妄想・特撮シリーズコミュの第四話･その八

　ホーク三号を降りた結城は、イズミの元に急いだ。
「がんばって、ミクラス」
　イズミは、エレキングと戦っているミクラスに声援を飛ばす。
「こら、そこの民間人。そんなトコで何してるんだ」
　結城がイズミに声をかける。
「あら、結城くんじゃない」
「危ないだろ。すぐに非難して」
「でも、ミクラスが・・・・」
「エレキングにミクラスが勝てるとでも思ってるのか」
「ちょっと、それ、どういう意味よ」
「これは、宇宙人の罠なんだぞ。ミクラスがアギラみたいになってもいいのか。
今すぐに、ミクラスをカプセルに戻せ」
　結城は、強い口調でイズミに言った。
しかし、戦いは、確かにミクラスのが優位に見えた。
ミクラスのパワーに押され気味のエレキングは、今にも負けそうだった。
だが、それこそが、ナックル星人Ｊｒの狙いだった。

「ニセ・セブンの様子はどうだ」
「そろそろエネルギーが切れます」
「よし、本物にやられる前に、ミクラスを倒せ」
　ナックル星人Ｊｒがエレキングに指示を出すと、今まで負けそうなほどだったのが
別人のように立ち直り、ミクラスに襲い掛かる。
　長い尻尾を掴んで振り回そうとするミクラスだったが、そこに電流が走った。
思わず、尻尾を離すミクラス。
「いかん。ミクラスがやられる。尻尾に気をつけろ。
リーダー、エレキングの尻尾に集中攻撃してください」
　結城隊員は、思わずそう叫んで、ビデオシーバーで山中に話しかける。
アローとホークは、エレキングの長い尻尾にミサイル攻撃を仕掛ける。
　エレキングは、長い尻尾でミクラスを簀巻きにしようとしていた。
一度は、ネオ・マットの攻撃で、失敗したものの、口からレーザー光線を吐き、
アローとホークを牽制して、その隙に尻尾でミクラスをグルグル巻きにした。
　そして、エレキングは、全身から電気を放出して、ミクラスを感電死させる。
「アレを見ろ。早く、戻せ」
　結城が怒鳴る。
「ミクラス、戻って」
　イズミが声を張り上げる。しかし、ミクラスは、尻尾に巻かれているので
カプセルに戻ることが出来ない。エレキングは、ゆっくりと尻尾を巻き取ると
ミクラスは、小さく鳴いて、そのまま大きなと音を立てて、倒れた。
「ミクラス・・・」
　イズミが思わずミクラスに近寄る。それを結城がしっかり止めた。
ミクラスの大きな丸い目が、静かに閉じる。口を小さく開けて、微かに鳴くのが
最後だった。

「よし、セブンが戻ってこないうちに、エレキングを戻せ」
　ナックル星人Ｊｒは、そういってエレキングを引き上げさせた。
ミクラスは、それきり、二度と立ち上がることはなかった。
　結城は、テレパシーでセブンにミクラスがやられたことを伝える。
「ねぇ、ミクラスは死んじゃったの」
「見ればわかるだろ。だから、いったんだ。早く戻せって」
　結城は、半泣きのイズミに怒った。
そのころ、セブンは、ニセ・セブンと戦っていた。いまだに勝負が付かない。
結城のテレパシーを受けたセブンは、アイスラッガーを投げると、
それにワイドショットを同時に放ち、ニセ・セブンを一気に倒して見せた。
　大爆発するニセ・セブン。そして、セブンは、瞬間移動で、ミクラスの元に向かった。
「あなた・・・・」
　イズミは、突然現れたセブンにそういった。
セブンは、ミクラスをそっと抱き上げると、そのまま空高く飛び去っていく。
「残るは、ジュニアとウィンダムか」
「どういう意味」
「宇宙人は、セブンを誘き寄せて、その隙にカプセル怪獣を一匹ずつ殺していく
つもりって事だよ」
「そんな・・・・・」
「事実、アギラとミクラスがやられただろ」
「・・・・・」
　イズミは、返事が出来なかった。

そこに、変身を解いたダンが戻ってきた。
「あなた、ミクラスは・・・・・」
「何とか、命は取り留めたけど、アギラ同様、しばらく無理だ」
　と、ダンが言うと、結城が言った。
「おい、アンタ。そんな悠長なことを言ってていいのかよ。次は、ウィンダムか
ジュニアがやられるんだぞ」
「すまん」
「あんたは、カプセル怪獣をただの道具としてしか考えてないのか。
見殺しにしても平気なのかよ」
「そんなことは・・・・」
「だったら、二度とカプセル怪獣は使うな」
　そういい捨てて、結城は他の隊員たちの元に戻った。
ダンは、そんな結城の背中を見ているしかなかった。