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SymbolicSound/KYMAコミュのマルチチャンネル運用時の問題点

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これは、KYMAに限ったことではないが、マルチチャンネル環境で音響パフォーマンスを行う上での問題点を考えてみる。

先ほど京都で行ったギグでは、サイズも素性もメーカーも異なるスピーカーを複数個使って、5chのマルチスピーカーシステムを展開した。場所は寺の縁側に面した30畳ほどの部屋で、収容人員は50人程であった。当初は、縁側でのパフォーマンスを想定し、庭側を正面として、そちらにFostexのNF-1Aを二台、部屋のトイ面を背景として、SONYのSMP-1Pを3台という布陣であった。ところが、当日になって、舞台が部屋の庭側向って右隅をフロントにした左方向に45度転回した設定に変更となって仕舞い、これには正直かなり焦った。

つまり、5chのサラウンド的な考え方で行くと、本来は左チャンネルのハズだったNF-1Aがフロントとなり、もう一台のNF-1Aは右、残りの左、右後、左後がSMP-1Pと訳の分からない変則配置と成り果ててしまったのだ。もちろん、室内は畳なので、スタンドに配置したNF-1Aは設置不能である。

そこで、仕方なしに、音量のバランスと物理的な距離を稼ぐことで不自然さを出来るだけ解消する運びとなった。右chのNF-1Aは庭に設置されているので、これの位置を奥まったところに配置、SMP-1P側は多少ゲインを上げ気味にセットする。

贅沢は言えないので、こんなトンチキな設定でお茶を濁す必要があったが、元来カラーの薄いSP群だったためか、なんとか我慢出来るレベルに仕上げることが出来た。

ただ、ここに来て問題になったのは、パンニングする音像のパターン設定である。ラボで実験する場合、我々は当然の如くベストなリスニングポイントに陣取って音を設計する。ところが、ギグでは不本意な場所でリスニングを強制される人間が存在してしまう。それを解消するためには、想定されるリスニングエリアの外にSPを配置するか、電気的に音の定位をぼかすしかない。

今回は、後者における「Distance設定」を積極的にコントロールすべき事例であったが、ギグに絡む人間が、音響設計者=演奏者という特殊な構図であったために、その点について追い込むことが出来なかったことが悔やまれる。

やはり、Distance設定は外部から直接インターフェイスで操作出来るパラメーターとして独立させるべきだ、というのが今回の結論である。これによって、ギグの雰囲気は大きく変わる訳で、その為には容易にパラメーターにアクセス出来ることが必要なのだ。

コメント(2)

年末も押し迫った12月16日に京都・青蓮院にて行われたイベントに参加した。勿論音響セットはAudioHologramである。

今回もオペはナシ。パワード・スタジオ・モニターSPへのKYMA直結という、エンジニア的感覚からしたら暴挙ともいえるセッティングであった。

そのSP配置であるが、フロントLRはFostexのNF-1Aが2本、リアにはおなじみSONYのSMS-1Pを3台展開した。これらのスピーカーは音色に主張が無く、淡々と鳴るタイプのスピーカーなので、理論(空論)的にチューニングは殆ど不要。どうせ細かいことは現場では出来ないのだから、ヘタにチューニングに嵌るよりは現実的なのである。(汗)

さて、5chのマルチオーディオを想定した場合、その理想的な配置は勿論「逆ペンタ」的(汗)な展開となろう。当初は、それに準じた前2と後3の等間隔配置(横方向は直線的になるが)で臨んだのだが、これが予想外にあまり良い雰囲気ではなかった。勿論、会場の物理的制約があるので、後3の配置精度も怪しげなのではあるが、実際に問題となったのは前2の設置場所であった。

当初は、庭に展開された「舞台」を中心に等間隔で並べてみたのだが、SPの出力不足でこれは敢えなくアウト。だが、こいつらをよりオーディエンスに接近させるとなると、理想的な立ち位置の確保は諸般の事情で断念せざるを得ない。ここで、「まあいいっか」と大幅なオフセットを甘受したことが、理想的な音場の達成に貢献したことは皮肉である。やはり、セオリーよりも現場での実践なのだ。

今回、音響的に一番注力したポイントは、よりバランスの取れた印象が得られるサラウンド的な音の展開である。作り手側が陥りやすい誤謬は、理想論に基づいた音像の配置に拘る余り、現場のオーディエンスの立ち位置を無視した独善的な音響設定に走ってしまうことなのだ。前回のギグの反省点はまさにそれであった。しかるに今回は「何処で聞いてもそこそこのバランス&クオリティーでしかも浮遊感があるサウンド」の達成を目指し、音響システムのパン設計を根本から見直したのだった。

つまり、極端に素材をパンさせないという、タダそれだけのことを目指したのだ。勿論、その匙加減がチューンなのであるが、自分でもその辺のことは明快に解っていないので敢えて説明はしない。(苦笑)KYMAの凄いところは、このような感覚的な発想をさっさと具象化出来る点で、仕込み時間に正味1時間かからなかったことは秘密でも何でもない。結局、コントローラー用のADポート増設を入れても2時間で片が付いてしまったが、MotorMixが本番で飛んで仕舞ったことから、こちらのフィジカル・コントローラー追加も大正解だった。やはり、現物の存在は安心に繋がる。

パンニング・スタイルのヒントは「滲み」である。このあたりの設定は感覚的なモノなのだが、この滲み具合をどうするかで、サラウンドの雰囲気は激変する。

だが、最終的な出音のキャラクターは作り手側の価値観に帰結する。 「廻ってる感」を優先した観念論的な定位配置を良しとするか、「キレが悪く」スペック的には劣ってしまうが、現実に得られる雰囲気を大事にするか、その価値観の戦いとなるのだ。
イマイチ正確さに欠けるが、PANのイメージ図を例示してみよう。

点線がスピーカーを展開させる円周で、録音されたパートはこの円周上を移動していく。移動時の音の滲みは実線で描かれた円の直径となる。この図で描かれているスピーカーの音響特性は無指向性の点音源となっているが、実際には110〜120度程の指向性を持ったものを用いる事になる。(無指向性スピーカーで是非実験したいところではあるが)

実際の音の展開はもっと複雑になっているはずだが、このような形で音の滲みを意識して、音響設計を行っている。ただし、現場によって音場は千差万別となるので、最終的にはその場所場所でチューニングを行う必要がある。比較的残響の多い場所では、スパッと切った方が効果的で、原音は中心に設置した無指向性スピーカーから出力すると効果的だった。

何れにせよ、原音とプロセッシングした音の混ざり具合がキーとなりそうなので、アナログ信号系のトリートメントを分離したプリアンプ・音声分配システムを構築するのが今後の課題である。

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