歴史　ちょっといい話コミュの春秋戦国

1、傾国の美女

調子に乗り、第二段やります。
　
　今度は紀元前の中国です。
　
　いままで、ヨーロッパについて、語ってきましたが、フリードリヒ大王とか、ブランシュバイク公とか、フリードリヒ選帝侯。

　王、公、侯という言葉は、もともと中国で使われてきた言葉です。
　王よりももっと偉い人のことを皇帝なんていいますけど、それは、ずっと後の始皇帝の時代からで、それまでは、一番偉い人のことを王といっていました。
　
　王様って言う響きがカッコイイんで、いろんな人が名乗り始めたら、時代とともに安っぽくなってしまった。
　
　そこで、始皇帝が、もっと格調の高い偉い人を表す言葉を新しく作った。それを、皇帝というんだそうです。

　文王、武王がいた、周王室が誕生したころは、平和で繁栄の時代を迎えるのですが、１２代幽王の時代、王は美女にぞっこんになり、それが理由で衰退へと向かいます。

　ところで、、中国では、なぜか名君は決まって、文王とか武王とか格好いい名前なのに、暗君は幽王とか霊王なんていうひどい名前がつくのか？

　これは、君主の名前は死んでからついているからそうなるんだそうです。

　ちょっとした、トリビアでした。。。

　　
傾国の美女、、名前を褒姒（ほうじ）といいます。

伝説ではトカゲが人間の女性を犯しできた子だとも言われ、もともと、幽王には皇后がいたんですが、褒姒に正常な判断ができなくなるほど、惚れ込んじゃいまして、もともといる皇后を廃して后とし、褒姒との間に出来た子供を皇太子とするほど、彼女にまいってしまいます。

　どんな女か見てみたいものですねｗｗｗ。

　ところが、この女、幽王の前で笑ったことが無かったんです。

　ただの一度も。

幽王としては、なんとしても笑う顔を見てみたい。

　あの手この手、大金、手間ひま、を使って、笑わせようとするのですが、いっこうに笑わない。

　ところがあるとき、手違いで、のろしが上がってしまいます。
　すわ一大事とおもった大名諸侯たちが、都に大軍を率いて、集合してしまいます。
　結局、手違いであることがわかり、諸侯たちは本国へと帰っていくのですが、、、、このとき、今まで笑ったことの無い、褒姒が、、なぜか、、、笑うんですよ。

　いやーー、なんかやばい、感じになってきましたよね。。

　王様は、この、笑った褒姒の顔を、どうしてもまた見たくなります。

　そして、ついに、意図的にのろしをあげます。

　当然、諸侯は都で何かあったのかと、心配になり駆けつけますが、結局何もありません。
　
　その後、王様は褒姒の笑う顔が見てみたい。ただ、それだけの理由で、のろしをあげるようになります。

　そうこうしているうちに、諸侯は、のろしを見ても、都が危険にさらされていると思わなくなり、兵を出さなくなってしまいます。。

　ところがです。今度は本当に、モンゴルのジンギスカンみたいな連中が都に攻めてきてしまいます。
　あわてた、王はのろしをあげる指示を出すのですが、諸侯はそれを信じず、王様は簡単につかまってしまい殺されます。

　なんとも間抜けな話です。

　その後、廃嫡された王子が王に迎え入れられるのですが、さすがにこうなると、周王室の権力は衰えてしまい、諸侯たちが権力を握る春秋時代へと向かうこととなります。

2　春秋の五覇

周王朝は権力を失いましたが、じゃあ、それに変わってどこかの国が中国を統一したというわけではありませんでした。

　日本の戦国時代のようなものです。

　ところが、中国の場合、統一はされていないんですが、おっきい諸侯もいれば、小さな諸侯もいます。小さな諸侯は、いつ戦乱に巻き込まれ、国が荒廃したり、滅亡するかわからない、、、。

