね。

ところがその万に一つが起こってしまったのです。

　この間まで、戦争をやっていたプロイセンとオーストリアは共通の敵フランス共和国が出来たために、敵の敵は見方ということで手を結びます。
　これに、イギリスが音頭をとりつくられたのを「対仏大同盟」といいます。
　この後何度か大同盟が結ばれるので、第一回対仏大同盟といいます。
　プロイセンとオーストリアは破竹の勢いで、フランスの各都市を陥落させながら、パリを目指します。
　そして、フランス北東部のヴァルミーと言うところで、フランス革命軍とプロイセン軍が始めて戦いを行います。

　フリードリヒ大王以来、当時世界最強を誇っていたプロイセン軍、しかも将軍はブラウンシュヴァイク公。
　最強の軍隊に最強の将軍、、。対する共和国軍は、地方の素人による義勇兵の寄せ集め。

　戦う前から、結果はわかってそうなものなのですが、、、ここが、世界史の面白いところ。

　なんと、素人率いるフランスが欧州最強のプロイセンを破ってしまうのです。

　その理由は、軍の気迫にありました。

それまでの兵隊とは、貴族や王様がお金を払って雇うもので、王侯貴族の利益のために行うのが戦争でした。

　ところが、フランスは共和国になったため、主権者がいません。
いないというか、国民一人一人が主権者ということになります。

　このことが、フランス軍の士気を大きく高めることとなります。

　誕生したばかりの共和国を成功させよう。

国王のためではなく、家族のため、自分のために戦おうという意志が、プロイセンを圧倒したのです。

きむたけさんのコメントを引用させてもらうなら

最新鋭の兵器、合理的な兵站、数式のような正確な作戦、機械のような兵隊を擁して、戦争を行い、情熱と信念の前に屈服したのです。（一次大戦の場合でしたが、、）

　
結局、戦争に勝つためには、高度な技術やプロ意識よりも実は、そのやる気の方が重要だったと言うことなのでしょうね。

ドイツの文豪ゲーテはこのときプロイセン軍中にいたのですが、フランスの勝利を聞き驚き感動します。

そして、有名な言葉

「この時この場所より、世界史が変わる」

という言葉を残します。

共和国は、諸外国の脅しをはねとばし、しかも、オーストリアの要求に反して、ルイ十六世夫婦をギロチンにかけます。

　

7　ナポレオンの登場

革命が成功し、諸外国を撃退、国民一人一人が主権者であるという考え方。

「国民国家」

そして、このような共和国を運営するということは、歴史上、前例がありません。

そのため、共和主義を行っていくうえで、紆余曲折を経ながら、時には流血する事態も経験しながら、徐々に政体を完成させていきます。

　選挙による政治をすれば、独裁者は現れないだろう、、、。ところが、ロベスピエールのような恐怖政治が始まります。

　だったら、権力を分散させよう、、、。となると、総裁政府のように、実行力を失います。

　ところが、やはり、フランス国民一人一人の政治に対する情熱は、すさまじいものです。

　改革が必要となれば、そういうリーダーを国民は選び、改革を止めたくなれば、また、そういうリーダーを国民は選ぶ。。

　そして、革命を継続させ、強力なリーダーシップを発揮し、諸外国の武力に対抗できる人材を求めたとき、、、。

　ナポレオンという天才が現れ、、、

　また、ナポレオンという天才をフランス国民はリーダーとして迎え入れます。　

　国民一人一人が、時勢を理解し、それにふさわしいリーダーをちゃんと選べるんですよね。。

これってすごいことじゃないかなあと思います。

8　ナポレオンとその時代

とにかくナポレオンは戦争には強かった。

　
　中には、三帝会戦という、三人の皇帝（フランス、オーストリア、ロシア）が一堂に会して戦うという、とんでもなくスケールの大きい戦いもあったのですが、そのときもナポレオンは快勝します。

　ナポレオンの絶頂期です。

　ところが、人間、あんまり強くなりすぎると、慢心でしょうか、欲望でしょうか、それとも、不安でしょうか、、、。
　フランスから戦争をしたがるようになります。

　ナポレオンも一緒ですね、、。もともと、フランスの行う戦争は、革命を諸外国から守るために戦うものでした。

　それが、そのうち、革命を諸外国にもひろめよう！！なんて性格に変わります。

　戦争に強すぎるため完全に有頂天です。

そして、別に誰も呼んでいないはずなのに、スペインやドイツにまで攻め込み、相手の腹の立つようなことをやって宣戦布告をさせコテンパンに相手をいじめ始めます。

　ところがここに来て、フランスにとって強敵が現れます。

それは、産業革命真っ只中のイギリスでした。

イギリスと言う国は、四方を海に囲まれていると言うこともあるのでしょうね。

海軍がめっぽう強い。

現にフランスも、陸地の戦いでは連戦連勝だったのですが、海の戦いでは、イギリスに二度も完敗していました。

当時、世界の工場と呼ばれていたイギリスは、各国に製品をじゃんじゃん輸出していました。

　そこでナポレオンは考えます。

戦いでイギリスに勝てないのなら、経済制裁でイギリスを封じ込めれば、イギリスは弱くなるだろうと思ったのです。

そして、ナポレオンは、軍事力に物を言わせて、ヨーロッパ各国にイギリス製品を買わないようにすすめます。

そんなことをされると、一番痛手を受けたのがロシアでした。

イギリスからの安くて質のよい商品が入ってこなくなり物価が高騰していたのです。

これはたまらんということで、ロシアはフランスの指示を無視して勝手にイギリスとの通商を再開してしまいます。

それに怒ったナポレオンはロシアに出兵し懲らしめようとしますが、焦土作戦と冬将軍の登場により、ナポレオンはロシア遠征に失敗します。

この状況に各国は見逃すはずも無く、力をあわせてここぞとばかりにフランスを攻撃し、ついにナポレオンは会戦において決定的な敗戦をして、政治的に失脚します。

9　会議は踊る

　結局、ナポレオンは失脚し、フランスは王政に戻ります。

ウィーン会議と言うのが開かれ、そこで、ヨーロッパの今後について話し合いされるのですが、各国の利害が一致しないため、長々と会議は続いただけで、決まったことはフランス革命以前のヨーロッパに戻そうと言うことが決定します。

　しかし、やはりフランス革命の影響は大きなものがありました。その後各国では頻繁に革命が起こります。

　革命のほかに、独立運動なんかも起こります。時代は、確実に変化していっていたのですね。

ヨーロッパ各国で革命が起こり、ハンガリーやポーランドなんかで独立運動が起こる。

　そして、長い間、統一されていなかった、イタリア、ドイツがついに統一の方向へと向かっていきます。

　近世ヨーロッパは、日本や中国で言うところの戦国時代に当たると思います。
　群雄が割拠し、戦いにしのぎを削り、ヒーロー、ヒロインが多く現れ、多くのドラマが生まれた、まさに群像劇。

　歴史に興味がある人なら、この辺を勉強すれば、何か、自分の生き方に対比できるようなことがらがいっぱいあるんじゃないでしょうか？

　ということで、近世ヨーロッパについては、この辺で終了します。

　ではでは。