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音楽書を読み込もう!コミュの『ローベルト・シューマン−引き裂かれた精神』

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ウード・ラオホフライシュ著『ローベルト・シューマン−引き裂かれた精神』(音楽の友社)を読み終わりました。この本は事実上の絶版状態になっており、市場で手に入れることは困難です。近所の市立図書館を通じて都立図書館から借りることができました。なかなか興味深い本です。

特に興味を惹いた部分は、シューマンにはクララとの間に8人もの子供がいたということです。その顔ぶれは:

?マリー(女):1841年〜1929年
?エリーゼ(女):1843年〜1928年
?ユーリエ(女):1845年〜1972年
?エーミール(男):1846年〜1847年
?ルートヴィヒ(男):1848年〜1899年
?フェルディナント(男):1849年〜1891年
?オイゲニー(女):1851年〜1938年
?フェーリクス(男):1854年〜1879年

となっています。興味深いのは、末っ子のフェーリクスがシューマンとクララとの間に出来た子ではなく、なんとブラームスとの間に出来た子だという説があるというのです。この説は、シューマンの孫にあたるアルフレート・シューマンが主張しているのです。ただしはっきりした根拠はなにもないようです。

もしこの8人目の子供がクララとブラームスとの間にできた子供であるとすると、クララはブラームスと関係を持ってしまったということになります。もしそうだとしたら、皆さんはこのことに起因してクララにどんなイメージを抱かれるでしょうか。

クララはいろんな意味でスーパーウーマンだったようです。当時はピアニストとしての名声も高く、作曲も多少はしていました。ローベルトもクララの実力を認め、ライバル視していたということがこの本に書かれています。

女が複数の男を愛すると、日本人は「淫乱」とか「多情」とかいうステレオタイプで評価しがちですが、もしクララがブラームスと関係をもってしまったとしても、複数の男と複数の愛の形を営めるクララの精神のふところの深さを評価することも可能なのではないでしょうか。

ところで、シューマンが物故した後の1891年、ブラームスとクララとの間に激しい仲たがいが起こりました。その原因は、ブラームスがシューマンの第4番の交響曲ニ短調の草稿版をクララの承諾なしに勝手に出版したことです。この草稿版の出版に先立って、ブラームスはクララに出版の打診はしていたのです。しかしクララからは何の返事もなく、ブラームスはこの作品の草稿版の出版を実行してしまいました。

ブラームスがこのシューマンの第4番の交響曲の草稿版を出版した行為は、ブラームスなりに全くの善意で行なったものです。その当時すでに出版されている改訂版よりも、この作品の草稿版のほうが芸術的に優れていると考え、これを出版して世に残すことは意義のあることだと考えていたのです。

しかしクララはこのブラームスの行為に激しく怒ったのでした。一体なぜなのでしょう。この本では、その出版物に夫の名前とブラームスの名前が並んで付されて公衆の目にさらされることが、クララには耐えられなかったからではないかと分析されています。それは、クララはブラームスとの関係について、ローベルトにたいして深い罪の意識を持っていたことの現われだったと説明できる、としています(238ページ)。

そうだとすると、ブラームスとクララはやはり関係をもったのでしょうか。そしてクララの8番目の子供はやはりブラームスとの間に出来た子なんでしょうか。ブラームスとクララとの出版物をめぐる仲たがいの事件は想像をかきたてる出来事です。

この事件の後、ブラームスはクララに丁寧な謝罪の手紙を送り、二人の仲は修復されます。しかしその後1896年にクララは死去。ブラームスもその後クララの後を追うように1897年にこの世を去っています。

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