　そこで、統一はされていないが、どこかの国に守ってもらいたい、、そう、小さな国たちは思うようになります。

　そこで生まれたのが覇者です。

　王ではないが、中国の秩序を平和に保てる実力を持った国のことをそういいます。
　
　ギリシャのデロス同盟やペロポネソス同盟のような感じでしょうかね。

　
ちなみに、まだこの時点では、周王室は滅んでいません。

五覇といっても、書物によってさす国は違っていて、斉、秦、宋、晋、楚、呉、越なんかが入っています。
　ただ、斉と晋だけは、必ず五覇に数えられるそうですね。
　

出てきましたね。斉が、、。

この、斉という国が、五覇のなかで、初めて覇者になります。

覇者といっても、そういう制度があって、覇者になったわけじゃないです。

　斉の隣の燕という国が、斉に援軍を頼みます。

　斉の援軍のおかげで燕は戦いに勝利し、喜んだ燕の君主は、はるばる斉の国まで、見送りにきます。

　ところが、斉の国の法律では、他国の君主を国内に入れてはいけないという法律があります。

　燕の君主はもう斉の国に入ってしまいました。

　さあどうしましょう？

　そこで、天下の名宰相と謳われた。斉の管仲が、君主桓公に「国境線をここに引けば、国の法律を犯すことにはなりません」といいます。

それを聞いた桓公は、怒ります。

「わが国は援軍まで出して、しかも、国の領地まで相手に与えるなど、人がよすぎるのではないのか？？」

管仲「与えることは、奪うことといいます。
天下の諸侯は桓公様のことを、頼られれば援軍を出し、たとえ自分に不利とわかっていても、決して法を曲げない君主だということを天下に知らしめることが出来ます」

そういわれ、桓公は、その場所を国境線と定め、燕の君主を本国へかえします。

　その話は、瞬く間に、諸侯に広まり、各国は、何かあれば斉の国は助けてくれると思い、貢物を持って斉の国に安全を保障してくれるように頼みます。

　結果的に、斉はますます豊かになったそうで、この後、諸侯の信頼を得た斉の桓公が最初の覇者となります。

　それにしても、管仲という人はなかなかの者ですよね。

３　百家争鳴

戦乱の世とはいつの時代も切磋琢磨されるものです。
自分の能力を世に出て発揮しようといろんな思想を持って、国に仕えようとする人たちのことを諸子百家といいます。

　孔子や孟子、孫子、呉子など、現在でも聞いたことのある人たちの思想が生まれたのもこの時代。

　思想家に限らず、いろんな人たちのいろんな物語が、史記とか呂氏春秋、戦国策などといった書物に面白くたくさん紹介されています。

　でもって、ちょうどこの時代の人で紹介したいなあと思った人がいるのでその人について、、、。

　それは、晏子という人です。

　私が、学生時代のまだ十代ですね。
　そのときに、漢文の先生が、中国の歴代の宰相でもっとも、すばらしい人物は晏子だといったことを思い出します。

　晏子？だれ？といった感じでしたね。

　時代はちょうど、孔子とまったく同じ時代の人です。

前回、管仲のお話をしましたが、それからしばらくたって、斉の国の宰相になった人物です。

　孔子とは、あらゆる面で対比されるのですが、そのひとつが身長です。
　孔子は、２メートル近い身長があったといわれています。それに対して、晏子の身長は１３０センチぐらい。
　
　ところが、史記によると、司馬遷が晏子のことを御者になりたいとまで言い切るその生き様。
　それだけで、何かひかれてしまいますよね。

そんな、晏子のエピソードをひとつ。
「犬の門」

晏子が楚の国に使者としていきました。晏子は身長が低く、楚の国では晏子をからかって、大きい門の隣に、小さな門を建てて、そこから招きいれようとしました。
　すると晏子は
「楚の国は大国だと聞いたが、犬の国に来たならば犬の門より入るがそれでよろしいか？」

　というので、しょうがなく思った役人は、大門から晏子を入れます。

　楚の王宮に入り楚王と会った。王が小さな晏子を見て言うには
「斉にはもっとまともな人間はいないのか？なんで、お前みたいなつまらない人間を使者として送ってくるのか？」

晏子
「斉の都は人が多すぎるため街を歩くと肩がぶつかるほどです。
　わが国では、使者を立てるときにはその能力に応じて担当する国があります。
　優れた人間は優れた国を担当し、愚かな人間は愚かな国を担当します。
　私は、その中でも、特別に愚か過ぎるために、楚の国の担当にさせられました。」

