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ヨゼフ・スークコミュの小品におけるスーク

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ヨゼフ・スークはヴァイオリン小品等を集めたCDアルバムを何種類かリリースしています。

写真1左はドボルザークのヴァイオリンソナタ、4つのロマンチックな小品、ソナチネ、夜想曲、バラードを集めたアルバム、同右側はほぼ同じような内容ですが、こちらは2枚組でマズレック、スラブ舞曲第2番、ユモレスクが入っています。

この2枚のCDの一番異なる点は、録音した年代です。左側のCDアルバムは1995年スークが65歳のときの録音で、右側のCDアルバムは1971年スークが41歳のときの録音です。

両者を聞き比べると、この年齢の違いがよく分かって興味深いです。65歳のときの録音のほうは、音にぽってりとした厚みがあって、しかもまろやかな感じです。テンポはCDの録音データを見る限りほとんど変わらないかむしろ速いくらいなのですが、聴いていると、ゆったり弾いているように感じます。「ぽってりとした厚み」と「まろやかさ」がある半面、ヴァイオリンの木が鳴っていることに起因する鋭さといいますかシルバートーンがかった味わいは薄くなっていると思います。

右の41歳のときの録音版は、やはり若い時の録音だけあって、テクニックの切れ味も(特にマズレックにおいて)さわやかで、しかもヴァイオリンの木が鳴っていることに起因するシルバートーンの味わいが適度にブレンドされていて、なかなか魅力的です。音質に鋭さと輝きがありますが、その分まろやかさはあまりありません。私はどちらかというと後者の音質のほうが好きかな。

写真2のCDは、左が1990年の録音、右が1989年の録音で、写真3のアルバムは1999年から2000年にかけての録音です。いずれもヴァイオリン小品のスタンダードナンバーが収録されています。音質の傾向はどちらのアルバムでも、上述の「ぽってりとした厚み」と「まろやかさ」のほうです。

ご存知のように、スークの演奏は奇をてらったところが全くない端正で折り目正しい演奏です。しかし欲をいえば、個々の作品が独自に持っているローカル文化色の表現が弱いという気がしないでもない。ヴァイオリン小品の場合は、例えばフランスものならエスプリとアンニュイの香りであるとか、スペインなど南ヨーロッパのラテン系のものなら情熱的で解放的なエネルギーであるとか、クライスラーならウィーンの洗練された都会的雰囲気であるとか、個々の作品が独自に持っているローカル文化色があるわけです。そういったローカル文化色の表現はもう少しあってもいいかなと思います。

その点、グルミュオーやシェリングは優れていますね。取り上げている作品のローカル文化色を見事に表現しています。ただし取り上げている小品のローカル文化色は豊かでも、そのようなローカル文化色を演奏にふんだんに盛り込みうるレパートリーは逆に狭くなるかもしれません。実際、個性的なヴァイオリン小品の場合は、「この作品を弾かせたらあのヴァイオリニストが天下一品」というのがありますからね。

その点スークの場合は、ドボルザークの作品を除けば幅広くこなすオールラウンドプレーヤーであるといえるでしょう。

コメント(1)

>実際、個性的なヴァイオリン小品の場合は、「この作品を弾かせたら
>あのヴァイオリニストが天下一品」というのがありますからね。

>その点スークの場合は、ドボルザークの作品を除けば幅広くこなす
>オールラウンドプレーヤーであるといえるでしょう。

逆に言うと、スークにとっての「この作品を弾かせたらあのヴァイオリニストが天下一品」に該当する「この作品」は何かですが、私はドボルザークの『マズレック ホ短調 作品49』ではないかと思います。

私はこの作品が大好きで、他に諏訪内晶子さん、高田美穂子さんの演奏を収録したCDを持っています。しかしスークの演奏と比較するとやはり見劣りするという印象がぬぐえません。諏訪内さんの演奏は、テクニックは整っていて音色も美しいですが、音の線が細く、この作品の情熱的な部分が十分表現できていないように感じます。

一方、高田美穂子さんの場合は、まずテクニックが一段劣る感じがしますし、音色も使用している楽器のせいもあるのでしょうが、いまいちです。やはりこの作品に限っては、スークの演奏を聴いたら他は聴けないといっても過言ではありません。

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