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ワインをもっと楽しみたいコミュのブルゴーニュ07、08、09、10年ヴィンテージについて

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<Qさんからの視点?>

 最近、ブルゴーニュの09年ヴィンテージが思ったほどよくないんじゃないか、という話をよく耳にします。07年、08年を買い控え、09年にとびついた人もいるのでしょう。長い辛抱の期間、期待が膨らみすぎて、
イメージが事実を上回ってしまったということもあるのかも知れません。
 しかし問題の本質は、「よい」とは何か、という定義にあります。発芽、開花から収穫にいたるまで順調で、温暖で、乾燥して、病気もなく、収穫量も多く、よく熟したブドウができた09年は、農家にとっては確かにグレーテスト・ヴィンテージでしょう。ワインからは、そういう順調な年ならではの、屈託のない果実味や低い酸やなめらかなタンニンが感じられます。あまりに普通においしくて、どこにも抵抗がないので、拍子抜けするぐらいです。
 では、そのような味わいが、ある個人にとって「よい」ブルゴーニュなのか。皆、そのような味を求めているのか。よい年=よいワインなのか。
 ブルゴーニュに陰影や気難しさや起伏あるドラマやスリルを求めているなら、そのような何の苦労もない年のワインはふさわしくないのです。生まれもよく、育ちもよく、頭もよく、よい学校を首席で卒業し、大地主で、お金に苦労がなく、創業した仕事も順調で、素晴らしい伴侶に恵まれ、子供も健康で成績もよく、あまり病気もせずに幸せな90年の生涯を終わりました、という人がいたとします。よい一生でしたね、と言うでしょう。ではそのような人の伝記を読んだとします。あまり親近感がわきません。あまり学べるところがあるようにも思えません。よい人生であっても、よい伝記ではなさそうです。
 その当人ないし親戚縁者の立場で当事者的にものを見るのか、それとも完全なる他人として何かを得る対象としてものを見るのか。ヴィンテージについてよしあしを発言する際は、最低限、この立脚点の意識がなければ、無意味になってしまいます。
 私は09年は典型的な順調ヴィンテージの味だと思っています。それが無条件的によいか悪いかは決められるわけがありません。そういう個性が必要な時に飲めばよく、そうではない時に飲めば悪くなるでしょう。ヴィンテージに関しては、よしあしではなく、個性で判断せよ、というのが私の考えです。
 今09年を飲んだ時に感じるつまらなさは、熟成を経ることで、バランスのよさや上品さへと変化するでしょう。あまりに凹凸がないのでつまらなく感じるのですが、よいつくり手のよい畑のワインなら、時間が経てば必ず中身の充実はもたらされるものですし、ミネラル感も内側から出てくるものです。フルーティなだけでブルゴーニュ的ではないとさんざん批判された03年が、今どれだけバランスがよく、どれだけミネラリーなことか。そんな簡単に、そんな早いうちから、分かるわけがないのだと、03年で我々は学んだのではないでしょうか。もちろん09年は03年とは異なり、若干収量が多い味、つまり薄さは感じなくもないのですが、それもまたさらりとした透明感やなめらかさにつながるでしょう。1985年のような上品な、まさに生まれ育ちのよいワインになって欲しいと思っています。
 日照量が少なくてうす曇のぬるま湯的な気候が続いた07年は、触ると壊れてしまいそうな繊細なフルーティさと風味の透明感が素晴らしいと思います。タンニンと酸が低く、このようなチャーミングなヴィンテージはそうそうあるものではないでしょう。2000年以来、でしょうか。赤ワインの場合、2000年もさんざん悪口を言われた年でしたね。グレートヴィンテージと名高い99年のあとだけあって、脆弱だ希薄だと言われていました。では今、99年と2000年を飲み比べるとどうでしょう。少なくとも現時点な2000年のほうがおいしかったりするものです。ピノ・ノワールならではの繊細さと、今では褒める人も多いでしょう。ヴィンテージ評価など、そういうものです。絶対、不変、普遍なものなどありません。ただ、07年は早く飲んでおいしい、チャーミングな個性を求める人には、まさによいヴィンテージです、ということが言えるだけです。
 夏が涼しく、収穫が相当に遅くなったために収穫時期の夜の気温が下がった08年は、酸が非常に高く、タンニンが硬質で、果実味が内側に籠もったワインです。陰影や緊張感を求めるなら、これほど素晴らしいヴィンテージはありません。例えば煮魚と一緒に飲んでも生臭くならない赤ワインを探しているなら、まさに08年が答えでしょう。特に白ワインは、酸がくっきりとして、味わいの輪郭が正確で、見事だと思います。
 個人的に好きなヴィンテージは、といえば、よしあしや有用性とは別の話です。それは2010年です。09年より2割から3割も収量が減った2010年は、高い凝縮度の果実と高い酸と強いがなめらかなタンニンが合わさった、驚くべきヴィンテージだと思います。これはまさに長期熟成型でしょうし、前に出てくる力強さと内に秘めた陰影のドラマが高い次元で共存するワインだと思います。
 ヴィンテージに関しての私の結論は、あれこれ予見抜きに、またあれこれ惑わされずに、毎ヴィンテージ買っておきましょう、です。いろいろな個性があるからワインはおもしろいのですし、ブルゴーニュもひとつのヴィンテージからでは全体像が見えてこないでしょう。陰もあれば陽もあり、丸もあれば四角もあり、濃さもあれば薄さもあり、それはそれですべて意味があり、すべて何らかの意味では魅力的で、何かに対しては有用です。
 ではどのヴィンテージをどう把握し、どう鑑賞し、どう使いこなすか。ようは、我々の責任があるということです。それを放棄してヴィンテージそのものをあれこれ批判していては、ワインのおもしろさ自体を放棄しているのと同じです。
 
 

コメント(1)

> Qさん
お久しぶりです。わーい(嬉しい顔)

最近「ワイン」にはドラマがあるように思います。

造り手が天から与えられる天候に対応しつつ、個々の技量と努力が1つの作品として毎年産みだされるのだと感じました。

それが持つ『個性』を感じる事で「ワイン」はかけがえのない代物になると思います。

まだまだ勉強不足な自分ですが、これからも「ワイン」と言う作品を楽しんでいければと思います。

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