　さすがにこのような、受け答えをされると、楚王はなんとしても、晏子にぎゃふんと言わせたくなります。

　ただでさえ、斉は大国で豊か、しかも中華の中枢にあり歴史も古く、まあ、簡単に言うと非の打ち所のない国です。

　一方、楚は大国ではあるのですが、中華からはずいぶんと外れた田舎の歴史の浅い国、文化レベルも低い野蛮な国ですから、斉のエリート宰相に馬鹿にされたとなると、それはもう、腹が立ってしょうがありません。

　そこで、楚王は、作戦を考えます。

　晏子と楚王が会見している最中に、たまたま中庭で泥棒が捕まります。
　楚王はその捕らえられた泥棒に対し、
「お前の出身はどこか？」と聞きます。

泥棒は「斉の国の出身です」と答えます。

楚王は晏子に「斉の国というのは泥棒が多いのか？」と聞くと、
晏子は「橘という植物がありますが、気候が違うところで橘のたねを植えると、からたちという植物として育ちます。見た目は似ているのですが、食べると全然味が違います。

　この橘と同様に、盗人も斉の国ではまともな人間だったのでしょうけど、野蛮な楚の国でそだつと、盗みを働く性分に変わってしまったのでしょう。
それほどに、楚の国は野蛮なのでしょうね。」

そう、晏子は答えます。

さすがに、ここまで頓知が利くとなると、楚王もかんねんしたそうです。

4　戦国の七雄

周王朝が出来たとき、諸侯の数はおよそ８００でした。
　
　それが、春秋時代を経て戦国時代の決勝トーナメントまですすめた国は七国にしぼられます。

　世に言う「戦国の七雄」です。この七カ国の中でも、特に勢いのあったのが、秦という国です。後に、統一しちゃうんですけどね。

　秦は虎狼の国なんて表現されます。戦争をやれば残虐極まりなく、法律はとんでもなく厳しい。
　
　秦の法律を作った人を商鞅というんですけど、最後は自分の作った法律を適用され、車裂きの刑にあって殺されてしまうんです。
　戦いでは、趙という国との戦いでは、４５万人もの兵が殺され、しかも生き埋めにされます。

　現在でも、この地域の土を掘れば、人骨がいっぱい出てくるそうで、年に一回、豆腐に唐辛子をかけて食べるお祭りがあるんです。
　これは、大量殺戮した、にっくき秦の将軍白起を唐辛子をかけて食べてやろうというお祭りで、２０００年以上たったいまでも、残っている風習なんですよね。

　これら、多くの犠牲者、多くの恨みを買った秦ですが、ついに、長く長く続いた中国の戦乱の世を統一することとなるのです。

5　秦の始皇帝

戦国の七雄といわれた国々は周王室を無視して、勝手に王を名乗ります。
　だから、６人の王を滅ぼした秦が王を名乗っても、あんまり偉そうじゃない。
　そこで、秦王は、新たにもっと偉そうな名前、皇帝という言葉を作ります。
　中国の古の帝王、「三皇」や「五帝」を併せ持つほど尊い存在であるという意味だそうです。

　その、初代皇帝だから、始皇帝というそうで、代がかわるごとに二世皇帝という感じで数が増え万世まで続けということだったのでしょうね。

　ただ、人間、人の恨みを買ってはいけないのでしょうね。

　ここまで考えて、始皇帝という名前にしたのだから、せめて十世皇帝まで続いてくれないと、格好がつかないな？と思うのですが、なんと二世皇帝で打ち止めとなります。
　
　しかも、二世皇帝も即位していくらも経たないうちに、あっさりと、殺されてしまい、中国各地で、大規模な反乱が起こります。

　さすがに、世間の恨みを相当買ってしまっていることを知ってか三代目は、皇帝ではなく王に即位し中国全体の統治者ではなく、秦という一地方の王なんですよ。ということを、アピールし始めます。

　ただ、そんなんでは、まったく世間の恨みは収まりませんでした。

　反乱軍の勢いは、さらに増し、ついには、秦の都が反乱軍の手に落ちます。

　驕る平家も久しからず。

　ちなみに、都を陥落させたのが後の漢王朝を建てる劉邦なんですね。

　劉邦は優しいおじさんでした。
秦で人気のあった三代目は、なんと、殺さなかったんですね。しかも、法律を三章に改め、とにかく、民衆をいたわったんです。
　この行為が、後に劉邦が天下を統一するにあたり、大きな助けとなります。　　