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生活保護者の集いコミュの生活保護を受給する人は車を持てない? 「最後の安全網」に壁

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https://mainichi.jp/articles/20220727/k00/00m/040/366000c

 困窮した人が、生活を立て直すために活用できる制度の一つが生活保護だ。ところが、受給を希望する人の「壁」となっているのが車の保有だ。車があることで「最後の安全網」が機能しないケースがあるのはなぜだろうか。

 「車があるため、生活保護を受けられないと言われました」。ある30代の女性はこう語り、肩を落とした。女性はうつ病とパニック障害を抱える。療養をしながら60代の母親、中学生と小学生の子どもと計4人でアパートに暮らす。


 数年前から体調を崩した女性は半日しか働けず、収入が半減。現在の一家の月の収入は母親が9万円、女性が4万円の計13万円。医師からは入院を勧められているが、治療費が捻出できない状況が続く。

 昨年秋、離婚した元夫から月数万円の養育費が振り込まれなくなって以降、特に生活は苦しくなった。今春、中学に入学した子どもの自転車や学校の体操着などの就学準備に10万円以上かかり、わずかな貯蓄もなくなった。猛暑日が続いた6月からはエアコンも稼働させられず、シャワーすら毎日浴びることもできない状態が続いた。


 行き詰まりを打開しようと、7月、世帯主の母親と福祉事務所に生活保護の受給を申請した。女性が住む地域は地方のいわゆる「車社会」。電車やバスの本数も少なく、ほとんどの家庭が車を所有している。女性は公共交通機関を利用するとパニックになり、呼吸が苦しくなることから、手続きで自宅を訪れた福祉事務所の職員に「車での通勤が必要」と訴えた。

 ところが、「車を処分しなければ受給はできないだろう」。福祉事務所の担当者の答えはつれなかった。

 どういうことなのか。

厚生労働省=東京都千代田区霞が関1で2019年2月2日、本橋和夫撮影拡大
厚生労働省=東京都千代田区霞が関1で2019年2月2日、本橋和夫撮影
 生活保護制度は保護を受ける人の車の保有を原則認めていない。保護を受けるにあたり、資産や能力などあらゆるものを活用することを前提とし、それでもなお足りない部分をお金で支給する、という仕組みだからだ。土地や家屋(生活に利用されていない場合)などと並んで車も原則「資産」とみなして処分を求められる。


 一方で、厚生労働省は通知で、障害がある人や、過疎地で公共交通機関の利用が難しい場合、通院や通勤に不可欠な人には車の保有を認める、としている。しかし、実際の現場の運用ではハードルは高い、との指摘は根強い。売却してもほとんどお金にならないような中古車でも、生活保護の受給開始前に処分を求められるケースも珍しくない。自治体の担当者が「資産」とみなして保護を申請した人に処分を求めるか、「生活必需品」として扱い受給を認めるかは、ケース・バイ・ケースだ。

 女性は「地方で車が持てなければ生活はできない。体調を崩して満足に働けないシングルマザーや、年金で生活できない高齢者はどうやって暮らしたらいいのか」と訴える。自治体の担当者は「国の通知に基づいて本人の確認をして判断している。個別の案件は答えられない」と話す。


 弁護士らからなる「生活保護問題対策全国会議」は昨年7月、「自動車を持ちながら生活保護を利用するために!」という冊子を公開した。冊子では、厚労省の通知を根拠に車の保有率がその地域の70%程度であればぜいたく品にはあたらない点を指摘。多くの都道府県で70%を超えていることから「自動車は生活用品として保有が認められても良いはず」などとしている。

 日本自動車工業会の2021年度の乗用車市場動向調査では、乗用車の保有率は首都圏69・7%に対し地方圏は82・4%だった。地方の郡部では89・3%と高く、公共交通網が発達していない地方ほど必需品に近い状況も浮かぶ。

 生活困窮者の支援に詳しい立教大コミュニティ福祉学部の後藤広史教授(社会福祉学)は「適切に運用されていない背景には、(自治体などの窓口で生活保護の実務を担う職員である)ケースワーカーの人員不足で現場が疲弊しているのも一因」とみる。さらに、生活保護の仕組みは、行政による裁量の余地が大きい点を挙げ、「自治体によっては、個別的な事情を考慮せずに対応してしまっているところもある。特に地方都市では、車がなければ買い物や通院ができない。柔軟な運用を考えるべきだ」と話す。【村田拓也】

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